秋田で人気のスノートライアルが、雪降り積もる中、今年も開催!
2022年2月3日

北東北の冬のモータースポーツ風物詩のひとつに数えられる、秋田のノースハンプトン スノーアタックが、今年も1月16日に開催された。
ノースハンプトン スノーアタック2022
開催日: 2022年1月16日
開催場所: ノースハンプトンゴルフ倶楽部(秋田県秋田市)
主催: AKITA
ノースハンプトンゴルフ倶楽部は、平成7年にオープンした秋田市の南に位置する、自然に囲まれたゴルフコースだ。主催のモータースポーツクラブあきた(AKITA)は、このコース内の私道を使用するスノートライアルを数年前から開催している。ゴルフ倶楽部の入口からクラブハウスまでに至る、1分30秒前後で走行できる道は緩やかな上り勾配となっており、氷雪路となっても2WD車が上り切れる、というスノートライアルには適したコース。毎年、完全にクローズドされたスノーロードを舞台に競技が行われる。
コース内は中速コーナーが主体で、ミニサーキットのような攻め甲斐のあるレイアウトになっている。ここ数年にない積雪が続いたこともあって、雪の量は十分。その雪の下はしっかりとアイスバーン状に凍結した箇所も何か所かあり、スノートライアルならではの路面の見極めも必要だ。今年は終日、曇天で、昼過ぎからは雪が断続的に降り続いたこともあって、スノー&アイスの路面が最後までキープされた。
参加者はゴール付近に設定されたパドックから、スタート地点まで徒歩で降りて、まず慣熟歩行でコースを下見。第1ヒートの後、再び慣熟歩行を行い、第2ヒートにトライし、そのベストタイムで順位を競った。決勝ヒートは2グループに分けて、グループごとに一旦、スタート場所まで降りて、待機場でUターンして、スタート位置に着く。参加者達は慣熟歩行も含めると計4回、コースを往復する形となる。今回は参加枠の定員だった70名がスノーアタックにエントリーしてきた。





10台がエントリーしたRWDクラスは、クラス2番ゼッケンで走ったMR-Sを駆る鈴木聡太郎選手が第1ヒートで暫定ベストを奪う。鈴木選手は第2ヒートでも3.2秒のタイムアップを果たすが、後続の鎌田悟選手がそのタイムを1.3秒縮める1分35秒375を叩き出して逆転。さらに菅生大介選手のワンビアが1分33秒566という断トツのタイムでゴール。そのまま逃げ切りに成功した菅生選手は、ゴール直前でスピンして最下位に沈んだ第1ヒートから劇的な逆転優勝を果たした。
普段はドリフトを楽しんでいるという菅生選手は、「滑らせるのが好きなので、1本目は調子に乗り過ぎました(笑)」とまずはひとこと。「ただ、あの1本目で、リアを流していい所とダメな所が分かったので、師匠のアドバイスも踏まえながら、2本目はメリハリのある運転を心がけました。走っている最中から“いいペースで走れている”という実感があったので、結果が残せて良かったです」と会心の走りを振り返った。





FFクラスは17台がエントリーした。クラス先頭で走ったのは、1週間前のJMRC東北ラリーシリーズで優勝を飾った佐々木松紀選手のミラージュで、いきなり1分37秒613という好タイムをマークする。結局、第1ヒートでは後続の16台が誰一人として1分40秒を切ることすらできず、佐々木選手が暫定ベストを最後まで守り切って折り返した。
波に乗る佐々木選手は第2ヒートでも1分25秒962をマーク。今度は1分30秒の壁が後続の選手に重くのしかかるが、これをあっさりと超えたのは優勝候補ナンバーワンだった工藤清美選手だった。全日本ダートトライアル選手権に参戦する本番車のフィットを持ち込んだ工藤選手は、「昼の慣熟の時は路面が厳しそうだと思ったので、最初は3速主体で探りながら行ったけど、途中でグリップすることが分かったので2速主体に変えて踏んで行きました」という走りで1分23秒097までタイムを詰める。
後続の2017年全日本ラリー選手権チャンピオン、猪俣寿洋選手が1分24秒405まで迫ったが、24秒台を切るドライバーは最後まで現れず、工藤選手が優勝。「2本目の路面が雪が融ける量が少なくて、シャーベット状にまでは行かなかったので、思いのほかグリップしたと思います」と勝因を語った。逆転を許した佐々木選手は5番手にとどまり、スノーイベント2連勝は果たせなかった。
「ここはブラインドコーナーが続いてラリー的な雰囲気があるので楽しいし、毎回、スタートとゴールの位置が一緒なので、タイムを狙うのもモチベーションになる」という工藤選手。「以前、もっといいタイムで走れた時もあったので、条件にも左右されるけど、今後もまた自己ベストを目指してチャレンジしたいですね」と、このイベントの魅力を教えてくれた。





軽自動車クラスはエントリーが何と25台を数え、今回一番の激戦区となった。第1ヒートはただ一人、1分30秒を切った菅田秀昭選手がトップに立ち、1分30秒422の照井祐治選手が2番手、1分31秒559の柳田健一選手が3番手と、いずれもアルトワークスを駆る3人がまずはトップ集団を形成した。
注目の第2ヒートでは菅田選手が1分19秒014まで自らの暫定ベストを更新するが、直後に走った柳田選手が0.184秒凌いで1分18秒台に叩き入れて逆転。後続の走りを待ったが、1分20秒を切るドライバーは現れず、しばらくは膠着状態が続いた。しかしクラス19番目の出走となった照井選手が1分17秒531という、今大会総合でも4番手に入るスーパーベストを叩き出して逆転。ハイレベルなバトルに終止符を打った。
「1本目の走りはひどかったです」と反省の弁を述べた照井選手だが、勝因については、「1本目と違って2本目は走りやすいと感じたので、大きく変わった路面状況に合わせる走りがうまくできました」と振り返った。これで自身、2度目のノースハンプトン制覇。激戦区を見事に勝ち抜いた。





4WDクラスも17台がエントリーと、なかなかの激戦区となった。第1ヒートはともに1分28秒台にタイムを乗せた、東北ダートラ界でも改造車のトップドライバーとして知られる加藤琢、須藤正人の両選手が1-2で折り返し、貫禄を見せる。しかし第2ヒートに入ると、まず第1ヒート3番手だった齋藤彬宏選手が1分17秒台に入れてベストを更新。同じく須藤選手も17秒台に入れてすぐさま逆転するが、後走の村上哲選手が1分16秒400までタイムアップする。
しかし直後に走った加藤選手はライバルの度肝を抜く1分14秒218というタイムで首位を奪回。白熱のバトルを一気に決着させた。「1本目はタイヤが空転して、ただ道の上にいるだけという感じだったけど、2本目は凄くグリップしたので、自分のリズムで走れました。アンダーを1回出したくらいで、後はほぼノーミスで走り切れましたね」と加藤選手。そしてFFクラスの工藤選手同様、第2ヒートの路面が大幅なタイムアップを可能にしたと語った。
「ここ数年は、2本目の路面がいい感じで“緩く”なっているので、タイムアップ傾向が続いているんだと思います」と冷静に今回のコースを振り返った加藤選手は、弟子の菅生選手も今回、RWDクラスを制するなど大活躍。師弟でダブル優勝を飾った。ダートラでは東北一と言われるほどアグレッシブなドライビングで知られるだけに、「まぁ、ともかくスピンせずにゴールできて良かったです(笑)」と加藤選手。最後は安堵の表情を見せていた。







フォト&レポート/JAFスポーツ編集部
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