忠犬ハチ公の故郷、秋田大館で開催のウインターラリーが2年ぶりに復活!
2022年2月24日

1月上旬に開幕したJMRC東北ラリーシリーズの第2戦が、1月30日に秋田県大館市で行われた。
2022年JMRC東北ラリーシリーズ第2戦
ハチ公ウインターラリー2022
開催日:2022年1月30日
開催場所:秋田県大館市周辺
主催:DSCC-A
忠犬ハチ公生誕の地として知られる秋田県大館市で開催される冬のラリーは、その名を冠した「ハチ公ウインターラリー」として、東北ラリー界ではすっかり定着した一戦となっている。また今年は、国内では唯一、公道SSのみを使用するスノーラリーとして開催されたラリーでもあり、ラリー界でも貴重なイベントとなった。
しかしこのハチ公ウインターラリーも、昨年はコロナ禍により、初めて中止を余儀なくされ、連続開催が途切れた。ここ数年は暖冬の影響で雪不足が続いたこともあり、スノーラリーらしいコースコンディションに持って行くことが難しい年もあったが、今年は大館市も雪国の町にふさわしい積雪があったため、スノー&アイスの路面が出来上がった。大会前日までは舗装が顔を出す区間も一部あったが、大会前夜にまとまった雪があったため、ラリーの前半は各クルーとも全面スノーロードのSSにアタックした。
今回のラリーはこのラリーの名物ステージ「岩本」1.86kmと、「越山-二井山」5.10kmを同じ方向で3回ずつ走る計6本、20.90kmのSSが勝負の舞台となった。越山-二井山はそれまで別々に使用していた道を1本に繋げたもので、一昨年、初めて設定されたが、今回は前回とは逆走で走る形になる。
ハチ公ウインターラリーはその開始当初から、ハイスピードスノーラリーとして知られてきた。十分な道幅が確保された道を使用するため、コーナーのRも緩く、ほとんどが中高速で駆け抜けることができる。因みに、今回、最速で走り切った車両のアベレージスピードを見ると、岩本が90.7km/h、途中、長いストレートのある越山-二井山は100.2km/hを記録した。





その最速のアベレージスピートをマークしたB1クラスには11台が参加した。ランサー、インプレッサの他、関東から遠征の石原淳/有川美千代組がGRヤリスで、津田宗一郎/堀秀和組はクラウンで参加するなど、多彩な車両が集った。SS1岩本は開幕戦の覇者、伊藤一也/平野正志組のランサーが順当にベストを獲るが、SS2越山-二井山は関東の上原利宏/郷右近孝雄組がベストで上がり、追撃を開始する。昨年後半からランサー・エボリューションⅦへ乗り換え、注目を集めた上原選手だが、今回は乗り慣れたエボVを復活させての参戦だ。
SS3では伊藤組が2度目のベストで上原組との差を5.0秒に広げてラリーを折り返し、伊藤選手のチームメイトである橋本奨/吉田知宏組も、上原組から1.7秒差の3番手につけたが、SS2の再走となる続くSS4で、上原組は2番手の橋本組を7.5秒も突き離すスーパーベストをマーク。伊藤組を一気に抜き去って逆に5秒のマージンを作ってSS5に臨んだ。しかし上原組はステージ後半、下りの高速コーナーで痛恨のコースオフを喫してリタイヤとなってしまう。これでトップに返り咲いた伊藤組が、最終のSS6でも橋本組の追撃を凌いで開幕2連勝を達成。ハチ公ウインターラリーは初開催時から負けなしの5連勝を飾った。
「今日はアイス路面も踏んでいくという、なかなか今まではなかったスリリングな経験をさせてもらいました(笑)」と振り返った伊藤選手。「一番ゼッケンだったので、ゴールした後にライバル選手のタイムを確認できなくて、自分がどれくらいのペースで走れているかが分からず、最初は不安もありましたが、ともかく自分の走りをすることに集中しました」。
「1周目が先頭で雪掻き役で苦労した分、2周目以降は走りやすく感じて、実際にグリップ感もあったので、ラリーが進むにつれ、攻められました。でもSS4の上原選手のタイムは、“どうやって走ったんだろう”と橋本選手と話したくらい、想像を超えたタイムでしたね。ただ、このクルマで開幕戦を走ったことは大きかった。それを踏まえて変更したセッティングが今日の路面には合っていました」と激戦を振り返った。





B2クラスは開幕戦から新たにZC33Sスイフトスポーツを投入した沼尾秀公/沼尾千恵美組が、SS1でまずベストタイムを奪取するが、SS2では小舘久/小舘優貴組のミラージュが、チェーンが外れかけてタイムロスした沼尾組を大差で下すベストをマーク。SS1で喫したタイムロスを帳消しにして、この夫婦コンビvs親子コンビのバトルを振り出しに戻した。しかし2周目、チェーンを外した沼尾組がSS3、SS4を連取したのに対して、今度は小舘組がSS4でチェーンが外れかけてタイムロス。リードを広げた沼尾組がSS6をこの日4度目のベストで締め括って、今季初優勝を遂げた。
「実はSS1でチェーンが壊れかけたんですが、それでもベストが獲れたので、“今日はあまり無理をしないでも勝負に絡めるかもしれない”と思い、基本は探り探りの走りでした」と振り返った沼尾選手は東北シリーズの常連の一人。「やはり開幕戦でも感じましたが、去年までの86に比べるとスイフトは楽に扱えるので、コーナリングも軽快で、破綻しないで走れました。クルマの速さも、今日は特に上りでアドバンテージがあったと思います」。沼尾選手のチームメイトで開幕戦を制した佐々木松紀/高橋泰志組ミラージュは今回3位に入賞。小舘組も加えた三つ巴が今年のクラスの軸になりそうだ。





B3クラスは開幕戦でラリーデビューウィンを達成の武藤亘輝/水永啓太組が、今回もエントリー。東京のエムスポーツチームからはベテランの南野保/生方晃組と唐釜真一郎/小泉雅之組がともにデミオで参戦し、関東から遠征の3台によるバトルが展開された。先行したのは南野組デミオでSS1から3連続でベストマーク。武藤組はSS4でこの日初のベストを奪うが、SS5で大きくタイムロスしたのが響いて、SS6で2度目のベストを奪うも22秒及ばず、今回は2位に甘んじた。
優勝の南野選手はラリージャパンやラリー北海道等、長距離のグラベルラリーを中心に参戦してきたベテランラリースト。「2年前に引退したはずだったんだけど、同じく引退したはずの唐釜選手と話している内に、“またラリーに出たいね”って話になって(笑)」、久々に復活の一戦になった。本来はこれまでも参戦を続けてきた群馬のラリー・オブ嬬恋に参加する予定だったが、中止となったため、このラリーにエントリーしたという。
「今日はコ・ドライバーの生方選手が初めてラリーに出るので、色々と教えながら楽しく走ろうと思っていたんですけど、リピードステージが多かったので彼にも凄く勉強になったと思います。タイムも良くて、“まだ速く走れるな”って思えたので引退は撤回ですね(笑)。いつも長いラリーばかりを走ってきたので、走る前は“今日はちょっと距離が短いかな”と思ったけど、走ってみたらイケイケのコースだったので、最後まで楽しかったです」と南野選手。「今年のラリーカムイやラリー北海道も、ちょっと気になってきました(笑)」と完全復活の様子だった。







フォト&レポート/JAFスポーツ編集部
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