今年の“栃茨”ジムカーナシリーズが、春の訪れを待たずに早くも開幕!

レポート ジムカーナ

2022年3月7日

今年のJMRC関東ジムカーナシリーズの先陣を切る形で、2022年のJMRC栃木・茨城ジムカーナシリーズが、2月13日に開幕した。

2022JMRC栃木・茨城ジムカ-ナシリーズ第1戦
アクティブアタックジムカーナ

開催日:2022年2月13日
開催場所:モビリティリゾートもてぎ(旧名称: ツインリンクもてぎ)マルチコース
主催:ACTIVE

 今年の栃木・茨城シリーズは9月18日の最終戦まで全7戦のシリーズが予定されている。今回の開幕戦の舞台となった、もてぎのマルチコースが過半数の4戦を占め、つくるまサーキット那須が2戦、茨城中央サーキットが1戦、それぞれ開催される形になっている。シリーズ戦は9月で終わるが、11月20日に栃木茨城フェスティバルが、12月4日には栃木フェスティバルも開催の予定(場所未定)で、今年は一年中、北関東のコースでスリリングなジムカーナの走りが楽しめそうだ。

 開幕戦が行われた週は関東各地でも降雪があり、もてぎの中でも陽が差し込まない所は一部、雪が残っているところもあったが、マルチコースの近辺は幸い雪は消えており、ドライターマックでの全開勝負が、いきなり火花を散らすことになった。

 当日のコースレイアウトで注目されたのはW(ダブル)フリーターンが設定されたこと。過去、マルチコースでのジムカーナはフリーターンの設定はあったものの、ダブルで設定された例はほぼ初めてということで、参加選手は慣熟歩行から入念なチェックを行っていた。ただ2本の決勝走行の前に慣熟走行が1本、設けられたため、各選手とも、ある程度の決め込みをした上での攻略が可能だったようだ。

当日は、午前中は陽も差して、この時期の割には暖かな天候の中で始まったが、2本目の決勝ヒートが始まる頃には厚い雲も垂れ込め、気温も低下。表彰式の頃には予報通りに雨も降り出すというコンディションとなった。それが影響したか、タイムアップできた選手は少なく、結果的には多くのクラスが1本目勝負になるという展開になった。

もてぎマルチコースはフラットな路面が特徴。中高速のコースレイアウトの設定も十分、可能だ。
パドックも十分な広さが確保されている。
今年から新設されたGRクラスは、2つのクラスに10選手がエントリーし、話題を集めた。
ドライバーズミーティングも“3密”を避けながら行われた。
当日のコース図。やはりWフリーターンの出来が勝敗を大きく左右した。右のコース図はGRクラスを対象としたコース。Wフリーターンの設定を省いている。

 競技はJMRC関東のシードドライバーやエキスパートの選手の対象のファーストクラスからスタート。多くの参加者が上級者の走りに注目したが、結果は全日本ジムカーナ選手権での優勝経験を持つ橋本恵太選手が、大塚健二選手とのBRZ対決を0.047秒という僅差で制して優勝を果たした。

 両選手とも第1ヒートのタイムで競い合った形となったが、勝った橋本選手は、「大塚選手も完璧な走りができなかったみたいですから、今日はラッキーな勝利でした」と振り返った。「Wフリーターンはあまり意識し過ぎないようにして、他の区間で頑張ろうとしたんですが、全体的には70~80点くらいでしょうか。やっぱりこの時期なのでグリップは厳しかったですね。2本目、更新しようと思いましたが、ちょうど雨がパラついたのでダメでした」。フィットで全日本を制し、FFスペシャリストのイメージが強い橋本選手だが、昨年からBRZにチェンジ。「でもFRは難しいです。何とか今年はこのクルマを乗りこなして、地区戦で上位を狙いたいですね」と意欲を見せた。

ファーストクラスは、昨年からBRZを駆る橋本恵太選手が第1ヒートのタイムで優勝した。
ファーストクラス表彰の各選手。

 続くPN1クラスは、津野友佑選手のND5RCロードスターが、第1ヒート、赤旗掲示で再出走という幸運も味方につけて、1分4秒638という断トツのベストタイムをマークする。第2ヒートでは自身、1分5秒台にとどまるも、ライバル選手も4秒台に乗せることはできず、第1ヒートのタイムで逃げ切った。

 同じマルチコースで3月に開催されるJAF関東ジムカーナ選手権に備えての出場となった津野選手は、「自分のタイヤは低温に弱くて2コーナー目くらいまではシンドかったので、その意味でも再出走できた今日はラッキーでしたね。Wフリーターンは入口が狭かったので、確実に回すことをまず考えて走りました。タイムは落ちましたが、2本目もクラスベストが獲れたので、良しとしたいと思います」とコメント。地区戦に向けて収穫のあった一戦だったようだ。

PN1 クラスは、このシリーズを2年連続で制している津野友佑選手が優勝。
PN1 クラス表彰の各選手。

 一方、PN5クラスは、参加は3台にとどまったものの、その3選手が第1ヒートから0.5秒の間にひしめく大接戦となった。勝負の懸かった第2ヒートでは2選手がパイロンタッチを喫してタイム更新は果たせず。2本ともノーペナルティで走り切ったロードスターRFの小島秀治選手が、第1ヒートでマークした1分7秒228のタイムで逃げ切った。

 第1ヒートでWフリーターンの入り方を間違えてしまったという小島選手は、「左、右の順で行くつもりが、右から入ってしまって出口で詰まってしまい、タイムロスしました。慣熟走行では6秒台で走れていたので、タイム的にはちょっと、というところですね。その慣熟走行でパイロンに触ってしまい、決勝ではマージンを取った走りをしてしまったのも反省点です」と今ひとつ攻め切れなかった様子だ。

 RWD車を乗り継いできた小島選手は、昨年からロードスターRFにチョイス。昨年は扱えずに苦戦したが、今年はタイヤを変えた所、クルマの動きが変わって乗りやすくなったという。「去年は全然、歯が立たなかったBRZのお二人と今日は勝負できたのは励みになります。この調子を何とかキープしたいですね。それにWフリーターンのような設定は、僕は大好きなので(笑)、次またあれば、ちゃんと決めたいです」と不本意なタイムではあったものの、シリーズを見据えた確かな手応えを掴んだ一戦となった。

三つ巴の接戦となったPN5クラスは、小島秀治選手が逃げ切った。
PN5クラス優勝の小島選手。

 NTR2クラスは、S2000が3台と多数派を占めたが、NSX、33スカイラインと参加車種がバラエティに富んだ。そして優勝を飾ったのは、SW20型MR2を15年乗り続けているという戸田義則選手。このクラスも1本目勝負となり、第1ヒートで頭一つ抜け出したタイムをマークした戸田選手が、昨年に続いて開幕戦を制した。

「このコンディションで勝てたのは、やはりダブルエントリーで先に走った嫁さんが、タイヤを暖めてくれたことが大きかったと思います」と戸田選手。「Wフリーターンもいい感じで曲がれたし、大きなミスがなかったのが良かったんでしょうね。2本目は、Wフリーターンをさらに決めようとしたら、引っ掛かってしまいました。ただ5秒台で走れればいいと思っていたので、4秒台のタイムが出せたのは想定外でした」と会心の走りを振り返った。

NTR2クラスは、戸田義則選手が幸先の良い1勝をマークした。
NTR2クラス表彰の各選手。

 栃木茨城シリーズは今年からGR2クラスとGR4クラスを新設した。両クラスともレンタル車の2WDのGRヤリスRS(AT)と、4WDのGRヤリス(MT)で走ることも可能となっており、各クラスともレンタル枠一杯の3名が、話題の車両でジムカーナ走行を楽しんだ。2WDのトヨタ車・GR車対象のGR2クラスは、第2ヒートで大きくタイムを詰めた小川翔弥選手が、レンタル車のGRヤリスRSで優勝した。

GR2クラスは、小川翔弥選手が両ヒートともベストタイムを奪って快勝した。
GR2クラス表彰の各選手。

 4WDのトヨタ車・GR車対象のGR4クラスは島田直樹選手のGRヤリスが、レンタル車を駆った3選手らを抑えて優勝を飾った。なお、このGRクラスについては入門者の参加を想定ということで、平易なコース設定が用意されることになっており、今回についてはWフリーターンのない別のレイアウトでタイムを競う形とした。今後の盛り上がりを期待したいところだ。

GR4クラスでは島田直樹選手が第1ヒートのタイムで優勝した。
GR4クラス優勝の島田選手。
PN7クラスは、第2ヒートで1分4秒台にタイムを入れた若林千昭選手が逆転勝ちを収めた。
PN7クラス優勝の若林選手。
NTF2クラスは、第2ヒートでもタイムを上げた吉良仁秀選手が優勝。
NTF2クラス優勝の吉良選手。
NTR1クラスは、平川龍一郎選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
NTR1クラス優勝の平川選手。
NT4クラスは、佐藤林選手が1分2秒台の断トツのタイムでオーバーオールウィンを達成した。
NT4クラス優勝の佐藤選手。
S2クラスは、國生政義選手が第1ヒートで叩き出した1分3秒台のタイムで優勝。
S2クラス優勝の國生選手。
入門クラスのチャレンジクラスは、福田孝太朗選手が両ヒートともベストの走りを見せて優勝した。
チャレンジクラス優勝の福田選手。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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