WRCドライバー勝田貴元選手の今季2戦目は、表彰台手前の4位!!

レポート ラリー

2022年3月16日

2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)の第2戦「ラリー・スウェーデン」が2月25日~27日、スウェーデン北部最大の都市、ウーメオーを舞台に開催。シーズン唯一のフルスノーラリーとして注目を集めるなか、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の日本人ドライバー、勝田貴元選手がGR YARIS Rally1を武器に4位入賞を果たした。

2022年FIA世界ラリー選手権 第2戦
ラリー・スウェーデン

開催日:2022年2月24日~27日
開催地:スウェーデン・ウーメオー周辺

 新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、2021年は開催中止となったことから、2年ぶりの開催となったラリー・スウェーデン。開催エリアを北部に移動したことから積雪量が豊富で、氷雪路のなかでラリーが開催された。

  2022年はトヨタのサテライトチーム、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next GenerationよりWRCにフル参戦している勝田貴元選手にとって、ラリー・スウェーデンは2018年の大会でWRC2を制するなど得意としているラリーで、2022年の新ステージについて「直線をジャンクションで繋いだようなセクションも多かったですが、ツイスティな部分も多かった。それに雪が多くて、アイスベースもしっかりしていたので走っていて楽しい高速ステージです」と分析。シェイクダウンでは4番手タイムを記録するなど、順調に走り出した。

 レグ1での勝田貴元選手は「最初は良かったんですけど、プッシュしようとしたときに感覚があっていなかった。アンダーステアで、グリップ不足に悩まされていました」とのことでSS1を8番手でフィニッシュ。それでも、SS2で7番手、SS3で5番手タイムをマークして徐々にペースアップしていた。

 しかし、「ラインを外してブレーキングした際に、まったく止まらず雪壁にぶつかってスタッグしてしまいました」と語ったように、SS4でスノーバンク(雪壁)に当たってしまったことでトップから39秒遅れの21番手、次のSS5も8番手タイムと失速。それでもSS6で5番手タイムをマークするとSS7で3番手タイムを叩き出し復調を見せて、6番手でデイ1をフィニッシュした。

 序盤で出遅れながらも、終盤でペースアップを果たした勝田貴元選手は「デイ1の最終サービスで、デフ関連の足回りのセットアップを変更しました。そのおかげで攻める自信もついてペースアップすることができました」と振り返ったように、デイ2で安定した走りを披露した。

 まずはオープニングステージとなるSS8で4番手タイムを記録すると、その後もコンスタントに5番手タイム、6番手タイムをマーク。「前にオリバー・ソルベルグ選手がいたんですけど、50秒あったギャップを30秒まで縮めることができた」と手応えを語った勝田貴元選手は、その間に数多くのライバルが脱落したことから、5番手でデイ2をフィニッシュした。

 そしてデイ3は「最終日は前も後も差があったので、サテライトチームとして少しでも多くパワーステージポイントを取るためにタイヤを温存していました」と語りながらも、勝田貴元選手はオープニングステージとなるSS16で5番手タイムをマークした。

  さらにターゲットとしていたパワーステージのSS19でも「1ループ目(SS17)はストールした結果、ハイブリットブーストなしの状態で走ったんですけど、あまりタイム差はなかったので行けるかなぁ…と思っていました。最終セクターのブレーキングでミスをしたので、それがなければもう少し上に行けたという部分で悔しさの残るステージでしたが、90%は良かったと思います」と振り返ったように、勝田貴元選手は4番手タイムを叩き出して貴重なボーナスポイントを獲得。その結果、Rally1車両の完走台数が6台というサバイバルラリーのなか、4位完走を果たして、ポイントランキングでも6番手に浮上した。

「結果としては4位で、チームとしての仕事はできたかな…という思いはありますし、終盤のパフォーマンスにも満足しているんですけど、序盤のミスが悔しいのでミックスな気持ちです」と率直な気持ちを語る勝田貴元選手。

  次戦、4月21日~24日に開催される第3戦「クロアチア・ラリー」については「2021年に出場していますが、路面コンディションが変わるし、カットも多いので難しいラリーですが、昨年は競争力があったステージもあるのでそこを伸ばしたいし、金曜日からいいペースで走れるようにしたい。モンテカルロとはセットアップが違うのでテストでセットアップを見つけたいと思います」と語ってくれた勝田貴元選手の活躍に期待したい。

勝田貴元選手が昨シーズン、2位でWRC初の表彰台に登壇したサファリ・ラリー・ケニアでも、サバイバルラリーを生き残って勝ち取った。厳しいラリーでもフィニッシュに導く堅実な走りも、強いラリードライバーには必要だ。

 一方、優勝争いではTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が終始、安定した走りを披露した。先頭スタートで路面の雪かき役を強いられながらも、デイ1で2番手につけるとデイ2でトップに浮上し、デイ3ではハイブリッドシステムにトラブルを抱えながらもトップを守り切った。

「スウェーデンで優勝することができて、とても嬉しいです。週末を通して良い戦いができました。このクルマで初めて出たラリー・モンテカルロでは少し苦労しましたが、今回は自信を持って走ることができました」とラリーを振り返ったロバンペラ選手。2022年は2戦目にしてまず1勝を挙げて、GR YARIS Rally1に初優勝ももたらした。

 HYUNDAI SHELL MOBIS World Rally Teamでヒョンデi20 N Rally1を駆るティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ組が2位、TGR-WRTへの復帰初戦だったエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組が3位で表彰台を獲得。この結果、ロバンペラ組がドライバーズ部門とコ・ドライバーズ部門で、TGR-WRTはマニュファクチャラーズ部門でランキング首位に立ち、クロアチア・ラリーを迎えることとなった。

カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組はフィンランド出身なだけに、雪には慣れ親しんでいる。隣国スウェーデンでのフルスノーラリーでも、先頭スタートの雪かき役もものともせず優勝。GR YARIS Rally1に初優勝をプレゼントした。

フォト/TOYOTA GAZOO Racing レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ