2022年全日本ジムカーナ選手権開幕、各クラスで新たな戦いがキックオフ!

レポート ジムカーナ

2022年3月18日

2022年の全日本ジムカーナ選手権開幕戦が、3月12~13日に茨城県の筑波サーキットコース1000で開催された。今シーズンは昨年と同様に、北海道から九州までを舞台に全8戦が組まれている。その開幕戦には併設された箱Dクラスを含めて全123台がエントリー。各クラスで熱い戦いの火蓋が切られた。

2022年JAF全日本ジムカーナ選手権第1戦「SPEED・MASTER・OIL CUP GYMKHANA IN TSUKUBA」
開催日:2022年3月12~13日
開催地:筑波サーキットコース1000(茨城県下妻市)
主催:T-SPIRIT、K.S.C、THE・MC

 昨年、JG7クラスで5年連続チャンピオンを獲得した山野哲也選手が、今シーズンは参戦車両をアルピーヌA110にスイッチし、2ペダルクラスのJG10にクラスを変更。またJG3クラスチャンピオンの若林拳人選手がロータスエキシージでJG2クラスへ参戦するほか、JG4クラスチャンピオンの小武拓矢選手がCR-Xからスイフトスポーツに変更、JG1クラスチャンピオンの津川信次選手がランサーエボリューションXからGRヤリスに参戦車両を変更するなど、各クラスのチャンピオンたちに大きな動きがあった。

 そしてチャンピオンドライバーだけではなく、昨年のシリーズランキング上位のドライバーたちも車両変更やクラス変更などの動きがあり、今回の開幕戦では各クラスともどのドライバーが主導権を握るのか、シーズンを占う上でも注目の一戦となった。

 決勝コースは2か所のパイロンターンセクションを設けるものの、筑波サーキットコース1000のレイアウトを基本に、クランクセクションやパイロンターンセクションを加えたハイスピード設定。またJG10クラスは2か所のパイロンターンを省いた設定となっている。天候は曇っていたものの、決勝がスタートする10時すぎには気温も上昇し、この日の最高気温が20度近くと、春を感じさせる陽気の中で競われることとなった。

コース1000をフルに使いながらパイロンターンも含めた高速レイアウト。JG10クラスは中盤から終盤にかけての2か所のパイロンターンが省略されている。

 レーシングドライバーであり、全日本ジムカーナ選手権PN部門の初代チャンピオンでもある山野直也選手がマクラーレン600LTで登場するなど、大きな話題を集めたJG10クラス。昨年はクラス成立がギリギリの5台というラウンドも少なくなかったが、この開幕戦には9台がエントリーし、その9台すべての車種が違うという群雄割拠のクラスとなった。

 決勝ヒートは、第1ヒートで2番手タイムの河本晃一選手を約3秒引き離した山野哲也選手が、第2ヒートでもしっかりとベストタイムを更新。「この日(開幕戦)を迎えるまでにいろいろなことを乗り越えてこなければならなかったので、大事な開幕戦で優勝することができてホッとしています」と、アルピーヌA110の全日本ジムカーナデビュー戦で、しっかりと優勝を掴んだ。

JG10クラス優勝は山野哲也選手(EXEDY 12D A110S)。
JG10クラスの表彰式。左から4位の山野直也選手、2位の河本晃一選手、1位の山野哲也選手、3位の安木美徳選手、5位の古谷和久選手。

 昨年のシリーズランキング6位までの選手がクラス替えや参戦車両の入れ替えして大きな動きがあったJG7クラス。上位陣でこのクラスに残ったのはスイフトスポーツからGR86に乗り換えたランキング4位の仲川雅樹選手のみだが、GR86や新型BRZの発売により、奥井優介選手や松本敏選手、天満清選手、久保真吾選手など、昨年まで他のクラスでチャンピオンシップを戦っていた選手たちが一気に集まる人気クラスとなった。

 昨年のチャンピオンを獲得したアバルト124スパイダーが速いのか、それとも2.4リッターエンジンを搭載した新型GR8やBRZが速いのか、それともスイフトスポーツやシビックのFF勢が一矢報いるのか、多くの注目を集めた。

 第1ヒートは2シーズンぶりにレギュラー参戦となる若林隼人選手のアバルト124スパイダーがベストタイムをマーク。第2ヒートに入るとGR86の奥井優介選手が自身のベストタイムを縮め、第1ヒート2番手の松本敏選手を上回ってくるが、若林選手がマークした第2ヒートのタイムには届かず。第2ヒートでタイム更新を果たした若林選手が、復帰第1戦を優勝で飾った。

JG7クラス優勝は若林隼人選手(YH若林自動車コサリ速心124)。
JG7クラスの表彰式。左から4位の山口克之選手、2位の奥井優介選手、1位の若林隼人選手、3位の松本敏選手、5位の西野洋平選手、6位の大坪伸貴選手。

 昨年と同様に歴代の各クラスチャンピオンがひしめき合うJG8クラス。この開幕戦でも、1秒の中に7人のドライバーが並ぶという激戦が繰り広げられた。そんな中、開幕戦優勝を掴んだのはベテランの斉藤邦夫選手だ。第2ヒートはパイロンタッチ&ミッションを破損したためにベストタイム更新とはならなかったが、第1ヒートのタイムで後続を抑え、昨年に続き開幕戦ウィナーとなった。

JG8クラス優勝は斉藤邦夫選手(ADVANロードスター)。
JG8クラスの表彰式。左から4位の一色健太郎選手、2位の川北忠選手、1位の斉藤選手、3位の箕輪雄介選手、5位の小林キュウテン選手、6位の小林規敏選手。

 JG6クラスは、昨年のチャンピオンドライバーのユウ選手が第1ヒートでベストタイムをマーク。そのユウ選手のタイムを追いかけたのが、今回が全日本デビューとなる若手の大多和健人選手だ。昨年のJAF関東ジムカーナ地方選手権でJG13クラスのチャンピオンを獲得した大多和選手は、「全日本の開幕戦に向けて準備してきたことをしっかりと出すことができたと思います」と、第1ヒートはユウ選手に次ぐ2番手タイムをマーク。第2ヒートは両者ともタイムダウンに終わったが、ユウ選手が優勝し、大多和選手もしっかりと2位表彰台を獲得した。

JG6クラス優勝はユウ選手(BSitzzNTLロードスター)。
JG6クラスの表彰式。左から4位の佐藤宏明選手、2位の大多和健人選手、1位のユウ選手、3位の野島孝宏選手、5位の梅村伸一郎選手、6位の大橋政哉選手。

 JG5クラスは、昨年の実質的な最終戦となったエビスラウンドで、JG5クラスにクラス変更してから初の優勝を獲得した朝山崇選手が、この開幕戦の第1ヒートでもベストタイムをマーク。第2ヒートは、第1ヒートでベストタイムをマークしながらもパイロンタッチのペナルティが加算されて下位に沈んだ片山誠司選手が2位に浮上。逆転を狙った昨年のチャンピオン茅野成樹選手は、高速コーナーでコースアウトするというアクシデントでフィニッシュならず。「第1ヒートのタイムで逃げ切れたのはラッキー」という朝山選手が、開幕戦を制した。

JG5クラス優勝は朝山崇選手(DLBPF速心RSKヤリスLF)。
JG5クラスの表彰式。左から2位の片山誠司選手、1位の朝山選手、3位の茅野成樹選手、4位の上本昌彦選手。

 昨年のチャンピオン不在となったJG4クラスは、「いつものCR-Xがまだ整備中のため、今回は2年ほど眠っていたシビックで参戦しました」という合田尚司選手が第1ヒートのベストタイムをマーク。第2ヒートは、「直線が長いコースはCR-Xが苦手とするところなのですが、その中では上出来だったと思います」という山越義昌選手がタイムを上げてくるものの、合田選手がマークした第1ヒートのタイムには届かず。合田選手が2014年の第5戦以来、8年ぶりとなる全日本優勝を掴んだ。

JG4クラス優勝は合田尚司選手(YH@シビックATS速心BPF)。
JG4クラスの表彰式。左から4位の島田昌典選手、2位の山越義昌選手、1位の合田選手、3位の田中康一選手。

 JG4クラスと同じくチャンピオン不在となったJG3クラスは、スイフトスポーツの澤平直樹選手が第1ヒートのトップタイムをマーク。澤平選手は第2ヒートでもベストタイムを縮め、現行型スイフトスポーツでは初となる全日本優勝を飾った。2位には昨年のランキング4位を獲得した西井将宏選手が入賞、3位には全日本参戦2戦目となる27歳の遠藤貴郁選手が入賞した。

JG3クラス優勝は澤平直樹選手(YHボレロBBRクスコスイフト)。
JG3クラスの表彰式。左から4位の安田翔選手、2位の西井将宏選手、1位の澤平選手、3位の遠藤貴郁選手、5位の石澤一哉選手、6位の小武拓矢選手。

 JG2クラスは、昨年のJG3クラスでチャンピオンを獲得した若林拳人選手が、第1ヒートでいきなりベストタイムをマーク。第2ヒートに入り、昨年のチャンピオンの広瀬献選手が若林選手のタイムに0.215秒差まで迫るものの、わずかに届かず。「今シーズンから初めて本格的にリア駆動車でシリーズを追いかけますが、まさか開幕戦で優勝できるとは思いませんでした」という若林選手が逃げ切り、開幕戦を制した。

JG2クラス優勝は若林拳人選手(YH若自速心コ犬ZRエキシージ)。
JG2クラスの表彰式。左から4位の野原博司選手、2位の広瀬献選手、1位の若林拳人選手、3位の藤井雅裕選手、5位の町田和雄選手、6位の永川悠太選手。

 JG1クラスは、第1ヒートで菱井将文選手がベストタイムをマーク。第2ヒートでインプレッサ22Bを模したワイドフェンダーの初代インプレッサを投入した大橋渡選手が、その菱井選手の第1ヒートのタイムを0.055秒更新してトップに立つ。だが、菱井選手がその大橋選手のタイムをさらに0.251秒更新。ベストタイム更新ラッシュは、「昨年よりもクルマの状態が良くなった」という菱井選手に軍配が上がった。また、開幕戦にGRヤリスを投入した津川信次選手は3位に入賞。「トップとはまだ1秒近いタイム差があるけど、ここからの伸びしろは、熟成され尽くしたランサーよりもGRヤリスの方が多いはず」と、開幕戦の手応えを感じ取っていた。

JG1クラス優勝は菱井将文選手(BSレイズ・クスコランサー)。
JG1クラスの表彰式。左から4位の高橋和浩選手、2位の大橋渡選手、1位の菱井選手、3位の津川信次選手、5位の西原正樹選手、6位の堀隆成選手。

 併催クラスの箱Dクラスは、パイロンターンで2輪走行するなど激しい走りが展開されたが、大井貴之選手が両ヒートでベストタイムをマークする走りで優勝を飾った。

箱Dクラス優勝は大井貴之選手(YSSK1箱DSPサニー)。
箱Dクラスの表彰式。左から2位の川脇一晃選手、1位の大井選手。
土曜日の公開練習終了後、全日本ジムカーナ選手会(AJGA)によるミーティングが行われた。今季の体制や今後の競技会で予定する活動等が確認された。
JAFスピード競技ターマック部会の小西俊嗣部会長と、今大会に選手として参加した川脇一晃委員が、部会での検討事項を明かし、現役選手から忌憚ない意見交換を行った。
決勝第2ヒート終了後には、AJGAによるパレードランと同乗走行が久々に実施された。興奮冷めらやらぬコースで、競技車両の走りを身近に体感できる得難いチャンスを堪能していた。
抽選で選ばれたギャラリーたちがそれぞれのナビシートをゲット。車両保管が解除された前半クラスの選手が車両を提供した。

フォト/CINQ、小竹充、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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