中部地区戦が開幕。GR86を駆った武藤英司選手が、苦節20年目で地区戦初優勝を達成!

レポート ジムカーナ

2022年3月28日

2022年のJAF中部ジムカーナ選手権が、3月6日、愛知県のキョウセイドライバーランドで開幕した。

2022年JAF中部ジムカーナ選手権第1戦
2022年JMRC中部ジムカーナ選手権第1戦
2022年JMRC全国オールスター選抜第1戦
M-I FIRST ATTACK 2022

開催日:2022年3月6日
開催場所:キョウセイドライバーランド(愛知県岡崎市)
主催:M-I

 今年の中部ジムカーナ地区戦は全8戦のシリーズが予定されている。序盤の2戦は今回のキョウセイが舞台となるが、キョウセイの開催はこの2戦のみで、第3戦以降は滋賀の奥伊吹モーターパーク、愛知の美浜サーキット・クニモトで各1戦、富山のイオックスアローザスポーツランドと三重の鈴鹿サーキット国際南コースで各2戦が組まれるという構成になっている。

 昨年と同じく全8戦の開催だが、今年は鈴鹿南での開催が1戦増えた形となった。ただし昨年はコロナ禍により、鈴鹿南とイオックスの計2戦が中止を余儀なくされており、今年は当初予定通りの8戦が無事、開催されることを祈りたいところだ。

 当日は晴天に恵まれたが、寒く、気温はひと桁台で推移し、折からの強風もあって、路温もさして上がらず、各選手を苦しめた。しかし昨年に続いて開幕戦を担当したM-I(チーム・エムアイ)は、毎回、攻め甲斐のあるコースを設定するクラブとして定評を得ており、今回も中高速の設定の中にタイトなパイロンセクションを数か所置くという、バランス感覚に優れたコース設定が好評を博していた。

3月第1週の開催ということもあり、陽は差したものの、寒さが残るコンディションでの開催となった。
9月の最終戦まで、約6か月にわたるシリーズがスタートした。
キョウセイの変化に富んだ多彩なセクションを取り込んだコース設定がなされた。
当日のコース図。スタート直後、タイヤがまだ暖まっていない中で行う270度ターンが最初の難関となった。

 12台が参加したRPN1クラス。第1ヒートはただ一人、1分30秒台に乗せた渡邉庸仁選手がトップで折り返すが、第2ヒートに入ると菅野秀昭選手が1分29秒台に入れて逆転。すると続く山本泰寛選手が菅野選手のタイムを0.18秒更新と、目まぐるしくトップが入れ替わる。注目の最終ゼッケン、渡邉選手は29秒台に入れるも、痛恨のパイロンタッチでタイムアップは果たせず。山本選手が初戦を制した。

RPN1クラスは山本泰寛選手が第1ヒートの3番手から逆転を果たして優勝。
RPN1クラス表彰の各選手。

 続くRPN2クラスは、昨年のチャンピオン、柏木良文選手が新型BRZを投入し、話題を集めた。第1ヒートのトップは同じく新型のGR86を持ち込んだ武藤英司選手で、柏木選手を2秒以上も突き離す、断トツの1分30秒141をマークする。クラス2番目の出走の武藤選手は第2ヒートでも1分30秒014と僅かながらもタイムアップ。後続の選手にプレッシャーをかけた。

 最終ゼッケンの柏木選手の前までに30秒台に乗せてきたのは鈴木省三選手のみで、そのタイムは武藤選手に0.7秒遅れと逆転は果たせず。逆転に賭けた柏木選手も1分30秒台に入れるも、武藤選手に0.4秒及ばず、2位に止まり、注目の新型車対決は武藤選手に軍配が上がった。

 地区戦参戦20年目にして悲願の初優勝を遂げた武藤選手は、「もう一生勝てないんじゃないかと思ったことも何度かあったので、この優勝は凄く嬉しいです」と感激の表情。「去年も勝てそうで勝てなかったので、今年は車両を変えて心機一転を図ったんですけど、まさか初戦からうまく行くとは思いませんでした」と笑顔を見せた。

「GR86は1週間前に初めて走らせて、何とか開幕戦に間に合わせようと走り込んできたんですが、昨日の練習走行のラスト1本で足のセットが決まった感じがあったので、今日はそのままで行きました。ずっと相談に乗って頂いたAZURの川村さんのおかげです。ただ今日の2本目は2秒詰めるつもりでしたが、最初のターンで失敗してしまって、後半区間のタイムでも柏木選手に負けたので、タイム的には微妙です(笑)。まだ走りをクルマに合わせ切れていないので、今後も走り込んでいきたいですね」と、武藤選手は最後は気を引き締めていた。

RPN2クラスでは武藤英司選手がGR86のデビューウィンをさらうとともに、自身初の地区戦優勝を達成。
RPN2クラス表彰の各選手。

 PN1クラスは今大会最多の14台が出走と、一番の激戦区になった。このクラスの昨年のチャンピオンで全日本ドライバーの鰐部光二選手は残留。同じく全日本ドライバーで、昨年、中部地区戦PN2クラスを制した土手啓二朗選手や、RPN1クラスのチャンピオン、山崎哲也選手らがこのクラスに移り、一気に層が厚くなった。

 しかし、こうした強力なメンバーを圧倒して優勝を飾ったのは森嶋昭時選手。両ヒートとも2番手を1秒以上も突き離す圧巻の走りを見せて、速さ健在をアピールした。森嶋選手と言えば、過去4度の全日本チャンピオンを獲得している中部を代表するスラローマーだが、昨年は86で全日本ラリー選手権や中部近畿ラリー選手権に参戦し、ラリーに戦いの舞台を移した。ジムカーナ復帰初戦を制した森嶋選手は、「自分の速さを確認できたし、やっぱりジムカーナって楽しいなって、また実感できた一戦でしたね(笑)。今日のコースも、今まで自分が走ってきた中でも3本の指に入るくらいの素晴らしい設定だったので、楽しめました」と振り返った。

PN1クラスは1分24秒716という異次元のタイムを叩き出した森嶋昭時選手が、復帰第1戦で快勝した。
PN1クラス表彰の各選手。

 一方、土手選手が抜けたPN2クラスはZC33Sスイフトスポーツのワンメイクバトルとなったが、田村直選手が中川篤選手を0.008秒凌ぐ1分28秒909で優勝。最終ゼッケンの下原幸登選手は第2ヒート、1分26秒台でゴールしたが、パイロンタッチを取られて逆転は果たせなかった。またPN3クラスは昨年のチャンピオンの磯村良二選手が、第2ヒートで1分27秒台に叩き込んでライバルを突き離してタイトル防衛に向けて順調なスタートを切った。

PN2クラスは田村直選手が僅差のバトルを制して優勝。
PN2クラス表彰の各選手。
BRZが多数派のPN3クラスはその一台、磯村良二選手が優勝した。
PN3クラス表彰の各選手。

 SA1クラスはEK9シビックの小木曽浩之選手が1分26秒632をマークして、トップで折り返す。小木曽選手は第2ヒートも26秒台でゴールするも、痛恨のパイロンタッチ。CR-X勢の雄、近藤瑛貴選手が25秒台前半のタイムでゴールし、逆転なったかと思われたが、こちらもパイロンタッチで万事休す。昨年のチャンピオンの表和之選手のEG6シビックが逆転を狙って最後にアタックしたが、27秒の壁は超えられず、結果、小木曽選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。

「最初の270度が1本目、うまく回れなかったので、2本目はしっかりと回ろうと思ったんですが、(パイロンに)触ってしまいました。今日は近藤さんのミスに助けられましたね。1本目のトップタイムも自分としては意外だったので、もうちょっと頑張れたな、という気もしますが、ここは走り込んでいるコースなので、経験に助けられた部分もあったと思います。いつもより参加台数も多かったのでバトルも楽しめました。この台数が続いてほしいですね」と小木曽選手。ホンダ車が競い合うこのクラスの今後の盛り上がりに期待を寄せていた。

SA1クラスでは小木曽浩之選手のEK9シビックが、EG6シビック、CR-X勢を抑えて優勝。
SA1クラス表彰の各選手。

 SA2クラスは昨年のチャンピオン、佐野光之選手と、全日本ジムカーナ選手権で優勝経験を持つ隅田敏昭選手の2台のDC2インテグラが両ヒートとも1分25秒台でのバトルを展開。第2ヒートは佐野選手が隅田選手を抑えたが、第1ヒートで25秒032まで詰めていた隅田選手が、還暦を感じさせないアグレッシブな走りで初戦を制した。

SA2クラスでは隅田敏昭選手のインテグラが第1ヒートのタイムで逃げ切った。
SA2クラス表彰の各選手。

 一方、SA3クラスでも、全日本を制した経験を持つRX-7マイスターの安部洋一選手が第1ヒートで1分27秒099でトップに立つが、第2ヒートはまさかのタイムダウン。これに乗じて後続の寺田大祐選手が26秒台に入れるが、小澤忠司選手が0.05秒さらに更新してトップに躍り出る。しかし、第1ヒートで26秒台を出しながらもパイロンタッチに泣いた小澤選手のチームメイトの永川悠太選手のSW20・MR2が、今度はしっかりとノーペナルティでゴールし、1分26秒700をマーク。0.1秒、小澤選手を凌いで優勝を果たした。

「今日はSW20としてはターンが稼ぎ所だったと思いますが、何か所か回せなかったし、思ったよりタイムも伸びなかったので、60~70点という出来ですね」と永川選手は、勝っても渋い表情。「オフの間に、いいと思ってやってきたことも裏目に出てしまいました。でも色々と気づきのあった一戦ということにして、次回以降に繋げたいですね」と最後はまとめてくれたが、翌週の全日本ジムカーナ選手権開幕戦ではJG2クラスで見事に6位に入賞し、今回の一戦で得た教訓を早速、活かす結果となった。

SA3クラスは、チームメイトとのバトルを制した永川悠太選手が開幕戦を制した。
SA3クラス表彰の各選手。

 SA4クラスは、昨年、最終戦までもつれ込みながらもタイトルを逸した西田哲弘選手が1分23秒台に入れて順調に第1ヒートのベストタイムをさらう。しかし第2ヒートに入ると中部のランエボマイスター、岡部隆市選手のエボXが、0.01秒凌ぐ23秒148をマークし、逆転。最終ゼッケン、西田選手はミスコース扱いでノータイムとなったため、岡部選手が今回のオーバーオールウィンをさらう見事なタイムで優勝を飾った。

「2本目は浅溝のタイヤに変えて正解でしたね。1コーナーを回った時にタイムアップできると確信しましたから」と会心の表情の岡部選手。「オーバーオールウィンは狙えると思っていたので、それが果たせて良かったです。エボXもまだまだ速くできるというヒントを掴めたので、今年はしっかりとチャンピオンを狙っていきたいですね」と意欲を見せた。

SA4クラスは自らの手でカラーリングを一新したエボXを駆った岡部隆市選手が、幸先の良い1勝を挙げた。
SA4クラス表彰の各選手。

 一方、SCクラスは第1ヒートではともに満足なタイムが残せなかった中村友也選手と鳥居孝成選手が第2ヒートで接戦を展開。中村選手が0.2秒、鳥居選手をかわして優勝を果たした。対照的に第1ヒートのタイムが勝敗を決したDクラスは、佐藤宗嗣選手が五十嵐豊光選手を抑えて優勝した。レディスクラスは工藤実里選手が優勝を飾った。

SCクラスは中村友也選手が第2ヒートで繰り広げられた接戦を制した。
SCクラス表彰の各選手。
Dクラスは、昨年のチャンピオン、佐藤宗嗣選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
ATクラスはプリウスを駆る大仲敦選手が優勝した。
LクラスではRX-7を駆った工藤実里選手が初戦を制した。
Lクラス表彰の各選手。このクラスは、中部地区戦のクラスで走ったレディスの選手の内、そのクラスのベストタイムとの差が最も少なかった選手が優勝という形としており、車両差を考慮した設定としている。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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