中四国ラリー地区戦初戦はマクリン大地組が優勝。TGRラリーチャレンジも開幕!
2022年4月1日
国内ラリーの本格的な2022シーズンインを告げる一戦が、3月13日、広島県安芸高田市を拠点として開催された。
2022年JAF中四国ラリー選手権第1戦
2022年JMRC中国・四国ラリーシリーズ第1戦
TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge 2022 Cup in 安芸高田
2022ラリーin安芸高田
開催日:2022年3月13日
開催場所:広島
主催:RCH
JAF中四国ラリー選手権は、ここ数年の例に倣って今年も広島で幕を開けた。ラリーのホームタウンとなったのは、全国でも有数のダートトライアルコースとして知られるテクニックステージタカタが位置する安芸高田市だ。ヘッドクォーター(HQ)はタカタのコントロールタワーに置かれ、サービスパークは中国道高田ICに程近いウエストニュージーランド村ソーラーパークに設定された。そして安芸高田市を代表する観光スポットの神楽門前湯治村でセレモニアルスタートが行われた。
ここ数年はテクニックステージタカタとTSタカタサーキットという、ふたつのスピード競技コースでSSが設定されたが、今年は舗装の林道SSが復活したため、TSタカタのSSはお休みに。グラベルSSは従来通り、タカタに設定するミックスラリーとして開催された。
今回初めて使用する舗装の林道SSは2.33kmでサービスを挟んで1本ずつ計2回、走行。前半は上りが続くが、途中から下りへ転じて、その途中でゴールとなる。一方、タカタは2.91kmで3本とも同じ方向で走る。タカタは名物コーナーであるキャロッセコーナーの奥に新たなセクションが作られ、さらにスケールアップが図られた。この区間は早速、SSのコースの一部としても使われた。計5本のSSのトータル距離は13.39kmとなっている。
FG-1クラスは4台がエントリー。四国を代表する全日本ラリーストとして活躍し、ここ数年はジムカーナ地区戦で活躍していた竹下俊博選手がランサー・エボリューションIIで久々の復活を果たして話題を集めた。オープニングステージ、舗装のSS1ではフロントのみ超硬質路面用のラリータイヤを履いてアタックした、近畿から遠征のマクリン大地/大橋正典組のGRBインプレッサが、2番手の西隆司/丸山晃助組を3.1秒差で下すベストをマークして、まずはラリーリーダーに立った。
タカタのSS2、SS3は地元広島の西組が巻き返して連続ベストを奪い、マクリン組に0.1秒差まで迫ったが、SS1の再走となったSS4ではマクリン組が再び3.3秒、西組を引き離してベストを奪い、リードを広げる。マクリン組は最終のタカタのSS5は3番手でゴールするも、2本の舗装SSで稼いだマージンが効いて逃げ切りに成功。中四国戦で通算2度目となる勝利を挙げた。
「舗装SSでタイヤを変えるのは当初からの作戦通りでしたが、SS1はそんなにプッシュしたわけではないので、思いのほかタイム差がついた感じでした」というマクリン選手。「ダートの方が好きなんですが、タカタは2年前のこのラリーで転倒しているので、今日は慎重に行きました。GRBはシーズンオフに軽量化して、オーバーホールもしたので、その効果もあったと思いますが、舗装でベストが獲れたのは自信になりそうです。今年こそ、長江(修平)選手に勝ってチャンピオンを獲りたいですね」と会心の一戦を振り返った。
ディフェンディングチャンピオンのその長江選手は、SS4で西組に追いつくと、最終のSS5では西組を0.7秒差で下してベストを奪い、2位をもぎ取ったが、SS1での遅れを最後まで引きずった形となった。「舗装SSはノートの書き方も迷ってしまうなど、なかなか道の感じが掴めず、難しかったですね。ただサービスでセッティングを変えたのが当たってSS4ではマクリン選手とほぼ同じタイムが出せたので、それが最終SSでのベストにも繋がったと思います」と長江選手。苦闘の末の今回の2位が、今後どのような形で効いてくるか、注目だ。
FG-2クラスは昨年のチャンピオン、松岡竜也/縄田幸裕組のGRヤリスがSS1で順当にベストを獲るが、同じくGRヤリスを駆った若手の岩堀巧/岡田誠組が0.3秒差で喰らいつく。しかしSS2で岩堀組は大きく後退、その後、リタイヤとなったことで、松岡組は独走態勢に。最終的には2番手に1分以上の大差をつけて優勝を決めた。
FG-3クラスでは、フロントのみスポーツラジアルタイヤを履いて舗装の2本を走った松原久/和田善明組のデミオが、SS1で2番手以下を約5秒も突き離すベストタイムをマーク。SS2、SS3では辻井利宏/新井大輝組のヴィッツが松原組に迫るタイムを出すが、僅差ながらも松原組はベストを連取してリードを拡大。15.3秒差で辻井組を下して優勝を飾った。
FG-4クラスでは、昨年のシリーズ途中から中四国戦に参戦している片岡大士/相原貴浩組が、SS1から大差をつけるベストタイムを奪取。SS2以降もライバル達を引き離し、5本のSSすべてを制する速さを見せて参戦3戦目で初の優勝をもぎ取った。「昨年参戦した四国のラリーでハードなダート林道のSSを経験した分、タカタの路面は走りやすく感じて余裕が持てました」と振り返った片岡選手は、FG-2クラスを制した松岡選手と同じく、ネッツトヨタ愛媛のモータースポーツチームである一六レーシングに所属する。
「シーズンオフの間に、松岡さんにも相談して、自分の走りやすいセッティングに変えてもらってもらったのが、今日はいい方向に行ったと思います。ラリータイヤで舗装のSSを走るのも初めてでしたが、予想していたよりグリップしてくれたので、クルマも思うように扱えました」と振り返った。本格的なグラベルラリーが待ち受ける次戦以降の活躍が期待されるところだ。
TGRラリーチャレンジが広島で開幕。
注目のE-4クラスは、HATANO組とMORIZO組のGRヤリス・バトルが白熱!
今年のTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジも、今回の一戦で開幕を迎えた。EXPERT部門の4クラスは、中四国戦とまったく同じ距離を走るが、初級者対象のCHALLENGE部門はSS4で終了として、距離を短縮する構成とした。開幕戦から36台がエントリーし、今年も盛況を予感させる一戦となった。
最速のE-4クラスは9台が出走し、激戦が展開された。SS1はGRヤリスが多数派のこのクラスの中で86を駆る、レーシングドライバーの佐々木雅弘/加藤恵三組が後続を5秒以上も突き離すトップタイムをマークする。しかし超硬質路面用ラリータイヤで臨んだ佐々木組は、FRということもあってタカタのダートステージでは苦戦を強いられて後退。代わってSS1、SS2とセカンドベストを並べたAki HATANO/岸岡悠太組が首位に立ち、勝田範彦選手をコ・ドライバーに迎えたMORIZO選手のGRヤリスが僅差で追う展開となる。
昨年、このラリーを制したMORIZO組はSS2でベスト、SS3、SS4ではサードベストと今年も安定した速さを見せるが、HATANO組は僅差ながらも各SSでMORIZO組を引き離して、最終のSS5ではこの日初となるベストタイムを奪取。MORIZO組の追撃を4.2秒差で振り切って、幸先の良い1勝を挙げた。
「最後のSS5は、“1本ぐらいベストを獲って勝て!”とチームの小倉監督から、はっぱをかけられたので(笑)、全開で行きました。タカタは初めて走りましたが、独特のコースですね。ただダートトライアルコースではあるけれど、林道に近いレイアウトだったので、何とか経験を活かせたのだと思います。今日はMORIZO選手も速かったですし、たまたま勝てたという感じなので、さらに今年は厳しい一年になると思います」と、HATANO選手は接戦を振り返りつつ、今後を見据えていた。
E-2クラスはタカタステージでライバルを引き離した有馬輝芳/大木厚組の86が優勝。E-3クラスでも細谷裕一/大柿雅人組のNCP13ヴィッツが、有馬組同様、全SSベストの快走を見せて優勝をさらった。E-1クラスは、SS1では最下位だった山崎広喜/西崎佳代子組のNCP131がタカタで挽回。最終SSでベストを奪い、名倉成幸/名倉洋子組を逆転して優勝を果たした。
CHALLENGE部門で最多のエントリーがあったC-3クラスでは、SS1で西森功弥/福森俊明組がベストを獲るが、タカタのSS2、SS3を連取した布田健悟/釜澤亮組がトップに浮上。布田組は最終の舗装のSS4も、西森組に0.1秒遅れるセカンドベストで上がって首位をキープし、シーズン初戦を制した。
布田選手が駆る86は、昨年、チームの先輩である田邊大輝選手が全勝を飾ったマシンということで、「プレッシャーが凄かったので、勝てて良かったです」と、布田選手はまずはホッとした表情。「タカタは走ったことがなかったので、他の選手のインカー動画で勉強してイメージを掴めたのが大きかったですね。ただ新設のセクションは誰もまだインカー動画を上げていなかったので、正直、ちょっと怖かったです(笑)」とタカタの印象を語った。
C-1クラスでは、タカタをホームコースとするダートトライアルドライバーでもある小野守/原野雅子組のアクアがやはり速く、タカタのSSを連取するが、舗装SSで圧倒的な速さを見せた石塚誠/西木孝浩組のアクアが優勝。C-2クラスはSS1から3連続ベストを決めた三好明宏/久保直也組のNCP91ヴィッツが逃げ切りを果たし、C-4クラスでは井野義一/山本和正組のヤリスが優勝を飾った。
フォト&レポート/JAFスポーツ編集部