装い新たに富士スピードウェイで開催! FISCO CIRCUIT TRIALではさまざまな車両がタイムアタックにトライ!

レポート サーキットトライアル

2022年4月8日

富士スピードウェイにおいてJAF公認イベント「FISCO CIRCUIT TRIAL 2022」が3月21日に開催された。サーキットトライアルといえば通常、レースと併せて行われることが多いが、この大会は単独開催。終日どんよりとした天気ではあったが、心配された雨は降らず、むしろ走行には適した条件だったこともあり、中にはコースレコードが更新されたクラスもあった。

FISCO CIRCUIT TRIAL 2022
開催日:2022年3月21日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 富士スピードウェイのサーキットトライアル(CT)は、基本的にスピードB車両(ナンバー付きで車検対応の範囲内での改造可)で競われる。クラス区分については駆動方式の如何を問わず、排気量別にNS-1~NS-5クラスに分けられている。そのうち3クラス(NS-1、NS-2、NS-4)にLクラス(改造範囲が限定されたライトチューニング車両)が追加されることとなった。

「気軽に参加する方が増えてくれて、いずれステップアップしていただきたい」というのが主催サイドの狙いだったが、40台近くのエントリーに対してLクラスでのエントリーはクローズド部門を含めてわずか5台に過ぎなかった。一概にクラスを増やしすぎると大会そのものが散漫になってしまいがちだが、参加車両の敷居を下げたという点では絶好の試みだと感じられた。

 また本大会は富士ならではの特色があった。受付から走行開始までの時間が多く割かれ、車検と特別講習に充てられたことを特筆しておく。その車検は安全面や改造範囲が適正かどうかをしっかり見定めてもらえると、エントラントから好評の様子。

 そしてそれ以上に好評だったのが、ブリーフィング後に行われたレーシングドライバー・竹内浩典選手による特別講習だった。ひとつのコーナーに対する攻略法を、言葉だけでなく動画も交えて実に分かりやすく解説してくれ、「ここだけで2秒縮まります」と強気の発言も。後に「そのとおりに走ったら本当にタイムアップした」という声が続々と上がったほどだ。

「本当は全部のコーナーをレクチャーしてあげたいんだけど、そうすると4時間くらいかかっちゃうんです」と竹内選手。関心のある方はぜひ、富士スピードウェイで開催されている「竹内浩典のサーキット攻略塾」を受講してもらいたい。次回の開催は未定だが、富士スピードウェイのHPを要チェックだ。

さまざまな車種が揃った富士スピードウェイ開催のサーキットトライアル。JAF公認部門26台、クローズド部門13台の全39台がエントリーした。
全日本GT選手権やスーパー耐久など、各種ツーリングカーレースで活躍した竹内浩典選手を特別講師として迎え、自身が主催するサーキット攻略塾の講習が行われた。
興味深い話に真剣に耳を傾ける受講者の皆さん。竹内選手のわかりやすい攻略法は、サーキットトライアルの選手には大好評となった。

 CTの競技内容に話題を戻すと、排気量の大小で2グループに分けられ、計測は20分間×2ヒート。ヒート1の前に設けられた10分間の慣熟走行では、オフィシャルカーによる2周の先導も実施された。

 まずはAグループ、ヒート1からトップを守り続けたのが、1601~2000ccの車両で争われるNS-3クラスでS2000をドライブする柳賢一選手だった。計測1周目から激しくコースを攻め立て、2周目にはレコードタイムを更新、3周にわたってタイムを縮める。

 2周のクールダウンを挟み、再びタイムアップという展開に。ヒート2は逆に序盤をじっくりウォームアップに充て、計測5周目でベストタイムを記録する。その後もライバルを寄せつけぬタイムを連発したが、さらなるタイムアップは果たせなかった。

「コンディションはヒート2の方がよかったですね、トップスピードが伸びましたから」と柳選手。クラス2位にはロードスターの滝澤究選手がつけたが、その差は6秒以上に及んでいた。ちなみにグループAの総合2位は、NS-3クラスクローズド部門の国分務選手。同じS2000であっても、柳選手には約2秒の差をつけられていた。

 1500cc以下の車両によって争われるNS-1クラスはデミオの菊地隆之選手が優勝を飾り、「竹内選手の講習を受けて実践してみたら、いちばん苦手だったコーナーがうまく走れるようになりました。本当に2秒縮まったので、また次回も参加して、違うコーナーのアドバイスをいただきたいです」と上機嫌だった。

 新設されたLクラスでは、NS-3LクラスでRX-8を駆る天野信宏選手が最速。しかし、「前回出たときはほぼノーマルで、今回からダンパーを入れました。期待はしていたんですが、上がりませんでしたから要修行かな?」と少々不満げではあった。

 NS-1LクラスはNDロードスターの芹澤祥宏選手が「(ロードスター)パーティレース仕様の車でしたが、基本的にいじれないので、ちょうどいいクラスでした。久しぶりだったからまだまだかなと思いましたね」と語るも、優勝を飾っていた。

2台参加のNS-1LクラスJAF公認部門1位は芹澤祥宏選手(S★ロードスター)。
2台参加のNS-1クラスJAF公認部門1位は菊地隆之選手(DXL黒猫団デミオ)。
2台参加のNS-3LクラスJAF公認部門1位は天野信宏選手(SS MS RX8)。
9台参加のNS-3クラスJAF公認部門1位は柳賢一選手(S2000)。
NS-3クラスJAF公認部門の表彰式。左から2位の滝澤究選手、1位の柳選手、3位の内田和利選手。
3台参加のNS-3クラスクローズド部門1位は国分務選手(あおえす6565)。

 一方、圧巻のスピードを見せたBグループ。中でも際立っていたのが、ポルシェ918スパイダーの林雅弘選手だった。3501cc以上の車両で争われるNS-5クラスのレコードタイムを一気に4秒以上更新してしまったのだ。クラス2位の豊泉晴夫選手もレコードブレイクを果たしたものの、その差は3秒半。まさに圧勝となった。

「この車に乗り始めて、練習走行でしっかりマイルを稼いでからは、挙動の変化やサーキットの癖が分かってきました。自分の遅いところや速いところを、いろいろ考えながら楽しく走れるようになったんです。結果には満足しています。昭和の時代にそこそこ走っていた経験はあるんですけど、今はストレス解消のためにサーキットを走っています。仕事の励みにもなるんですよ」と、林選手は満面の笑みを浮かべて語っていた。

 Bクラスの総合2位は、NS-5クラスのクローズド部門で自称「30年前から乗っているポンコツ車(笑)」のR32GT-Rの村松進一選手。これまたレコードを更新した。

 NS-4クラス優勝はNSXの畠山退三選手が獲得、ヒート1のタイムで逃げ切った。その畠山選手は「タイム的にはじわりじわり上げていくことができ、今日の走りには納得しています。目標のタイムにも入れることができました」と満足そうに語っていた。そして同クラスのクローズド部門では、フェアレディZ34の吉田達興選手が孤軍奮闘。ヒート2のラストアタックで自己ベストを記録していた。

2台参加のNS-4Lクラスクローズド部門1位は吉田達興選手(新鮮緑野菜Z33)。
3台参加のNS-4クラスJAF公認部門1位は畠山退三選手(Hobby base NSX)。
8台参加のNS-5クラスクローズド部門1位は村松進一選手(ATTKD G-max 32R)。
NS-5クラスクローズド部門の表彰式。左から2位の神山貴年選手、1位の村松選手、3位の小俣淳選手。
8台参加のNS-5クラスJAF公認部門1位は林雅弘選手(日本ポルシェクラブ918Spyder)。
NS-5クラスJAF公認部門の表彰式。左から2位の豊泉晴夫選手、1位の林選手、3位の岸本裕之選手。

フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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