第1回“JAFカップサートラ”主催クラブが、初開催や今後などへの思いを語る!
2025年3月6日

“サートラ”ことサーキットトライアルが2014年からJAF地方選手権を争うシリーズが始まり、2025年で12年が経つ。3月22日には筑波サーキット コース2000を舞台に、「JAFカップオールジャパンサーキットトライアル」が初めて開催される。「スーパーアタックin筑波」と銘打たれた記念すべき一戦の主催を担うJAF公認クラブ、ビクトリーサークルクラブ(VICIC)の今宮眞会長はじめ関係者のみなさまに、初開催に向けた思いなどを伺った。

自身の愛車でサーキットを走り、1周のベストタイムを競うモータースポーツ、サートラ。1960年代にその原型が誕生し、1997年からはJAFで競技開催要項が施行されたこのカテゴリーは、初心者にも親しみやすく、また続けやすい競技として存在感を高めてきた。
2014年からJAF地方選手権がかかる筑波、スポーツランドSUGOそして岡山国際サーキットの3シリーズ以外にも、日本各地のJAF公認サーキットで催される様々な競技会で盛り上がりをみせるサートラだが、いつもはそれぞれに競っているドライバーたちが一同に会して行われる競技会が、3月22日に筑波コース2000で開かれる「2025年JAFカップオールジャパンサーキットトライアル スーパーアタックin筑波」だ。
JAFカップといえば、各地域のモータースポーツの健全な発展および振興を図ることを目的とする年一回の祭典として、ジムカーナとダートトライアルでは毎年開催されている。サートラでもJAF地方選手権に組み込まれた当初から、ジムカーナやダートラに続く“第3のJAFカップ”として開催を希望する声はあがっていたという。
それから10年余りが過ぎ、サートラを取り巻く環境の変化や競技人口の増加などを受けて本格的な準備が進められ、2023年6月の開催公示を経た後、2024年10月に開催された2024年JAF筑波サーキットトライアル選手権の最終第5戦で、翌年春のJAFカップ初開催が今宮会長から一足早く、ドライバーたちに予告された。

「この大会がサーキットトライアルの『日本一決定戦』かどうかは、参加される皆さんがそういう気持ちになっていただくのであればそれで良いと思います」と語る今宮会長の言葉に、VICICの朝倉敬一理事がこの一戦の位置づけについての説明を加える。
「サーキットトライアルの場合、筑波、菅生、岡山の3選手権はJAF規定に基づいたシリーズ戦ですが、他のサーキットで行われている競技会がシリーズとして運営されているのかどうかも分かりません。それでもこの初めてのJAFカップには、JAF地方選手権の参加者だけでなく、全国のサーキットトライアルに参加されている選手にも是非いらしていただきたい。お祭りっぽい感じの大会にしたいと考えています」とのことだ。
規則や競技の進め方に多少の違いがあるとしても、サーキット1周の速さを競う同じ競技。サートラを楽しむドライバー同士のつながりを広げ、初めてでも気軽に挑戦できるこの入門カテゴリーの普及を進めていくことも、今回のJAFカップ開催決定の背景にある。
また朝倉理事は、来年以降のJAFカップ開催についても言及し、「各サーキットやJAF地域クラブ協議会の方々と話し合い、今後はそれぞれの地区が持ち回りで開催することになっていくでしょう。それでこそ“全国規模のJAFカップ”と言えるのではないかと思います」と、サートラの関係団体が将来、全国的な組織展開を見据えていることを窺わせた。

さて、第1回JAFカップサートラの参加資格や台数について、具体的に紹介しよう。
特別規則書によると、最大参加台数は92台で、各クラス5台以上の出走をもってクラス成立となる。また、2025年JAFカップオールジャパンサーキットトライアル規定によると同一運転者は1クラスしか参加できず、同一車両による重複参加、いわゆるダブルエントリーも認められていない。
ドライバーの参加資格は2024年に開催されたJAF地方選手権各クラスのランキング上位6選手にシード権が与えられたうえで、参戦枠にまだ余裕があった場合、『組織委員会の選考に基づく者』というかたちで参戦が認められる。この残りの枠に、シード権を得られなかったJAF地方選手権ランキング7位以下のドライバーや、それ以外の競技会に参戦しているドライバーたちが入るわけだ。先の朝倉理事の言葉にもあったが、JAF地方選手権以外のサートラで活躍しているドライバーたちが、JAFカップへの参加を臆する必要はまったくないのだ。
今宮会長は更に「サーキットトライアルの参加者の皆さんは、本当に競技に熱心なんですよ」と、言葉にことさら力を込める。「四輪レースなんかだと、競技後の表彰式に出席しない人もいますが、サーキットトライアルの選手はたいてい全員が出席されます。選手同士の横のつながりもあって、遠くのサーキットで走っている選手とSNSなどを通じて連絡を取り合い、直接会ったことのない人と情報交換したりしている。速さを求める点も四輪レースの人たちに負けず劣らず熱心で、本当に真剣に取り組んでいる。でも、レースと違い、選手間の空気がまったくギスギスしてないんです」と、サートラに参戦するドライバーたちの特長を教えてくれた。
今宮会長が語るサートラの和気藹々とした雰囲気や、他のドライバーとの交流を大事にしているドライバーは実際に多い。顔を合わせての情報交換はもちろん、ベテランが初めて参戦したドライバーにコースの走り方や車両のメインテナンスについて教えている光景など、特にサーキットでは見られることは非常に少ない。それが当たり前に行われているサートラに事実上の『日本一決定戦』が設けられることで、今の良い雰囲気が損なわれることはないのだろうか。
「案配だと思うんですよね」と切り出したのは今宮会長の盟友ともいえる、筑波サートラ第5戦では審査委員長を務め、JAF公認クラブ「プリンス モーターリスト クラブ・スポーツ(PMC・S)」の会長で、JMRC関東の関根基司副運営委員長だ。
「これが全日本選手権になったらギスギスが出てくるかもしれませんね。それに、歴史の浅いカテゴリーだから、車両規則にしても今後どうしていくのか考えていかなければなりません。でも、参加者が自分のお財布で楽しみながらやってる種目なので、かけるお金は青天井、フェラーリが出る、マクラーレンが出るなんてことになったら他の人が出られなくなってしまいかねない。主催する側としても察していかないと」と、サートラの入門カテゴリーとしての趣旨を尊重している。
JAFカップの開催を心待ちにし、出場を目指して頑張ってきたドライバーたちも、『日本一決定戦』の場であろうとなかろうと、一緒に走るドライバー同士がお互いを信じ、今日は勝った、負けたと言い合える開放的な空気をも楽しむ競技であり続けることを願っている。
筑波コース2000の規模や場内のキャパシティ、初開催ということで各クラスとも『初代王者』を目指すドライバーたちで、上限一杯のエントリー数になる可能性を考えると、「安全面も考えて参加者全員が気持ちよくアタックできる台数にして欲しい」など、筑波サートラ第5戦に参戦したドライバーたちの中には、期待とともに不安も見せるドライバーもいた。
「今日もイベントをやりながら、JAFカップではこうしようか、ああすればどうかと、様々に模索していました」と関根副運営委員長が話していたように、VICICでも開催直前まで様々な検討を重ねていくそうだ。特別規則書に記されている15分間の練習走行は、筑波以外のサーキットを主戦場とし、筑波での走行経験が浅いドライバーたちへの配慮と思われる。また、「全体で4枠の走行を設定する。」と記されているのも、ドライバーたちの不安を考慮された施策と伺える。
「お祭っぽくとはいっても、入門クラスだからこそ裁定や判定はキチっとしないといけません。そうすることがサーキットトライアルのより良い発展につながると信じています」と断言する今宮会長の言葉は重い。
年に一度の祭典に参戦することは、ドライバーたちにとって大きな楽しみであり目標だ。将来のモータースポーツ入門者のためにも、初めての祭典が成功裡に終わることを大いに期待したい。

第1回“JAFカップサートラ”開催情報
2025年JAFカップオールジャパンサーキットトライアル
スーパーアタックin筑波
開催日:2025年3月22日
開催地:筑波サーキット コース2000(茨城県下妻市)
主催:VICIC
フォト/大野洋介、鈴木あつし レポート/段純恵、JAFスポーツ編集部
RECOMMENDED > おすすめ記事

マツダ車ユーザーの栄誉を称えるMAZDA SPIRIT RACING モータースポーツ表彰式が挙行
2025年3月5日

2025シーズンJAFカップ開催で活気づく“サートラ”の魅力とは!~ 筑波サーキット編 ~
2025年3月4日

筑波サーキットライアル第4戦は最終戦を前に5クラスでチャンピオン確定!
2024年10月18日

アナタの”推し”で決まります! 「ドライバー・オブ・ザ・イヤー2024」候補者発表! 一般投票は10月15日(火)から11月10日(日)まで。皆様の投票をお待ちしています!!
2024年10月1日