F1サウジアラビアGP、角田裕毅選手はトラブル続きで不完全燃焼の週末に

レポート レース

2022年4月7日

2022年のFIAフォーミュラ1世界選手権(F1)、第2戦は昨年からF1カレンダーに加わったサウジアラビアGP。開幕戦のバーレーンGPで8位入賞を果たしたアルファタウリの角田裕毅選手は良い流れをつくって、2週連続のGPウィークに臨んだ。

2022年FIAフォーミュラ1世界選手権 第2戦
サウジアラビアグランプリ

開催日:2022年3月25~27日
開催地:ジェッダ市街地コース(サウジアラビア・ジェッダ)

 サウジアラビアGPの舞台は港湾都市ジェッダ。その美しい夜景から“紅海の花嫁”とも呼ばれる市街地を使ったコースで、決勝はナイトレースとなった。市街地コース故に道幅が広くないのだが、そこに連続した高速コーナーがあるなど、難易度が高いレイアウトが特長だ。

 金曜日のフリー走行1回目から晴天に恵まれたのだが、市街地コースらしいかなり埃っぽい路面で、コースオフを喫する車両が後を絶たなかった。

 そんな中でも角田選手は着々と走行メニューをこなし、フリー走行1回目(FP1)では7番手と好位置につけた。日が暮れてから始まったフリー走行2回目(FP2)も順調な走行を見せていたのだが、セッション終了時に車両トラブルによって車両をコース脇に止めてしまった。それでも、予選に向けては悪くはない手応えをつかんでいる様子だった。

「FP2の最後の方まで、クルマは今日、大丈夫だと感じていました。現時点で取り組むべきことはたくさんありますが、(ピエール・ガスリー選手と)両方のクルマで多くの重要なデータを収集することができました。ここで得られたことについて、さらに精査して、より明確な方向性を見つけることが非常に重要です。明日のFP3(フリー走行3回目)で修正できるといいのですが、予選に関してはまとめることができると思います」(フリー走行2回目後の角田選手のコメント)

 土曜日もドライコンディションでFP3がスタート。角田選手は前日のトラブルを感じさせない勢いで積極的な走り込みをみせて、19周を走破。ここでも10番手に食い込むタイムを記録し、予選に向けての準備を整えた。

 ここまでの流れを考えると、予選Q3進出は十分に狙えるだけのパフォーマンスを見せていたのだが、いざ予選が始まるとまさかの事態に見舞われてしまう。肝心のタイミングで燃料系のトラブルが発生して、急きょピットイン。チームクルー総出でトラブル解決を試みたものの、無念にも時間切れ。角田選手はタイムを記録できず、最後尾スタートになってしまった。

「予選でトラブルが出てしまい、ノータイムで終えることとなり、残念な1日となりました。コックピット内では特に感じることはありませんでしたが、チームから問題が起きていると言われ、ピットインせざるを得ませんでした。今週末はQ3にいける手応えを感じていただけに、ちゃんと走れずに終わってしまったことは、残念です。ここは高速コーナーが多いので、バーレーンのようにオーバーテイクをしていくのは難しいと思いますが、全力を尽くして、順位を上げていきたいです」(予選後の角田選手のコメント)

 迎えた日曜日の決勝でも、角田選手は不運の連鎖を断ち切ることができなかった。スターティンググリッドにつくために、レコナイザンスラップに出たのだが、途中で駆動系トラブルに見舞われてストップ。チームの指示によってそこで降りることとなり、スタートができないままレースを諦めることになった。

「信頼性の問題で、フラストレーションが溜まる週末になりました。予選で走れなかったのに加えて、決勝ではグリッドに着く前に駆動系のトラブルが出てしまいました。今回、僕たちのクルマはバーレーンと比べてもマッチしていたと思います。実際、チームメイトのピエールがQ3に進出し、レースでもパフォーマンスを見せていました。そう考えると、すごく残念です。これから中団での争いは激化していきそうで、毎戦ポイントを獲得していくことが重要ですが、気持ちを切り替えて、次のオーストラリアでは、もっと強くなって臨みたいと思います」(決勝終了後の角田選手のコメント)

 優勝争いでは、開幕戦でノーポイントに終わったレッドブルの2台が活躍した。セルジオ・ペレス選手がF1では初のポールポジションを獲得。決勝ではホールショットも決めて、15周目にタイヤ交換を済ませたのだが、その直後にセーフティカーが入ってしまったことでトップの座を失って、4位でフィニッシュ。

 一方、マックス・フェルスタッペン選手は、ペレス選手に代わってトップに浮上したフェラーリのシャルル・ルクレール選手と激しいトップ争いを展開。手に汗握る抜きつ抜かれつの攻防を制したフェルスタッペン選手が、ルクレール選手と約0.5秒差でトップチェッカーを受けて、今シーズン初優勝を飾った。また、角田選手のチームメイト、ピエール・ガスリー選手も8位に入賞し、4ポイントを獲得した。

 次戦は海を渡りオーストラリア大陸へ。メルボルンのアルバートパーク・サーキットが舞台の第3戦オーストラリアGPは4月8~10日に開催。第2戦では競うことすら叶わなかった角田選手の挽回にも、期待したい。

アルファタウリは角田裕毅選手がノーポイントに終わってしまったが、ピエール・ガスリー選手が予選9番手から順位をひとつ上げて8位でフィニッシュ。チームにポイントを持ち帰り、リタイアとなった開幕戦の雪辱を果たした。
優勝したレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手(左)と2位になったフェラーリのシャルル・ルクレール選手(右)。開幕戦に続いて接戦の優勝争いを繰り広げてサーキットを盛り上げた2人は、レース終了直後に互いの健闘を称え合った。
ダムスからFIA-F2に参戦中の岩佐歩夢選手。スプリントレースは4番手スタートだったものの、ブレーキにトラブルを抱えて6位フィニッシュ。6番グリッドから発進したフューチャーレースは交換後のタイヤでペースを上げられず苦戦。7位に終わったが、2レースともポイントを獲得した。

フォト/本田技研工業、ホンダ・レーシング、Red Bull Content Pool レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ