GRヤリス旋風が吹き荒れた恋の浦ラウンド。JD6クラスは岸山信之選手、JD4クラスは黒木陽介選手が優勝!
2022年4月14日
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2022年JAF全日本ダートトライアル選手権第2戦が、4月9~10日に福岡県福津市のスピードパーク恋の浦で開催された。ここ数年、開催期間中にウェットコンディションとなることが多かった恋の浦ラウンド、今年は大会前にまとまった雨が降らず、両日とも初夏を思わせるような天候に恵まれ、ドライコンディションの中で争われることとなった。
2022年JAF全日本ダートトライアル選手権第2戦「RASCAL SPRING TRIAL IN KYUSHU」
開催日:2022年4月9~10日
開催場所:スピードパーク恋の浦(福岡県福津市)
主催:RASCAL、FMSC、RC-大分
第2戦の舞台となったスピードパーク恋の浦は、ギャラリー前のコーナーが一部改修された。そのコースレイアウトは、前半は最大斜度18度の勾配を一気に駆け上がり下るというハイスピードセクション、後半はゴール前の島周りを周回するテクニカルセクションで構成されている。
JD11クラスやJD9クラスといった散水の影響を受けやすい前半クラスは第2ヒート勝負となったが、タイヤのブラックマークがつくほど踏み固められた超硬質路面の上を滑りやすいダストが覆う状況となった後半クラスは、特に第2ヒートはタイムが伸びづらい状況となった。第1ヒートと第2ヒートのタイヤ選択を含め、ダストが舞う超硬質路面をどう攻略するかが、勝敗の大きな鍵を握った。
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JD11クラスは、今シーズンからAT仕様のスイフトスポーツを投入し、開幕戦を制した則信重雄選手が第1ヒートのベストタイムをマーク。第2ヒートに入ってもこのタイムを上回る選手は現れず、第2ヒートを走行する前に則重選手の優勝が決定。さらに第2ヒートで自らのベストタイムを約1秒短縮し、両ヒートを制する走りで開幕2連勝を達成した。
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JD9クラスは、公開練習から好調をキープした太田智喜選手が、2番手タイムをマークした工藤清美選手を0.052秒抑えて第1ヒートのトップタイムをマーク。だが、路面の砂利が掃けた第2ヒートに入ると、第1ヒート6番手の本道治成選手からベストタイム更新ラッシュが続く。その中で、「自分では失敗も多かったと思うけど、他の選手も同じ状況だったと思います」という児島泰選手が1分45秒872のベストタイムをマーク。第1ヒート2番手の工藤選手は0.064秒届かず2位に終わり、第1ヒートトップの太田選手も「後半の区間を少し攻めすぎてしまいました」と0.143秒届かず3位。児島選手は2019年9月、オートパーク今庄での第9戦以来となる全日本優勝を飾った。
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JD8クラスは、開幕戦で2位に入賞し、地元ラウンドで今季初優勝を狙う濱口雅昭選手が第1ヒート6番手に沈むという番狂わせの展開の中、中島孝恭選手が第1ヒートのトップタイムをマーク。第2ヒートもさらにベストタイムを大きく更新し、「自分なりには精一杯走りました。あとはライバル選手たちがどう走るか……」と心配するも、結果的には2位以下を約1秒引き離して今季初優勝を飾った。
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新旧86/BRZの戦いが注目となるJD7クラスは、第1ヒートでGR86の山崎利博選手がベストタイムをマーク。第2ヒートに入ると、地元の良本海選手が第1ヒートのベストタイムを約1.3秒縮めてくる中、第1ヒート3番手の浦上真選手が良本選手のタイムを0.069秒更新。この浦上選手のタイムがなかなか抜けない展開が続いたが、シードゼッケン組に入ると開幕戦優勝の崎山晶選手が浦上選手のタイムを0.42秒上回るベストタイムをマーク。これで勝負あったかと思われたが、クラスラストゼッケンの山崎選手が、超硬質ダート路面にダストが乗り、滑りやすい路面に変化しつつある後半のテクニカルセクションを完璧に攻め、崎山選手を1.126秒引き離すベストタイムをマーク。結果的には両ヒートを制する走りで、今季初優勝とともにGR86の全日本初優勝を決めた。
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JD6クラスが走行する頃になると、第2ヒートの路面状況が少しずつ変化。コースの一部にタイヤのブラックマークが残るほど、まるで煉瓦のような固く引き締まった路面となり、その路面に舞い上がるダストが堆積してタイムアップが難しい状況となった。第1ヒートでベストタイムをマークした岸山信之選手は、第2ヒートでタイムアップを果たせなかったものの、第1ヒートのタイムで今季初優勝を獲得。2位には第1ヒートのタイムで決めた宝田ケンシロー選手が入賞し、全日本ダートトライアル選手権では初となるGRヤリス優勝。またGRヤリスが1-2フィニッシュを飾った。
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JD5クラスは、河石潤選手が第1ヒートでベストタイムをマーク。第2ヒートは多くの選手がタイムダウンに終わる中、タイムアップを狙った河石選手は最終セクションの島周りでまさかの転倒リタイア。第1ヒートは河石選手に0.73秒差をつけられて2番手に終わった細木智矢選手に逆転のチャンスが訪れたが、その細木選手も電子制御のトラブルにより大きくタイムダウン。転倒という大きな代償があったものの、第1ヒートのタイムで逃げ切った河石選手が今季初優勝を飾った。
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第1ヒートから0.1秒を争う攻防となったJD4クラスは、第1ヒートのタイムで黒木陽介選手が今季初優勝を獲得。JD6クラスに続き、JD4クラスでもGRヤリスがクラス初優勝を飾る結果となった。2位には、第2ヒートの中ではベストタイムを奪うものの、第1ヒートのタイムで黒木選手に0.205秒届かなかった浜孝佳選手が入賞。3位の林軍市選手、4位の荒井信介選手、5位の北村和浩選手、6位のマイケルティー選手が入賞し、優勝の黒木選手から6位のマイケルティー選手までが0.641秒差という僅差の勝負となった。
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JD3クラスは、第1ヒートでクラス唯一となる1分43秒台をマークした地元の坂井秀年選手がそのまま逃げ切るかと思われたが、山崎迅人選手がタイムダウン必至の第2ヒートで坂井選手のタイムを0.104秒更新。他の多くの選手がタイムダウンに終わり、これで勝負あったかに見えたが、クラスラストゼッケンの坂田一也選手が、「全日本で初優勝を飾った時も、タイムアップが難しいと言われていた第2ヒートで逆転できました。今回はその時のことを思い出しました」と、山崎選手のタイムを0.719秒上回るベストタイムをマーク。奇跡的な逆転劇で今季初優勝を飾った。
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JD2クラスは、昨年のチャンピオンを獲得した目黒亮選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、今季初優勝を獲得。2位には、第2ヒートの路面でタイムアップを果たした亀田幸弘選手が、順位をひとつ上げて入賞。3位は吉村修選手が開幕戦に続き2戦連続3位入賞を果たした。
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今シーズン中に新型マシンを投入する予定の鎌田卓麻選手が第1ヒートのトップタイムを奪ったJD1クラス。このクラスも他のクラスと同様に第2ヒートのタイムアップは難しい状況と思われたが、第1ヒート2番手の炭山裕矢選手は、「最終の島周りはグリップ感が薄く、まるで雪道のように滑りましたが、冬練で特訓した成果が出ました」と、鎌田選手がたたき出した第1ヒートのベストタイムを1.324秒上回るスーパータイムをマーク。“逆転不可能”と言われた第2ヒートの路面で、見事な逆転劇をなし遂げた。
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フォト/CINQ レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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