雨天視界不良のFS-125/X30部門は10台がペナルティの波乱! ルーキー・中井陽斗選手が初戦を制した
2022年4月20日

地方カート選手権の2022 鈴鹿選手権シリーズが4月17日に開幕。今季デビューの中井陽斗選手(TEAM EMATY)が雨中のレースで優勝を飾った。
2022 JAF地方カート選手権 FS-125/X30部門 第1戦
2022 鈴鹿選手権シリーズ 第1戦 カートレース IN SUZUKA
開催日:2022年4月17日
開催地:鈴鹿サーキット南コース(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC
2022年に4つの選手権がスケジューリングされている地方カート選手権のうち、鈴鹿選手権シリーズは三重県の鈴鹿サーキット南コースを舞台として行われるFS-125部門の選手権だ。その2022シリーズが4月17日に開幕、全5戦の戦いの口火を切った。
鈴鹿南コースは2021シーズンの終了後に大きな改修を受け、路面は全面再舗装された。今回はリニューアルされたコースでの最初の大会だ。この一戦に参加したのは25台。天候は、4月半ばにしてはやや涼しく、朝からサーキット上空を雲が覆いつくしていた。
タイムトライアルでトップタイムをマークしたのは、13歳のルーキー中井選手。その48秒758のタイムは、従来のコースレコードを0.4秒弱更新するニューレコードだ。フラットになりグリップも上がったコースで、事前練習から大幅なタイムアップの情報が伝えられていたとおり、約半数の12名が旧レコードを塗り替えるレコードラッシュとなった。
10周の予選ヒートでは、1週間前の全日本カート選手権西地域・琵琶湖大会FS-125部門で初優勝を遂げた向畑疾走選手(KC NAGAHARA)が、2番グリッドからスタートすると中盤に中井選手を逆転し、決勝のポールを手に入れた。2位の中井選手は、向畑選手の真後ろでこのヒートを終えた。そこから2秒弱離れて3番手でゴールしたのは、最終ラップに北野雄丈選手(EHRE Motorsport)をパスしたディフェンディングチャンピオンの落合蓮音選手(Ash with HOJUST)。続いて百瀬翔選手(HRS JAPAN)も北野選手の前に出て、決勝の4番グリッドをつかみ取った。
午前中から断続的に降っていたほんのわずかの細かい雨は、午後に入ると強さを増し、地方選手権の決勝が始まる時間帯には本降りとなっていた。路面はフルウェット。決勝は全車レインタイヤを装着しての戦いだ。先に行われたレースでタイムスケジュールの遅れが出たため、周回数は予定の16周から13周に短縮されることとなった。
そして決勝が始めると、2番グリッドからうまく加速した中井選手が1コーナーでポールの向畑選手をかわしてトップに躍り出る。さらに百瀬選手、北野選手、落合選手もオープニングラップで向畑選手をパス。その間に中井選手が2秒弱も後続を引き離した。やがて2番手争いが熱を帯び、北野選手と落合選手が百瀬選手の前へ。これで中井選手のリードはさらに拡大し、5周目には5秒以上の大差が開いていた。
水しぶきを上げながらひとりコースを駆ける中井選手は、ストレート一本分のリードを保ったまま周回を重ねてゴール。自分がチェッカーを受けたことをきちんと確認してから右手を突き上げ、勝利を宣言した。ジュニア時代から華々しい戦績を残してきた中井選手の、見事なデビューウィンだ。
北野選手は単独走行で2位フィニッシュ。それに続いてチェッカーを受けた落合選手は、フロントフェアリングのペナルティで4位に降格となり、14番グリッドから急浮上を果たした成宮柊磨選手(Team REGOLITH)が3位に繰り上がって表彰台に上った。
コントロールの難しい路面コンディションでバトルが頻発したこの一戦。落合選手を含め実に10台がフロントフェアリングのペナルティを受けたことが、今回のレースの厳しさを物語っていた。



この日は地方選手権の他に、2022 鈴鹿選手権シリーズ第1戦として7クラスのレースが同時開催された。タイムスケジュールの後半に行われたJunior MAX、Senior MAX、ROK-SHIFTERの3クラスの決勝は、地方選手権と同様に16周から13周に短縮して実施されている。
Junior MAXでは、ポールの佐藤佑月樹選手(RT WORLD)が独走優勝。2番グリッドの田崎脩馬選手(AAAmotorsports)はスタート直後の先頭争いでスピンを喫し、中井悠斗選手(TEAM EMATY)が2位に、塩田惣一朗選手(HRS JAPAN)が3位に入賞した。



Senior MAXでは、2番グリッドの玉橋陸斗選手(30's Racing)と4番グリッドの玉橋悠月選手(30sRacing)が、スタートでポールの酒井仁選手(LUCEMOTORSPORTS)の前に出て、玉橋陸斗選手が優勝、玉橋悠月選手が2位を獲得。冨田蓮選手(Team EMATY)も酒井選手をかわして3位となった。



ROK-SHIFTERでは、ポールの水越健太選手(MOMOX KART RACING)がマシン不調のためかスタートで出遅れ、2番グリッドの東拓志選手(NEXT-ONE Racing)が独走優勝。2年ぶりに参戦の岸本尚将選手(ぴぃたぁぱん)が2位、初参戦の保下聡一朗選手(FLAX motor sports)が3位を獲得した。また、35歳以上対象のマスタークラスでは、岡本孝之選手(ハラダカートクラブ)が9番グリッドからの快進撃で総合5位まで上がり、クラス優勝を果たした。






MAX Mastersでは、3番グリッドから中盤に先頭に立った箭内優樹選手(teamyuhi.withTECORSA)が独走優勝。山本一平選手(30’s Racing)が8番グリッドから2位に。その後方で繰り広げられた金韓奎選手(MID Competition)と出石哲也選手(AKILAND RACING)のバトルは、最後までポジションを守り切った金選手の3位入賞で決着した。



この日最初に決勝が行われたカデットオープンでは、3番手を走っていた前田蒼介選手(Team REGOLITH)が中盤から順位を上げて優勝し、新生・鈴鹿南コースで最初のウィナーとなった。2位は1週間前のジュニアカート選手権西地域・琵琶湖大会でFP-Jr Cadets部門を制した澤田龍征選手(ERS)。ポールの横山輝翔選手(チームナガオ)は3位でチェッカーを受けた。



今季新設されたYAMAHA SSジュニアでは、終盤戦にトップ争いがヒートアップ。このバトルに競り勝った藤村太郎選手(ハラダカートクラブ)がポール・トゥ・ウィンを遂げた。2位は残り2周で順位を上げた梶尾義朝選手(Ash)。3番手でゴールした石田馳知選手(ハラダカートクラブ)にはペナルティが下り、代わって村田鉄磨選手(Ash)が3位となった。



今大会最多の42台がエントリーしたYAMAHA SSでは、スタート前に霧雨が強さを増し始める中、ただひとりレインンタイヤを選択した18番グリッドの森建人選手(M TECH SPORTS)が、雨が本降りとなったレース中盤からぐいぐいと順位を上げ、最後は8秒弱のリードで大逆転優勝を飾った。終盤まで先頭を走った角陽向選手(FLAX motor sports)は2位でフィニッシュ。久富圭選手(Formula Blue Ash)が2ポジションアップの3位に入賞した。



フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部