刻々と変化する路面コンディションの中、JG1クラスはGRヤリスがクラス初優勝を獲得
2022年4月27日
全日本ジムカーナ選手権は約1か月のインターバルを経て舞台を福島県二本松市のエビスサーキット西コースに移し、4月17日に第2戦が開催された。
2022年JAF全日本ジムカーナ選手権第2戦「オールジャパンジムカーナ イン エビス」
開催日:2022年4月16~17日
開催地:エビスサーキット西コース(福島県二本松市)
主催:奥州VICIC
2021年2月13日に東北地方を襲った最大震度6強という大きな地震の影響により、甚大な被害を受けたエビスサーキット。園内の連結道路を含めた懸命な復旧作業により、約1年の歳月をかけて全日本ジムカーナ選手権が予定通り開催できるまでに復興を果たした。今回は被害が少なかった半分のコースでの開催となったが、7月には新たなフルコースとしてのオープンを予定している。
今回のコースレイアウトは、前半が傾斜のあるスペースにパイロンを設置したパイロンセクション、後半が2本のストレートをショートカットで繋いだコースセクションで構成されている。前半区間と後半区間は路面コンディションが異なり、特に土砂崩れの影響が残る後半セクションは砂などの堆積物が路面に出てくる区間もあり、第2ヒートはこのセクションでタイムダウンしてしまう選手も多かった。
公開練習前の金曜日はウェットコンディションとなったが、決勝日の天候は快晴。路面温度の変化と路面コンディションの変化をどう読み取るかが、勝敗に影響する1戦となった。
また、この第2戦も開幕戦に続いて有観客で開催。決勝第2ヒート終了後には選手会によるパレードランや同乗走行の他、エビスサーキットではおなじみのドリフトタクシーも登場。エビスサーキットの社員であり、全日本ダートトライアル選手権に参戦する竹本幸広選手らがドライバーを務め、ギャラリーはモータースポーツの醍醐味を堪能した。
JG10クラスは、開幕戦を制した山野哲也選手が、この第2戦も2位以下を3秒近く引き離す走りで開幕2連勝。第1ヒートで0.4秒差という僅差の勝負を展開した安木美徳選手と河本晃一選手とのFF対FR対決は、第2ヒートでタイムアップを果たした安木選手に対し、河本選手は痛恨のパイロンタッチ。安木選手が2位に入賞し、開幕戦のリベンジを果たした。
毎戦0.1秒を競うシビアな戦いが続くJG8クラスは、前日の公開練習で好調だった小林キュウテン選手を第1ヒートで0.037秒上回った小林規敏選手がベストタイムをマーク。全日本3戦目となる20代ドライバーの小野圭一選手がトップから0.288秒差の3番手につける。
第2ヒートは小野選手がシフトミス、小林キュウテン選手がパイロンタッチでタイムアップを果たせず、小林規敏選手が第1ヒートのタイムで3年ぶりの優勝を飾った。
開幕戦で優勝を飾った若林隼人選手が第1ヒートのトップタイムを奪ったJG7クラス。2番手には開幕戦2位の奥井優介選手、3番手に地元出身の工藤典史選手がつけ、3番手の工藤選手から9番手の山口克之選手までが0.566秒の中にひしめき合うという僅差の勝負となった。
第2ヒートは多くの選手が砂の浮いた後半セクションの路面に翻弄されてタイムを落とす中、第1ヒート9番手の山口選手が工藤選手のタイムを上回り3位に浮上。第2ヒートの逆転を狙った奥井選手は2本のパイロンタッチに終わり、第2ヒートでもベストタイムを0.483秒塗り替えた若林選手が開幕戦に続いて2連勝を飾った。
JG6クラスは、全日本デビューの開幕戦で2位入賞を果たした大多和健人選手が、第1ヒートで野島孝宏選手のタイムを0.514秒上回りトップに浮上してくる。だが開幕戦優勝のユウ選手が、大多和選手のタイムを0.666秒更新。
第2ヒートは野島選手が2番手相当のタイムをたたき出すものの痛恨のパイロンタッチ、大多和選手も自己タイムを縮めてくるが、ユウ選手のタイムに0.215秒届かず。第2ヒートはタイムダウンに終わったものの、第1ヒートのタイムで逃げ切り、ユウ選手が開幕2連勝を飾った。
JG5クラスは開幕戦優勝の朝山崇選手が第1ヒートで3本のパイロンタッチに終わるという波乱の展開の中、1分19秒台に並ぶ石原昌行選手、奥井毅選手、折茂紀彦選手を1秒以上引き離す走りで、開幕戦3位の茅野成樹選手がトップを奪う。
第2ヒートは2番手につける石原選手が自身のタイムを0.28秒縮めてきた。だが第1ヒートに2番手相当のタイムをマークしながらもパイロンタッチに終わった上本昌彦選手が、石原選手のタイムを0.005秒塗り替えて2位に浮上するが、茅野選手がマークした第1ヒートのタイムには届かず。茅野選手が今季初優勝を飾った。
第1ヒートでトップを奪った橋本克紀選手から、2番手の合田尚司選手、3番手の田中康一選手、4番手の島田昌典選手までが0.694秒差内に並ぶという僅差の勝負を展開したJG4クラス。その中、「第2ヒートはタイヤを労るように走りました」という島田選手が、第2ヒートでクラス唯一1分19秒台のタイムをたたき出し、全日本初優勝を飾った。
「シリーズを追うようになってトータル6年、このシビックは発売された時に買ったので、今年で25年目になります。25年間乗り続けてやっと全日本で優勝することができました(笑)」と、全日本初優勝に喜ぶ島田選手。2位に橋本選手、3位に合田選手がそれぞれ入賞した。
JG3クラスは、第1戦2位の西井将宏選手が第1ヒートのトップを奪い、沖縄から参戦する神里義嗣選手が0.522秒差の2番手。開幕戦優勝の澤平直樹選手が神里選手から0.161秒差の3番手につける。
第2ヒートは神里選手がパイロンタッチでタイムダウンする中、第1ヒート5番手の小武拓矢選手が「第1ヒートは新品タイヤの感触が悪く攻め切れなかったけど、タイヤの皮むきが終わった第2ヒートは気持ち良く攻めることができました」と自身の第1ヒートのタイムを0.973秒縮めて2位にジャンプアップ。西井選手と湯平選手はタイムダウンに終わり、第1ヒートのタイムで逃げ切った西井選手が、今季初優勝を飾った。
JG2クラスは、第1ヒートで開幕戦2位の広瀬献選手が、開幕戦優勝の若林拳人選手に0.387秒差をつけてトップに立つ。第2ヒートは、第1ヒート3番手の渡辺公選手や同4番手の藤井雅裕選手がタイムアップに成功するが、第1ヒート2番手の若林選手のタイムには届かない状況。
そして第1ヒート2番手の広瀬選手が、若林選手がマークした第1ヒートのタイムを一気に1.261秒塗り替えるタイムをマークしたが、パイロンタッチの判定で幻のベストタイムに。この時点で優勝が決まった若林選手は、広瀬選手がマークした幻のベストタイムには届かなかったが、第2ヒートも自身のタイムをしっかり1秒近く縮めて開幕2連勝を飾った。
第1ヒートで津川信次選手がベストタイムを更新してきたJG1クラスは、大橋渡選手が0.236秒差の2番手につけ、クラス最終走者の菱井将文選手を待つ。その菱井選手は、津川選手のタイムを0.441秒上まわってフィニッシュするが、パイロンタッチの判定でベストタイム更新ならず。
第2ヒートは津川選手がベストタイムを1分14秒498に引き上げ、大橋選手が0.136秒届かないという第1ヒートと同じ展開が続いたが、クラス最終走者の菱井選手はアクセルを開けるとシフトが抜けるというミッショントラブルに襲われ、タイムアップは果たせたが津川選手のタイムには0.156秒届かず3位。今シーズン、JG1クラスにGRヤリスを投入した津川選手が早くも2戦目で今季初優勝を飾った。
併催された箱Dクラスは、全日本ダートトライアルに出場する栗本利也選手が、両ヒートを制する走りで優勝を飾った。
フォト/CINQ レポート/CINQ、JAスポーツ編集部
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