四国ダートラ地区戦が香川で開幕。注目のPNクラスは萩原豪スイフトが初戦を制す!
2022年4月28日

2022年のJAF四国ダートトライアル選手権が、4月17日、香川スポーツランドで開幕した。
2022年JAF四国ダートトライアル選手権第1戦
2022年JMRC四国ダートトライアルシリーズ第1戦
2022年JMRC全国オールスター選抜ダートトライアル第1戦
アドバントライアル2022
開催日:2022年 4月17日(日)
開催場所:香川スポーツランド(香川県さぬき市)
主催:T.T.
今年のJAF四国ダートトライアル選手権は、今回の開幕戦から、8月7日の最終戦まで、全4戦のシリーズが組まれる。梅雨時の6月は避けて、約1か月のインターバルを置きながら開催される予定だ。場所はすべて、香川県さぬき市にある四国唯一のダートトライアルコース、香川スポーツランドになる。
香川スポーツランドは、標高はそれほど高くはないが、山間部を切り拓いて作られたアップダウンに富んだコース。コースの中央にあるダートの広場にスタート、ゴールそしてパイロンセクションが置かれ、広場を挟んだふたつの区間は林道風のセクションとなる。ふたつの林道セクションの内、どちらかを2往復するコースレイアウトが設定されるのが通例で、今回は広場から奥へ下った側の林道セクションを、方向を変えて2往復する設定となった。
JAF四国ダートトライアル選手権と全戦、併催となるJMRC四国ダートトライアルシリーズは地区戦とは別に独自にG1、G2の2クラスを設定する。G1クラスは1,601cc以上の4WD車両、G2クラスはすべての2WD車両と1,600cc以下の4WD車両が対象のクラスとなっているが、昨年は事実上、4WD、2WDそれぞれの総合ベストを競うクラスとして盛り上がりを見せた。今年も地区戦とは別となるこのタイトルを巡るバトルもヒートアップしそうだ。
天候は終日、快晴となったが、木々が生い茂る中を走る下段の林道セクションでは数日前に降った雨が残り、湿り気を含んだ土が掘り起こされた第2ヒートは、場所によってはワダチが待ち構えるコンディションとなった。ゴールタイムは2分20~40秒ほどで走り切る設定で、開幕戦から高い集中力の持続が求められるロングコースが用意された。





SD1クラスは、ともに四国地区戦を代表するドライバーである、谷正史選手のインテグラと谷佳紀選手のミラージュアスティによる、“ダブル谷”の戦いが白熱したが、第1ヒートは正史選手が佳紀選手を約3秒も突き離す圧倒的なタイムでまずはトップに立って、折り返した。
しかし第2ヒートでは先に走った佳紀選手が4秒近くもタイムアップして、正史選手の暫定ベストを約0.7秒凌ぐ2分23秒129をマークし、一旦は逆転に成功する。しかし、最終ゼッケンの正史選手は2分23秒099でゴール。何と0.03秒という超僅差ながらも最後に佳紀選手を振り切って、大接戦を制した。
「2本目は2分20秒を切りたかったので、奥のヘアピンの手前をいつも以上にシビアなライン取りで全開で行ったら、ギャップでフロントが飛ばされてコースオフしそうになって。あれで2、3秒はロスした」とは谷佳紀選手。「開幕戦ということで体も今ひとつ動かなかったし、まぁ、まだまだ経験不足です(笑)」と悔しさを滲ませつつも、激戦を振り返った。
一方、僅差ながらも谷佳紀選手を抑えて優勝。JMRC四国シリーズG2クラスも制した谷正史選手は、「今日は結構、うねりがあって、後ろのホイールが重い自分のクルマはリアが凄く跳ねて大変でしたが、抑えても勝てないので、跳ねる前提で踏んで行きました(笑)」と苦戦の一戦だったと明かした。
「自分もミラージュに乗っていたので分かるんですが、今日のような荒れた路面は軽いアスティの方が絶対有利なので勝ち目はないと思ってたんですよ。2本目も1速のまま走ったり、ワダチからはみ出そうになったりとミスがあったので、それでも勝てたのは、運が良かったというしかないですね」と、最後はホッとした表情を浮かべていた。




四国地区戦では今回、初の成立となったPN1クラスは今季、注目のクラスだ。第1ヒートでは、昨年から全日本選手権にもスポットで遠征を開始した萩原豪選手が、2分27秒196をマークして、トップに立つ。萩原選手は、第2ヒートでもさらに約2.4秒詰めて首位の座を守り、記念すべきPNクラスのファースト・ウィナーに輝いた。
「先週、参戦した九州の全日本選手権で今一つだったので、今日はぶっつけ本番でリアのスプリングを変えてみたのですが、まだ足回りは手探り状態です」と萩原選手。昨年まではDC2インテグラを駆り、2WD総合ベストも狙えるほどの速さを見せた萩原選手だが、今年からZC33Sスイフトに乗り換えた。まだスイフトの特性を掴み切るまでには時間を要しそうだ。
今回、2WD総合ではトップの谷正史選手から1.6秒遅れの3位でゴールしたが、「谷さんは、ここの地区戦では、スポットで参戦した全日本の細木(智矢)さんにも勝ってしまう凄い人ですから、何とか2秒以内にとどめられたのは良しとしなければ」と萩原選手。次戦以降、どこまで“ダブル谷”を追い込めるか、注目される。




2リッター4WDターボ車が主流のSD2クラスは、第1ヒートから三つ巴のバトルが展開された。トップタイムを奪ったのは昨年のこのクラスのチャンピオンの岩見文輝選手で、2分18秒358と、当然ながら第1ヒートの総合ベストをマークする。しかし、約0.1秒差で松原宏選手、約0.6秒差で竹下俊博選手が続き、1秒の間にひしめいたこの3台のバトルの行方に注目が集まった。
第2ヒートでは、まず先に走った竹下選手が2分14秒498とタイムを大きく上げてゴールするが、後続の松原選手はシフトミスが響いて2分16秒077にとどまり、逆転は果たせず。最終ゼッケンの岩見選手も攻めの走りを見せたが、「路面が荒れるとダメ。何か所か飛び出しそうになってしまった」と、松原選手から1秒遅れでゴール。3位にポジションダウンしてしまった。結果、優勝は第1ヒート3位の竹下選手の下へ転がり込んだ。
「2本目の林道区間は、ワダチに入れないとタイムが出ない道だったと思う。コースの両端のヘアピンは抑えたけど、ワダチを踏んで行けたのが良かったんでしょう」と振り返った竹下選手は言わずと知れた、四国を代表する元全日本ラリードライバーだけに、今回のような荒れた道はお手のもの。この香川スポーツランドは、代表を務める松山オートクラブ(MAC)が今年もシリーズ後半の2戦の主催を担当しており、昔から勝手知ったるコースだが、ドライバーとしてはほとんど走った記憶はないため、「多分、ここで勝ったのは初めて」と笑った。
近年は全日本久万高原ラリーの主催に務める傍ら、ドライバーとしてはジムカーナの四国地区戦、全日本選手権等、舗装系の競技にシビックで出場している竹下選手だが、今年はJAF中四国ラリー選手権開幕戦に、“旧車”のランサーエボリューションで参戦し、土系競技にも復活を果たした。今季はラリー、ダートトライアルにも可能な限りランサーで参戦する予定だ。
「クルマがあまりにボロボロだったので(笑)、ラリーの後に、洋三君(※竹下選手同様、全日本ラリーで活躍後、JAF中四国ラリーで長くトップラリーストとして活躍している渡部洋三選手)のガレージで色々と整備してもらったら、動きが良くなったんです。今日はその辺もタイムに繋がったのかもしれない」と竹下選手。ラリーのノウハウが注ぎ込まれた上でのオーバーオールウィン達成だったようだ。
このクラスには、トップドライバーとして活躍している梶田昌弘選手も次戦以降、復帰予定で、N2クラスのチャンピオンとして長らく王座を守っている橋本充弘選手が復活してくれば、四国シリーズG1クラスを巡る戦いは、役者が揃い踏みとなる。今回、苦杯を舐めた松原、岩見両選手も、「ここ数年にない盛り上がりを見せそう」と、ともに歓迎しており、次戦以降のバトルも大いに注目されるところだ。









フォト&レポート/JAFスポーツ編集部