全日本カート選手権OK部門開幕! 2022シリーズのドライバーラインアップ
2022年5月2日

4月23~24日にモビリティリゾートもてぎ北ショートコースで開幕した全日本カート選手権最高峰クラスのOK部門。参戦する選手たちの顔ぶれも大きく変わり、今シーズンも激戦が予想される。ここではシリーズの行方を占うとともに、全ドライバーラインアップを紹介。
国内カートレースの最高峰に位置する全日本カート選手権OK部門は、手軽に参加できることが持ち味のカートレースながら、いささか異色の存在だ。シャシーこそ一般のカートレースと同じものを使うのだが、パワーバルブを備えた125cc水冷リードバルブ吸気のエンジンは、マルチメイクでチューニングも可能。スプリントカート用エンジンの中でもっともパワフルなものと言える。
加えて、全日本OK部門をもっとも特別な存在にしているのがタイヤだ。この選手権では、市販されていないワンオフのタイヤの使用が可能。スペシャルタイヤと呼ばれるこのタイヤは、ひとつの大会のみに的を絞って開発され、短いライフと引き替えに、大会が行われるサーキットや時期において極めて高い性能を発揮する。ここにブリヂストン/ダンロップ/ヨコハマの3メーカーが参入して、激しい開発競争を展開中だ。
エンジンとタイヤで武装したカートは、145kg(車両+ドライバーの合計重量)という最低重量規定の軽さとも相まって、驚異的なパフォーマンスを発揮。ドライバーたちはこの世界最速とも言われるマシンを駆り、カート/タイヤメーカーやチームの威信を背負って戦いを繰り広げる。つまりOK部門はスーパーGTにも似たプロフェッショナルな世界なのだ。
そんなOK部門の2022シリーズが4月23~24日、栃木県・モビリティリゾートもてぎ北ショートコースで開幕を迎えた。そのパドックの光景は、2021シリーズから大きく様変わりしていた。その様変わりの要因のひとつは、新規参入ドライバーの多さだ。開幕戦(第1戦/第2戦)に参加した32名のうち、実に12名が全日本FS-125部門からステップアップしてきたフレッシュなドライバーたちなのだ。
もうひとつの要因は、使用するマテリアルや所属チームを変更したドライバーが多いことが挙げられる。2021シリーズで最後の大会までチャンピオン争いを繰り広げた洞地遼大選手(PONOS HIROTEX RACING)と鈴木斗輝哉選手(TGR TEAM TAKAGI PLANNING)は、ともにチームを移籍してブリヂストン陣営からダンロップ陣営へ移り、2年目のOK部門を戦うことに。
また長年にわたりヨコハマ・タイヤの顔として活躍してきた三村壮太郎選手(Rosa Drago CORSE)は、タイヤをブリヂストンにチェンジ。他にも体制を変更してレーシングウェアのデザインがガラリと変わったドライバーは、枚挙にいとまがない。
不確定要素たっぷりの状態で戦いの火蓋を切ったもてぎ大会では、このコースを得意とする17歳のルーキー小田優選手(Drago CORSE)が2連勝を達成。同じくルーキーの加藤大翔選手(PONOS HIROTEX RACING)と堂園鷲選手(Energy JAPAN)、2年目の佐野雄城選手(BirelART Access Racing)もトップに立ってレースを引っ張り、新勢力たちの活躍が目を引く大会となった。
その一方で、三村選手がタイムトライアルで幻のコースレコードとなるトップタイム(後にペナルティにより抹消)をマークし、第1戦では2位を獲得。また、ディフェンディングチャンピオンの佐々木大樹選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)は相次ぐトラブルやアクシデントで不本意なレースに終始したが、第1戦ではトップを走って存在感を発揮と、ベテラン勢も相変わらずの強さを見せた。
タイヤの面では、ブリヂストン・ユーザーが第1戦では6位まで、第2戦では8位までを占め、10戦全勝を果たした2021シリーズと同様の安定した強さを示した。対して2台体制となったヨコハマ勢は、ルーキー加藤選手の第2戦でのトップ独走劇で衝撃的なスピードを見せつけると、リタイアを喫した加藤選手に代わって渡会太一選手(Drago CORSE)が2戦続けてポイント獲得に成功。ダンロップ陣営も、大会初日こそ苦戦を強いられたものの、決勝日には第1戦で鈴木選手が7位に食い込むなど、侮れないパフォーマンスを披露した。
ブリヂストンは2022年末をもってカートタイヤ事業から撤退することを発表しており、OK部門への参入も今季が最後。長年に渡ったタイヤメーカー3社によるガチンコの戦いは、今季で終焉を迎えることとなる。そのラストイヤーを、圧倒的な強さで締めくくりたいブリヂストンと、勝ち逃げを阻止すべく意気上がるダンロップ/ヨコハマ。その思いはドライバーたちも共有している。ドライバーやマテリアルの力が拮抗する中、それぞれの意地がぶつかり合う2022シリーズは、例年以上に熱い戦いが展開されそうな気配だ。
佐野雄城選手(さのゆうき/15歳/BirelART Access Racing)


野澤勇翔選手(のざわゆうと/16歳/bbR.チームエッフェガーラ)


堂園鷲選手(どうぞのしゅう/14歳/Energy JAPAN)


■2022年全日本カート選手権OK部門 ドライバー&チームラインアップ



















フォト/長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部