国内トップフォーミュラ初勝利! 松下信治選手がウェットレースを制す
2022年5月2日
鈴鹿サーキットで開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦。予選はドライ、決勝はウェットと大きく変化のあったコンディションの中、予選9番手からスタートした松下信治選手(B-Max Racing Team)が終盤に鮮やかなオーバーテイクを決め、国内トップフォーミュラ初優勝を飾った。
2022年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第3戦
(2022 NGKスパークプラグ鈴鹿2&4レース内)
開催日:2022年4月22~24日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:GSS、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社
2レース制で行われた開幕大会からわずか2週間のインターバルを経て、全日本スーパーフォーミュラ選手権は早くも第2大会を迎えた。今大会は土曜日に予選、日曜日に決勝レースが行われる1レース制のフォーマットとなった。
予選日は上空が雲に覆われたものの降雨はなく、終始ドライコンディション。富士スピードウェイでの開幕大会予選ではルーキーや若手ドライバーの勢いが目立ったが、この鈴鹿サーキットでは昨年の王者・野尻智紀選手(TEAM MUGEN)がその実力を発揮。
野尻選手は午前中のフリープラクティス、出走した予選Q1のB組、そしてQ2と、すべてのセッションで最速タイムを記録し、堂々のポールポジションを獲得した。鈴鹿でのポール獲得は初めてだという野尻選手だが、通算では9度目のポール獲得となる。
フロントロウにはわずか0.075秒差まで迫った山下健太選手(KONDO RACING)がつけ、山下選手のチームメイトのサッシャ・フェネストラズ選手(KONDO RACING)が3番手に入った。
一夜明けた鈴鹿は朝から雨模様。朝のフリー走行ではスピンを喫する車両も続出したが、大きなアクシデントもなくタイムスケジュールは進み、定刻どおりに31周の決勝レースがスタートした。
好スタートを切って1コーナーにトップで入っていったのはポールシッターの野尻選手。山下選手もすぐ後ろに続くが、2列目につけていたフェネストラズ選手と宮田莉朋選手(Kuo VANTELIN TEAM TOM'S)は後退。代わって牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)、松下選手がポジションアップに成功した。
トップ走行で視界がクリアな野尻選手は一気に後続を引き離し、2番手以降は接戦に。その中で松下選手は7周目に坪井選手を、9周目には山下選手をとらえて3番手に浮上する。山下選手と坪井選手はタイヤの消耗が早いのか一気にペースダウンしてしまい、たまらずピットへ。タイヤ交換を行ったことで大きく順位を落とすことになった。
野尻選手、牧野選手、松下選手というトップ3でレース中盤に突入。この頃には雨脚が弱まり、水のある場所を選びながらタイヤをいたわる様子を見せるドライバーも出始める。
牧野選手と松下選手による2番手争いは、16周目には0.6秒まで縮まった。この2台はお互いに争いながらも野尻選手より早いペースで周回。一時は12秒以上開いていた差は、21周目には5秒を切るほどまで接近した。
その牧野選手と松下選手の争いはギャップを広げたり縮めたりを繰り返しながら終盤まで続いたが、27周目に最接近。シケインでのフルブレーキで松下選手が牧野選手に並びかけると、そのまま最終コーナーで逆転に成功して2番手に躍り出た。
そのまま松下選手は一気に野尻選手のテールに近づくと、30周目の1コーナーでアウト側から鮮やかに野尻選手を抜き去っていく。これでトップに立った松下選手は、なおもペースを緩めることなく野尻選手を引き離し、堂々のトップチェッカーを受けた。
松下選手にとって、国内トップフォーミュラ初優勝で、チームにとっても念願の初勝利となった。2位の野尻選手は3戦連続の表彰台獲得でランキングトップをキープ。3位の牧野選手は今季初表彰台となった。
フォト/石原康、遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部