JAF東日本ラリー選手権が群馬で開幕。庄司睦インプレッサが初優勝!
2022年5月6日

4月23~24日、東北・関東地区で開催されるJAF東日本ラリー選手権と、JMRC群馬ラリーシリーズが、群馬県南牧村を舞台とするネコステ山岳ラリー2022で開幕した。
2022年JAF東日本ラリー選手権第2戦
JMRC関東ラリーカップ 群馬ラリーシリーズ第1戦
ネコステ山岳ラリー2022
開催日: 2022年4月23~24日
開催場所: 群馬県南牧村
主催: NECOSTE
今年のJAF東日本ラリー選手権は本来、2月4~6日に組まれていたRally of Tsumagoiで開幕の予定だったが、同ラリーがコロナ禍の影響を受けて中止を余儀なくされたため、今回の第2戦、ネコステ山岳ラリーが事実上の開幕戦となった。今年は10月22~23日に開催予定の最終戦八子が峰ラリーまで、計5戦のシリーズとなる予定だ。
一方、JMRC群馬ラリーシリーズは今回の一戦からシリーズインとなる。ただし5月に予定されていた第2戦MSCCラリーin MIKABOが、やはりコロナ禍の影響で中止が決定されたため、こちらも当初予定から一戦減った計4戦のシリーズとなる予定だ。10/8~9に行われるチームif山岳ラリーが最終戦として組まれている。
ネコステ山岳ラリーは、今年も群馬県西部のエリアを舞台とし、ヘッドクォーター、スタート&ゴールも昨年と同じ南牧村活性化センターに置かれた。ただしSSはこれまで使われていなかった、ふたつの舗装のステージが舞台となった。当初予定の約7kmから約3kmに短縮された「渡戸道場」ステージはしっかりとした舗装路面を持つ、見通しも効くステージだが、約13kmの「御荷鉾西」ステージは前半に一部、舗装が剥がれ、地の土が顔を出す場所もあるなど、やや荒れたセクションが控える。ただし後半は整備された舗装路面が続くステージだ。
ラリーは23日早朝にレッキを行った後、正午ちょうどに南牧村活性化センターをスタート。渡戸、御荷鉾の順で走行した後にガスコンを挟んで、今度は御荷鉾、渡戸、御荷鉾とアタックしてゴールという設定で行われた。SS5本の総距離は44.79kmで、リエゾンを加えると128.06kmのルートが今回の舞台となった。昨年同様、サービスは設定されなかったため、特に荒れた部分のある御荷鉾西では、マシントラブルを抱えると致命的なロスになりかねない厳しい状況も予想された。


東日本選手権BC-1クラスには8台が参加した。SS1渡戸は後藤英隆/菅野総一郎組のランサーがベストを獲るが、最初の勝負所であるSS2御荷鉾は嶋村徳之/和氣嵩暁組ランサーがベストで上がって首位に立った。しかし2度目の御荷鉾となったSS3では、昨年、このラリーで2位に入った庄司睦/貴志祐介組のインプレッサが、嶋村組のタイムを約キロ1秒も突き離す圧巻のベストタイムをマーク。一気にトップに躍り出た。
しかしSS4渡戸では嶋村組が庄司組を2.9秒差で下して首位を奪還。最終のSS5御荷鉾にラストバトルが持ち込まれたが、ここで庄司組はSS3から僅か0.4秒落ちのタイムでフィニッシュし、再びベストを獲る。嶋村組もSS3から3.7秒詰めたが、8.6秒遅れの3番手タイムとなり、首位キープはならず。土壇場で逆転した庄司組が接戦を制した。
「渡戸線は苦手な道でダメだったんですが、御荷鉾線は自分のリズムに合いました」という庄司選手は、「荒れた箇所も見た目ほどグリップが悪くなかったので、2ループ目からは自分のリズムを崩さずに踏んでいけました」と振り返った。2008年から年に1, 2戦のペースでラリーに参戦している庄司選手は、今回が東日本戦のみならず、ラリー初優勝。「昨年のこのラリーも最終SSまでもつれて、メンタルで負けてしまったので(笑)、今年はタイムを気にせず、最後まで楽しく自分のペースで走ろうとしたのが良かったと思います」と、リベンジ達成にホッとした表情を見せた。
最終SSで逆転を許した嶋村選手は、「今日は走る度にタイムは上げられたので、自分としては頑張ったつもりですが、それ以上の庄司選手の速さに追い付けなかった。まだまだ修業ですね」と無念の一戦となった。なおこのクラス、3位にはレディスドライバーの堀江真子選手が、並み居る強豪を抑えて入賞を果たした。






今回の一戦は初優勝ラッシュが続き、BC2クラスでも、インテグラを駆った井之上優/井上草汰組がラリー初優勝を達成した。SS1から3連続ベストと快調にラリーを進めた井之上組は、SS4でMR-Sを駆る渡部弘樹/前川富哉組にこの日初めてベストを譲り、トータルでも2.5秒差まで詰め寄られたが、最終のSS5でスピンを喫しながらもベストを奪取して逃げ切った。
全日本ダートトライアル選手権で優勝経験もある井之上選手だが、今年はラリーに専念している。「御荷鉾線で“グラベル”があって助かりました(笑)。ただ、後半のしっかりした舗装区間でもタイヤに合わせた走りができたと思いますし、ペース配分のほか、メンタルも含めて色々と勉強ができたラリーでした」と、舗装が不慣れな井之上選手には、多くの収穫があったラリーだったようだ。






BC1クラスは石丸勝一/原田晃一組のデミオがSS1でベストを奪取。再走のSS3でもベストを獲って渡戸線を完全制圧するが、御荷鉾線では優勝候補の細谷裕一/蔭山恵組が速さを見せてラリーをリードする。「渡戸線では動きが良くなかったので、蔭山さんのアドバイスに沿って減衰を変えてみた」(細谷選手)という最終のSS5では、その甲斐あってヴィッツながら2WD最速となるベストタイムをマーク。石丸組を最後に大きく突き離して優勝を決めた。





群馬シリーズのクラス1は原澤潤平/磯田卓組のインプレッサと濱井義郎/本橋隆司組のランサーが、序盤から互いにベストタイムを奪い合うマッチレースを展開。SS3で濱井組を大差で下した原澤組が逃げ切るかと思われたが、SS4では濱井組が今度は原澤組に大差をつけて猛追を開始。最終のSS5でも原澤組を5.5秒上回るベストでゴールし、0.9秒という僅差で逆転に成功して大接戦を制した。
濱井選手はインテグラマイスターとして東日本地区のラリーでは速さを見せた一人だが、5年のブランクを経て、昨年、ランサーとともにラリー復帰を果たした。マシンスイッチ2戦目でランサー初優勝を飾った濱井選手は、「最後は勝負を賭けましたが、クルマが良く動いてくれたので安心して踏めました。ギャップにも対応できる懐の深い足回りになっているので、荒れた場所も対応できたと思います」と勝因を自己分析。「ようやくランサーに乗れてきた感じなので、今年は群馬戦を楽しみたいですね」と今後に向けた抱負を語った。






クラス2に勝るとも劣らぬ大激戦となったのはクラス2。0.4秒差という大接戦を制した踏みッパ/もそ組が、昨年に続いてネコステ山岳ラリーを制した。ラリーはクラス1同様に、御荷鉾SSでマージンを作った山田一雄/大内洋組のスイフトが一旦はリードしたが、SS4でベストを獲った踏みッパ組が詰め寄り、優勝争いは最終SSにもつれることに。結果は、踏みッパ組が4.5秒差で山田組を下して逆転。ホットバトルを決着させた。
「今日は水や泥が出ていて危ない路面もあって、インテグラも何度か横向きました(笑)。好きな路面じゃないけど、踏んで行ったらたまたま勝てたという感じですね。今回のラリーはMIXラリーと言ってくれた方が、自分には分かりやすかったですね(笑)」と踏みッパ選手。昨年、このラリーの優勝を足掛かりにして東日本チャンピオンをさらった実力を、今回も垣間見せた。
対する山田選手は、関東を代表するダートラドライバーだが、クラス1を制した濱井選手はじめ、同じ新潟のラリードライバー達のマシンセッティングを自らのショップで最近は手掛けている。「今年はタイヤの規定も変わったので、まずは自分のクルマでしっかりデータを取るのが今日の目的でした。色んなセッティングを試したかったので、ラリー後半に敢えてセットを変えたらそれが裏目に出た形です。でも、“今日はテストだから勝負はあきらめてくれ”、と最初からコ・ドライバーにも伝えていたので、沢山のデータが取れたことが今回の一番の収穫ですね」と次戦以降を見据えていた。






参加15台と東日本戦も含め、今回一番の激戦区となったクラス3では、山田選手が煮詰めるスターレットをドライブした田辺紘一/八巻慎太郎組が、こちらも昨年に続いてネコステラリーを連覇。新潟県勢は、地元の強者ひしめく群馬戦で今回、3クラス中2クラスを制するという速さを見せた。
SS1から3連続ベストをマークして、前半の貯金で逃げ切る形となった田辺選手は、「タイヤを変えて14インチにインチダウンして、テストもせずにぶっつけ本番のラリーでしたが、新しいタイヤを踏まえたセッティングや運転にも、まだ合わせ切れてはいないですね。これから詰めていきたいと思います」と苦戦の一戦だった模様。「去年はここで勝って調子こいてしまって(笑)、その後、連敗したので、今年は最後まで気を抜かずにチャレンジし続けたいですね」と気を引き締めていた。













フォト/佐久間健、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部
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