勝田範彦/木村裕介組が今季初優勝、シリーズランキングもトップに浮上
2022年5月12日
全日本ラリー選手権「久万高原ラリー」が、4月29日~5月1日に、愛媛県久万高原町周辺を舞台に開催された。昨年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から延期を余儀なくされた同ラリーだが、今シーズンは例年どおりの日程で開催されることとなった。
2022年JAF全日本ラリー選手権 第3戦「久万高原ラリー」
開催日:2022年4月29日~5月1日
開催地:愛媛県久万高原町周辺
主催:MAC、ETOILE、D.C.R
久万高原町郊外のハイランドパークみかわを拠点とするラリーは、土曜日に行われるレグ1に2本の林道のスペシャルステージ(SS)を3ループする6SS(61.95km)、日曜日に行われるレグ2はレグ1の逆走となるステージに2SS(43.32km)の計8SS(SS総距離105.27km)を設定。
レッキが行われた金曜日は雨と突風が吹く荒れたコンディションとなったが、ラリーがスタートする土曜日には天気が回復。両日ともドライコンディションの中で戦われることとなった。
ヘイキ・コバライネン/北川紗衣組のシュコダ・ファビアR5が開幕2連勝を果たしているJN1クラス。この日もコバライネン/北川組がSS1(美川リバース I)とSS2(柳井川 I)を連取し、順調な滑り出しを見せる。
だが、SS1のリピートとなるSS3(美川リバース II)をスタートした直後の右コーナーで右リアが土手にヒットして、サスペンションを曲げるとともにタイヤがパンク。そのままステージを走行したが、このSSでベストタイムを獲得した勝田範彦/木村裕介組に11.4秒差の7番手タイムとなり、SS2を終えて13.2秒あったマージンを一気に吐き出し、2番手の勝田/木村組に1.8秒差まで詰め寄られる。
このSS3で曲げたサスペンションのダメージが大きく、SS4(柳井川 II)ではフィニッシュまで約2kmの地点でサスペンションが大きく破損。なんとかフィニッシュはするものの、ロードセクションの走行は不可能となり、ここでレグ離脱となった。
コバライネン/北川組の脱落によりトップに立った勝田/木村組は、その後一度もトップの座を譲ることなく走破。今シーズン初優勝を遂げた。2位には、2日目のSS7でトップの勝田/木村組との差を大きく縮めながらも、最終SSとなるSS8(美川 II)でパンクを喫した福永修/齊田美早子組が、新井敏弘/田中直哉組を1.8秒差で振り切って入賞を果たした。
JN2クラスは、開幕2連勝を挙げている中平勝也/島津雅彦組が、今回も危なげないラリーを展開して全SSベストタイムをマーク。開幕戦からの連勝記録を3に伸ばした。2位にはトヨタ・スープラで参戦するAKIRA/美野友紀組が入賞した。
JN3クラスは、SS1とSS2で2連続ベストタイムを奪った山口清司/丸山晃助組がSS4でコースアウト。勝負は第2戦の唐津に続いて出場してきたレーシングドライバーの久保凜太郎/山本磨美組と、第1戦新城ラリーを制した竹内源樹/木村悟士組との一騎打ちとなった。
初日を終えて久保/山本組が竹内/木村組を9.8秒抑えてトップに立ったが、2日目のオープニングとなる21.66kmのロングSSで竹内/木村組が久保/山本組との差を一気に2.0秒差にまで詰め寄ってきた。追い込まれた久保/山本組は、最終SSのスタートから約1km地点でコースアウト。
最終SSに新品タイヤを4本投入するなど、戦略的なタイヤマネジメントを行った竹内/木村組が、最終SSの逆転劇で今季2勝目を挙げた。2位には、最終SSで山本悠太/立久井和子組を逆転した山田啓介/藤井俊樹組が入賞した。
JN4クラスは、今季いまだ勝ち星がない昨年のチャンピオン西川真太郎/本橋貴司組が、タイヤサイズを16インチから17インチにインチアップ。この作戦が功を奏したのか、ラリー序盤からトップに立ち、後続との差を広げていく。
SS6(柳井川 III)ではハーフスピン、最終SSではブレーキが厳しくなりタイムを落とすが、一度もトップの座を譲ることなく今季初優勝を獲得した。2位には、最終SSで20.4秒あった西川/本橋組とのタイム差を9.0秒差にまで詰め寄ったベテランの岡田孝一/河本拓哉組が入賞、第2戦唐津を制した鮫島大湖/船木佐知子組が3位に入賞した。
JN5クラスは、開幕2連勝の天野智之/井上裕紀子組が、今回も序盤からベストタイムを連発し、2番手につける渡部哲成/橋本美咲組に17.4秒の差をつけ、初日をトップで折り返す。
だが、上り主体となる2日目のSS7(美川 I)では渡部/橋本組が天野/井上組に15.9秒差をつけるベストタイムをマーク。天野/井上組とのタイム差を一気に1.5秒差にまで詰め寄ってくる。注目の最終SSは、セッティングを変えて挑んだ天野/井上組が、渡部/橋本組に23.9秒差をつけるベストタイムをマークして決着。天野/井上組が開幕戦からの連勝を3に伸ばした。また、SSタイムでは今シーズンから全日本ラリーを転戦している藤原直樹/中嶋健太郎組が3番手でフィニッシュしたが、ロードセクションで9分の早着ペナルティを受け、今シーズンからトヨタ・ヤリスに乗り換えた小川剛/梶山剛組が入賞した。
JN6クラスは、ラリー序盤では開幕2連勝中の海老原孝敬/蔭山恵組が、今回もすべてのSSでベストタイムを奪い、2位を3分以上引き離す速さで開幕3連勝を達成。2位争いは、序盤でベテランの中西昌人/有川美知代組と鷲尾俊一/鈴木隆司組の後塵を浴びていた佐藤セルゲイビッチ/保井隆宏組が徐々にペースアップ。SS4でブレーキに不安を抱える鷲尾/鈴木組を捕らえて3番手に、SS6ではセッティングに悩む中西/有川組を逆転し、佐藤/保井組が2位入賞を果たした。
フォト/CINQ、中島正義、山口貴利 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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