大クラッシュで二度の中断があるも、GT500はARTA NSX-GT、GT300はTANAX GAINER GT-Rが優勝

レポート レース

2022年5月18日

ゴールデンウィーク真っ只中の5月3~4日、スーパーGT第2戦が富士スピードウェイで開催。GTレース初の450kmレースとして行われ、中盤に激しいクラッシュが二件起きてレースは二回中断。GT500クラスは8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)、GT300クラスは10号車TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき/塩津佑介組)がそれぞれ今季初優勝を決めたが、規定周回不足のためにハーフポイントが与えられた。

2022 SUPER GT Round2 FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE
開催日:2022年5月3~4日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:株式会社GTアソシエイション、富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 ゴールデンウィーク恒例のスーパーGTは、少々肌寒いものの五月晴れで始まった。新緑の眩しいサーキットに早朝から2万9,000人のファンが詰めかけた3日、気温16度、路面温度23度の15時から公式予選が行われ、開幕戦優勝の14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)がQ1敗退という波乱の幕開け。

 Q2では19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)の阪口選手が自身2度目のポールポジションを獲得。24号車リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平組)の平手選手が2番手につけ、ヨコハマゴムユーザーがフロントローを独占することになった。3番手には3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)がつけた。

 GT300クラスでは、61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)の山内選手が2戦連続のポールポジションを獲得。2番手に10号車GT-R、3番手に96号車K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一組)と、開幕戦の予選トップ3が好調ぶりを見せた。またダンロップタイヤユーザーがトップ4を占める。

予選/決勝日合わせて7万3,000人のファンが富士スピードウェイに足を運んだ。エアレース・パイロットの室屋義秀選手が華麗なパフォーマンスフライトを披露して会場を盛り上げた。
3月16日に逝去されたTEAM KUNIMITSU総監督の高橋国光氏を偲び、決勝レース前に追悼セレモニーが行われた。また1番ピットには土屋圭市氏とともにグループAで駆ったSTPタイサンGT-Rや、2018年GT500チャンピオンカーのRAYBRIG NSX-GTが展示された。

 決勝日も五月晴れとなり、この日は4万4,000人のファンがスタンドやコースサイドに陣取った。前日に引き続きエアレース・パイロット室屋義秀選手によるデモフライトが行われ、会場のテンションは上がった。

 今回のレースはGTで初の450kmレースとしての開催で、給油のためのピット作業が2回義務づけられている。このピットインのタイミングをどこにするのか、各チームはさまざまな戦略を練った。

 気温20度、路面温度33度の14時30分、2周のフォーメーションラップがスタートし、14時36分に100周レースが始まった。オープニングラップでトップを奪ったのは、予選4番手の37号車KeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組)のフェネストラズ選手で、次の周には予選8番手の36号車au TOM'S GR Supra(坪井翔/ジュリアーノ・アレジ組)の坪井選手が2番手まで大きく順位を上げてTOM'Sの1-2態勢となり、3号車Zの千代選手が続いた。

 28周で36号車スープラ、34周で3号車Z、35周で37号車スープラがピットイン。中盤の43周目に39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)がピットインした直後に、アドバンコーナーでGT300車両が激しくクラッシュ。すぐにフルコースイエロー(FCY)、そしてセーフティカー(SC)導入となって隊列が組み直された。しかしクラッシュした箇所のバリアを修復するために、赤旗が振られてレースは中断。

 約25分後にレースはSC先導で再開。先頭は36号車スープラで、37号車スープラ、39号車スープラ、3号車GT-R、8号車NSXが続く順位となっていた。52周完了でバトル再開となったが、37号車スープラの宮田選手のブレーキが遅れてTGRコーナーをオーバーラン、僚友36号車スープラに接触。この隙を39号車スープラの関口選手が突いてトップに躍り出て、3号車Zの高星選手も2番手に。

 39号車スープラ、3号車Z、37号車スープラ、8号車NSX、36号車スープラの5台が接近戦を展開している中、59周目に入ったストレートで、トップの前にスロー走行するGT300車両があった。39号車スープラは咄嗟にこれをかわしたが、目の前が塞がれていた3号車Zはこれを避けきれず左のガードレールにクラッシュ。車両は大破して10回転ほどしてようやくストップ。直後にSC、そして赤旗が振られてレースは二度目の中断となった。

 クラッシュした3号車Zの高星選手は奇跡的に怪我もなく自力で車両から降り、精密検査の結果骨折もなかったが、散乱したデブリやオイルの回収、ガードレール手前にタイヤバリアを設置するといった作業に時間を要し、レース再開まで約1時間30分を要した。

 この中断により、給油のためのピットインは1回のみ、ドライバー交代もなしでOKとなった。ただしレースの最大延長時間は18時20分と定められており、18時10分にSC先導でレースが再開したが、SCランのままタイムアップでチェッカー。

 なお二度目の赤旗中断中に39号車スープラの関口選手が車両に触ったことが作業違反、再スタート時の37号車スープラには接触行為でペナルティが加算され、3番手ゴールの8号車NSXが3戦ぶりに優勝。36号車スープラが2位、12号車カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)が3位表彰台を獲得した。

3番手でチェッカーを受けたARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)が、上位2台のペナルティ降格によって優勝となった。
2位はau TOM'S GR Supra、3位はカルソニックIMPUL Z。
GT500クラスの表彰式。左から2位のau TOM'S GR Supra(坪井翔/ジュリアーノ・アレジ組)、1位のARTA NSX-GT(野尻/福住組)、3位のカルソニックIMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)。

 GT300クラスはポールスタートの61号車BRZの山内選手をコカ・コーラコーナーでかわした10号車GT-Rの富田選手が先頭に立ってレースをリードした。また21年ぶりのコンビ復活で注目された予選4番手の34号車BUSOU raffinee GT-R(柳田真孝/井出有治組)の柳田選手が15周目に96号車RC Fを抜いて3番手に上がる。

 29周目に10号車GT-Rがピットインして大草選手に、30周目に34号車GT-Rがピットインして井出選手に交代。これでトップに立った61号車BRZは38周でピットインしたがドライバー交代はせず。

 40周目のアドバンコーナー手前で22号車アールキューズ AMG GT3(和田久/城内政樹組)の和田選手が激しくクラッシュ。これでFCYからSC、そして赤旗中断に。隊列が組み直されて49周完了でリスタートすると、ピットインを引き伸ばして上位にいた車両がピットイン。これで10号車GT-Rが再びトップに立ち、2番手は34号車GT-Rで、給油に時間を要した61号車BRZは3番手となっていた。

 54周目にストレートで激しくクラッシュした車両があり、ここで再びSC、そして赤旗中断に。レース再開後に順位の変動はなく、10号車GT-Rは2019年タイ以来の優勝。富田選手は2015年第5戦鈴鹿以来久々の3勝目で、大草選手と塩津選手(ドライブせず)はうれしいGT初優勝となった。2位は34号車GT-Rで、GT-Rは1-2フィニッシュ。61号車BRZは3位でダンロップタイヤが4位まで、そして表彰台を占める結果となった。

 なおレースは、当初のレース距離の75%未満で終了したため、シリーズ得点はハーフポイントとなった。

2番手スタートからトップを奪い、レースを進めたTANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき/塩津佑介組)が勝利。
2位はBUSOU raffinee GT-R、3位はSUBARU BRZ R&D SPORT。
GT300クラスの表彰式。左から2位のBUSOU raffinee GT-R(柳田真孝/井出有治組)、1位のTANAX GAINER GT-R(富田/大草/塩津組)、3位のSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)。
レースは陽が落ちた最大延長時間の18時20分まで要したが、当初予定された100周の75%に満たなかったため、シリーズポイントは半分に。

フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ