各クラスで地元選手たちが大活躍。そしてGC8インプレッサが約20年ぶりに全日本優勝!
2022年5月18日
全日本ジムカーナ選手権第3戦が、5月7~8日に広島県のスポーツランドTAMADAで開催された。ゴールデンウィークの最終週に開催されたこの大会には、2日間合わせて約4,000人の観客が来場した。
2022年JAF全日本ジムカーナ選手権 第3戦「MAZDA SPIRIT RACING CUP in TAMADA」
開催日:2022年5月7~8日
開催地:スポーツランドTAMADA(広島県広島市)
主催:CCN、D.C.R、SLT.C
子供から大人まで楽しめるイベント広場や、第2ヒート終了後に全日本ジムカーナ選手会(AJGA)の協力で行われる同乗走行やパレードランなど、充実したイベントが用意された全日本ジムカーナ選手権第3戦。
決勝のコースレイアウトは、各クラスの決勝タイムが1分10秒台から13秒台とやや短めの設定ながらも、低速/高速コーナー、さらに低速/高速スラロームといったバラエティに富んだ設定。純粋なストレート区間がほとんどなく、ドライバーは常に横Gがかかった状態でコーナーを攻めるスリリングな大会だ。
ホームストレートとゴール前に設置されたスラローム区間は、パイロンタッチに泣かされるドライバーも少なくなかった。また、コーナーによってカント(傾斜)が異なるセクションもあり、このコースの特性を良く知るドライバーが活躍を見せる結果となった。
決勝日の天候は晴れ。第1ヒートがスタートする8時30分頃は路面温度が30度を下回っていたが、第2ヒートが始まる13時には路面温度が50度付近まで一気に上昇。第1ヒートで勝負をかけるのか、それとも第2ヒートで勝負するのか、タイヤマネジメントも難しい1戦だ。
山野哲也選手が開幕2連勝を果たしているJG10クラスは、今回もその山野選手が両ヒートでJG5クラスの優勝タイムをも超えるスーパータイムをマークする。特に多くのドライバーがタイムダウンという結果に終わった第2ヒートも、ベストタイムを0.28秒更新するなど圧巻の走りで今季3勝目を飾った。
2位にはこのラウンドが今シーズン初登場となった昨年のJG10クラスチャンピオンの織田拓也選手が入賞。3位は第2ヒートでタイムを上げてきた安木美徳選手が入賞した。
JG8クラスはTAMADAをホームコースとする小林規敏選手が両ヒートを制し、第2戦エビスラウンドに続き2連勝。2位は「勝負どころの第1ヒートで攻めきれないところがあった」という箕輪雄介選手、3位には「TAMADAならではの路面を攻略しきれなかった」という小林キュウテン選手が、それぞれ入賞した。
今シーズンからアバルト124スパイダーに乗り換えた若林隼人選手が2連勝しているJG7クラスは、第1ヒートで地元の池澤亮太選手がそれまでのベストタイムを塗り替え、トップに浮上してくる。
この池澤選手がマークしたベストタイムが、後半ゼッケンに入っても更新されない状況が続いた。だが唯一、前半セクションで池澤選手を約0.6秒上回った若林選手が、後半セクションもそのタイム差をキープして逆転を果たす。そして第2ヒートは両者ともタイムダウンに終わり、若林選手が開幕3連勝を達成した。
2位には「全日本は昨年のタカタに続き2回目です。ちなみに昨年の順位はブービー賞でした」と笑う池澤選手が全日本初表彰台を獲得。3位は次戦からGR86を投入する予定の西野洋平選手が、第1ヒートパイロンタッチというミスを第2ヒートではね除け、今シーズン初表彰台を獲得した。
ユウ選手が開幕2連勝のJG6クラス。そのユウ選手が第1ヒートでハーフスピン&パイロンタッチでクラス12番手に沈む。第1ヒートは、今季未勝利の野島孝宏選手がトップ、2番手には地元の片山賢一郎選手,3番手に梅村伸一郎選手がつける展開だ。
各ドライバーとも「路面温度が上がったせいか、路面がヌルヌルしているような感触で第1ヒートよりもグリップ感がない」と口を揃えた第2ヒートは、第1ヒートの上位3台も軒並みタイムダウン。これで勝負が決したかに思われたが、第1ヒートでハーフスピンに終わったユウ選手が「最後まで諦めずに集中しました。路面コンディションの変化に合わせて、うまくアクセルコントロールできたのが良かった」と、野島選手のタイムを0.48秒上回りフィニッシュ。逆転不可能と思われた第2ヒートで、見事な逆転勝利を飾った。
GRヤリスが台頭するJG5クラスは、ランサーエボリューションⅩの石原昌行選手が第1ヒートのトップタイムをたたき出してくるが、パイロンタッチのペナルティが加算されて幻のベストタイムに。「GW中は実家の広島県に帰りがてら、TAMADAのコースをしっかりと研究しました」という上本昌彦選手を0.07秒上回った茅野成樹選手がトップに立つ。第2ヒートは上位陣がタイムダウンに終わり、第1ヒートのタイムで逃げ切った茅野選手が、第2戦に続き今季2勝目を挙げた。
JG4クラスは、山越義昌選手が第1ヒートのトップタイムを奪う。第2ヒートは、第2戦で全日本初優勝を果たした島田昌典選手がタイムを縮めて3位に浮上。第1ヒート2番手の田中康一選手はパイロンタッチに終わり、この時点で山越選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝が確定した。
その山越選手、第2ヒートは「チャレンジャー精神が災いした」と高速スラローム区間を全開で攻め、コントロールを失い脱輪からリアセクションをクラッシュ。今季初優勝は奪ったものの、「次戦の名阪までに修復が間に合うかどうか……」という手痛い今季初優勝となった。
JG3クラスは、沖縄からエントリーの神里義嗣選手が第1ヒートのトップタイムをマーク。クラス先頭ゼッケンの神里選手は、第2ヒートでもベストタイムを縮めてくる中、第1ヒートはパイロンタッチのペナルティを受け、幻のベストタイムに終わったTARO選手がタイムを上げてきたが3番手止まり。
今シーズンの開幕戦でクラス3位を獲得した遠藤貴郁選手が2位に浮上してくるが、神里選手のタイムには届かず。第1ヒートのタイムで逃げ切った神里選手が、全日本ジムカーナ参戦12戦目で念願の全日本初優勝を飾った。
若林拳人選手が開幕2連勝を達成しているJG2クラスは、第2戦エビスラウンドで若林選手のタイムを上回っていながらもパイロンペナルティに泣いた広瀬献選手が、第1ヒートのトップタイムをマーク。2番手に若林選手、3番手には全日本初出場となる地元の中田匠選手がつける。
第2ヒートは、広瀬選手がベストタイムをさらに更新。若林選手もタイムを縮め、広瀬選手がマークした第1ヒートのタイムを上回ってくるものの、第2ヒートのタイムには0.78秒届かず。「ここで負けたら、今シーズンはかなり苦しくなる。正念場だと思って挑みました」という広瀬選手が、待望の今季初優勝を獲得した。
JG1クラスは、第2戦エビスを制した津川信次選手が第1ヒートのトップタイムをマーク。開幕戦筑波を制し、前日の公開練習でも好タイムをマークしていた菱井将文選手は、パイロンタッチのペナルティを受け、クラス6番手につける。
第2ヒートは、菱井選手と同じく第1ヒートをパイロンタッチで終えた西原正樹選手がベストタイムを更新し、トップに浮上。第1ヒートトップの津川選手は、前半区間で脱輪&パイロンタッチでベストタイム更新ならず。第1ヒート2番手の大橋渡選手が西原選手のタイムを0.36秒更新してトップに立ち、クラス最終走者の菱井選手を待つ。
その菱井選手は、大橋選手のタイムを0.6秒上まわってフィニッシュするものの、最後のスラロームセクションで痛恨のパイロンタッチ。大橋選手が今季初優勝を獲得した。ちなみにGC8インプレッサの全日本ジムカーナ優勝は約20年ぶりとなる。
併催された箱Dクラスは、第1ヒートで川脇一晃選手がトップに立つものの、ダブルエントリーの大井貴之選手が第2ヒートで逆転。2位に川脇選手、3位に2010年N1クラスチャンピオンの関口大悟選手が入賞した。
フォト/CINQ レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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