初開催のF1マイアミGP、角田裕毅選手は予選で9番手も決勝は悔しい12位に

レポート レース

2022年5月16日

2022年のFIAフォーミュラ1世界選手権は第5戦、初開催となるアメリカ合衆国フロリダ州でのマイアミGPが、5月6~8日に開催された。アルファタウリの角田裕毅選手は予選で9番手と活躍するも、決勝ではレースペースが上がらず12位に終わり、2戦連続入賞は果たせなかった。

2022年FIAフォーミュラ1世界選手権 第5戦
マイアミグランプリ

開催日:2022年5月6~8日
開催地:マイアミ・インターナショナル・オートドローム(アメリカ合衆国・マイアミガーデンズ)

 第5戦の舞台はアメリカ合衆国のフロリダ半島、南部のマイアミガーデンズのマイアミ・インターナショナル・オートドローム。アメリカンフットボールのプロリーグ“NFL”のマイアミ・ドルフィンズの本拠地「ハードロックスタジアム」の敷地内に造られた市街地コースだ。

 左回りのレイアウトで、タイトなシケインや長いストレート、さらには高速の複合コーナーなど、コースレイアウトはバリエーション豊か。しかし、市街地コースということもあり全体的に幅が狭い印象で、ひとつのミスがクラッシュにつながるリスクも高そうだ。

 20名全てのドライバーがGPウィークで初めてこの市街地コースを走行するため、参戦2年目と、まだキャリアが浅い角田選手も同条件で臨むことができた。金曜日から晴天に恵まれ、角田選手もコース習熟のためにもフリー走行1回目(FP1)から積極的な走りをみせた。

 しかし、市街地コース特有の路面が滑りやすいことや、細かなバンプ(凹凸)があることも影響して、FP1ではスピンやコースオフを喫する車両が後を絶たず、角田選手もターン8でスピンを喫する一幕もあった。18番手と後方に沈んだものの、フリー走行2回目(FP2)では13番手までポジションアップ。しかし、ここまでのGPと比べると、少々苦しい出だしとなった。

「このコースは、すごく特別な感じで、特にセクター2が好きです。特にターン11からターン16のような区間は、今までF1で走ったことがないですし、すごく楽しいです。ただ、サーキットのことについては学ばなければいけないことはたくさんありますし、予想以上に滑りやすいな、という印象で、レーシングラインからタイヤひとつ分外れるだけで、かなりグリップを失ってしまいます。現時点では他のサーキットと比べると苦戦していますが、一つずつステップを踏んでペースを上げていきたいと思います。予選に向けてチームとともに、さらに頑張りたいと思います」(FP2終了後の角田選手のコメント)

 土曜日もひき続きドライコンディションとなったが、各ドライバー初経験のサーキットに苦戦しており、クラッシュにより赤旗中断となるなど、波乱含みのフリー走行3回目となったが、着実にコースの特徴の習得を進めた角田選手はトップから1.3秒差の11番手で、全てのフリー走行を終えて予選に臨んだ。

 予選では3回のフリー走行で積み上げてきたものが、勝負どころで原動力となり、Q1ではトップから約1秒差の8番手で突破。続くQ2でも1分30秒031を叩き出し、チームメイトのピエール・ガスリー選手より上の9番手でQ3進出を果たした。

 最終セッションとなるQ3では、ガスリー選手のタイムには届かなかったものの、1分29秒932と自己ベストタイムをさらに更新して9番グリッドを獲得。金曜の走り出しから比べると、大きく進歩した結果を掴んだ。

「今日の予選の結果はとても嬉しいです。当初はQ3進出を目標に掲げていましたが、週末の走り出しで苦労をしていることを考えると、達成するのは簡単ではないな、と思っていました。今日は良い挽回ができて、予選では最大限のパフォーマンスを出せたと思います。もちろん、決勝レースも楽しみではありますが、少し暑くなりそう。そうすると僕たちには苦しくなってしまいます。だけど、ポイント獲得を目指して、レース中は攻めていきたいです」(予選終了後の角田選手のコメント)

 迎えた日曜日、57周の決勝のスタートで、角田選手は順位をひとつ落としてしまう。さらにレースペースを上げることができずに後続の追撃を受けて、6周目には12番手まで後退してしまった。

 11周目に先陣を切ってピットに飛び込み、フレッシュなハードタイヤに履き替えて流れを変えようとするが、順位も下げてしまうことになり、レース中盤では18番手まで後退する我慢の展開となった。

 2度目のピットインでソフトタイヤを履いた終盤に入って、少しずつポジションを上げていくが、時すでに遅し。ファイナルラップで12番手まで追い上げたところでフィニッシュ。予選での好調から一転、ポイントを獲得できない悔しいGPとなった。

「とても悔しい1日となりました。1周目にペースが上がらず苦戦してしまい、何台かに追い抜かれてしまいました。そこから、残りの周回で挽回することができましせんでした。今週末に関しては、FP1から比べて、クルマに対して自信を持つことができたことは良かったですが、今日は思うようなパフォーマンスが出せず、フラストレーションが溜まる日となってしまいました」(決勝終了後の角田選手のコメント)

予選で9番グリッドを獲得するも、決勝ではペースが上がらず順位を落とした角田裕毅選手(アルファタウリ)。41周目、2度目のピットインでソフトタイヤに交換して追い上げる作戦に出たが、12位と入賞を果たせなかった。

 優勝争いに目を向けると、予選ではシャルル・ルクレール選手がポールポジション、カルロス・サインツ選手が2番グリッドと、フェラーリの2台がフロントロウを独占。角田選手と同じ、レッドブル・パワートレインズのパワーユニットを積むレッドブル勢はマックス・フェルスタッペン選手が3番グリッド、セルジオ・ペレス選手がその後に続いた。

 フェルスタッペン選手はスタートでサインツ選手をかわすと、ホールショットを決めて逃げるルクレール選手を猛追、9周目のターン1でトップ奪う。終盤、セーフティカーの出動を活かしたルクレール選手が迫るも退けて、今季3勝目を挙げた。

 センサーのトラブルに苦しんだペレス選手は終盤、サインツ選手を攻めたてるが攻略はならず、スタート位置から変わらず4位を獲得。角田選手のチームメイト、ガスリー選手はアクシデントによってリタイアとなった。

 第6戦は5月20~22日。ヨーロッパに戻り、開幕前のテストでも走行したカタロニア・サーキットでのスペインGPだ。角田選手は昨年、リタイアを喫しているだけに、入賞を果たしてリベンジ達成に期待したい。

3番手スタートから逆転優勝を果たしたマックス・フェルスタッペン選手(レッドブル)。熾烈なチャンピオン争いでは、この今季3勝目でランキングトップのシャルル・ルクレール選手に19点差まで迫った。

フォト/ホンダ・レーシング、Red Bull Content Pool レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部

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