FS-125部門、FP-3部門ともに初優勝に沸いた東地域。落合蓮音選手と春日龍之介選手がそれぞれ1勝目!

レポート カート

2022年5月19日

埼玉県・GOLDEX本庄モーターパークで開催された全日本カート選手権東地域第2戦。FS-125部門では13歳のルーキー落合蓮音選手(Formula Blue Ash)が独走で初優勝。FP-3部門では同じく13歳のルーキー春日龍之介選手(SPS川口)が大混戦を制して1勝目を飾った。

2022年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 東地域第2戦
2022年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 東地域第2戦

開催日:2022年5月14~15日
開催地:GOLDEX本庄モーターパーク(埼玉県本庄市)
主催:T.KBF

 全長1kmオーバーのGOLDEX本庄モーターパークは、自動車やバイクのスポーツ走行などにもミニサーキットとして使われているコースだ。大会当日、午前中のサーキット上空は全面薄い雲に覆われていたが、午後からは雲が切れて日差しがコースに降り注ぎ、初夏らしい暑さとなった。

 前半は2本の長いストレートをヘアピンでつないだ超高速セクション、後半はヘアピンとコンビネーションコーナーが連続するテクニカルセクション。スリップがよく効く上、コース幅が広くてラインの自由度が高いため、レースは大集団での接近戦になりやすい。「いつ、どこで前に出るか」が大切な頭脳戦の様相も呈する。

 FS-125部門は出走15台。15周の予選では、タイムトライアルトップの加納康雅選手(TIGRE)がトップ走行中のエンジントラブルでリタイアを喫し、代わって先頭に立った落合選手が、豊島里空斗選手(HRTwithカローラ新茨城CSI Racing)を真後ろに従えたまま走り切って決勝のポールを手に入れた。3番手は単独走行でゴールした中井陽斗選手(TEAM EMATY)だ。

 25周の決勝は意外な展開となった。落合選手が背後に若干のギャップを築いてオープニングラップを終えると、その後方で2番手争いがヒートアップ。これに乗じて落合選手はぐいぐいとリードを広げ、5周で2.7秒ものアドバンテージを得たのだ。

 セカンドグループでは中井選手と豊島選手が順位を下げ、宮本颯斗選手(Teamぶるーと)と成宮柊磨選手(Team REGOLITH)が大集団を抜け出してタンデム走行に。そこに14番グリッドから猛追の加納選手が追いついてくる。

 2.5秒ほどでしばらく保たれていたトップ落合選手と2番手加納選手の間隔は、10周を過ぎるとじわじわと縮まり始め、15周目には2秒をカット。落合選手の独走状態に変わりはないのだが、そのワンサイドゲームにはかすかに暗雲が漂い始めた。

 しかし、レースが終盤戦に入るとセカンドグループの戦いが再燃。これで落合選手のリードが改めて広がった。後続を3秒以上も引き離した落合選手は、最終ラップの最終コーナーを立ち上がると高々とナンバー1サインを掲げてフィニッシュ。2020年にはジュニア選手権FP-Jr部門を、2021年には地方選手権・鈴鹿選手権シリーズを制して順調にステップを駆け上がってきた落合選手が、全日本でも2戦目で初勝利を遂げた。

 一方、セカンドグループの戦いは最後まで白熱。再びペースを取り戻した豊島選手が、成宮選手に替わって2番手争いに加わり、残り4周で宮本選手と加納選手の競り合いの隙を突いて一気にふたつ順位を上げて2位を獲得、ルーキー勢の1-2フィニッシュとなった。豊島選手の後ろでは3台が一丸となってゴールラインになだれ込み、宮本選手が3位をつかみ取って2年目のFS-125部門で初めての表彰台に立った。

 加納選手は表彰台に0.071秒及ばず4位に留まったが、10ポジションアップでレースの盛り上がりの立役者に。5位の成宮選手もFS-125部門2戦目で表彰台争いに加わって速さをアピールした。

ポール・トゥ・ウィンを果たした落合蓮音選手は、「今年に入って優勝から遠ざかっていただけに、全日本選手権で勝てたことはすごくうれしいです」と、意味のある優勝だったとコメント。昨年までの西地域から、東地域へ主戦場を変えての参戦となるが、「今回も今までやったことがないくらい作戦や対策を練り、昔の動画を観ながら抜かれるところをチェックして、自分なりの走りを考えました」と語り、続けて「次のSUGOも走ったことのないコースなんですが、動画を観る限り高低差が激しくて自分の得意そうなコースに感じます」と次戦表彰台獲得に向けて奮起している様子だ。
2位は豊島里空斗選手、3位は宮本颯斗選手。
FS-125部門表彰の各選手。

 独走で決着したFS-125部門とは対照的に、FP-3部門の決勝は目のくらむような大混戦となった。25周のレースが始まると、スタートで春日選手がポールの大越武選手(BEMAX RACING)をかわしてトップに浮上。2周目には富下李央菜選手(Formula Blue TKC)が先頭に。そこに鈴木太郎選手(チャリ走RacingSpirits)が8番グリッドから強烈なスピードで追いつき、トップ争いに参画。10番グリッドの小野大地選手(チームTKC)も先頭集団に加わっている。

 トップの座は折り返し点を過ぎても二転三転。蒲生尚弥選手(のりものクラブTIGRE)も先頭集団に割り込んできた。19周目、富下選手が再びトップに立つと、背後のバトルに乗じて0.6秒ほどのリードをつかむ。だが、残り3周で鈴木選手が富下選手のテールをつかまえ、それに蒲生選手と春日選手も続く。最後の優勝争いは4台一丸だ。

 残り2周、春日選手が鈴木選手をパスしてトップの富下選手の真後ろにつける。最終ラップ、1コーナーで春日選手が先頭に出た。これに続こうとする2選手と富下選手の攻防が熱を帯びたことで、春日選手は背後のプレッシャーから解放された。ウィナーは春日選手。ジュニア選手権上がりの新鋭の初優勝だ。

 一方、2位争いはゴールの瞬間まで混迷。最終ラップの最終コーナーで鈴木選手と蒲生選手が富下選手をかわし、さらにチェッカー目前で蒲生選手が鈴木選手に先行して2位を獲得した。タイムトライアルでもトップを獲って速さが光った鈴木選手は、3位フィニッシュで2019年以来の表彰台獲得だ。もつれ合う2位争いに乗じて、大越選手も順位を上げて4位に。最終ラップを先頭で迎えた富下選手は5位でレースを終えた。

「全日本に上がってレベルも高くなったんで、そこで勝ててうれしいです」と言う春日龍之介選手。「一時は4番手まで下がっちゃって、富下選手もあんなに離れていくとは思っていなくて……。ヤバいと思ったけれど、そこから挽回するために1台ずつ抜いていきました。また鈴木選手が仕掛けてくれたおかげで自分もトップに追いつけました。とくに富下選手とのバトルは、ブロックしながらのレースになるとキツくなると思い、最終ラップに勝負をかけました。インに飛び込んで勝てたのがよかったです」と思惑通りトップチェッカーを受けた。
2位は蒲生尚弥選手、3位は鈴木太郎選手。
FP-3部門表彰の各選手。

 同時開催のジュニア選手権東地域第2戦。FP-Jr部門は松井沙麗選手(BEMAX RACING)、岡澤圭吾選手(HRT with カローラ新茨城CSI Racing)、酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)の3台による優勝争いとなった。最終ラップの最終コーナーを先頭で立ち上がった松井選手は、優勝を確信して拳を突き上げる。だが、そこからの加速で酒井選手が松井選手に並びかけ、2台は横一線でフィニッシュ。勝利は鼻の差で酒井選手の手中に落ちた。

 2連勝を逃した松井選手は、フロントフェアリングのペナルティとプッシングのペナルティを課されて4位に降格。2位は岡澤選手、3位は横山優之介選手(SPS川口)のものとなった。

 FP-Jr Cadets部門は、坂野太絃選手(EDO Marine Racing Team)と関口瞬選手(TECORSA)のマッチレースとなった。4周目から13周目まで先頭をキープしたのは関口選手。だが、ポールスタートの坂野選手は残り2周で狙い通りにトップを奪い返すと、関口選手のチャージに耐え切ってバンザイフィニッシュ。これまで何度となく惜敗の涙をこぼしてきた坂野選手が、2年目にしてついに初優勝を果たした。

 関口選手は0.226秒差の2位。3位にはセカンドグループを抜け出した前戦のウィナー、松居寿來選手(ガレージC)が入賞した。

優勝の酒井龍太郎選手は「今年は1回も勝てていなかったので、今回初めて勝つことができてよかったです」と胸を撫で下ろした。「前半はそんなに仕掛けずに後半にいこうと思っていたんですが、後半ちょっとキツくなっちゃって……大変でした。次は余裕を持って勝てるような状況をつくっていきたいです」と次戦の抱負を語った。
2位は岡澤圭吾選手、3位は横山優之介選手。
FP-Jr部門表彰の各選手。暫定3位の松井沙麗選手はペナルティで降格、横山選手が3位となった。
「めちゃくちゃうれしかったです」と初のジュニア選手権での勝利に喜ぶ坂野太絃選手。関口瞬選手に先行されていたが「最初の方に仕掛けるとやり合っちゃって後ろが追いついてくると思ったので、ラスト2周か1周で抜こうと思って我慢していました」と作戦の内を明かした。「次のレースも絶対勝ってチャンピオンを獲ります」
2位は関口瞬選手、3位は松居寿來選手。
FP-Jr Cadets部門表彰の各選手。

フォト/JAPANKART、長谷川拓司 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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