熱戦のOKAYAMAチャレンジカップレースは各レースで好バトルが連発!
2022年5月24日
岡山国際サーキットで2月に開幕した2022年のOKAYAMAチャレンジカップレースは、早くも5月15日にシリーズ第3戦を迎えることとなった。晴れ間こそ見られなかったが、崩れそうな天候も好転、終日ドライコンディションが保たれた。このレースウィークには今季初開催となるYaris Cupを含む5レースで覇が競われた。
2022 OKAYAMAチャレンジカップレース第3戦
開催日:2022年5月15日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:株式会社岡山国際サーキット、AC
スケジュールの変更を余儀なくされていたTOYOTA GAZOO Racing Yaris Cupは、西日本シリーズとしては第3戦目にしてようやく今年最初のレースが開催された。
2組に分けられた予選に臨んだのは51台で、そのうち44台が決勝レースに進む。A組トップは神谷裕幸選手で、ただひとり2分を切った。B組トップは昨年の第4戦鈴鹿で優勝経験を持つ森口優樹選手で、2分を切れなかったため、ポールポジション(PP)は神谷選手の掌中に収まった。
「コースレコードを狙っていたんですが微妙に届きませんでした。路面がサラサラしていてあまりグリップしなかったんですが、1周行くのをやめた後に若干フィーリングが良くなったので、行けるかなと思ったんですけど……、それがちょっと残念です」と神谷選手。コンマ02秒足りなかっただけに、残念だというのは間違いなく本音のはずだ。
決勝では神谷選手のスタートダッシュが鋭く、先頭で1コーナーに飛び込んでいく。その少し後方で予選3番手の廣島嵩真選手が森口選手に並ぶも、順位の入れ替えはなし。そして早々に神谷選手と廣島選手、水野大選手によるトップグループが形成される。
ここからは生き残り合戦だ。まず2周目に廣島選手がオーバーランで遅れ、4周目には水野選手も前の2台に離されてしまう。トップ2台の死闘は最後まで続くも、辛くも神谷選手が逃げ切りに成功する。意外にもYaris Cupでは初優勝で、「タイヤが食わなくてキツかったのですが、自分も苦しいなら後ろもきっと苦しいだろうなと。今までなかなか勝てなかったので、一安心って感じです」と神谷選手。
そしてCVTクラスでは目出し帽選手が優勝し、コンソレーション(予選落ちドライバーによるレース)では7台での争いを梅比良元宣選手が制している。
岡山と鈴鹿を舞台とするNゼロVitz関西シリーズはこれが第2戦となる。開幕戦ウィナーの三浦康司選手を僅差で従え、PPを獲得したのは三谷明正選手だった。
「思ったよりもいいタイムが出て、チームの人がきっちりと合わせてくれたので安心して走れました。でも強力な方が後ろにいるので……」と語る三谷選手に対し、三浦選手は「内圧を間違えてしまいました。でも、決勝ではスタートを見ていてください」と逆襲を宣言。
まさに有言実行となった。スタートを決めた三浦選手は1コーナーまでに逆転してトップに浮上。三谷選手とともにオープニングラップを終えた時点で、坂野貴毅選手以下を引き離して一騎討ちを繰り広げることとなった。
三谷選手も遅れることなくしきりにプレッシャーをかけ続けるも、三浦選手はそれに屈しない。最後までトップを守り抜いて三浦選手は開幕2連勝を果たすこととなった。
「予選のタイムを見ていて前に出ないと抜けないと思っていたので、スタートに全集中で(笑)。三谷選手がクリーンないいレースをしてくれたので、今日はうれしい勝利です」と三浦選手。3位は終始、単独走行だった坂野選手が獲得した。
鈴鹿発祥のフォーミュラEnjoyは、2018年に岡山でも特別戦が組まれ、正式にシリーズに含まれるようになって3年になる。その岡山での今年最初のレースでPPを奪ったのは、前回の鈴鹿第2戦で初優勝を飾ったばかりの小嶋禎一選手だ。
最後にベストタイムを出してきたのは「一回も皮剥きをしていないニュータイヤで走ったので、皮が剥けるまでに時間がかかりました」とのこと。これに続いたのは、開幕戦ウィナーの山崎一平選手。小嶋選手に僅差で続いたはずが、四輪脱輪によってベストタイムは採択されず。それでもセカンドベストタイムで2番手をキープしていた。
決勝では好スタートを切り、1周だけで後続を1秒離してきた小嶋選手だったが、2周目からのペースは完全に山崎選手の方が上回り、間もなくテール・トゥ・ノーズに。そして4周目のホームストレートで山崎選手はトップに立ち、その後は小嶋選手と大川文誠選手が競い合う間に逃げ切りを果たすこととなった。
「予選の最後、最終コーナーを失敗していなかったら……という心残りがありましたので、決勝はうまくいって良かった。今季2勝目、ありがたいです」と山崎選手。敗れた小嶋選手ではあったが、56歳以上のドライバーを対象とするマイスターズ・カップでは連勝となった。
3台での戦いとなったスーパーFJは、妹尾俊郎選手、太田浩選手といったベテランを抑え、松田大輝選手がPPを獲得。余談だが、松田選手の父親は元GTドライバーで、ドライビング・スタンダード・オブザーバーを務める松田晃司氏だ。
「最初のうちは手応えがなかったので、途中から70%ぐらいでずっと走っていました。最後にいちばんの手応えが来たので、頑張ってみたらベストタイムが出ました」と松田選手。
しかし、その松田選手はスタートに出遅れ、妹尾選手ばかりか太田選手の先行も許してしまう。それでも3周目の1コーナーで2番手に浮上した後、妹尾選手の背後にも追いついてじっくり逆転のチャンスを待つ。8周目のアトウッドでインを差していったんはトップに立つも、続くヘアピンで妹尾選手は再逆転。だが、10周目の1コーナーで再度訪れた後期を逃すことなくとらえた松田選手がようやくトップに立つと、そのまま逃げ切って初優勝を飾ることとなった。
「スタートは自分の下手くそさにガッカリしました(苦笑)。もっと空転すると思って半クラの時間を長くしたんですが、気がついたら2台とも横にいて、慌ててクラッチをつないだんですけど大ミスです。お二方ともクリーンなレースをしてくれたのでバトルの勉強ができました。この経験を今後に活かします!」と松田選手。
同じ週末にFCR-VITAやKYOJO CUPが富士で開催されたこともあり、普段よりも少なめの16台のエントリーとなったWEST VITA。その予選でPPを奪ったのは、開幕戦を制している小川涼介選手だった。
「ミスしてしまって目標とするタイムには入れることはできなかったんですけど、なんとか最後に持ち直してタイムが出せたので、結果としては良かったと思います」と小川選手。2番手には関正俊選手、3番手には長田茂久選手がつけていた。
決勝では長田選手が好スタートを切って関選手をかわすも、小川選手には届かず。一方、早々とピッチを上げた小川選手は、1周目を終えた段階で後続に対して1秒の差をつけていた。2周目の1コーナーでは関選手が長田選手を抜き返し、その後方でもヘアピンで下垣和也選手が清水康友選手を抜いて4番手に浮上。
そんな激戦を知る由もなく、小川選手はそのまま逃げ続けていった。ラスト2周こそペースを抑えたものの、それまでのラップは実にコンスタントに刻み続け、小川選手は2勝目をマークした。
「スタートはちょっと失敗してしまったんですけど、トップを守れてペースも良かったので、序盤で差をつけることができました。以前ダメだった部分は改善できたので、いいレースになったと思います。このままの調子で次も頑張ります」と、19歳のウィナーは静かに語った。
フォト/遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部