F1スペインGP、角田裕毅選手は予選の遅れを挽回、今季3度目のポイント獲得!
2022年5月26日

2022年のFIAフォーミュラ1世界選手権に参戦中のアルファタウリの角田裕毅選手。第6戦のスペインGPでは、フリー走行と予選で車両のバランスに苦しんだが、決勝は10位でフィニッシュ、今季3度目のポイント獲得を果たした。
2022年FIAフォーミュラ1世界選手権 第6戦
スペイングランプリ
開催日:2022年5月20~22日
開催地:カタロニア・サーキット(スペイン・バルセロナ)
第6戦、スペインGPの舞台となるのは長年のF1開催実績を誇る、バルセロナ郊外に建つカタロニア・サーキット。GPウィークは終日晴天に恵まれ、角田選手は金曜日午前中のフリー走行1回目(FP1)で10番手につけた。しかし、午後のフリー走行2回目(FP2)ではFP1より0.6秒タイムを上げたが14番手に終わった。路面温度が50度近くに達したことが、苦戦の原因となっていたようだ。
「現時点では、クルマの状態に満足がいっていません。翌日までにやらなければいけないことがたくさんありますが、それが出来れば、予選Q3に進むことができると思っています。まだ予選までにプラクティスが残っているので、そこで流れを変えられればなと思っています。トラブルもなくスムーズにきているので、日曜日の決勝レースでポイントを獲れるように引き続きがんばります」(FP2終了後の角田選手のコメント)
しかし、角田選手は土曜日も満足できる車両に仕上げることができなかった。午前中のフリー走行3回目(FP3)では1分21秒449で15番手。チームメイトのピエール・ガスリー選手もトラブルにより、タイムを残すことができず、チームとして芳しくない流れになっていた。
それでも、午後の予選での角田選手はQ3進出を目指して、底力を見せた。Q1は中団グループの順位が目まぐるしく変わる接戦の展開となったが、FP3からさらにタイムアップして1分20秒707を記録。12番手に食い込んでQ1突破を果たした。その勢いでQ2ではさらにコーナーを攻めたてたが、10番手にはわずか0.3秒届かず13番手となり、ノックアウトとなった。目標としていたポジションには届かなかったが、車両のバランスに関しては金曜より改善ができた、と前向きなコメントを残した。
「今日は、このクルマが持っているものを限界まで引き出せたと思います。そこについてはハッピーです。昨日のFP1の状況からはだいぶ良くなったと思います。前回のマイアミと比べて、ここバルセロナでのペースには本当に苦労していました。だから、Q3進出は実際のところ厳しいだろうと思っていました。チームにとってベストな週末にはなっていませんが、一致団結して明日のレースに臨みたいと思います」(予選終了後の角田選手のコメント)
日曜日の決勝も、南欧に降り注ぐ日差しによって暑い中でのレースとなった。しかし、角田選手は土曜までと変わらず、持てる力を全て出し切って前のライバルを追いかけていく走りを披露。スタートでは混戦の中で順位を2つ上げると7周目には10番手、入賞圏内に浮上した。
このGPでは、コースオフやスピンをする車両が多かったが、角田選手はミスのない確実な走りを続けた。11周を終えたところで最初のピットストップを行いミディアムタイヤに交換すると、28周目には8番手まで順位を上げた。32周目には2回目のピットストップでソフトタイヤを装着。52周目にもう一度ピットに向かい、最近では珍しい複数回のタイヤ交換を行ったがなんとか入賞圏内を死守、13位のガスリー選手より上の順位である、10位で1ポイントを獲得した。
「今日はものすごくタフなレースでした。クルマの中はすごく暑かったですし、その状況下でポイントをかけて、ずっとバトルをしていた感じでした。すごくプレッシャーもありましたが、今日の自分のパフォーマンスと、獲得できた順位には満足しています。今週末は、マシンのフィーリングが良くなかったので、こうしてポイント争いに加われたことは良いステップになりました。ただ、中団争いの上位にいるには、まだ課題はあります」(決勝終了後の角田選手のコメント)

優勝争いは、金曜日からフェラーリのシャルル・ルクレール選手が好調。3回のフリー走行と予選を制してポールポジションを獲得した。ルクレール選手と王座を争う、レッドブルのマックス・フェルスタッペン選手がフロントロウに並び、ルクレール選手の相棒、カルロス・サインツ選手が3番グリッドを獲得。そして、苦戦が続いていた昨年のコンストラクターズチャンピオン、メルセデスのジョージ・ラッセル選手が復調の兆しを掴んだか、4番グリッドにつけて66周の決勝スタートを迎えた。
ホールショットを決めたルクレール選手に対して、フェルスタッペン選手は9周目のターン4でコースオフを喫し、4番手に転落。独走態勢を築いたルクレール選手だったが、27周目に突然スローダウン。パワーユニットのトラブルでリタイアとなってしまった。
36周目、セルジオ・ペレス選手にフェルスタッペン選手が続く1-2体制を築いたレッドブル。37周目にペレス選手が2度目のタイヤ交換に向かい、フェルスタッペン選手がトップに浮上。ペレス選手も2番手でコースに戻り、1-2体制は保たれた。万全の体制を築いたレッドブルは今季2度目の1-2フィニッシュ。フェルスタッペン選手は第4戦から三連勝、王座争いでもルクレール選手を逆転、6点差でトップに立ち、コンストラクターズランキングでもレッドブルはフェラーリを逆転してトップになった。
翌週は第7戦、伝統のモナコGP。昨年はモンテカルロ市街地コースでも苦戦を強いられて、16位に終わった角田選手。今季はカタロニア・サーキットで見せた成長した走りを続けて、連続得点を果たすことに期待したいところだ。


フォト/本田技研工業、Red Bull Content Pool レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部