エビス新南コースで、東北地区戦が初開催!
2022年6月2日

2022年JAF東北ダートトライアル選手権のシリーズ第3戦が、5月22日、福島県のエビスサーキットで開催された。
2022年JAF東北ダートトライアル選手権 第3戦
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2022年福島県ダートトライアルシリーズ
SiFダートトライアル2022
開 催 日: 2022年5月22日
開催場所: エビスサーキット新南コース(スライドパーク) ・福島県二本松市
主催: SiF
今年のJAF東北ダートトライアル選手権は全7戦のシリーズが組まれている。メインの会場となるのは、青森県のサーキットパーク切谷内と福島県のエビスサーキットで、この2会場で各3戦が行われる。開幕戦は栃木の丸和オートランド那須ですでに3月に開催済みだ。
今回の第3戦は今年のエビスでの初戦となったが、注目はやはり、新南コース(スライドパーク)で初めて開催される一戦だということだろう。東北地区戦の南東北ラウンドを受け持ってきたエビスのダートトライアル競技会は、昨年までは西コースで開催されてきたが、今年は3戦すべてが、この新南コースで開催される予定だ。
新南コースは、昨年までD1グランプリ等も開催され、“ドリフトの聖地”として知られた南コースを全面的に改修したもの。従来の舗装路面を剥がして砕いた材を敷いて、低μの路面に変える形としているが、新たに土や砂を入れることは一切行っていない、という。旧南コースのレイアウトを一部残しつつも、観客スタンド前の部分は一面の広場として、パイロン等で自由にコースアレンジが可能な形へと変更している。



今回は朝から雨が降り続き、コースの一部には水溜まりもできる、あいにくのコンディションの中、競技は始まった。雨は第2ヒートに入っても降り続いたが、そうしたコンディション下、ほとんどのドライバーはタイムアップを果たした。ダートトライアルコースは、雨の場合はコースが荒れて1本目勝負となることも多いが、新南コースについては、やはり舗装ベースの路面ゆえ、独特のグリップがあるようだ。今後、本格的なドライコンディションでの各選手の走りにも注目していきたいところだ。




最初の決勝クラスとなったS0クラスは、2輪駆動の AE 車両・PN 車両と 、1500cc 以下の N/SA/SAX 車両が対象のクラス。青森から工藤清美選手が駆けつけたほか、地元福島の佐藤秀昭選手も顔を見せ、全日本の強豪ドライバーの参戦で盛り上がった。
第1ヒートは全日本の本番車のフィットを持ち込んだ工藤選手が1分45秒347という、このヒート、2WD総合ベストとなるタイムをマークするが、第2ヒートに入るとZC33Sスイフトを駆った秋田のテクニシャンで、全日本優勝経験も持つ竹村由彦選手が1分41秒113で工藤選手の暫定ベストを塗り替える。続いて出走の工藤選手も41秒台に乗せてくるが、0.8秒届かず、2番手。竹村選手が逃げ切った。
今季初優勝を飾った竹村選手は、「1本目は途中でエンジンが吹けなくなって2本目は不安を抱えてスタートしましたが、何とか大丈夫でした。2本目は1本目で姿勢が乱れた所は全部抑えて走って、初めての割には意外と思い通りに走れましたね。8の字のパイロンも久しぶりだったので(笑)、新鮮でした」と振り返った。
新南コースの印象については、「秋田で言うところの、“あま雪”に似ているというか(笑)、湿り気のあるベタベタした雪の上を走る感じに近かったですね。2WDの人は皆、レインタイヤで行ったので僕も合わせたんですが、砂利が深い所もあったので今日のようなコンディションなら、2WDはドライタイヤの出番はないかな、と僕は思います。ただ路面はこれから皆が走り込む事でさらに出来上がってくるでしょうから、その辺も見ながら走っていく形になるでしょうね。今日はコースレイアウトも面白くて楽しめました」と語った。





続くS1クラスは、2輪駆動の N/SA/SAX/SC 車両と、 1600cc以下の4輪駆動のN車両が対象となるクラス。第1ヒートはミラージュを駆る地元福島の中山祐太郎選手が1分45秒513をマークしてトップで折り返すが、第2ヒートに入るとクラスファーストゼッケン、秋田から遠征してきた立川敬士選手のシビックがいきなり1分45秒148で逆転し、仕切り直しとなる。
中山選手もさらに43秒964までタイムを上げ、すかさずトップを奪い返すが、後続、岩手の菱谷克幸選手のインテグラが、「1本目はかなり皆と違うラインを走ってしまったので、2本目は掃けてラインができている路面を狙いました」という走りで、中山選手を0.078秒、凌いでゴールする。東北地区戦でもお馴染みの全日本ドライバー、関東の佐藤史彦選手の2WDインプレッサが最後にアタックしたが、44秒の壁は破れず。菱谷選手が今季待望の1勝を手にした。
「パイロンは苦手なので、2本目は特に慎重に走って何とかまとめられた感じでしたね」と言う菱谷選手は、やはり今回、レインタイヤを装着。「コースの上の方はザクザクでしたが、下の方は硬い舗装が出ている所もあったので、タイヤ選択は迷いましたが、自分のクルマが掻きやすいということと、コントロールのしやすさを重視して2本目もレインタイヤとしました。正解だったとは思います」と振り返った。なお、このクラスは参加した6台が1.5秒の間にひしめくという大接戦となった。この新南コースでは、今後も激戦が展開されそうだ。





4輪駆動の N/SA/SAX/SC 車両が対象のS2クラスは、今回最多の10台がエントリーする激戦区となった。1分37秒074のタイムで第1ヒートをトップで折り返したのは赤羽政幸選手で、同じく37秒台に入れた川村永二選手が続き、関東から遠征の全日本組の二人がまずは1-2を形成する。
2台はともに第2ヒートでは1分36秒台に叩き込んで今度は川村選手が赤羽選手を従えてトップに立つが、ここで意地を見せたのが地元東北勢。まず岩手の遠藤誠選手が34秒988をマークして一気にベストを塗り替えると、秋田の加藤琢選手がパワーステアリングのトラブルを抱えながらも、遠藤選手のタイムを1秒以上も更新する33秒856でゴールする。ラストゼッケンの宮地雅弘選手が関東勢の首位奪還を狙ってトライするが及ばず、加藤選手が記念すべき新南コース初代オーバーオールウィンを飾った。
「今日は、細かいことを考えずに一生懸命走ったら勝てたという感じです。パワステは高回転では効いたんですが、低回転ではダメで丁寧な運転をしないと曲げられなかったので、それが逆に良かったのかもしれませんね(笑)」と振り返った加藤選手。タイヤ選択については第2ヒートではドライタイヤに変えて走った。
「地元の切谷内でも、硬い所は濡れていてもドライで行った方がフィーリングが良かったので、ここも同じような路面だったら一緒かなと思って試してみたら、良かったんですよ。特にその1コーナーの先が直線だったので、ドライを選択したのが大きかったと思います。上の方のザクザクした所でも、特に問題はなかったです」と加藤選手。
関東勢最上位の3位に入った川村選手は、「下地が硬いし、大きなギャップもないということで」、両ヒートともドライタイヤを選択した。「ただ、ここはタイヤというよりは、結構、ドライバーの腕の勝負になるような気もしますね。関東勢は、オートランド千葉を走り込んだ選手も多く、パイロンダートラにも慣れているので、ここも十分、勝負できる。ぜひ挑戦してほしいですね。僕も、今日はあと2つくらいパイロンがあったら勝てたと思います(笑)」と、NEWコースをすっかり楽しんだ様子だった。


















フォト&レポート/JAFスポーツ編集部