シリーズ折り返しの4戦目は地元北海道のドライバーたちが活躍!

レポート ダートトライアル

2022年6月3日

舞台を北海道へ移した全日本ダートトライアル選手権は、今回がシリーズの折り返しとなる第4戦。5月28~29日にオートスポーツランドスナガワのダートトライアルコースにて開催された。

2022年JAF全日本ダートトライアル選手権第4戦「北海道ダートスペシャルinスナガワ」
開催日:2022年5月28~29日
開催地:オートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコース(北海道砂川市)
主催:AG.MSC北海道

 北海道の札幌市と旭川市のほぼ中間に位置する砂川市。オートスポーツランドスナガワは市内西側を流れる石狩川の広大な河川敷に設置されており、そのダートトライアルコースはクラスによっては最高速が170km/hを超えることもあるという、全国でも屈指のハイスピードコースとなっている。

 今回は決勝前日までに降った大雨の影響により、コースの一部にウォータースプラッシュのような大きな水たまりが残るウェットコンディションとなった。また第2ヒートになると、このコースでは名物とも言われている大きなギャップが選手たちを苦しめ、多くのクラスで第2ヒートの逆転劇が繰り広げられた。シリーズ前半3戦を終えて折り返し地点となる第4戦。シリーズタイトルの行方を占う上でも重要な1戦となった。

古くから道内で親しまれてきているオートスポーツランドスナガワ。なおダートトライアルコースの北側にはジムカーナコースもあり、全日本選手権ではおなじみのコースだ。
新型コロナウイルス感染症の感染防止策がしっかり採られて開催された第4戦。受付はドライブスルー方式で、会場内ではマスク着用、検温や手指の消毒等が求められた。
上段と下段に分かれたスナガワのダートコース。ハイスピードで外周を駆け抜けつつ、タイトなコーナーもしっかり設けられ、テクニカルさも要求された。

 スイフトスポーツで今シーズンから参入してきた則信重雄選手が2勝、同じくBRZで今シーズンから参戦している佐藤秀昭選手が1勝を挙げているJD11クラスは、佐藤選手が第1ヒートのベストタイムをマーク。第2ヒートに入ると佐藤選手がベストタイムをさらに約6秒縮めてくるが、第1ヒートで佐藤選手に約13秒差と大きく出遅れていた則信選手が、佐藤選手のタイムを約1.3秒更新。第2ヒートの逆転劇で今季3勝目を獲得した。

JD11クラス優勝は則信重雄選手(ADS☆VTX☆DL☆スイフト)。
JD11クラスの表彰式。左から2位の佐藤秀昭選手、1位の則信選手、3位の鈴木正人選手。

 開幕戦は太田智喜選手、第2戦は児島泰選手、第3戦は工藤清美選手が優勝と、毎戦ウィナーが変わるJD9クラス。第1ヒートは工藤選手が2番手以降を約2秒離す走りで、今季2勝目に王手をかけた。ところが、第2ヒートは昨年から全日本にシリーズ参戦する北海道の若手ドライバー・徳山優斗選手が、ベストタイムを一気に1分38秒台まで引き上げてトップに浮上。第1ヒートトップの工藤選手は徳山選手に約0.3秒届かず2位。全日本2年目の徳山選手が、待望の全日本初優勝を地元ラウンドで決めた。

JD9クラス優勝は徳山優斗選手(ADVANオクヤマFTヤリス)。
JD9クラスの表彰式。左から4位の土佐岡慎選手、2位の工藤清美選手、1位の徳山選手、3位の本道治成選手、5位の飯島千尋選手、6位の川島秀樹選手。

 昨年のチャンピオン・谷尚樹選手が2勝、ベテランの中島孝恭選手が1勝を挙げているJD8クラスは、勝ち星で谷選手に並びたい中島選手が第1ヒートを制するものの、第2ヒートはまさかの転倒でリタイア。クラス先頭ゼッケンで全日本初挑戦となる鶴岡義広選手が第2ヒートでマークしたベストタイムが、クラス後半ゼッケンに入ってもなかなか塗り替えられないという状況の中、谷選手が鶴岡選手を逆転。谷選手が今季3勝目を獲得した。

JD8クラス優勝は谷尚樹選手(キャッツ♂YH♀速心☆スイフト)。
JD8クラスの表彰式。左から2位の鶴岡義広選手、1位の谷選手、3位の濱口雅昭選手、4位の山田将崇選手。

 GR86の山崎利博選手が2勝、先代86の崎山晶選手が1勝を挙げているJD7クラスは、豪快なマシンコントロールを見せる崎山選手が第1ヒートのトップタイムをマーク。ところが第2ヒートは、ギャップを乗り越えた際にダンパーを破損してしまい、まさかのタイムダウン。過去、スイフトスポーツでシリーズチャンピオンを2回獲得してきた上野倫広選手が第2ヒートでベストタイムを更新し、山崎選手、竹本幸広選手を抑えて優勝。上野選手はGR86に乗り換えて4戦目で、このクラスでの初優勝を手に入れた。また、今回は4位に和泉泰至選手、5位にAT車両の小関高幸選手が入賞し、GR86と新型BRZが表彰台の上位を独占する結果となった。

JD7クラス優勝は上野倫広選手(DLオクヤマTガレGR奈良86)。
JD7クラスの表彰式。左から4位の和泉泰至選手、2位の山崎利博選手、1位の上野選手、3位の竹本幸広選手、5位の小関高幸選手。

 JD6クラスは、GRヤリスの岸山信之選手が第1ヒートのトップを奪い、第2戦恋の浦ラウンド以来となる今季2勝目を狙うが、第2ヒートは昨年のチャンピオン・北條倫史選手が逆転優勝。今シーズンはこの第4戦まで未勝利にも関わらずシリーズランキングトップを守ってきた北條選手にとって、後半戦に向けて貴重なシーズン初優勝を獲得した。2位に岸山選手、3位には矢本裕之選手が入賞した。

JD6クラス優勝は北條倫史選手(DL☆MJT☆NTランサー)。
JD6クラスの表彰式。左から4位の宝田ケンシロー選手、2位の岸山信之選手、1位の北條選手、3位の矢本裕之選手、5位の馬場一裕選手、6位の影山浩一郎選手。

 細木智矢選手と河石潤選手、臼井達哉選手が1勝ずつ挙げているJD5クラスは、細木選手が両ヒートを制する走りで今季2勝目を獲得。2位に北海道の内藤修一選手、3位には前日の公開練習でトップタイムをマークしていた佐藤卓也選手がそれぞれ入賞した。

JD5クラス優勝は細木智矢選手(MJT DL SWK WMスイフト)。
JD5クラスの表彰式。左から4位の外山嘉賢選手、2位の内藤修一選手、1位の細木選手、3位の佐藤卓也選手、5位の河石潤選手。

 他のクラスと同様にこれまでの3戦で3人のウィナーが誕生し、未勝利ながらもコンスタントに表彰台を獲得している林軍市選手がシリーズランキングトップという混戦の様相となっているJD4クラス。第1ヒートは、第3戦で今季初優勝を獲得した北村和浩選手が、2番手以降を1秒以上引き離す走りでリードする。第2ヒートに入ると、第2戦優勝の黒木陽介選手がベストタイムを1分28秒台にまで引き上げ、マイケルティー選手が黒木選手のタイムを約0.3秒更新してトップに立つという展開の中、第1ヒートトップの北村選手が、黒木選手のタイムを0.15秒更新。第3戦丸和ラウンドに続き、今季2勝目を獲得した。

JD4クラス優勝は北村和浩選手(MJT☆HKS☆DLランサー)。
JD4クラスの表彰式。左から4位の笠原陸玖選手、2位のマイケルティー選手、1位の北村選手、3位の黒木陽介選手、5位の林軍市選手、6位の増村淳選手。

 JD3クラスは、スナガワを得意とする坂田一也選手に対し、両ヒートとも上回るタイムをマークした山崎迅人選手が、坂田選手に並ぶ今季2勝目を獲得。シリーズランキングトップの座を守りきった。また、3位にはウェット路面を得意とする松田宏毅選手が入賞した。

JD3クラス優勝は山崎迅人選手(YHマックスゲンシンミラージュ)。
JD3クラスの表彰式。左から2位の坂田一也選手、1位の山崎選手、3位の松田宏毅選手。

 JD2クラスは、昨年のチャンピオン・目黒亮選手が第1ヒートのトップタイムをマーク。だが、第2ヒートは第1ヒートの自己タイムを一気に5秒近く縮めてきた吉村修選手がベストタイムをマークし、2017年の第4戦以来5年ぶりとなる全日本優勝を獲得した。2位に目黒選手、3位には今シーズン初表彰台となる岩下幸広選手が入賞した。

JD2クラス優勝は吉村修選手(FORTECナビクDLランサー)。
JD2クラスの表彰式。左から4位の大西康弘選手、2位の目黒亮選手、1位の吉村選手、3位の岩下幸広選手、5位の平塚忠博選手、6位の亀田幸弘選手。

 谷田川敏幸選手が前日の公開練習でエンジンを破損し、決勝は不出走となる波乱の展開となったJD1クラス。第1ヒートは、開幕3連勝中の炭山裕矢選手がトップタイムをマークするが、第2ヒートは「あえて、ライバルとは違うドライタイヤで勝負に出ました」という鎌田卓麻選手が、炭山選手に約1秒の差をつけて、今季初優勝。地元のスナガワラウンドで価値ある1勝を手にした。

JD1クラス優勝は鎌田卓麻選手(itzzオクヤマDL栗原BRZ)。
JD1クラスの表彰式。左から4位の須藤正人選手、2位の炭山裕矢選手、1位の鎌田選手。3位の田口勝彦選手。

 第2ヒート終了後には、全日本ダートトライアル選手会主催による「第2回全日本ダートラ横向きキング決定戦」が開催。最も格好良く走った選手をギャラリーがWEBで投票するというアトラクションには、地元北海道から北條倫史選手、和泉泰至選手、島部亨選手、今回が全日本初出場となる19歳の笠原陸玖選手と、中部の河田富美男選手の5選手が出場。全日本デビュー戦でJD4クラス4位に入賞した笠原選手が豪快な“横走り”を披露し、並みいるベテラン勢を相手に横向きキングの座を勝ち獲った。

前戦の丸和に続いて開催された「全日本ダートラ横向きキング決定戦」。スナガワダートトライアルコースの特長を活かした、ハイスピードからの激しいドリフトを披露した笠原選手が第2回キングに輝いた。

フォト/CINQ、加藤和由 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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