シリーズ折り返しの第4戦、開幕4連勝はJG6クラスのユウ選手とJG7クラスの若林隼人選手!

レポート ジムカーナ

2022年6月8日

全8戦が組まれている今シーズンの全日本ジムカーナ選手権。シリーズの折り返しとなる第4戦が、6月4~5日に奈良県の名阪スポーツランドCコースで開催された。会場のパドックには、今季最多エントリー台数となる139名の選手たちが集結。シリーズランキング上位陣がほぼ顔を揃えた。

2022年JAF全日本ジムカーナ選手権 第4戦「ALL JAPAN GYMKHANA in 名阪 まほろば決戦」
開催日:2022年6月4~5日
開催地:名阪スポーツランドCコース(奈良県山添村)
主催:LAZY W.S

 名阪スポーツランドCコースの外周を2周するハイスピードレイアウトを基本とし、パイロンスラロームやパイロンターンといったテクニカルセクションをバランス良く組み合わせた決勝のコース設定。絶妙な位置にパイロンが設置されており、パイロンタッチに泣く選手も少なくなかったようだ。また2ペダル車両のJG10クラスは、360度ターンをスラロームに変更したコースレイアウトを採用している。

 そして決勝日は午後から雨の予報が出ている中、第2ヒートが終了するまで雨が路面を濡らすことなく、ドライコンディションのまま競技は進行。終日曇り空だったため、午後の路面温度が上がらず、第1ヒートのタイムで勝負が決まるクラスも多かった。前半戦を締めくくる1戦として白熱した戦いが繰り広げられた。

巧妙なパイロンの配置で攻め甲斐のあるコースレイアウト。このパイロンをどう攻略していくかが勝負のポイントとなった。

 JG10クラスは、開幕3連勝の山野哲也選手がスーパー耐久シリーズ第2戦の富士SUPER TEC 24時間レースと日程が重なったためにこのラウンドをスキップ。前日の公開練習では、昨年のチャンピオン織田拓也選手が両ヒートでベストタイムを奪う走りを披露した。

 決勝第1ヒートはシリーズランキング2番手の安木美徳選手がベストタイムをマークする。第2ヒートは同3番手の河本晃一選手が安木選手のタイムを1秒以上も上回ってくるものの、痛恨のパイロンタッチで幻のベストラップに。結果、第1ヒートのタイムで逃げ切った安木選手が今季初優勝を獲得。2位は織田選手。

「今回はタイヤのポテンシャルを上げてきました。クルマのパワーをジムカーナでもうまく活かせるような走り方が少しずつできるようになってきました」と、ポルシェGT3RSで参戦する古谷知久選手が、初表彰台となる3位に入賞した。

JG10クラス優勝は安木美徳選手(ATSスノコBSスイフト4F4)。
JG10クラスの表彰式。左から4位の段上泰之選手、2位の織田拓也選手、1位の安木選手、3位の古谷知久選手、5位の角岡隆志選手、6位の関谷光弘選手。

 小林規敏選手が第2戦から2連勝を挙げているJG8クラスは、その小林規敏選手が第1ヒートでマークしたベストタイムを第2ヒートに入っても誰も更新することができず、第1ヒートのタイムで3連勝が確定した。

 そして第2ヒートは多くの上位陣がタイムダウンという結果に終わる中、小林規敏選手は自身がマークしたベストタイムをさらに約0.5秒縮める走りを披露し、ライバルを寄せつけない完全優勝を果たした。

 シリーズランキング2番手の小林キュウテン選手は、第1ヒートでトップタイムをマークしながらもパイロンタッチで幻のベストタイムに。箕輪雄介選手が2戦連続の2位に入賞し、若手の小野圭一選手が今シーズン2回目となる3位表彰台を獲得した。

JG8クラス優勝は小林規敏選手(BSエナX★ADSロードスター)。
JG8クラスの表彰式。左から4位の川北忠選手、2位の箕輪雄介選手、1位の小林規敏選手、3位の小野圭一選手、5位の斉藤邦夫選手、6位の福田大輔選手。

 今シーズンからアバルト124スパイダーに乗り換えた若林隼人選手が、開幕戦以来破竹の3連勝を遂げているJG7クラス。この第4戦は27台が出走するという最多エントリークラスとなる中、若林選手が両ヒートを制する走りで連勝記録を更新。2位に約1.2秒の大差をつける走りで開幕4連勝を果たした。2位入賞はこのラウンドからGR86を投入してきた西野洋平選手。3位は、仲川雅樹選手がGR86では初となる表彰台を獲得した。

JG7クラス優勝は若林隼人選手(YH若林自動車コサリ速心124)。
JG7クラスの表彰式。左から4位の天満清選手、2位の西野洋平選手、1位の若林選手、3位の仲川雅樹選手、5位の山口克之選手、6位の奥井優介選手。

 ユウ選手が開幕3連勝、また昨シーズンから6連勝という圧倒的な強さを発揮しているJG6クラスは、そのユウ選手が第1ヒートで2番手に約1秒の差をつける走りを披露。第2ヒートはさらに約0.5秒タイムを縮め、2位に約1.3秒差をつけて開幕4連勝を達成した。そして第3戦に続いて野島孝宏選手が2位入賞を果たす。3位には今シーズンから本格的に全日本参戦を開始した大多和健人選手が入賞した。

JG6クラス優勝はユウ選手(BSitzzNTLロードスター)。
JG6クラスの表彰式。左から4位の磯村良二選手、2位の野島孝宏選手、1位のユウ選手、3位の大多和健人選手、5位の大橋政哉選手、6位の徳武銀河選手。

 JG5クラスは、第2戦と第3戦で2戦連続2位入賞を果たしている上本昌彦選手が、両ヒートでベストタイムをマークする走りで今季初優勝を獲得。上本選手にとって、2016年の第5戦みかわラウンド以来となる全日本優勝を飾った。2位は2020年の名阪ラウンドにいち早くGRヤリスを投入した片山誠司選手。そして名阪スポーツランドをホームコースとし、今大会の本命とされていた茅野成樹選手が、360度ターンに苦しめられて3位となった。

JG5クラス優勝は上本昌彦選手(ルブロスWMレイズヤリスYH)。
JG5クラスの表彰式。左から4位の朝山崇選手、2位の片山誠司選手、1位の上本選手、3位の茅野成樹選手。

 JG4クラスは、開幕戦でシビック・タイプRを急遽投入して勝利した合田尚司選手が、いつものCR-Xでベストタイムを奪い、今季2勝目を獲得した。2019年にCR-Xへ乗り換えた合田選手にとって、今回がCR-Xでの全日本初優勝となる。2位は第1ヒートで合田選手に約0.4秒差まで迫った橋本克紀選手。3位には田中康一選手が今シーズン2回目の入賞を果たし、前日の公開練習で好調だった島田昌典選手は、決勝両ヒートともパイロンタッチに終わり9番手。第3戦優勝の山越義昌選手はマシンの修復が間に合わずに今回は欠場となり、このクラスは後半4戦も混沌としたシリーズチャンピオン戦いが予想される。

JG4クラス優勝は合田尚司選手(YH@CR-XATS速歩BPF)。
JG4クラスの表彰式。左から4位の表和之選手、2位の橋本克紀選手、1位の合田選手、3位の田中康一選手、5位の坂中真一郎選手、6位の竹下俊博選手。

 JG3クラスは、佐野光之選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、今季初優勝とともに全日本2勝目を飾った。全日本初優勝を飾った昨年の第6戦は、大雨の影響により競技は第1ヒートのみで終了し、会場付近に避難勧告が発令されていたために表彰式も執り行われなかったが、「全日本の表彰式で皆さんに祝福されるのが夢でした」と念願だった表彰台の頂点に立つことができた佐野選手。2位には西井将宏選手が入賞し、シリーズランキングトップの座を死守。今年から本格的に全日本へ参戦している若手の遠藤貴郁選手が、今季3回目となる3位表彰台を獲得した。

JG3クラス優勝は佐野光之選手(YHリジットワコーズインテグラ)。
JG3クラスの表彰式。左から4位の小武拓矢選手、2位の西井将宏選手、1位の佐野選手、3位の遠藤貴郁選手、5位の中嶋敏博選手。

 昨年のJG2クラスチャンピオン広瀬献選手とJG3クラスチャンピオンの若林拳人選手が激しい優勝争いを展開するJG2クラスは、藤井雅裕選手が第1ヒートで2番手タイムをたたき出し、ふたりの戦いに参入。だが第1ヒートでトップに立った広瀬選手がそのまま逃げ切り、若林選手に並ぶ今季2勝目を挙げた。2位には藤井選手が入賞。第1ヒートの序盤でオーバーランをしてしまい、第2ヒートに向けてタイヤを温存する作戦を採った若林選手が3位に入賞した。

JG2クラス優勝は広瀬献選手(マロヤトレーラーS二千亜舎YH)。
JG2クラスの表彰式。左から4位の渡辺公選手、2位の藤井雅裕選手、1位の広瀬選手、3位の若林拳人選手、5位の葛西悠治選手。

 JG1クラスは、第3戦で今季初優勝を飾った大橋渡選手がトップタイムをマーク。開幕戦優勝の菱井将文選手がわずか0.041秒差で続き、第2戦優勝の津川信次選手が0.33秒差で3番手につけるという僅差の勝負が展開された。第2ヒートは3台ともわずかにタイムダウン。第1ヒートのタイムで逃げ切った大橋選手が今季2勝目を飾った。後半戦もインプレッサの大橋選手、ランサーエボリューションの菱井選手、GRヤリスの津川選手による三つ巴の戦いが予想される。

JG1クラス優勝は大橋渡選手(DLプレジャーインプレッサ)。
JG1クラスの表彰式。左から4位の髙瀬昌史選手、2位の菱井将文選手、1位の大橋選手、3位の津川信次選手、5位の西原正樹選手、6位の尾崎誠治選手。

 第2ヒート終了後には、全日本ジムカーナ選手会(AJGA)による同乗走行とパレードランが開催。抽選で当選したギャラリーは、全日本ドライバーのジムカーナテクニックの醍醐味を助手席から堪能した。またコース内をゆっくりと走行するパレードランでは子供たちも大勢参加し、モータースポーツのひとときを楽しんでいた。

全日本ジムカーナ選手権では恒例イベントとなっている同乗走行が行われた。徐行でコースを走行するちびっこパレードランも大好評だった。

フォト/CINQ レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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