大波乱のサバイバル戦はヘイキ・コバライネン/北川紗衣組が今季4勝目

レポート ラリー

2022年6月17日

2022年全日本ラリー選手権第5戦「MONTRE 2022」が、群馬県富岡市郊外の群馬サファリパークを拠点に開催された。

2022年JAF全日本ラリー選手権 第5戦
2022 FIA Asia-Pacific Rally Championship ASIA RALLY CUP Rd.1
2022年日本スーパーラリーシリーズ 第2戦
「MONTRE 2022」

開催日:2022年6月10~12日
開催地:群馬県富岡市周辺
主催:MSCC、J.A.C.、M.O.S.C.O.

 1984年から2003年まで毎年開催されたモントレーは、数多くのドラマを生み出してきたとともに、“群馬スペシャリスト”と呼ばれる名選手を育んだラリーでもある。新井敏弘選手もかつては“群スペ”としてこの地で開催されたラリーで腕を鍛え上げてきたひとりだ。

 今回は、2021年に使用した20kmを超えるロングステージに加え、グラベルラリー時代に使われていたステージがターマックステージとして復活。モントレーの歴史に新たな1戦が加わることとなった。

 2日間にわたり10SS(SS総距離125.54km)が設定されたラリーは、急勾配でタイトなコーナーが連続する狭いステージを一気に駆け上がって下るヒルクライム&ダウンヒルステージや、ステージの一部がダートや舗装面が剥がれて大きな穴が点在する荒れたステージ、2車線区間もあるハイスピードステージなど、SSによってキャラクターが大きく異なる。

 さらに、晴れていたかと思えば突然激しい雨が降るという、まるで猫の目のように変わるこの地域特有の天候も加わり、今年のモントレーは69台中17台がリタイア、そのうち8台がJN1クラスというサバイバルなラウンドとなった。

 シリーズ後半戦突入となる今大会は、FIAアジア・パシフィックラリー選手権(APRC)との併催で開催され、APRCに出場できる選手は全日本ラリー選手権のポイントを取得することもできる。現在、JN1クラスでシリーズランキングトップに立つヘイキ・コバライネン/北川紗衣組は、そのAPRCでもエントリーし、APRCと全日本ラリー選手権とのダブル優勝を狙う。

群馬サファリパーク内にラリーヘッドクォーターが開設され、その駐車場を拠点にモントレー2022が行われた。またSS7とSS9の“Zebra”は0.8kmのショートステージながらサファリパーク隣接のコースを走り、観客エリアからは歓声が上がった。
今大会でゼロカーのドライバーを務めた新井大輝選手の呼びかけで実現した“世界発信プロジェクト”。開催地の世界遺産「富岡製糸場」でラリーカーを展示してPRしたほか、APRCにエントリーの選手らが繭から糸を繰り出す座繰りを体験した。
競技前日に開かれた記者会見では、APRCのヘイキ・コバライネン選手、マイケル・ヤング選手らが列席し、モントレー2022への意気込みを語った。

 JN1クラスは「フロントデフをオーバーホールしたら、クルマの動きが本来調子の良かったときに戻った」という新井敏弘/田中直哉組が、7.54kmのSS1(Nostalgic Dojo Ⅰ)でコバライネン/北川組を1.8秒差に抑えるベストタイムをマークし、好調なスタートを切る。

 ところが、SS2(South Pasture Ⅰ)で新井/田中組が右コーナーでハーフスピンしてガードレールにクラッシュ。SS1でベストタイムを奪いながらも、早々と戦列を離れることとなった。また、奴田原文雄/東駿吾組も、ミッショントラブルのためSS2でレグ離脱。

 SS3では勝田範彦/木村裕介組がクラッシュしてレグ離脱。さらに鎌田卓麻/松本優一組は初日に3回のパンク、福永修/齊田美早子組もSS5(South Pasture II)のパンクが原因でマシンにダメージを負うなど、シリーズランキング上位陣に次々とアクシデントが襲った。

 その中、SS2のパンクで一時は6番手まで順位を下げたコバライネン/北川組が初日のトップを獲得する。2番手に眞貝知志/安藤裕一組、3番手に柳澤宏至/加勢直毅組がつける。

 ラリー2日目は、ショートステージのSS8(Grandma.Kimura Ⅰ)で三枝聖弥/石田裕一組がリタイアとアクシデントが続く中、初日トップのコバライネン/北川組がレグトップポイントを奪う走りでトップの座をキープしてフィニッシュ。今季4勝目を獲得した。2位には眞貝/安藤組が入賞し、JN1クラスとしては初の表彰台を獲得。3位には今シーズン初出場となる柳澤/加勢組が入賞した。

JN1クラス優勝はヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(Rally Team AICELLO)。
JN1クラスの表彰式。左から2位の眞貝知志/安藤裕一組、1位のコバライネン/北川組、3位の柳澤宏至/加勢直毅組。

 横嶋良/小藤桂一組がルノー・クリオラリー4を投入したJN2クラスは、その横嶋/小藤組が最終SSとなるSS10(Grandma.Kimura II)でロールオーバー。全SSでベストタイムを奪った中平勝也/島津雅彦組が「難しい道でしたけど、無事に帰ってこられてホッとしています。今回はウェット用のタイヤに助けられた感じがします」と、開幕5連勝を飾った。これで中平/島津組はシリーズチャンピオン獲得に王手をかけることとなった。

JN2クラス優勝は中平勝也/島津雅彦組(R-ART RALLY TEAM)。
JN2クラスの表彰式。1位の中平/島津組。

 JN3クラスは、山本悠太/立久井和子組がSS1とSS2を制して頭ひとつリードするものの、SS3(Ghost Tunnel Ⅰ)でスピンした際にバンパーが外れ、ナンバープレートが脱落。マシンには問題がなかったが、ナンバープレートがないために一般公道を走るリエゾン区間の走行が不可となり、レグ離脱となった。

 このSS3でトップに浮上した竹内源樹/木村悟士組は、その後も後続を大きく引き離し、今季3勝目を獲得した。第3戦久万高原ラリーで熾烈な優勝争いを展開しながらもリタイアに終わったレーシングドライバーの久保凜太郎/大倉瞳組が、ラリー4戦目で初の2位表彰台を獲得。3位には、2018年のモントレーを制しているベテランの加納武彦/横手聡志組が入賞した。

JN3クラス優勝は竹内源樹/木村悟士組(YH CUSCO 大阪冷研 BRZ)。
JN3クラスの表彰式。左から2位の久保凜太郎/大倉瞳組、1位の竹内/木村組、3位の加納武彦/横手聡志組。

 JN4クラスは、シリーズランキングトップの西川真太郎/本橋貴司組が、「ウェット路面よりもドライ路面の方が好きなのですが、今回は新しいウェットタイヤが頑張ってくれました」と、SS1からトップの座を一度も譲ることなく優勝。第2戦からの連勝記録を3に伸ばした。2位には、タイヤ4本で2日間を走り切った須藤浩志/新井正和組が入賞。3位は開幕戦優勝の筒井克彦/古川智崇組で、シリーズランキング2番手に浮上した。

JN4クラス優勝は西川真太郎/本橋貴司組(スマッシュラリーチーム)。
JN4クラスの表彰式。左から2位の須藤浩志/新井正和組、1位の西川/本橋組、3位の筒井克彦/古川智崇組。

 JN5クラスは、今シーズン開幕4連勝中の天野智之/井上裕紀子組が、ラリー序盤にマシントラブルを抱えてペースが上がらず。一方、第4戦2位の小濱勇希/橋本美咲組が、初日3本のSSでベストタイムを奪う走りでトップを快走。2番手の小川剛/梶山剛組に20.4秒差をつけ、初日を折り返す。

 小濱/橋本組は2日目もトップの座をしっかりと守り切り、今季初優勝。2位は2日目にレグトップポイントを獲得する好走を見せた渡部哲成/佐々木裕一組。SS8で小川/梶山組を捕えて入賞した。3位には、2日目のタイヤ選択を失敗したという小川/梶山組が入賞した。

JN5クラス優勝は小濱勇希/橋本美咲組(MATEX-AQTEC RALLY TEAM)。
JN5クラスの表彰式。左から2位の渡部哲成/佐々木裕一組、1位の小濱/橋本組、3位の小川剛/梶山剛組。

 JN6クラスは、ギャラリーステージのショートSS以外のステージでベストタイムを重ねた海老原孝敬/蔭山恵組が、「天候や路面のコンディションが悪かったので、無理をせず攻めすぎなかったことが勝因」と開幕5連勝を達成。自身初となるシリーズチャンピオン獲得に王手をかけた。2位には、かつてのモントレーで活躍したベテランの木村謙治/多比羅二三男組が入賞。3位は最終SSで木村/多比羅組を追い上げた中西昌人/有川美知代組が獲得した。

JN6クラス優勝は海老原孝敬/蔭山恵組(スマッシュラリーチーム)。
JN6クラスの表彰式。左から2位の木村謙治/多比羅二三男組、1位の海老原/蔭山組、3位の中西昌人/有川美知代組。
ジムカーナやダートトライアルの実況でお馴染みの阿久津栄一氏と、レースアナウンサーのピエール北川氏が、ギャラリーステージのMCを担当してモントレーを盛り上げた。
FIAアジア・パシフィックラリー選手権優勝はコバライネン/北川組(Rally Team AICELLO)。
FIAアジア・パシフィックラリー選手権の表彰式。左から2位のマイケル・ヤング/エイミー・ハドソン組、1位のコバライネン/北川組、3位の青山康/竹下紀子組。
OPクラス優勝は国沢光宏/梶浦僚組(CAST Racing)。2位は村上克彦/高橋昭彦組、3位は松波登/森川オサム組。
日本スーパーラリーシリーズ優勝は萩原泰則/藪本啓介組(TEAM HAS RALLY)。

フォト/CINQ、遠藤樹弥、中島正義、山口貴利、MONTRE 2022 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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