追走接近限界突破!! V8搭載シルビア初投入で中村直樹選手が2連勝!
2022年6月17日
開幕戦の富士スピードウェイから約1か月半、D1グランプリシリーズの第2戦と第3戦は、滋賀県米原市の奥伊吹モーターパークにて2日間連戦での開催となった。
2022 D1グランプリシリーズ 第2戦/第3戦「2022 OKUIBUKI DRIFT」
開催日:2022年6月11~12日
開催地:奥伊吹モーターパーク特設コース(滋賀県米原市)
主催:株式会社サンプロス
大会期間の天候および路面コンディションは、第2戦の予選がドライで決勝がウェット、第3戦は予選/決勝ともにドライ。グランスノー奥伊吹の駐車場を使ったタイトな特設コースは、進入スピードが最高でも115km/h程度となり、1000馬力オーバーのモンスターマシンのコントロールは至難を極めた。しかもコースサイドはコンクリートウォールでランオフエリアのない状況で、シリーズ屈指の難コースとして挙げられる。
D1グランプリで奥伊吹モーターパークが会場となるのは3年目。特設コースのレイアウトは昨年とほぼ同じながら走行ラインの要求はわずかに変更があり、指定ゾーンも若干移動された。第2戦と第3戦は同じレイアウトだったが、追走時の後追いがコースアウトしながら距離を詰める行為(先行のコースアウトのみ減点される)が多かったため、後追いにも限度によっては減点される方向に修正された。
96点台半ばが決勝進出へのボーダーラインとなった第2戦の単走、1本目で唯一の98点台を叩き出した目桑宏次郎選手(Freem TEAM G-meister)がトップを奪う。続く2本目では各選手がベストを更新していく中、Bグループの横井昌志選手(D-MAX RACING TEAM)が98.38点をマークしてトップに躍り出た。だが、最終Dグループの目桑選手がアウトぎりぎりを攻める走りを見せて98.84点で逆転、初の単走優勝を飾った。
ウェットとなった第2戦の決勝戦はV型エンジン対決となった。LSX(コルベット用V8)エンジン搭載の中村直樹選手(TMAR×TEAM紫)とVR38(GT-R用V6)搭載の植尾勝浩選手(VALINO)が対決。なお中村シルビアのエンジンはドリフトユースではデータ不足感も否めず、トラブルが頻出する不安材料を抱えながらの戦いとなった。
ともにベースマシンはS13型であり、装着タイヤもヴァリノの別ブランド「ドリフトスター」で同一。決勝まで勝ち進んだ秘訣を“接待ドリフト”と比喩する植尾選手は「追走ではDOSS得点が重要。先行でもアドバンテージが取れる」と新たな戦法で臨んだことを明かした。
1本目は先行の中村選手が加速の乗ったドリフトを披露して91点だったのに対し、DOSSの得点を落とさないような走りで植尾選手が92点+後追い1点の93点で追いかける。入れ替えた2本目、中村選手は植尾選手に合わせながらしっかり寄せていき、後追い8点を加えた93点で一気に逆転、優勝を決めた。
第2戦の単走では、V8のうち2気筒が機能しない状態で予選9位に終わった中村選手。翌日の第3戦単走ではエンジンが完調し、予選から他を圧倒する走りでトップ通過を果たした。ここ奥伊吹の特設コースは、中村選手のホームコースである名阪スポーツランドと同じ右コーナー進入であり、コンクリートウォールの近さが似ていることも勝利の要因のひとつでもあるだろう。
コルベットに搭載されるLSXエンジンにスーパーチャージャーをドッキングしたフルチューン仕様の中村シルビアは、追走ベスト8までフルパワーを発揮してトーナメントを駆けのぼる。だがベスト4くらいからエンジンの伸びに精細を欠き、限界が近いことを悟りながらも追走決勝へ駒を進めた。
対するはD1ストリートリーガル時代から対戦してきた横井選手。1本目、先行の中村選手の96点の走りにピッタリ追従して横井選手が10.5点のアドバンテージを築く。2本目は逆に後追いの中村選手が先行の横井選手にピッタリ寄せてアドバンテージを帳消しにし、互いに201.5点のサドンデスへと突入した。
両者一歩も譲らないサドンデスは1.5点差で決着。DOSSの得点を獲得しながら後追い得点も稼いだ中村選手が制した。中村選手は2021シーズンの奥伊吹ラウンドの連戦(第7戦&第8戦)の優勝と合わせ、奥伊吹追走4連勝となった。
他選手が霞むほどの中村選手の快進撃に終始した奥伊吹ラウンドだが、トピックスとして挙げておきたいのは、長きにわたるD1グランプリの歴史の中で女性ドライバーが初めてベスト8に進出したことだ。その下田紗弥加選手(Mercury 車楽人 VALINO)は、開幕戦の富士ではベスト16に進出するも直前のエンジントラブルでリタイアとなったが、今回は追走に進出して1勝を挙げた。女性ドライバー初のベスト8進出は22年間のD1GPの歴史に残る快挙と言えよう。
そのほか、平均速度の低い特設コースであったことも影響してか、大排気量化するD1グランプリにおいて2戦ともSR20DET搭載車(ともにVEヘッド+2.2リットル化)が決勝トーナメントに進出したのが印象的な大会だった。
フォト/藤原伸一郎(SKILLD) レポート/川崎隆介(SKILLD)、JAFスポーツ編集部
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