四国地区戦は今季2度目の瀬戸内海決戦。激戦続くR3クラスは山﨑聡一エキシージが制す!
2022年6月23日

JAF四国ジムカーナ選手権は、シリーズ折り返しの一戦となる第4戦が、愛媛県の瀬戸内海サーキットで開催された。
2022年JAF四国ジムカーナ選手権第4戦
2022年JMRC全国オールスター選抜ジムカーナ第4戦
POTENZA CUP SETOKAZE ジムカーナ2022
開催日: 2022年 6月12日
開催場所: 瀬戸内海サーキット(愛媛県西条市)
主催: SETOKAZE
今年のJAF四国ジムカーナ選手権は全7戦のシリーズが組まれている。多彩なコースで開催されるのが四国選手権の特徴で、今年も高知のモーターランドたぢかわ、愛媛のハイランドパークみかわ、そして今回の瀬戸内海サーキットで各2戦が行われるほか、徳島カートランドで1戦が開催される。
3月20日に瀬戸内海サーキットで開幕した今年のシリーズは、徳島、たちがわと転戦し、今季2度目の開催となった今回の第4戦でシリーズを折り返す形となった。後半はコースジムカーナとパイロンジムカーナのミックスとなる、たちがわの一戦を挟んで、フルパイロンコースのみかわで2戦が行われる予定だ。
瀬戸内海サーキットは、徳島カートランド(TKL)と並ぶ四国のコースジムカーナの代表的な競技コース。高低差に富んだTKLに対し、瀬戸内はほぼフラット。中高速のコーナリングが主体となる設定の中に、ショートカットや道幅の広い部分にタイトなパイロンセクションを置くのが基本的なレイアウトになっている。
今回の一戦でもタイヤが暖まり切らないスタート直後にタイトなパイロンターンが設定されたほか、メインストレートを全開で駆け抜けた後にスラロームセクションが待ち受けるなど、チャレンジングなコースとなった。九州が梅雨入りした直後とあって天候が懸念されたが、当日は朝から青空が広がる一日に。もっとも四国地方も翌日の13日からの梅雨入りがこの後、発表されており、ギリギリのタイミングでのドライターマックバトルとなった。




R2クラスは第1ヒート、まず高知のベテラン、土居清明選手のCR-Xが、「スタート直後のターンは失敗したけど、その後は、気分良く踏めた」という走りで、1分33秒376という暫定トップをマークする。今季すでに2勝と2021チャンプの貫禄を見せているラストゼッケン、ジュウガワ貴行選手は前半区間で大きく遅れて、土居選手に1.76秒差をつけられて2位と不本意なトライに終わってしまう。
第2ヒートに入ると土居選手は何とスタート直後に足が吊ってしまい、途中でトライをやめてしまうアクシデントが発生。しかしジュウガワ選手もタイムを上げるものの、1分35秒台にとどまって逆転はならず。ラジアルタイヤながら今大会、FF総合2番手と圧巻のタイムを叩き出した土居選手が今季初優勝を飾った。
「2本目は最初のターンも決まったので、“さぁタイム上げるぞ”という所で足が吊ってしまってブレーキが踏めなくなってしまって。ホントは32秒台出したかったんだけど、1本目にタイムを出せていたので、無理はしませんでした」と土居選手。「今日は、コーナーでいかにボトムスピードを落とさずに走るか、の勝負だったと思います。ここは得意なコースではないんですが、今日は路温とタイヤがマッチした結果、タイムが出せた気がしますね」と振り返った。





一方、R3クラスは参加9台と今回最多のエントリーを数えた。昨年、5戦全勝でタイトルを防衛した仙波秀剛選手が今年もチャンピオン最有力候補だが、PNクラスで昨年、満点チャンピオンを決めた名手、徳永秀典選手が今季からこのクラスに移ったため、『チャンピオン対決』が話題を呼んでいる。
しかし第2戦徳島カートランドでは、約7年ぶりにロータスエキシージとともにジムカーナに本格復帰した山﨑聡一選手が仙波選手の連勝を止める大金星を獲得。二人のチャンピオンに間に割って入る速さを見せている。
第1ヒートのベストは1分33秒386をマークした山﨑選手。仙波選手は中間タイムで山﨑選手を上回りながら、0.36秒遅れて2番手につける。第2ヒート、先に走った山﨑選手は0.32秒のタイムアップでゴールし、仙波選手にプレッシャーをかけたが、仙波選手は第1ヒート同様、中間タイムで山﨑選手を上回り、逆転に期待がかかった。
しかし仙波選手は後半区間のスラロームで、「リズムが掴み切れなかった」とやや失速。これが響いて、ゴールタイムは山﨑選手に0.08秒届かず。山﨑選手が仙波選手に勝ち星で並ぶ2勝目をゲットした。3位には第2ヒートで1分34秒台に乗せた徳永選手が入った。
「前半区間は本当はエキシージがベストを獲らないといけないんですけど、そこはさすが仙波選手ですね」とチャンピオンを称えた山﨑選手。「エキシージは重ステなんですけど、以前乗っていたNSXに比べたらクルマも軽いので、最後のスラロームは全然コントロールできました。ただターンは苦手なクルマなので、それは今後の課題ですね」。
元々はスラローマーだが、ここ数年は岡山国際サーキットでN1ロードスターのレースに参戦していた山﨑選手。「エキシージはたまたま手に入ったクルマで、凄くきれいだったので最初は競技車にはしたくなかったんです(笑)。アシも競技用ではないんですが、調整も効くのでそのまま使っています。四国では誰も乗っていないクルマなので、セッティングは苦労しそうですが、これから詰めていきたいですね」と今後に向けた抱負を語った。





4WD車対象のR4クラスも、“異変”が起きた。このクラスは昨年、シリーズ後半に連勝して王座を決めた山下和実選手が今年に入っても開幕3連勝と盤石の強さを見せている。しかし今回は、第2ヒートで1分31秒875というタイムでオーバーオールウィンを決めた佐藤忍選手が優勝。山下選手の連勝記録が途絶えた。
約2年ぶりとなる地区戦優勝を飾った佐藤選手は、菱井将文、天満清といった全日本ジムカーナ選手権のトップスラローマーも所属する徳島のJAF加盟クラブ、トータルエクセレンスクラブ(TEC)の代表。立場上、競技会の主催や他クラブ主催の競技会で審査委員長を務めることが多く、今回は開幕戦に続く2度目の参戦となった。
「ここは開幕戦もパイロンタッチとミスコースで沈んだし、出ると必ずペナルティを喰らう苦手なコースなんですよ(笑)。だから、今日はある意味割り切って、“楽しむんが一番やな”と、気持ちを切り替えて走ったら、奇跡的にノーペナルティで走れました」と、会心の笑顔を見せた佐藤選手。
「今日はスラロームの間隔が狭くて4WD車にはつらいコースでしたが、2本目はリズムと流れを大事にして入ったら、うまく抜けられました。目標の31秒台が出せたので、今日は満足です。今年はあと一戦出られないんですが、山下選手と刺激し合って、いいバトルをしていきたいですね」と、後半戦の巻き返しを誓っていた。





一方、NS1クラスは今年、全日本でも頭角を現している昨年のチャンピオン、田中康一選手が第1ヒート、総合でもベストとなる1分32秒台のタイムを奪って折り返す。しかしパイロンタッチに沈んだものの、生タイムで田中選手を0.7秒も凌いだのは、昨年、シリーズ終盤の2戦で田中選手を下した窪田竜三選手だった。今季は田中選手に3連勝を許してはいるものの、窪田選手の快走に注目が集まった。
しかし注目の第2ヒート、窪田選手は前半区間のストレートから右高速コーナーへの進入で姿勢を乱してタイムロス。1分33秒台にとどまり、逆転は果たせず。ウィニングランとなった最終走者の田中選手は、1分32秒180までタイムを上げてゴールし、無傷の開幕4連勝を飾った。
「1本目で失敗したスラロームを修正できたのがタイムアップに繋がったと思います」と振り返った田中選手だが、「生タイムで窪田選手に負けたのはちょっと悔しいですね」と本音をポロリ。「31秒台は狙っていたし、2本目もグリップはあったので行けると思ったんですが…。ここは、自分のタイヤと凄く相性が良くて、いつもタイムが出せるのに今日はなぜか思ったタイムが出せませんでしたね」と、やや物足りない表情を見せていた。





今回の一戦、大半のクラスは第2ヒートもタイムアップ傾向を見せたが、ロードスター、スイフトといった2WD車が揃った後半のPNクラスは、各選手、軒並みタイムダウンとなった。第1ヒートのタイムで逃げ切ったのは一色健太郎選手。全日本、地区戦通じて初となるロードスターでの勝利をもぎ取った。
中間タイムでは遅れたものの、後半盛り返しての優勝については、「先週の全日本名阪でイチかバチかのセットを試したらタイムが出たので、今日もそのままのセットで走ってみたんです。後半区間が名阪に似ていたので、そこでやはりクルマと走りが合ったんだと思います」と一色選手。2019年にシビックで全日本王座に就いて以来、なかなか勝利からは見放される日々が続いていただけに、たしかな手応えを掴んでの勝利に、全日本でも巻き返しを期していた。











フォト&レポート/JAFスポーツ編集部
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