ベテラン佐々木大樹選手が第3戦で久々の勝利。そしてルーキー堂園鷲選手が第4戦で初優勝を遂げる!

レポート カート

2022年7月4日

全日本カート選手権OK部門の今季2度目の大会となる第3戦と第4戦が、宮城県のスポーツランドSUGO西コースで開催。第3戦ではベテランの佐々木大樹選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)が今季初優勝。第4戦ではルーキーの堂園鷲選手(Energy JAPAN)が待望の初勝利を飾った。

2022年JAF全日本カート選手権OK部門 第3戦/第4戦
開催日:2022年6月25~26日
開催地:スポーツランドSUGO西コース(宮城県村田町)
主催:SSC

 モビリティリゾートもてぎ北ショートコースでの開幕から2か月のブランクを経て開催された、スポーツランドSUGO西コースでの第3戦/第4戦。エントリーはあと1台で最大出走台数に達する33台と、今回も盛況だ。ただし1名が大会前日に体調を崩して不参加となり、参加は32台となった。

 大会期間のSUGOは快晴。まだ6月だというのに気温は30度を大きく越え、異常気象がニュースで大きく報道されるような暑さだ。2日間の走行セッションは10分間の公式練習が2回、7分間のタイムトライアルが1回、17周の予選ヒートが2回、28周の長い決勝が2回。1日目の午前中には2本のスポーツ走行も設けられている。体力の面でも非常に厳しい戦いだ。

OK部門第3戦

 全参加者を抽選でふたつのグループに分けて行われたタイムトライアルでは、第1グループで出走した小田優選手(Drago Corse)が36秒777のトップタイムをマーク。前回のもてぎ大会で2連勝を飾ったルーキーがSUGOでも速さを見せ、ふたつの予選ヒートのポールを獲った。0.067秒差の2番手は清水啓伸選手(Drago Corse)。3番手に半田昌宗選手(TEAM WOLF)が続き、ここSUGOを得意とするベテラン佐々木選手は、第2グループでトップのタイムを記録して4番手につけた。

 総合結果ではトップから7番手までをブリヂストン・ユーザーが占拠。ダンロップ勢では8番手の皆木駿輔選手(CROC Promotion)が、ヨコハマタイヤ勢では10番手の加藤大翔選手(PONOS HIROTEX RACING)が、それぞれ最上位だった。

 大会1日目の最後に行われた第3戦の予選ヒートでも小田選手は好調を維持し、後続を引き離してトップのままゴール、翌日に行われる決勝のポールを獲得した。2~3番手には佐々木選手とタイムトライアル7番手の堂園選手が上がってきた。清水選手は4番手でゴール。佐野雄城選手(BirelART Access Racing)が9番グリッドから5番手に、金子修選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)が12番グリッドから6番手にポジションを上げている。

 一夜明けて大会2日目、第3戦の決勝は早くも9時20分にスタートだ。この日も空は快晴。真夏のような暑さは前日と変わっていない。28周のレースは、まさかのハプニングで幕を開けた。ポールの小田選手がローリング中にスローダウン。電気系のトラブルでエンジンが息絶えたマシンをストレートに止め、小田選手は戦うことなくレースを終えた。

 これで実質的なポールとなった佐々木選手は、トップに立ってレースを開始。その真後ろに清水選手と金子選手が続いている。ここからやがて金子選手が遅れを取り、佐々木選手と清水選手がタンデムでレースを引っ張る形となった。

 レースが折り返し点に差しかかると、佐々木選手と清水選手の間隔がわずかに開く。両者のギャップは約0.6秒。そして清水選手のテールには、佐野選手と堂園選手が急接近してきた。残り7周、佐野選手が清水選手の前へ。その勢いのまま、佐野選手は約1秒あったトップ佐々木選手とのギャップをどんどん削り取っていく。最終ラップ、佐野選手が佐々木選手の背中に手が届くまであと一歩だ。

 しかし、ここでタイムアップ。佐々木選手は佐野選手を0.252秒後方に従え、ピットレーンの仲間たちに向け拳を握ってチェッカーをくぐった。昨年10月のSUGO大会第7戦以来となる、久々の勝利。SUGOマイスターの面目躍如と言える快勝だった。

 悲願の初優勝にわずかに届かず2位の佐野選手は、「予選から決勝までを考えてレースを組み立てたけれど、ペースを上げるのがちょっと遅かった」と、喜びと無念が相半ばといった様子だ。序盤戦の8番手後退から挽回してきた堂園選手は、最終ラップに清水選手をかわして3位を獲得する。

 ブリヂストン勢が上位を占める中、ヨコハマタイヤ勢の加藤選手が8位でゴール。ダンロップ勢では朝日ターボ選手(MASUDA RACING PROJECT)が19ポジションアップの10位でチェッカーを受けた。

久々の勝利となった佐々木大樹選手。「ドライで優勝したのは久しぶりなので、いいレースだったのかなと思います。小田選手は速かったので、その点では運もあったと思うけれど、そこでしっかり勝ち切れたことはよかったですね。小田選手がいなくなってもやることはあまり変わらず、自分のベストを尽くすだけでした。最初はプッシュしてなくて、飛ばしたのは10周すぎ。最後はタイヤがキツかったです」と心の内を明かした。
2位は佐野雄城選手、3位は堂園鷲選手。
第3位戦表彰の各選手。

OK部門第4戦

 第4戦の予選では、清水選手が3台一丸のトップ争いを制して決勝のポールを獲得。果敢な戦いを演じた三村壮太郎選手(Rosa Drago CORSE)が2番手、小田選手が落ち着いた走りで3番手となった。第3戦優勝の佐々木選手はトップ争いに加われず4番手だ。

 このSUGO大会最後のレース、第4戦決勝は14時45分のコースインで始まった。空には雲が出て日差しが遮られたが、厳しい暑さはさほど変わっていない。

 スタートでは清水選手と三村選手のフロントロー2台がポジションをキープし、佐々木選手が3番手に浮上。だが佐々木選手は後続の猛攻に遭い、激闘の中でダートへはみ出してポジションを下げた。3番手には佐藤凌音選手(TOKAIDENSO DSM)が上がったが、間もなく小田選手が3番手に戻った。

 5周目、三村選手が清水選手をパスしてトップに浮上。その背後にはズラリとマシンが続き、13台が一列につながっている。すると2番手の奪い合いがヒートアップ、それに乗じて三村選手が1秒以上のリードを手にした。

 この時、快調なペースでひたひたと順位を上げてくるマシンがあった。7番グリッドからレースを開始した堂園選手だ。大集団の混戦を縫ってポジションアップを続けた堂園選手は、10周目に清水選手をパスして2番手に浮上すると、それに続いて清水選手をかわした小田選手ととともに、三村選手に近づいていく。

 三村選手はトップ独走とはなったものの、「タイヤの摩耗具合はすごく良かったけれど、この日はペースが遅かった」という状況だった。そんな三村選手に堂園選手と小田選手はじわじわと近づき、20周目にテールをキャッチ。そして21周目、堂園選手が一発でオーバーテイクを成功させてトップに躍り出る。

 翌周には小田選手も三村選手をかわすが、堂園選手のペースには敵わない。堂園選手はリードを2秒にまで広げ、右拳を掲げてチェッカーを受けた。昨年のFS-125部門の王者としてOK部門に挑んできた14歳のルーキーの、初優勝の瞬間だった。

 小田選手は3勝目こそ獲り逃したが、2位フィニッシュでシリーズポイントを107点に伸ばしてランキング首位をキープ。3戦連続表彰台の堂園選手が104点で2番手につけ、ルーキーたちが暫定ランキングのトップ2を占めることとなった。

 三村選手は「戦略もなにもなくて、ひたすら全力で走った」というレースを3位でフィニッシュ。清水選手は4位、そして5位は皆木選手だ。猛威を振るうブリヂストン勢に対し、ダンロップを履いて互角の戦いを繰り広げた皆木選手の健闘ぶりは、SUGO大会のハイライトのひとつだった。また、ヨコハマタイヤ・ユーザーの加藤選手も9位でレースを終え、2戦続けてシングルフィニッシュを果たしている。

昨年のFS-125部門チャンピオンが最高峰部門で初優勝の快挙。「初優勝はうれしかったです。2番手に上がった時点でトップには追い付くだろうなって感じでした。タイヤは残っていたけれど、三村選手の後ろを走った時に、追い付くペースが遅くなったなと感じて、最後にペースを上げられたらマズいと思って早めに抜きました。タイヤもマネジメントできて、自分としては今までで一番いいレースだったなと思います」と堂園選手。
2位は小田優選手、3位は三村壮太郎選手。
第4戦表彰の各選手。

フォト/JAPANKART、長谷川拓司 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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