アマチュアドライバーの祭典、富士チャンピオンレースは各クラスで熱戦!
2022年7月5日
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富士スピードウェイ伝統の「富士チャンピオンレースシリーズ」の第3戦が、6月25~26日に開催された。この週末は全国的に猛暑が伝えられたものの、なぜか2日間とも上空は雲に覆われ、強い日差しを遮ってくれたばかりか程よい風も吹いて、非常に過ごしやすいコンディション下でレースが行われた。
2022 富士チャンピオンレースシリーズ 第3戦
開催日:2022年6月25~26日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C
筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズは、今年初めての富士スピードウェイを舞台に、第4戦と第5戦の2連戦で開催となった。スーパーFJの振興と発展を支える団体である、FJ協会が定める転戦シリーズ「スーパーFJジャパン・チャレンジ」とのWタイトル戦だ。
鈴鹿勢を中心に大量の遠征があり、昨年の最終戦の17台を上回る26台がエントリー。また年末の恒例イベント「日本一決定戦」の舞台として、スーパーFJでは初めて開催されるサーキットであることから、さながら前哨戦のような雰囲気ともなっていた。
ベストタイムがレース1、セカンドベストタイムがレース2のグリッドを決する予選において、ともにポールポジション(PP)を獲得したのは岡本大地選手で、「たまたまスリップストリームを全周にわたって使えました。たぶん逃げ切りとかは絶対にできそうもないです。見ている方には面白いレースになりそうです」とにこやかに語っていた。
この岡本選手のコメントに対して、2戦とも2番手だった森山冬星選手は、「ずっと単独走行だったし、練習から速さはあったので、ペースは悪くないと思います。決勝では2レースとも優勝したいです」と対照的だ。
レース1ではそのふたりが好スタートを決めて、早々に後続を引き離していく。そして早くも2周目の1コーナーで森山選手がトップに浮上する。だが、岡本選手はその後も遅れずに食らいついていく。一方、その後方では一時単独走行となっていた小松響選手に稲葉摩人選手が徐々に差を詰めていき、終盤にはふたつの攻防戦が繰り広げられていた。
先に動いたのが3番手争いで、最終ラップの1コーナーで稲葉選手が前に出る。そしてトップ争いは最終コーナーで展開された。背後についていた岡本選手を振り切ろうと、右に左にハンドルを切る森山選手だったが、ゴール直前で岡本選手に横に並ばれてしまう。
だがコンマ019秒差で辛くも逃げ切りに成功し、森山選手がまず1勝を挙げた。前方よりミラーを見ていた回数が多かったのでは? という問いに対して、「ミラーは一切見ずに、自分の走りに集中していました」と森山選手。強気の走りが手繰り寄せた勝利だった。
レース2では森山選手の後塵を拝した岡本選手が逆襲を果たす。スタートを完璧に決めて1周目からリードを奪うと、そのままプッシュし続けて森山選手を一歩も寄せつけなかったのだ。
「ニュータイヤとマシンのバランスが最高だったのと、カウルとカウルの間をテープで留めたりして、ストレートでのトルクが足りない感じを補うことができました」と岡本選手。
森山選手は終始単独走行で2位だった一方で、激しく競い合っていたのが小松選手と田上蒼竜選手の3番手争い。最終ラップの最終コーナーでインを差した田上選手だったが、クロスラインをかけられて逆転ならず。しかし、諦めずに仕掛けた最後のスリップストリーム合戦では、コンマ013秒差ながらも田上選手が前に出て、表彰台を獲得。これにより田上選手は筑波/富士シリーズのランキングトップを死守することとなった。
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富士チャンピオンレース名物の大混走レースのシルビア・アルテッツァ/NA1600/MR2/AE86/AE111/ロードスターN1は、MR2のエントリーが取り消されたため、5クラス混走となった。
予選で最速タイムを記したのはシルビアの山崎浩明選手で、「朝イチでタイヤカスもないキレイな路面で走れたんですが、うまくいったかなと思ったら引っかかっちゃったり、空いているなと思ったら自分がミスっちゃったり」と、どうやら納得いかない状況だった様子。だが決勝では一転、大満足の展開となる。
このレースではタイム如何に関わらず、NA1600勢が優先的に上位グリッドに並ぶのだが、なぜか山崎シルビアの前には誰もおらず。そのNA1600勢は3台とも今回から変わった(らしい)スタート進行に出遅れ、なんとピットスタートを余儀なくされていたのだ。
他にもAE111勢の上位が同様に足止めを喰らっており、「初めて(事実上の)PPからスタートして、何が起こったんだろうと思ったんですけど……。なかなかできることじゃないので『よしよし』と(笑)。ずっと前に誰もいないので、貸切みたいな感じでした」と、ひとり舞台となったことに満足そうだった。
総合2位は、そのNA1600の秋元優範選手が大量追い抜きを果たしてクラス優勝も獲得。しかし、「ピットスタートもそうだけど、なんかしっくりいかないレースでした。しかも古いタイヤで行っていたので、後ろも近づいてきたし、ちょっとつらかったです」と、ぎこちなく語っていた。
そして総合5位獲得、AE86優勝は山口崇選手。終始クラスのライバルを寄せつけなかったが、「スタート直後にぶつかっちゃったので、ちょっと申し訳なくて。あんまりうれしくないです」と、こちらも笑顔なし。
予選上位陣のピットスタート続出の恩恵を受け、AE111で最後までトップを快走した塩岡雅敏選手は「棚ボタでいただいた勝利ですが、とにかくファステスト狙いで走り続けました」と満足そう。ロードスターN1も大井正伸選手の圧勝で、「ひとりで走り続けたので、速いのか遅いのか分かりませんでした。昔みたいにバトルしたいです」と語っていた。
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N1車両による86&BRZ、そしてナンバーつきチューニングカーによる富士86BRZチャレンジカップの混走レースには、賞典外ながら竹内浩典選手が新型GR86のN1車両を持ち込み、最速タイムを樹立する。
「まだ足を入れたばかりで、今もセッティングしているところ。もうちょっと煮詰めなきゃいけませんが、(排気量)+400ccの差は大きいですね。でも50kg重いんで、どうしようって(笑)。仕上がったところで、レンタルカーにしてレースに出させようと思っています」と竹内選手。
予選総合2番手は富士86BRZチャレンジカップの小野田貴俊選手で、僅差で続いたのが古田聡選手。そして総合4番手には86&BRZの松本晴彦選手がつけていた。
決勝でも竹内選手が逃げる格好となり、4周目には2秒4のリードを築いたが、「重くなっているのに、前のと同じのをつけたらブレーキがきつくて。改善が必要ですね」と中盤以降はペースダウンを余儀なくされた。
そんな中、竹内選手に迫っていったのが、バトルを重ねていた小野田選手と古田選手だった。8周目には竹内選手がふたりに譲り、最後まで続いた死闘を小野田選手が制した。「姑息なラインを使ってなんとか抜かせずに済みました」と小野田選手。
なお竹内選手は賞典外ゆえ、86&BRZの優勝は終始単独走行だった松本晴彦選手が獲得し、「前ですごいバトルしていたから、ほとんど(場内映像に)映っていなかったみたいですね、残念ですけど(苦笑)。後ろは離せたので良かったです」と苦笑いしつつ語っていた。
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2戦目となるナンバーつきVitzによるFCR-Vitzには19台がエントリー。ポールポジションは「やっと予選ができました。今回は走っていたポジションも良かったし、スリップもうまく使わせてもらいました」と語るジェネリック内田選手が獲得し、三浦康司選手を僅差ながら従えた。
しかし、「最近は2番手が定位置になっていますけど、(決勝は)ヨーイドンで行きます」と語っていた三浦選手が、またしても有言実行。スタートでトップに立ったのに対し、内田選手はオープニングラップのうちに5番手まで順位を落としてしまう。
三浦選手に続いたのは予選3番手の坂野貴毅選手。さらに白井涼選手を交えて3台で激しくトップを争い合うも、最後まで三浦選手はトップを譲らなかった。優勝の三浦選手、「今日は後ろでゴチャゴチャやってくれたので、楽な展開でした。いいレースで楽しかったです」と語った。
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ナンバーつき86とBRZによるFCR-86BRZ RACEも2戦目を迎え、エントリーは27台にまで増加。最速タイムを記した三浦尭保選手は、「前回は予選2番手で……、今回は落ち着いて練習したとおり、無理をせず前に前に転がるように意識して、しっかりタイムが出たので良かったです。レースも昨年から始めて初PP。このまま表彰台の真ん中に立てるよう頑張ります」と語った。
決勝では予選2番手の松本選手がスタートを決めてトップに立つと、三浦選手を最後まで寄せつけずにトップチェッカー。86&BRZでも勝利の松本選手、「(三浦選手に)ついていく予定だったんですが、スタートしたら前に出ちゃったので、じゃあそのまま行こうと。2日間で2勝、いい週末になりました」とコメント。一方、「3位、2位ときたので次は勝ちます」と、三浦選手はあくまで前向き。3位は最終ラップに伊藤俊哉選手をかわしていた、蓬田昭男選手が獲得した。
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ロータスカップジャパン第2戦のポールは、「ちょっとタイムには納得がいかないですね」と語る佐藤考洋選手が獲得。またクラス2ではレコードタイムも更新した長澤宏昭選手が最速タイムをマーク。「車のバランスは悪くありません。大切なところで踏めたので、気がついたらコースレコードが出ていたという感じです」と満足そうに語っていた。
決勝でも佐藤選手はスタートから逃げて、コンスタントなタイム刻みで圧勝。ただし賞典外だったため、焦点はその後方のバトルに移された。クラス1は清水友一選手が東浩平選手を従えてレースを開始するも、3周目のストレートでかわされてしまう。
「ミッションの不調で、抜かれた時はどこにも入りませんでした」と悔やむ清水選手。一方、逃げ切った東選手も「予選の後、ブレーキの調子がおかしくてすごく心配していたんです。メカニックの方々が直してくれたおかげで出走できて、こういう結果になりました。感謝しかないです」と、困難な状況からの脱却を、後に明らかにしていた。
一方、クラス2ではスタート直後の1コーナーで生じていた混乱をかわし、予選でクラス3番手だった橋本洋平選手がひとつポジションをアップ。さらに4周目の1コーナーでは長澤選手をもかわしてトップに立って、そのまま逃げ切ることとなった。「パワー的に不利な車だったんですけど、スリップ使えば勝負できると思っていたら、こういう結果になって最高です」と橋本選手。
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2レース開催のポルシェスプリントチャレンジジャパンは、ここまで4戦3勝を挙げているKEN YAMAMOTO選手がまずはレース1のPPを獲得。「無線で監督にクリアラップがしっかり取れる位置を教えてもらったおかげで、狙いどおりのタイムが出ました。セッティングもバッチリいい感じで、安心して乗れています」とYAMAMOTO選手。
レース1決勝はスタート直後の2コーナー、コカコーラコーナーで多重接触が発生。いきなりセーフティカー(SC)が導入される波乱の幕開けとなった。また、ローリングスタートであるにも関わらず、1コーナーで2台の先行を許していたYAMAMOTO選手だったが、それは相手にスタート違反があったため。
SC明けにすぐ1台をかわしてトップにも迫っていくが、先行するMOTOKI TAKAMI選手に対してペナルティの宣告が。「ペナルティが出たというのは無線で監督から聞きましたので、追いかけるのをやめました。ベストタイムも出せましたし、良かったです。次もポールなので、もう一回1位を狙っていきます」とYAMAMOTO選手。
GT3-IIクラスではオオタユウキ選手がトップでチェッカーを受けるも、バトル中の接触により30秒のペナルティ加算で降格。佐藤俊介選手が繰り上がって優勝となった。
レース2決勝はレース1のベストタイム順にグリッドが決められたため、先のYAMAMOTO選手のコメントどおり、ポールからのスタートに。しかし、また1周目から100R、ダンロップコーナーでクラッシュがあり、今度は赤旗が出されてしまう。
SCスタートでの再開後、リスタートを決めたYAMAMOTO選手ではあったが、6周目の1コーナーでTAKAMI選手の逆転を許してしまう。逃げ切ったTAKAMI選手は「富士では1コーナーが抜きやすいので、そこで行こうと。さっき(レース1)は悔しい思いだけでしたが、今はすごくうれしいです」と素直な印象を語ってくれた。
一方、GT3-IIクラスはオオタ選手がリベンジに成功。総合でも3位に入る大活躍となった。そして山本聖渚選手が孤軍奮闘のGT4クラスは、2レースともしっかり完走を果たしていた。
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フォト/加藤智充 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部
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