備北サーキットBコースで3年ぶり復活の一戦は、坂本稔和RX-7がオーバーオールウィン!

レポート ジムカーナ

2022年7月4日

全6戦が行われる今年のJAF中国ジムカーナ選手権は、シリーズ前半戦を締め括る第3戦が岡山県の備北サーキットで開催された。

2022年JAF中国ジムカーナ選手権第3戦
2022年JMRC中国ジムカーナチャンピオンシリーズ第3戦
2022年JMRC全国オールスター選抜第3戦
2022年JMRC中国フレッシュマンシリーズ第3戦
CMSC島根チャレンジカップ

開催日: 2022年6月19日
開催場所: 備北サーキット(岡山県新見市)
主催: CMSC島根

 今年の中国地区戦は、広島県のスポーツランドTAMADAで4戦、今回の備北で1戦、そして岡山国際サーキットでの1戦の計6戦が組まれている。TAMADAでの第5戦は土曜の8月20日に、ナイタージムカーナとして行われる。昨年は残念ながらコロナ禍により中止となってしまったが、ナイターのジムカーナイベントは昨今では貴重な存在だけに、今年は是非、実現に漕ぎ着けてほしいところだ。

 一方、備北サーキットでの地区戦は昨年10月以来となるが、昨年はAコースで開催されたため、今回のBコースでの開催は、コロナ禍前の2019年以来、実に3年ぶりとなった。2017年にはJAFカップオールジャパンジムカーナも開催されるなど、東中国地区のジムカーナのメッカとして、多くのスラローマーに親しまれてきたコースであるだけに、今回の一戦を契機とした盛り上がりにも期待したいところだ。

今回の一戦が行われた備北サーキットBコース。全日本ジムカーナ選手権やJAFカップを開催した実績も持つ、東中国地区を代表する競技コースだ。
並行して走る2本のストレートが備北サーキットの名物だ。
パドックも十分なスペースが用意されている。
Bコースに隣接するAコースは全国でも珍しい林間コースになる。こちらでもジムカーナが開催されている。
今回のコース図。アベレージスピードの高いハイスピードジムカーナとなった。

 最初の決勝クラスであるT28クラスは、参加14台と今回一番の激戦区となった。このクラスは、使用できるタイヤが米国運輸局が定めるUTQG表示のトレッドウェア280以上のタイヤに限定されるクラスで、全国的に人気が高まっている注目のクラスだ。

 第1ヒートは、開幕戦優勝、第2戦2位と今季好調の西島公一選手が、15年ぶりの備北走行にも関わらず、1分25秒445を叩き出してトップで折り返す。しかし第2ヒートに入ると2番ゼッケンの荒木真宏選手がいきなり1分24秒台に入れて、あっさりと西島選手の暫定ベストを更新。

 その後は25秒台が続いて、荒木選手がしばらくは暫定首位をキープするが、前戦優勝のラス前ゼッケン、野村英資選手が荒木選手を凌ぐ24秒507をマークする。注目の最終ゼッケンの西島選手は、「全体的に遅かった。ダメでした」と、まさかのタイムダウン。土壇場で逆転を決めた野村選手が2連勝を果たした。

 ともにZC33Sスイフトを駆る野村選手と西島選手は、日頃からセッティングデータを共有して切磋琢磨している間柄。「今日も、西島さんと、ああだ、こうだ言いながら煮詰めた結果が出せました」と、まずは“相棒”に感謝した野村選手は、山口県在住。「一番、家から遠いコースですが、一番好きなコースで勝てて最高です」と笑顔を見せた。

T28クラスは、野村英資選手が逆転勝ちを収めて前戦から2連勝。
T28クラス優勝の野村選手。「今年から履くタイヤの使い方が何となく分かってきたのが勝因ですね。2本目はタイムアップすると思わなかったので、24秒台を出せたのは自分でもビックリでした」。
第1ヒート首位だった荒木真宏選手は2位にとどまった。
第2ヒートで大きくタイムアップした湊高貴選手が3位を獲得。
T28クラス表彰の各選手。

 一方、R2クラスも12台のエントリーを数え、今回2番目の激戦区となった。第1ヒートでライバルの度肝を抜いたのは、四国高知から遠征してきた堀央尚選手のEK9シビックだった。備北は前日の練習走行が初走行だったにも関わらず、1分22秒486という断トツのトップタイムをマークする。

 堀選手は第2ヒートも22秒台でゴールするも、痛恨のパイロンタッチ。地元中国勢の走りに逆転の期待が一気に高まるが、23秒の壁は厚く、ベテランの上程恒夫選手が22秒820まで迫るのが精一杯。ダークホースにすら挙げられていなかった、四国の刺客が逃げ切って優勝をさらった。

 現在は高知在住ながら、以前は鈴鹿に住んでいたという堀選手のシビックは、近畿ジムカーナ界のメッカである名阪スポーツランド仕様とのこと。「今日はクルマもギア比もバッチリでした」と、堀選手は会心の笑顔を見せた。

「今日は勝とうとは思ってなくて、備北というコースを体験しに来たので、怖さ知らずに走ったのが逆に良かったのかもしれません。雨だったら、刺さってたかも(笑)。でもベテランの方々にポイントを教えて頂いたお陰です」と、地元中国勢のドライバー達に感謝しきりだった。

R2クラスは、四国高知から遠征してきた堀央尚選手が、第1ヒートのタイムで逃げ切った。
R2クラスを制した堀選手。
第2ヒートはベストタイムを奪った上程恒夫選手が2位に入賞。
影山幸輝選手も第1ヒートのタイムで3位に入った。
R2クラス表彰の各選手。

 “四国旋風”は続くR4クラスでも吹き荒れることに。第1ヒートは2番手で終えた山下和実選手のランサーエボ6が、第2ヒートで1分21秒363までタイムを上げて、0.1秒の僅差ながら逆転を果たして優勝を決めた。堀選手とともに高知から遠征してきた山下選手は、今回が2度目の備北走行だった。

「最後のパイロンが4WD車にはきつかったので、地元のフルパイロンコースの、ハイランドパークみかわ用の仕様で走りました。全体を考えると失敗のセッティングだったかもしれませんが、ここは四国のどのコースにも似ていないグリップ感を持つコースだったので、難しかったですね」と山下選手。今年からGRヤリスに乗り換えた優勝候補の佃真治選手は、第1ヒートでは1分19秒台をマークするも、両ヒートともぺナルティを喫して3位となった。

R4クラスでは四国から遠征の山下和実選手が、前戦TAMADAに続いて2連勝を飾った。
R4クラス優勝の山下選手。
川上智久選手は第1ヒートのタイムで2位を獲得。
ホームコース備北でGRヤリスの初優勝を狙った佃真治選手は、両ヒートともペナルティに泣き、3位にとどまった。
R4クラス表彰の各選手。

 PN部門では中国地区が誇るトップドライバー達が貫禄の走りを見せ、まずPN1クラスは髙屋隆一選手がただ一人、第1ヒートで1分21秒台に乗せたタイムで優勝。開幕3連勝を飾り、今回もライバル達に、まったく隙を見せなかった。

PN1クラスは、名手、髙屋隆一選手が両ヒートともベストの貫禄勝ちを収めた。
PN1クラス優勝の高屋選手。「今日は久しぶりに備北Bコースを走ったので、ギリギリまで詰め切るといった走りまでは行かなかったですね。グリップ感も昔のままで安心しましたが、1本目の方がタイヤが転がる感じはありましたね」と備北を評した。
2位に入賞した西村優輝選手。
Tomohide選手はタイムを上げるも、3位にとどまった。
PN1クラス表彰の各選手。

 一方、PN2+クラスは、「TAMADAより、こっちのコースの方が“城”ですから(笑)」という、備北育ちのベテラン、有田光徳選手が、こちらは第1ヒートで叩き出したクラス唯一の1分20秒台のタイムで逃げ切って、今季初優勝をマークしている。

PN2+クラスは、有田光徳選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
PN2+クラス優勝の有田選手。「デフをOHして動きが良くなったので、1本目はほぼ完璧な走りができました。今日は、最後のパイロンセクションへの手前のアプローチが、備北独特のコツが必要なレイアウトでしたね。若手には難しかったんじゃないかと思います。経験の差で勝てました(笑)」。
大接戦となった2位争いは、片山賢一郎選手が制した。
開幕3連勝を狙った内田敦選手だったが、今回は3位に甘んじた。
PN2+クラス表彰の各選手。

 注目のオーバーオールウィンをめぐる戦いはS2クラスが制した。優勝の坂本稔和選手は、FD3S型RX-7で1分18秒328をマークしたが、「ベストを出した1本目は、シフトが入らなくて20mくらい空走したので、それがなければ17秒台も行けたかもしれないですね。今日はリアにハード目のコンパウンドを装着したのですが、初めて履いた割に乗りやすくて、特にターンで速く走れました」と勝因を振り返っていた。

S2クラスは坂本稔和選手が唯一人、1分18秒台にタイムを叩き込んでオーバーオールウィンを達成。「備北は2017年のJAFカップ以来の走行でした。ホームコースはTAMADAなんですが、昔からここは相性がいいコースですね。TAMADAでは勝てない中田選手やTARO選手に勝てたので最高です(笑)」。
S2クラス優勝の坂本選手。
中田匠選手も1分20秒切りを果たしたが、2位でゴール。
TARO選手はFF勢最上位の3位を獲得。
S2クラス表彰の各選手。

 東中国地区在住のドライバーによる三つ巴となったS4クラスは、両ヒートともベストタイムを叩き出した藤木拓選手が、前戦TAMADAから2連勝を飾った。

S4クラスは藤木拓選手が前戦に続いて優勝を飾った。
S4クラスを制した藤木選手。
藤木誠選手が2位を獲得した。
今季初参戦となったベテランの髙橋伸治選手は3位でフィニッシュ。
S4クラス表彰の各選手。

 一方、K CARが集うRCクラスは、カプチーノを駆るディフェンディングチャンピオンのKAZUYA選手が、今回もビート勢の追撃を退けて開幕3連勝と盤石の構えを見せている。

RCクラスは、KAZUYA選手がライバルを寄せ付けず快勝した。
RCクラス優勝のKAZUYA選手。
ビート最上位の2位をもぎ取った星川栞人選手。
石川晃選手は3位に終わった。
RCクラス表彰の各選手。

 一方、中国ジムカーナ界の明日を担う若手が覇を競い合っているJMRC中国フレッシュマンシリーズは、今季初参戦の竹村穣選手が第1ヒートをトップで折り返す。竹村選手は第2ヒートでもきっちり1秒のタイムアップを果たして1分25秒207のタイムでゴール。開幕2連勝中の平口勝久選手も25秒台に乗せてくるが、0.6秒届かず。竹村選手が86対決を制して今季初の1勝をゲットした。

フレッシュマンシリーズは、今季初参戦の竹村穣選手がいきなりの優勝をゲット。
フレッシュマンシリーズ優勝の竹村選手。
開幕3連勝を狙った平口勝久選手だったが、2位にとどまった。
上久保伸哉選手が3位に入った。
フレッシュマンシリーズ表彰の各選手。
ATクラスはA110アルピーヌをドライブしたSHIN_SUN選手が優勝。
ATクラス優勝のSHIN_SUN選手。
CLクラスは三好陸斗選手が優勝した。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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