栃茨ジムカーナは早くも後半戦に突入。激戦区NTR2は長屋秀彦S2000が2連勝!

レポート ジムカーナ

2022年7月11日

栃木、茨城の3会場を舞台に開催されるJMRC栃木・茨城ジムカーナシリーズの第5戦が、栃木県のつくるまサーキット那須で開催された。

2022JMRC栃木・茨城ジムカーナシリーズ第5戦
つくるま360R ATTACK★GYMKHANA

開催日: 2022年6月26日
開催場所: GR Garage 宇都宮つくるま工房 つくるまサーキット那須(栃木県那須塩原市)
主催: 360R

 今年2月、関東地区のジムカーナシリーズの中でいち早く開幕したJMRC栃木・茨城ジムカーナシリーズは、6月26日に行われた今回の一戦で5戦目を迎え、シリーズ後半戦に突入した。今回の一戦が終われば、後はともにもてぎマルチコースで開催される第6戦と最終戦となる第7戦が待ち受ける形となっている。

 つくるまサーキット那須での開催は今季2度目。前回、3月に行われた一戦では、季節外れの雪が降りしきる中でのバトルとなった。梅雨の真っ只中での開催となった今回の一戦は、当初は天候に恵まれて晴れ間も覗き、雨とは無縁の戦いになるかと思われたが、第1ヒートの後半から天候が急変し雨が激しく路面を叩きつけた。しかしその雨も、すぐに止んで再び太陽が顔を出したことで急激に路面は回復。第2ヒートでは全車、ほぼドライに回復した路面にアタックすることができた。

つくるまサーキット那須での開催は今季2度目となった。
コース最奥部にある高速コーナー。今回はストレートから高速で飛び込むこのコーナーが勝負所と語るドライバーが多かった。
今回のコース図。タイトなスラロームをクリアした後にゴールという設定だ。

 舟橋悟選手が4戦2勝と、タイトルレースを大きくリードしているPN1クラス。しかし今回は序盤の2戦で連続して3位に入り、3戦ぶりの参戦となった千葉一希選手が、舟橋選手に1秒の差をつけて首位で折り返す。注目の二人は第2ヒートでは、まだ路面が完全には乾き切らなかったか、ともにタイムダウン。千葉選手が逃げ切って今季初優勝を飾った。

PN1 クラスは千葉一希選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
PN1クラス優勝の千葉選手。

 PN5クラスは激しい三つ巴となっているが、今回参加したのはランキング首位の西尾浩伸選手のみ。WRXを駆った西尾選手は第2ヒートでタイムを大きく落とすものの、GRヤリスの佐藤修一郎選手の追撃を退けて今季3勝目をマーク。タイトルレースのリードを広げた。

PN5 クラスは西尾浩伸選手が今季3勝目をマークした。
PN5 クラス優勝の西尾選手。

 PN7クラスは、開幕戦を制した小島秀治選手が第4戦も制するなど今季は絶好調。ライバルを引き離してポイントリーダーに立っているが、今回は、第1ヒートから、0.7秒の間に上位5台がひしめくという大接戦となる。

 しかしこのクラスも第2ヒートでは各選手とも軒並みタイムダウン。その中、小島選手は0.48秒のタイムアップに成功し、順位をふたつ上げたが、逆転はならず。今季2度目の参戦となった前田悟郎選手が、第1ヒートのタイムで逃げ切った。

 つくるまサーキットは今回が初走行だったという前田選手は、「奥のコーナーを2速で行くか3速で行くか迷ったんですが、3速のまま思い切って行ったら、速度もそれほど落とさずにS字に戻ってこれました。ホームコースは浅間台ですが、ミニサーキットも好きでよく走っているので、今回はその経験が活かせたんだと思います」と激戦を制した勝因を振り返った。

接戦となったPN7 クラスは前田悟郎選手が優勝した。
PN7 クラス優勝の前田選手。
内田佳延選手はタイムアップはできなかったが、2位を守った。
ポイントリーダーの小島秀治選手は3位に終わった。
PN7 クラス表彰の各選手。

 NTR1クラスはBRZをドライブする平川龍一郎選手が4戦3勝と今季は速さを見せている。平川選手を追うのは、ともにAE86を駆る岡本和弘選手と室澤純一選手の2台だ。第1ヒートは、岡本選手が平川選手を1秒以上もリードする1分32秒723をマークして首位で折り返した。

 岡本選手は第2ヒートでも、僅か0.112秒ながらもタイムアップに成功し、最終ゼッケンの平川選手のタイムを待った。注目の平川選手は自らのタイムを1秒近くも縮めるが、32秒830にとどまり、逆転はならず。岡本選手が待望の今季初優勝を果たして、逆転タイトルへの望みを繋げた。

NTR1クラスは岡本和弘選手が、今季初優勝を獲得した。
NTR1クラス優勝の岡本選手。

 一方、続くNTR2クラスは今季4戦すべてウィナーが代わるバトルが続いている。その混戦ぶりを物語るかのように、今回も11台がエントリーと一番の激戦区となったが、第1ヒートは前戦を制した勢いを持ち込んだ長屋秀彦選手が、2番手を2秒近くも突き離す1分30秒132という圧巻のタイムでトップに立った。

 第2ヒートに入ると、長屋選手と同じく、S2000を駆る藤永高迅選手が1分30秒台をマークするが、ペナルティを取られて上位進出は果たせず。その後は30秒台はおろか、31秒台に乗せるドライバーも現れず、長屋選手も1本目とほぼ同等のタイムでゴールするが、タイムアップは叶わず。ポイントリーダーの最終ゼッケン、戸田義則選手はタイムを上げたが、31秒台後半にとどまったため、長屋選手の2連勝が決まった。

 この勝利でポイントランキングも一気に2位に浮上した長屋選手は、「自分のS2000はライバルと比べるとパワーで劣るので、ともかくコーナーでスピードを落とさないように、根性入れて、スピンしてもおかしくないギリギリの攻めの走りができたのが勝因ですね。ターボ車に勝てて嬉しいです(笑)。サーキットは得意じゃないんですが、今日は3速が続くような普段は経験できないジムカーナが楽しめたので、いい練習ができました」と会心の笑顔を見せていた。

NTR2 クラスは断トツのベストタイムを奪った長屋秀彦選手が快勝した。
NTR2 クラスを制した長屋選手。
開幕戦以来の勝利を狙った戸田義則選手は2位でゴール。
川村智也選手は第1ヒートのタイムで3位に入った。
NTR2クラス表彰の各選手。

 ランサー、インプレッサが集ったNT4クラスは、高速レイアウトとあってオーバーオールウィンの期待もかかるバトルの場となった。優勝を飾ったのは佐藤林選手のランサーで、唯一、1分30秒の壁を破る1分29秒143をマーク。見事に総合優勝の“大役”を果たした。

「2本目はサイドターンを決められなくてタイムを上げられませんでしたが、ノーミスでも1分27秒台は厳しかったかもしれませんね」と、自らの走りを振り返った佐藤選手は今回が2度目のつくるまサーキット走行だったという。

「皆さん、タイヤが結構、鳴いていたので、鳴らさないよう丁寧に走る事を心がけました。もてぎのマルチや南コースのような所では、S2000勢が全体ベストを獲るくらい速いので、今日も負けるかもしれないと思ってましたが(笑)、何とかオーバーオールを獲れて良かったです」とホッとした表情を見せていた。

NT4 クラスでは佐藤林選手がシーズン3勝目をマークした。
NT4 クラス優勝の佐藤選手。
NTF2クラスは吉良仁秀選手が優勝。
SC・D クラスは手塚靖男選手が優勝した。
上級者対象のF クラスは、ベテランの和田修一選手が優勝。
CK クラスではヴィヴィオを駆った五味淵昌子選手が優勝した。
CH クラスは手塚悠人選手が第2ヒートのタイムで優勝した。

レンタル車両で参加できるGRクラスは
今回も多彩なメンバーが揃って大盛況!

 JMRC栃木・茨城ジムカーナシリーズは<今年からGRクラスを新たに設けた。トヨタGR・レクサス車両が参加できるクラスで、2WD車対象のGR2クラスと、4WD車対象のGR4クラスが設定されている。

 レンタル車両を用意しているのが、このクラスの大きな特徴で、今回もGRヤリスRS(2WD・CVT)、GRヤリスRZ(4WD・MT)に加えてGR86(2WD・AT)の計3台のレンタル車両が用意された。今回はふたつのクラス合わせて、10名のエントリーがあったが、その内、8名がこのレンタル車両で参加した。

今回、GR2&GR4 クラスに参戦した皆さん。
今回は2台のGRヤリスとGR86の計3台がレンタル車両として用意された。

 このGRクラスはジムカーナ初心者が対象ということで、コース設定もサイドターン等のテクニックを使用しなくても曲がれるように、一部のテクニカルなセクションを簡易な設定へ変更したレイアウトとしている。これは全日本ジムカーナ選手権でもAT・CVT車を対象としたクラスで行われている措置だが、ビキナーにもジムカーナに親しんでもらえるような配慮がなされている。

GRクラスのコースは、サイドターン等のテクニックを使わなくともクリアできるよう、通常のコースから一部、簡易化されたものになっている。

 また今回の大会では、コースを歩いて下見する「慣熟歩行」の前に、レンタル車両で参加する選手達に、ジムカーナや慣熟歩行に関する簡単なレクチャーとアドバイスが大会主催者から行われたほか、茨城県内のGRガレージがブースを出展し、参加者達に休憩の場を提供するなど、手厚いサポートが行われた。

今回の大会では、GR Garage水戸けやき台のスタッフによるブースが会場内に設営され、GRクラスをはじめとする参加選手達に交流の場を提供した。
レンタル車両のGRヤリスRSでGR2クラスに参加した小林和己選手は、ジムカーナも、つくるまサーキットも今回が初走行だった。「モータースポーツに詳しい知り合いに勧められて参加しました。普段は軽自動車に乗ってますが、スポーツ系の車両に興味があって、こういうコースも走りたかったので、今日は楽しい経験ができました。正直言うと、ジムカーナってこんなに人が集まるものだとは思ってなかったので(笑)、しっかりとした競技人口のあるモータースポーツなんだ、というのが分かったという意味でも貴重な一日でした。ジムカーナもやってみたい気持ちはありますが、競技車両や、ベースとなる車両ってポンと買えるものではないので、こういうレンタル車があるのは助かりますね。機会があれば、また参加したいと思います」。
GRヤリスRZをレンタルして、GR4クラスに参戦した鈴木弘選手はモータースポーツ経験者だ。「以前は愛車のアルテッツァでジムカーナを楽しんでいた時期もあったんですが、仕事で離れていた地元に20年ぶりに帰ってこれたので、ジムカーナを本格的にやろうと思って、実はGR86を買って、いま競技車両に仕立ててます(笑)。ただ本格復帰の前に、最新のスポーツ車両の挙動をこういう場所で確かめたかったことと、個人的に4WDのGRヤリスに乗りたかったので(笑)、今日はGR4クラスにエントリーしました。4WDに乗るとFRに比べて、やっぱり楽だなと感じますが、4WDに慣れ過ぎると勘違いするので(笑)、しっかりそこは見極めて楽しみたいと思います」。
スミス・アレクシ選手は、ドリフトの経験者。今回は見事にGR4クラスを制した。「ここは自分のAE86でいつもはドリフトを楽しんでいますが、今日はジムカーナを経験したくて参加しました。当然、本当はFRのGR86をレンタルしたかったのですが(笑)、AT車だったので、MT車を選びました。最新の、しかも4WD車に乗るのは久しぶりでしたが、こういうコースで走れたからこそ、“WRCを戦うために作られた”GRヤリスというクルマの凄さを実感できた感じでしたね。ここはダートコースもあるので、次はダートラもやってみたいです。ラリーもやりたいけど、ちょっと怖いので、考えます(笑)」。

 なお栃木・茨城シリーズは、決勝走行の前に慣熟走行が行えるのが通例になっているので、本番のコースを3本走れるという意味でも、GRクラスのレンタル車での参加者には、ジムカーナ入門に最適のシリーズとなっている。なおGRクラスは初心者が主たる対象ということで、ライセンスがなくとも参加できるクローズドのクラスになる。最新のスポーツ車でジムカーナを一度体験してみたいという人には、オススメのクラスだ。

GR2 クラスは第1ヒートのミスコースを挽回した寺井昭一選手が優勝。
小林昭弘選手が2位でチェッカーを受けた(左)。レクサスISをドライブした國寄隆祐選手が3位に入った(右)。
GR4クラスではスミス・アレクシ選手が優勝を飾った。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ