全日本ラリー選手権は2戦を残してJN2、JN6クラスでシリーズチャンピオンが確定!

レポート ラリー

2022年7月14日

全8戦が組まれている2022年JAF全日本ラリー選手権も、このラウンドを含めて残すところあと3戦。第6戦「2022 ARKラリー・カムイ」が、7月8~10日に北海道のリゾート地として知られているニセコ町を拠点に開催された。

2022年JAF全日本ラリー選手権 第6戦「2022 ARKラリー・カムイ」
開催日:2022年7月8~10日
開催地:北海道ニセコ町周辺
主催:TEAM ARK

 今シーズン最初のグラベルラリーとなるこのラウンドは、ニセコ町に隣接する蘭越町や黒松内町にSSが設けられ、9日に4SS、10日に6SSの合計10SSが設定されている。今回は全日本では初めて使う新たなステージも用意された。

 だが、大会前に大雨が降った影響もあり、当初は7.28kmを走行する予定だったSS1/SS3(BEECH)の後半部分の路面が極めて滑りやすいぬかるみ状態となっていたことを受け、主催者は走行が危険と判断。SS距離が3.64kmに短縮され、総SS走行距離は69.32kmに修正された。

 路面コンディションは、ラリーがスタートする頃には一部ハーフウェットとして残ったが、初日、2日目ともに晴れ間が見える好コンディションとなり、ドライコンディションのもとで競われることとなった。

ニセコアンヌプリ国際スキー場駐車場を拠点とし、ニセコ町から黒松内町の間に10のスペシャルステージが用意された2022 ARKラリー・カムイ。
人数制限を行いつつ、SS5のNEW SUN-RISE、SS8のMAGNOLIA REVERSEではギャラリーエリアが設定された。

 JN1クラスは、SS1でシリーズランキングトップのヘイキ・コバライネン/北川紗衣組がベストタイムを奪うものの、12.12kmのSS2(ORCHID SHORT 1)で新井敏弘/田中直哉組がベストタイムをマークし、トータルで3.9秒差で逆転してトップに立つ。

 だが、サービスを挟んだSS1のリピートステージとなる3.64kmのSS3で、コバライネン/北川組は新井/田中組に8秒差のベストタイムを刻み、トータルでも4.1秒逆転に成功。SS4(ORCHID SHORT 2)もベストタイムを奪ったコバライネン/北川組がトップでレグ1を折り返した。9.1秒差の2番手に新井/田中組、各SSで安定して上位タイムを刻んだ勝田範彦/木村裕介組が、新井/田中組と2.0秒差の3番手につける。

 レグ2はSS6(STREAM 1)で新井/田中組がコバライネン/北川組に1.3秒差をつけて迫るものの、反撃もここまで。この日、6SS中3SSでベストタイムを刻んだコバライネン/北川組が今季5勝目を挙げ、2年連続のシリーズチャンピオンに王手をかけた。

JN1クラス優勝はヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(AICELLOラックDL速心FABIA)。
JN1クラスのフィニッシュセレモニー。左から2位の新井敏弘/田中直哉組、1位のコバライネン/北川組、3位の勝田範彦/木村裕介組。

 今シーズン5連勝を挙げている中平勝也/島津雅彦組が2年連続のシリーズチャンピオンに王手をかけているJN2クラス。シリーズランキング2番手のAKIRA/美野友紀組がこのラウンドをスキップしているため、中平選手は事実上、完走すればタイトルを手に入れることができる。

 ラリーは、シビック・タイプRに乗り換えて出場してきた小倉雅俊/平山真理組が先行。SS1からSS3まで3連続ベストタイムをマークし、レグ1で2番手の中平/島津組に7.5秒差のトップで折り返す。

 しかしレグ2に入ると中平/島津組が逆襲。レグ2オープニングとなるSS5(NEW SUN-RISE 1)でベストタイムをたたき出し、トータルでも0.8秒差で小倉/平山組を逆転した中平/島津組は、その後もSS10(MAGNOLIA REVERSE 2)までベストタイムを連発し、今シーズン負け知らずの6連勝を達成。2年連続のシリーズチャンピオン確定に華を添えた。

JN2クラス優勝は中平勝也/島津雅彦組(DL SYMS R-ART 86 R3)。
JN2クラスのフィニッシュセレモニー。左から2位の小倉雅俊/平山真理組、1位の中平/島津組。
JN2クラスのドライバーチャンピオンを中平選手が、コ・ドライバーチャンピオンを島津選手が確定させた。

 JN3クラスは、今シーズン未勝利の山本悠太/立久井和子組が、SS2で前走者に追いついてしまうアクシデントはあったものの、レグ1の4SS中3SSでベストタイムを奪い、後続を大きく引き離してトップで折り返す。

 山本/立久井組はレグ2でも、すべてのSSでベストタイムを連取。2位に約2分の大差をつけ、今シーズン初優勝を飾った。そして1秒を争う熾烈な戦いとなった2位争いは、SS2でベストタイムを奪った長﨑雅志/大矢啓太組を、SS6で加納武彦/横手聡志組が捕えて逆転。その後も長﨑/大矢組を引き離した加納/横手組が2位表彰台をつかんだ。

JN3クラス優勝は山本悠太/立久井和子組(SammyK-oneルブロスYHGR86)。
JN3クラスのフィニッシュセレモニー。左から2位の加納武彦/横手聡志組、1位の山本/立久井組、3位の長﨑雅志/大矢啓太組。

 ベテランの岡田孝一/河本拓哉組がレグ1をトップで折り返したJN4クラス。レグ2のSS6では、レグ1で3番手だった香川秀樹/松浦俊朗組が岡田/河本組を一気に逆転。さらに須藤浩志/新井正和組が4.0秒差で2番手につけるという展開となった。

 続くSS7(MAGNOLIA REVERSE 1)で須藤/新井組が0.5秒差のトップに浮上。SS8(NEW SUN-RISE 2)では再び香川/松浦組がトップを奪い返すという一進一退の展開となったが、須藤/新井組がSS9(STREAM 2)とSS10を連取し、最後の最後に香川/松浦組を0.7秒逆転。

 最終SSの逆転劇で須藤/新井組が今季初優勝を飾った。3位には最後まで須藤/新井組と香川/松浦組に食らい付いた山口貴利/山田真記子組が入賞。また、シリーズランキングトップの西川真太郎/本橋貴司組が5位に入賞し、2年連続となるシリーズチャンピオンが現実味を帯びた。

JN4クラス優勝は須藤浩志/新井正和組(スマッシュBRIGコマツYHスイフト)。
JN4クラスのフィニッシュセレモニー。左から2位の香川秀樹/松浦俊朗組、1位の須藤/新井組、3位の山口貴利/山田真記子組。

 JN5クラスは、地元の松倉拓郎/尼子祥一組と、渡部哲成/小藤桂一組が好勝負を展開。SS1は松倉/尼子組、SS2は渡部/小藤組がベストタイムを奪い、SS2を終えて松倉/尼子組がわずか0.1秒という僅差の勝負を見せる。そして2ループ目のSS3とSS4は松倉/尼子組が奪い、レグ1は松倉/尼子組が渡部/小藤組を5.2秒リードするという展開となった。

 ところが、レグ2のオープニングとなるSS5で松倉/尼子組が駆動系トラブルに見舞われリタイア。松倉/尼子組の離脱によりトップに立った渡部/小藤組は、その後も後続クルーを引き離し、今シーズン初優勝を飾った。2位にはチームメイトの小濱勇希/橋本美咲組が入賞、3位には4戦ぶりの出場となった大倉聡/豊田耕司組がそれぞれ入賞した。

JN5クラス優勝は渡部哲成/小藤桂一組(カヤバ DUNLOP CVT Yaris)。
JN5クラスのフィニッシュセレモニー。左から2位の小濱勇希/橋本美咲組、1位の渡部/小藤組、3位の大倉聡/豊田耕司組。

 タイトルに王手をかけているJN6クラスの海老原孝敬/蔭山恵組は、ノーショナルタイムが与えられたSS5以外のすべてのSSでベストタイムをマーク。今シーズン6勝目とともに、それぞれ初となるシリーズチャンピオンを優勝で確定させた。2位は鷲尾俊一/鈴木隆司組、3位には中西昌人/有川美知代組のベテラン勢がそれぞれ入賞した。

JN6クラス優勝は海老原孝敬/蔭山恵組(スマッシュ DL itzz ヴィッツ)。
JN6クラスのフィニッシュセレモニー。左から2位の鷲尾俊一/鈴木隆司組、1位の海老原/蔭山組、3位の中西昌人/有川美知代組。
JN6クラスのドライバーチャンピオンを海老原選手が、コ・ドライバーチャンピオンを蔭山選手が確定させた。

 オープンクラス2は伊東太壱/美細津正組が後続を大きく引き離して優勝、オープン1クラスは喜多見孝弘/木原雅彦組、直井健/加藤昭文組のハイエース勢が1-2フィニッシュを飾った。

 また、併設クラスのXCRスプリントカップ北海道は、XC-2クラスで平塚忠博/津野裕宣組がレグ2で逆転して優勝、XC-1クラスでは最後までしっかりと走り切った兼松由奈/加勢直毅組が優勝を飾った。

OP-2クラス優勝は伊東太壱/美細津正組(千明自動車 YH Work GRFour)。
OP-2クラスのフィニッシュセレモニー。左から2位の齋藤糧三/宇野哲也組、1位の伊東/美細津組。
OP-1クラス優勝は喜多見孝弘/木原雅彦組(CAST Racingサンコーハイエース)。
OP-1クラスのフィニッシュセレモニー。左から2位の直井健/加藤昭文組、1位の喜多見/木原組。
XC-2クラス優勝は平塚忠博/津野裕宣組(SMaSH・Hilux)。
XC-1クラス1位は兼松由奈/加勢直毅組(CUSCO DUNLOP Jimny)。

フォト/CINQ、加藤和由、中島正義 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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