中部ダートラ地区戦は後半戦に突入!森大士シビックが参加26台の激戦区を制す

レポート ダートトライアル

2022年7月15日

JAF中部ダートトライアル選手権は、石川の門前モータースポーツ公園でシリーズを折り返す第5戦が開催された。

2022年JAF中部ダートトライアル選手権第5戦
2022年JMRC中部ダートトライアル選手権第5戦
JMRC全国オールスター選抜第5戦
2022年JMRC中部ダートトライアル北陸シリーズ第4戦
TOMBOダートトライアル’22

開催日:2022年7月3日
開催場所:輪島市門前モータースポーツ公園(石川県輪島市)
主催:TOMBO、ABC

 今年のJAF中部ダートトライアル選手権は全8戦が組まれている。半数の4戦は北陸能登半島の輪島市に位置する門前モータースポーツ公園が舞台で、残る4戦は愛知の池の平ワンダーランドと、福井のオートパーク今庄が2戦ずつを受け持つという構成となる。

 門前では3月に開幕戦が、そして6月には第4戦がすでに開催済みで、今回の一戦は今季3度目の地区戦開催。9月には、ラス前の一戦となる第7戦が行われる。今回は、北陸地区の入門シリーズとして知られるJMRC中部ダートトライアル北陸シリーズも、第4戦目となる大会が併催され、トータル90台のダートラ車が集う賑やかな一戦となった。

 この2年間ほどは全日本選手権の開催からは遠ざかっている門前だが、昨年秋に開催されたJAFカップオールジャパンダートトライアルの前に路面の改修が行われたほか、今季も路面の整備が進められるなど、着実に進化中。かつては考えられなかった第2ヒートではドライタイヤの出番となるなど、その攻略法も変わりつつある。

門前での開催は今季3度目。前戦の第4戦も門前で行われたため、シリーズの行方を大きく左右する2連戦となった。
ギャラリーコーナーを駆け上がった後に林道セクションへと突入する、定番のレイアウトが今回も採用された。
今回のコース図。道幅の広いストレート区間と、タイム差のつきやすい林道区間が程よくミックスされたレイアウトとなった。

 さて地区戦最初の決勝クラスとなったRWDクラスは15台がエントリーと、今回2番目の激戦区となった。全日本に参戦する福西貴志、齊藤道夫の両選手がGR86を持ち込んだほか、初代86/BRZで12名がエントリー。高畑智之選手が唯一、RX-8を駆る。

 第1ヒートをベストで折り返したのはシードゼッケンの前田蔵人選手で1分42秒378をマーク。同じく42秒台に入れた全日本ドライバーの寺田伸選手と、上角好孝選手が前田選手に続いた。

 第2ヒートに入ると、まず齊藤選手が1分40秒の壁を最初に破って39秒551をマークするが、ノンシードの選手達は40秒を超えられまま、ラスト4台のシード勢の走行を迎えることに。そのシード勢は上角選手は42秒台にとどまったものの、前田選手が39秒026を叩き出してベストを更新、意地を見せる。

 しかし、それもつかの間、最終ゼッケンの寺田選手が圧巻の1分38秒013でゴールして勝負あり。寺田選手が第3戦に続く今季2勝目をゲットした。全日本ではAT車の86を駆る寺田選手だが、地区戦ではMT車の86をドライブしている。「今日は1本目はレインタイヤでしたが楽しく走れたので、そのいい感触をドライタイヤでの2本目もキープできた感じでした」と寺田選手。

「あまりタイヤで走りを変えている意識はないんですが、何だかんだで(タイヤに)合わせてるんでしょうね。2本目はほぼ満足の走りができました。路面もドライタイヤでドンピシャでした」と寺田選手は会心の走りを振り返った。2位の前田選手に続いた齊藤選手がGR86最上位の3位に入賞。RX-8の高畑選手は7位に喰い込んだ。

RWDクラスは、地区戦ではMT車の86をドライブする寺田伸選手が、最後に逆転を決めて優勝。
RWDクラス優勝の寺田選手。
前田蔵人選手は逆転を許し、2位にとどまった。
齊藤道夫選手はGR86で3位をゲットした。
RWDクラス表彰の各選手。

 一方、PN1・S1500クラスでは、デミオを駆る天野佳則選手が1分39秒270でトップタイムを奪うが、前戦、0.05秒差で天野選手に敗れた中部期待の若手、奈良勇希選手がまたも0.04秒差で天野選手に喰らいつき、シードゼッケン勢を置き去りにした激しいトップ争いを展開する。

 注目の第2ヒート。先に走った奈良選手は35秒542までタイムを詰めて天野選手の走りを待ったが、天野選手は36秒325にとどまり、再逆転は果たせず。終わってみれば、ただ一人、35秒台に乗せた圧巻の走りを見せた奈良選手が2年ぶりとなる地区戦2勝目をマークした。

 奈良選手は、若手の精鋭が集まる「CUSCO & WinmaX & DUNLOP 2022年Bライセンス競技若手育成支援プログラム」のサポートを受ける一人。「他地区の同じサポートを受ける方々がいい成績を残しているので、正直、焦りがありました。地区戦は2勝目ですが、なかなか勝てない地区戦の厳しさを痛感していた中での優勝なので、全日本で勝てたら、こんなに嬉しいんだろうなというくらい(笑)、今日は最高の気分です」と喜びを爆発させていた。

PN1・S1500クラスは中部地区期待の若手、奈良勇希選手がスイフトでは初となる地区戦優勝をさらった。
PN1・S1500クラス優勝の奈良選手。「2本目は門前で初めてドライタイヤを履いて走りましたが、特に林道区間では自信のある所は多少ミスってもいいから攻めの走りをしました。ちょっとしたミスはありましたが、結果的にはその部分でタイムを稼げたと思います」。
デミオで速さを見せる天野佳則選手は逆転を許して今回は2位。
深谷文彦選手は3位。スイフト勢を抑えて表彰台の一角をゲットした。
PN1・S1500クラス表彰の各選手。

 ノンシード勢が活躍したPN1・S1500クラスに対して、Nクラスはシード勢が貫禄の走りを見せた。第1ヒートを首位で折り返したのは昨年のチャンピオンの三上勝義選手で2番手の山内友和選手に1秒以上の大差をつける1分32秒410というスーパーベストをマークする。

 しかし第2ヒートに入ると、今度は全日本ドライバーの角皆昭久選手が、今大会、総合でも3位に入る1分30秒315という圧巻のタイムでゴール。「1本目に結構、ミスしたので、修正できた分、タイムが上がった感じですが、欲を言えば30秒は切りたかった」と振り返った角皆選手だが、ライバルの追撃を最後まで許さず、そのまま逃げ切った。

 このクラス、2番手には角皆選手から1.5秒離されたものの、ノンシードながら前戦の門前を制した三浦睦選手が、僅差で三上選手を抑えて入賞。三上選手は0.001秒差で同じくシードの三輪智広選手をかわして表彰台の一角を確保している。

Nクラスは第2ヒートでライバルを突き離した角皆昭久選手が優勝。
Nクラス優勝の角皆選手。「夏の門前を走るのは久し振りだったので、路面がどうなるか分からず、不安はありましたが、2本目は荒れることもなく掃けてくれて硬い路面が出たので、走りやすかったです」とスーパーベストの走りを振り返った。
三浦陸選手はシード勢に割って入る2位を獲得。
第1ヒートは首位だった三上勝義選手だが、3位にとどまった。
Nクラス表彰の各選手。

 2WDの改造車が一堂に集うS1クラスは、26台が参加と、一大激戦区となった。地元北陸からは、この門前を“庭”とする、全日本優勝経験者の石崎雄一選手、広上徹選手らがエントリー。一方、東海地区からはラリーにも参戦するなどマルチプレーヤーとして活躍する元全日本チャンピオンの三枝光博選手が参戦と、錚々たるメンバーが顔を揃えた。

 第1ヒートのベストを奪ったのは、今年は全日本、地区戦ともスポットで参戦する地元の森大士選手。1分35秒をただ一人切って34秒683をマークする。石崎、広上の2台が35秒台で続いて北陸勢が1-2-3を形成して、まずは折り返した。

 森選手のタイムは第2ヒートに入ってもしばらくは更新されなかったが、このタイムを塗り変えたのはやはり優勝候補の一人、三枝選手で34秒312を叩き出す。しかし石崎選手がさらに34秒095で上回って逆転。すると森選手が一気に33秒559までベストタイムを吊り上げる。

 シード勢の出走を前に勝負あったかと思われたが、まだバトルは終わらない。そのシード勢で前戦優勝の横内由充選手のMR2が、僅差ながらも森選手の中間ベストを凌いで後半区間に突入したからだ。しかし横内選手はこの直後に大きく姿勢を乱してハーフスピン。後半区間は13番手と遅れ、逆転は果たせず。4位にとどまり、森選手が大接戦を制した。

「スーパードライタイヤを履いた横内さんSW20のターボパワーには勝てないと思っていたので、今日は横内さんのミスに助けられての勝利ですね。僕は安全策を採ってドライタイヤで行きましたが、スーパードライでチャレンジしても良かったかも」と苦笑の森選手。

「門前はここ1~2年で路面がフラットになって、幅も広がるなど大きく変わりましたね。全日本と同じように砂利が掃けた2本目の硬い路面での勝負になってきたので、ドライタイヤが好きな自分は楽しく走れました」と、進化した地元のコースの印象を語った。

26台が競う大激戦区となったS1クラスは、地元北陸の森大士選手が優勝。
S1クラスを制した森選手。「SC車両なので、勝たなければというプレッシャーもありましたが、中身はほとんどまだSA車両なので(笑)。オーソドックスな設定でしたが、前半も後半もタイムを稼ぐポイントで、上手く走りを合わせられたのが結果に繋がった気はしますね」。
門前マイスターの一人、石崎雄一選手はコンマ5秒届かず、2番手。
三枝光博選手は東海地区勢最上位となる3位を獲得。
S1クラス表彰の各選手。

 大会のトリを務めるS2クラスは14台がエントリーと、こちらも激戦区となったが、両ヒートともただ一人、1分29秒台をマークした松原実選手が優勝した。昨年は参戦した全戦で優勝し、チャンピオンを獲得。今年は栄光のラストゼッケン「011」で走る松原選手だが、前戦で前田利幸選手に敗れて、連勝記録がストップした。

「二度続けて負けたくはなかったので、いつも以上に集中して気合いを入れて走りました」とリベンジ達成に笑顔を見せた松原選手だが、今年からNEWマシンを投入したことを勝因として挙げた。「以前乗っていた車両よりも軽くなっているので、運転していても破綻する気がしない。今日も、“もっと行ける”と思いながら走りました。クルマがいいとホントに楽ですね(笑)」と、後半戦に向けて確かな手応えを掴んだ様子だった。

S2クラスはディフェンディングチャンピオンの松原実選手が快勝した。
S2クラス優勝の松原選手。
門前2連勝を狙った前田利幸選手だったが、2位でゴール。
第2ヒートでマシントラブルに見舞われた鈴木信地郎選手は、第1ヒートのタイムで3位に入った。
S1クラス表彰の各選手。

 今回の地区戦では、JMRC中部ダートトライアル北陸シリーズが同時開催された。今年の北陸シリーズは全7戦が組まれており、開幕戦から第6戦までは今回の門前で開催される。最終戦のみ、福井県のオートパーク今庄で行われる予定だ。地区戦との併催は今回の第4戦で今季2度目となったが、残る3戦はすべて単独開催される予定だ。

 クラス1は開幕2連勝を飾っている藤田哲也選手が第1ヒートでベストを奪い、順調なスタートを切るが、第2ヒートではフィットを駆る原口直之選手が0.2秒、藤田選手を凌いで逆転に成功。前戦に続いて優勝を飾り、藤田選手に勝ち星で五分に持ち込んだ。

 クラス3ではFFインプレッサを駆る中田隆志選手が、第1ヒートから9秒近いタイムアップを遂げて、こちらも2番手から見事な逆転優勝を決めた。クラス4は、長坂和人選手が両ヒートともベストタイムで上がって早くも3勝目をマーク。2番手にも竹沢凱貴選手が入ったこのクラスは、GC8インプレッサが1-2フィニッシュを飾った。

クラス1は原口直之選手がシーズン2勝目を獲得。
藤田哲也選手は逆転を許し、悔しい2位(左)。山本吉男選手のデミオが3位に入った。
クラス1表彰の各選手。
クラス3は2WDインプレッサをドライブした中田隆志選手が優勝。
クラス3を制した中田選手。
クラス4は今季好調の長坂和人選手が3勝目をマークした。
クラス4優勝の長坂選手。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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