北海道ダートラ第7戦で大場元貴選手が激戦区FF-1を逆転で制し二連覇確定!!

レポート ダートトライアル

2025年9月19日

2025年8月24日、北海道砂川市に建つオートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコースにて、2025年JAF北海道ダートトライアル選手権 第7戦が開催された。今季も残すところ2戦となった北海道地区戦。前回の第6戦終了時点でチャンピオンが確定しているクラスはなく、各クラスともに今回の一戦が王座争いの正念場となりそうだ。

2025年JAF北海道ダートトライアル選手権 第7戦
2025年JMRC北海道Moty’sダートトライアルシリーズ第7戦
EZO DIRT 2025

開催日:2025年8月24日
開催地:オートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコース(北海道砂川市)
主催:EZO

 第7戦のレイアウトは“いつものスナガワ”とは違い、ロングストレートは設定されず。中低速中心のレイアウトで、車種によってはギヤ選択に悩むドライバーも見られた。更に前日に降った雨の影響で、コース上のいたる所に大きな水たまりが残った。これらをどう捌くかも、重要な攻略要素となった。

 競技会当日は朝から快晴。全国的に猛暑が続いているが北海道も例外ではなく、日中の気温は30℃まで上昇。これにより、第2ヒートは乾き切らない路面と、フルドライ路面が混在するミックス路面へと変貌。刻々と変化する路面の中、熾烈なアタック合戦が繰り広げられた。

オートスポーツランドスナガワのダートトライアルコースで開催された、2025年JAF北海道ダートトライアル選手権 第7戦には53選手が集った。前日降った雨があがり晴れ模様となったが、急速に乾いていく路面と水たまりが残る路面が混在、タイヤ選択などでドライバーたちを悩ませた。
スナガワでは、スタート直後にコース奥まで伸びるストレートを駆け抜けるレイアウトが多いが、今回の一戦はスタートするとすぐに大きく島を回り直線区間が短く、フィニッシュ直前にはテクニカルな小さな島回りが待ち受ける、珍しい設定で戦った。

2025年JAF北海道ダートトライアル選手権 第7戦

FF-1クラス

 王座争いは、ランキングトップの大場元貴選手と、5ポイント差でランキング2番手につけている岡村巧選手の二人に絞られたFF-1クラス。今回の一戦で一気にチャンピオンを確定させたい大場選手と、最終第7戦勝負に持ち込みたい岡村選手だが、Heat-1で1分28秒182のトップタイムをマークしたのは、ランキング3番手につけている竹花豪起選手だった。岡村選手は1分29秒台で2番手、大場選手は1分30秒台の3番手でHeat-1を折り返す。

 そしてHeat-2で更に王座争いを混沌とさせたのが、スポット参戦したJAF全日本ダートトライアル選手権PN1クラスが主戦場の内山壮真選手。1分26秒498を刻んでトップに躍り出る。続く竹花選手は内山選手に0.051秒及ばずトップに返り咲くことはできなかったが、2番手につける。

 上位陣が1分26秒台の戦いとなってところでクラスラスト前ゼッケンの岡村選手が登場。ここでトップタイムを刻んでおきたい岡村選手だが、ベストタイムを約2.6秒更新するも、竹花選手に0.26秒届かず3番手タイムに終わってしまう。そしてクラスラストゼッケンの大場選手がスタート。Heat-1は岡村選手に約0.6秒の遅れをとっていただけに、そのタイムが気になるところだ。しかし、叩き出したタイムは1分26秒062。内山選手のタイムを0.436秒更新し、トップタイムでフィニッシュした。

「1本目は(小さなコーナーで)2速を使ったのですが、ギヤが合わずタイムが出なかったので、2本目は1速で最短距離をとるように走ったのが良かったのではないかと思います。ただ、タイム的には1分25秒を切れると思っていたのですが……。ライン取りは、更に練習が必要ですね」と、大場選手は反省も忘れない。

 続けて「特に今回は内山選手も出場していたので負けられない一戦で、“絶対に勝つ”という気持ちで走りました(笑)」とのことだ。今季の全日本では、スナガワでの第4戦エビスサーキット新南コースでの第5戦ともに内山選手よりも上位の成績を収めているだけに、今回の勝利に喜びを露わにした。そして、この優勝でチャンピオンも確定となり、二連覇も達成した。

 一方、4位に終わり最終戦決戦に持ち込めなかった岡村選手は「2本目は、タイヤの外形を大きなサイズに変えてギヤを合わせました。フィーリングは良かったのですが、順位を上げることができませんでした。10年くらい前にラリーからダートトライアルに転向して、シリーズを追うのは5シーズン目ですが、これまでずっと2位なんですよ……」と、悔しそうな表情で語った。

FF-1クラスはホンダ・フィットを駆る大場元貴選手(ルート6・Pガレ・フィット)が逆転優勝でチャンピオンを確定させた。
FF-1表彰台の両脇は、2位の内山壮真選手(TS金エコテック和光37Tスイフト、左)と3位の竹花豪起選手(PガレDLMoty’sスイフト、右)、ZC32S型スズキ・スイフトスポーツ勢が占めた。
FF-1はトップ5が表彰された。左から4位の岡村巧選手(YHダイシンKCタクミスイフト)、2位の内山選手、優勝した大場選手、3位の竹花選手、5位の土佐岡慎選手(PガレADVANスイフト)。

FF-2/4WD-1クラス

 前回の第6戦終了時点で、FF-2/4WD-1クラスは62ポイントを獲得している川口昭一選手を筆頭に、ランキング6番手の村上海斗選手までチャンピオン確定の可能性を残している。王座争いはまさに混戦を極めているが、仮に川口選手が今回優勝した場合、ランキング3番手の内藤修一選手が3位以上であれば最終戦までもつれることになり、二人以外のドライバーたちは王座争いから脱落、という状況。特に2番手のMCタマー選手にとっては、今回が正念場といったところだ。

 Heat-1で1分24秒121のトップタイムをマークしたのは第3戦以来、久しぶりに地区戦に参戦してきた全日本ドライバー、張間健太選手。張間選手は今季の全日本PN2クラスで2勝を挙げてランキングトップを快走中。この大きな存在が、王座争いにどのように影響するかが気になるところだ。続く2番手には村上選手、そして川口選手は3番手で折り返す。

 Heat-2に入ると、村上選手が1分22秒765を刻んでトップタイムを更新するが、次ゼッケンの張間選手がすかさず1分21秒355を叩き出してトップ奪回。1分21秒台までハードルが上がった後半ゼッケンは、続くランキング4番手の柴田純選手は1分23秒707で3番手。Heat-1は7番手と出遅れていた内藤選手は、1分23秒683を刻み、村上選手と柴田選手の間に割って入るタイムでフィニッシュした。

 そして、MCタマー選手はHeat-1で6番手からの巻き返しを狙うも1分26秒台と伸び悩み、順位を落としてしまう。ラストの川口選手は、ここでトップタイムを更新すればチャンピオンを確定させることができるが、1分23秒867で5位に終わり、張間選手が安定した速さを見せて優勝した。

「この時期、全日本選手権の間隔が空くのと、セッティングも仕様変更したので確認と練習も兼ねて参加しました。今回のコースはテクニカル要素も多かったので、色々と試すことができました」と、張間選手は語った。続けて「走りに関しては、僕は積極的に水たまりを使う組み立てをしたのですが、それがタイム差につながったのかな、と思います。セッティングも良い方向にいってるので、今日のレイアウトでも良かったし自分の走りもできたので、1ランク上のレベルにいける手応えも感じました」と、全日本残り2戦に向けての準備も整った様子だ。

 一方、ランキング2番手につけていながら、ここでチャンピオン確定の権利を失ってしまったMCタマー選手は「ダメダメでした(笑)。今回リアに羽をつけてみて運転した感じは悪くなかったのですが、何で? っていうくらいタイムが出ませんでした。最終戦は少しでも良い成績が出せるよう準備します」と、苦笑いしながら振り返った。

 そして、チャンピオン確定は果たせなかったものの、ランキングトップを死守した川口選手は「走りは悪くなかったと思うのですが、周りの人達が速かった(笑)。ちょっと(運転が)荒かったのかな? シリーズでは内藤選手が3位だったことが救いですね。今回、内藤選手に勝たれてしまうとかなり厳しくなるので。実はタイトル獲得をあまり意識してなかったのですが、ここまで来たら是非掴みたいですね」と、川口選手はチャンピオン確定に意欲を見せた。

 王座争いは川口選手と内藤選手に、今回の一戦を制した張間選手による三つ巴で最終戦へと持ち越された。

張間健太選手(DLクスコWM・ラブカスイフト)がZC33S型スイフトをドライブ、両Heatとも制して完勝を果たした。
FF-2/4WD-2に唯一4WDのダイハツ・ストーリアX4で挑んだ村上海斗選手(PガレYH・ASYLストーリア)が2位を獲得(左)。ZC33S型スイフト勢の内藤修一選手(DL☆XP☆SCENEスイフト)が3位に飛び込んだ(右)。
FF-2/4WD-1も上位5選手が表彰を受けた。左から4位の柴田純選手(ADVAN・サポートスイフト)、2位の村上選手、優勝した張間選手、3位の内藤選手、5位の川口昭一選手(TRS DLインテグラ)。

RWDクラス

 RWDクラスは、第6戦終了時点で5選手がタイトル確定の可能性を残している混戦模様。ランキングトップの和泉泰至選手は参戦4戦中3勝を挙げており、今回の一戦で優勝すればチャンピオンが確定する。

 しかし、Heat-1でトップタイムをマークしたのは今季、未だ勝ち星がないランキング5番手の古谷欣竹選手で、タイムは1分27秒851。古谷選手はチャンピオン確定の条件がかなり厳しいが、ここで一矢報いたいところだ。そして、2番手に0.531秒差で和泉選手が続く。

 そしてHeat-2で古谷選手は0.77秒のタイムアップで後続待ちとなるが、そのタイムを0.022秒更新したのが、Heat-1はコースアウトしてタイムを残せなかったラス前の安藤純一選手だった。安藤選手はランキングでも和泉選手に2ポイント差まで迫っているだけに、このまま逃げ切りたいところ。しかし、それを許さなかったのがラストの和泉選手。これまでの1分27秒台の争いを一蹴する1分24秒737を叩き出し、逆転優勝を決めた。

「シーズン序盤はやや混戦でしたが、中盤からしっかり勝ち星を重ねてチャンピオンを獲れたことは嬉しいですね。シーズン途中にクルマを見直してから成果が出て、今回のような細かいコーナーの立ち上がりでもキッチリ前に出てくれるので、自分の走りができれば勝てると信じて走りました」と振り返った和泉選手は、二連覇を確定させた。

RWDクラスの和泉泰至選手(DLクスコTEIN・GR86)はGR86を駆って2位以下を2秒以上突き放して優勝、二連覇を確定させた。
RWDでGR86を操る安藤純一選手(DL☆GRG札幌西☆GR86)は0.022秒差で2位を奪取(左)。スバルBRZをドライブしてHeat-1トップで折り返した吉谷欣竹選手(Revl・LOVCA・TEIN・BRZ)は3位を獲得した(右)。
RWDはトップ3が表彰台に登壇した。左から2位の安藤選手と優勝した和泉選手、3位の吉谷選手。

4WD-2クラス

 ランキングトップの小林茂則選手に、2番手の村上周選手と4番手の杉本義実選手がチャンピオン確定の権利を有している4WD-2クラス。今回の一戦は小林選手が欠場となったため、村上選手と杉本選手は最終戦へ向けて王座争いの切符を手に入れることが出来るかの戦いとなった。

 しかし、Heat-1で1分20秒476のトップタイムを刻んだのは、ランキング8番手の前寺博篤選手だった。村上選手は0.608秒差で3番手、杉本選手は2秒206差の6番手で折り返す。

 タイムアップ路面となったHeat-2では、序盤ゼッケンから1分20秒台が続出し、ついに中盤ゼッケンの板岡史朗選手が1分19秒901をマーク。更にHeat-1で2番手につけていた島部亨選手が、板岡選手のタイムを0.875秒上回る。上位タイムが1分19秒台まで上がったところで、ラス前の杉本選手がスタートした。

 杉本選手は残り2戦全勝がチャンピオン確定の条件となるため、トップタイム必須。しかし、1分19秒台には入れるものの島部選手に0.758秒届かず2番手タイムとなり、ここで王座争いから脱落した。そして、ラストの村上選手がスタートを切った。村上選手は前戦でのアクシデントにより、今回の一戦は競技車両をレンタルしての参戦。その影響が懸念されたが、叩き出したタイムは島部選手を1.561秒上回る1分17秒465。圧倒的なタイムで優勝を決めた。

「借りたクルマでの競技は初めてだったので、とにかく壊さないように抑えて走ったのが効いたのかな、と思います。コース的にもインプレッサ有利の設定だったと思います。借してくれた社長からは、優勝命令が出ていたので(笑)、達成できて良かったです」と村上選手は安堵の笑顔を見せた。この優勝でランキングトップに立ち、最終戦でのチャンピオン確定に挑む。

4WD-2クラスは村上周選手〔ルート6インプレッサ(借物)〕が優勝。車名のとおり借りたGDB型スバル・インプレッサWRX STIを駆ったが速さを見せつけた。
4WD-2表彰台の両脇は三菱・ランサーエボリューション勢が占めた。2位はランエボXをドライブする島部亨選手(NUTEC・シーンDLランサー)が獲得し(左)、3位にはランエボVIを操る杉本義実選手(YH・AIM・ランサーVI)が入った(右)。
4WD-2は5位までのドライバーが表彰された。左から4位の板岡史朗選手(YHルート6DNXインプレッサ)、2位の島部選手、優勝した村上選手、3位の杉本選手、5位の前寺博篤選手(AKTシムスDLテイン☆WRX)。

2025年JMRC北海道Moty’sダートトライアルシリーズ第7戦ジュニアクラス

J-1クラス

 併催された2025年JMRC北海道Moty’sダートトライアルシリーズ第7戦のジュニアクラス、J-1クラスではランキングトップの原田大響選手が、1分30秒965でHeat-1をトップで折り返す。しかし、Heat-1で2番手につけていた及川隼兵選手が、Heat-2で1分28秒061をマークしてトップタイム更新。ラストの原田選手も追いあげるが0.28秒届かず2位、及川選手が逆転優勝を飾った。

「普段は仕事でトラックばかり乗っていて、ダートトライアルの技術的なことは何も分からず、前回はフィーリングで走ったので、今回はあえて“無”の状態で走ったのが良かったと思います」と、及川選手は勝因を分析した。第5戦から三連勝を決めてランキング2番手にアップして、最終決戦に臨むことになった。

J-1クラスはZC32S型スイフトを駆る及川隼兵選手(令和バケッツ乱暴スイフト)が逆転で三連勝を果たした。
ZC31S型スイフトを操ってHeat-1をJ-1トップで折り返した原田大響選手(室工大DLLOVCAスイフト)は逆転を喫して2位(左)。トヨタ・ヴィッツをドライブする桑原正裕選手(ルート6ヴィッツ)はHeat-1の4番手からタイムを上げて3位に入った(右)。
J-1はトップ3が表彰台に立った。左から2位の原田選手、優勝した及川選手、3位の桑原選手。

J-2クラス

 J-2クラスは、三連勝中の中澤昌彦選手がHeat-1からトップタイムをマーク。さらに路面が乾いたHeat-2では、4秒以上もタイムアップを果たして完勝した。

 4連勝を決めた中澤選手は、「2本目は始まる前の慣熟歩行で、路面の乾いている箇所を頭の中に入れて組み立てたとおりに走れましたが、反省点としては進入時のスピードコントロールや姿勢など、まだまだ物足りないですね。本来、自分が出るべき4WD-2クラスでは2本目に出したタイムを1本目から出さなくてはならないので、反省点は多いです」と走りを厳しく分析した。

J-2クラスはGDB型インプレッサWRX STIを駆る中澤昌彦選手(AKTワコーズDLインプレッサ)が両Heatを制して優勝した。

ビギナークラス、賞典外クラス

 ビギナークラスは、吉川直克選手がHeat-1から2番手以下に5秒以上の差をつける圧倒的なタイムでトップに立つ。Heat-2でもそのタイムを更新するドライバーは現れず、吉川選手自身もタイムダウンを喫してしまうが、Heat-1のタイムで圧勝となった。

 賞典外クラスは、GRB改型インプレッサWRX STIを駆る坂井理崇選手が、両ヒートともにトップタイムを刻んで制した。

吉川直克選手(サポートインプレッサ)はGDA型インプレッサWRX STIを駆ってビギナークラスで完勝を果たした。
ビギナーは左から、2位の坂崎誠選手(ルート6黒インプレッサ)と優勝した吉川選手、トップ2が表彰台に上がった。
賞典外クラスでは坂井理崇選手(PガレNGOインプレッサ)がGRB改型インプレッサWRX STIをドライブして両ヒートともトップタイムをマークした。

フォト/友田宏之 [Hiroyuki TOMODA] レポート/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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