梶田昌弘選手が最終決戦となった四国ダートラ第5戦を制してSD2王座奪還!
2025年9月5日

2025年JAF四国ダートトライアル選手権の第5戦が8月10日、広島県安芸高田市に建つテクニックステージタカタで開催された。全5戦で争われてきた今季の四国地区戦だが、最終戦は2024シーズンと同じく2025年JAF九州ダートトライアル選手権と併催、舞台も四国を飛び出して中国地区のタカタで争われた。
2025年JAF四国ダートトライアル選手権 第5戦
エトワールスーパーダートトライアル2025 INタカタ
開催日:2025年8月10日
開催地:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:ETOILE
今季はPN+クラス、SD1クラス、SD2クラスが成立し、PN+は西岡章夫選手、SD1はチャモロ選手が第4戦でチャンピオンを確定した。SD2はこの最終戦まで王座争いがもつれ込み、谷正史選手と梶田昌弘選手の一騎討ちとなった。
そして今回の一戦はタカタでの開催ということで、四国のレギュラーメンバーに加え、中国地区や近畿地区のドライバーの他にも、ラリードライバーたちもエントリーした。また、シリーズでは不成立となってしまったNクラスも今季初成立し、いつにも増して賑わいをみせた。
懸念されたのが、当日の天候。九州や近隣の山口県は警報級の大雨が降り、タカタも朝から雨模様で路面はすでにウェットとなり終日雨の予報。幸い、避難勧告が出るまでには至らなかったものの、時折強くなる雨足により路面はヘビーウェットへと変貌。1Heatで確実に決める一発勝負の一戦となった。


PN+クラス
PN+はクラスファーストゼッケン、2025年JAF中国ダートトライアル選手権ATクラスに参戦している学生ドライバーの宮本耀斗選手が、2分8秒35をマークして1Heatをトップで折り返す。2番手には宮本選手とダブルエントリーした豊島優凜選手が1.72秒差でつけて1-2体制を形成。豊島選手は宮本選手の大学の先輩で、今季の中国地区戦ATチャンピオンを確定させたばかりなだけに、今回は負けられない一戦だ。
2Heatで宮本選手は降りしきる雨により悪化した路面に苦戦、6秒近くタイムダウンを喫してしまい、1Heatのタイムで後走の結果を待つことになる。このチャンスを活かしたかった豊島選手だが、やはりタイムアップは果たせず2秒以上のタイムダウン。逆転劇は見られなかったものの、中国地区の若手ドライバーが1-2フィニッシュでこのクラスを制圧した。
「豊島先輩に勝って優勝するのは長年の夢でしたが(笑)、今回は路面状況のおかげだと思います。今度はウデで勝ちたいですね」と、ファーストゼッケンという有利な出走順で確実にタイムを残した宮本選手が、勝利を謙虚に振り返った。
また、第4戦でPN+二連覇を確定させている西岡選手は、「今シーズンは(ランキング2位の)松原(久)選手が出場してない時しか勝てず(笑)、ポイント数だけで獲ったタイトルですが、二年連続ということで素直に嬉しいです。来シーズンもフル参戦で頑張ります」と語った。今回の一戦では優勝こそ逃したものの、1Heatでの5番手から路面が悪化した2Heatで5秒以上もタイムアップを果たして3位表彰台を奪取、王者の意地を見せた。



Nクラス
N車両が参戦できるが開幕第1戦から第4戦まで、Nは不成立が続いていた。今回の一戦では四国のラリークルー、三好正哲/三好祥江組が二人ともドライバーとしてスバル・インプレッサWRX STIでWエントリー。そして、JAF全日本ダートトライアル選手権Nクラスのトップドライバー、細木智矢選手が本番車両の三菱・ランサーエボリューションXで参戦、最終戦にしてようやくクラス成立となった。
三好正哲選手はダートラ用タイヤを初めて履いたとのことで「1本目はセッティングも分からず、とりあえずといった感じだったのですが、2本目はそれなりにアジャストして走りやすくはなって、いい練習になりました(笑)」と感想を語った。
一方、三好祥江選手は「2本目はセッティングを変えてもらったので踏んでいったのですが、クルマが暴れて斜面に乗りあげてしまいました。慎重に走った1本目の方がタイムが良かったです(笑)」と、ラリーとは異なる走りに苦戦もしたようだが、三好正哲選手は2位、三好祥江選手が3位で完走を果たす。
優勝は、やはり細木選手が獲得。「路面は、第1ヒートの方が走りやすかったですね。第2ヒートは砂利が掃けた分タイムは出ますが、急にハイドロ(プレーニング現象)が起こったりするのでクラッシュのリスクが大きく、難しかったですね」とのことだったが2Heatでタイムアップを果たすも、パイロンペナルティ。スラローマーとしての一面もアピールする(?)結果となった。


SD1クラス
「昨年に続いて谷(芳紀)選手とタイトル争いになりましたが、今年はわりと楽な展開でした(笑)」とシーズンを振り返ったのは、SD1のチャモロ選手。2024シーズンは王座争いが最終第5戦までもつれたが、今季は前戦でこのクラス二連覇を確定させた。
最後も優勝で締めたいところだが、1Heatでトップタイムをマークしたのはスポット参戦した、JAF中四国ラリー選手権FG-2クラスで活躍するラリードライバーの松岡竜也選手。ダートラ用タイヤではなくラリータイヤで挑んだのだが、2番手のチャモロ選手に1.76秒差をつける2分3秒2で折り返す。
タイムアップが厳しくなった2Heatでは、松岡選手もチャモロ選手もベストを更新することはならず、松岡選手が逃げ切って優勝となった。「たまたまです。早いゼッケンだったので、雨も小降りで良い路面状況で走れたという、それだけです。ただ、コ・ドラが乗っていればもっと良いタイムが出せたかもしれませんね(笑)」と、松岡選手は控えめに語った。
一方、優勝を渡してしまったチャモロ選手は「今朝、会場に来る途中、僕も松岡選手も高速道路の事故の影響で通行止めに遭ってしまったんです。朝の慣熟歩行に間に合わず1本目はぶっつけだったのですが、こういった時の適応力はさすがラリードライバーですね。完敗です(笑)」と、松岡選手を讃えた。



SD2クラス
SD2の王座争いはディフェンディングチャンピオンの谷正史選手と、梶田選手が同ポイントで並ぶ。開幕から第4戦まで両選手ともに優勝2回、2位2回と一歩も譲らず最終戦を迎えた。
チャンピオン確定の条件は今回の一戦で順位が上だった方と、まさにガチンコ勝負となった1Heat、1分55秒66でトップタイムを刻んだのは梶田選手。谷正史選手は2番手タイムを出すものの、タイム差がやや開いてしまった。
そして降り続く雨は2Heatでも止む気配はなく、トップタイムは更新されずに進行。ラスト前ゼッケンの梶田選手も0.62秒のタイムダウンに終わり、ラストゼッケン谷正史選手がスタートを切った。谷正史選手にとって梶田選手のタイムダウンは一縷の望みではあるが、ベストを更新することすら困難になった路面で3.89秒差が大きくのしかかる。果敢にアタックした谷正史選手は、この路面状況でもタイムアップを果たすもフィニッシュタイムは1分57秒71。逆転には至らず、梶田選手が1Heatのタイムを守り切り、優勝を果たした。
「前戦でエンジンが壊れて、とりあえず走れるように最低限の修理をしてきました。調子はどうかな、と思いましたが特に問題無く1本目は上手くいきました」と、梶田選手は不安もある中での1Heatだったことを明かした。
続けて「2本目のタイムダウンは路面状況の悪化ということもありましたが、それよりも、谷選手と約4秒の差があったので、多分抜かれないだろうと安心して気が抜けてしまいました(笑)」と2Heatでの心境を語った梶田選手は、2023シーズン以来のチャンピオンに返り咲いた。
一方、谷正史選手は「1本目のタイム差で梶田選手は油断しているだろうと思って(笑)、2本目に逆転を狙ったのですが路面が思った以上に悪かったですね。年一回のタカタですが、色々と勉強になりました」と、二連覇を果たせなかったが収穫はあったようだ。



フォト/友田宏之 [Hiroyuki TOMODA]、中島正義[Masayoshi NAKAJIMA] レポート/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]