堀川竜二/池田茂組、中四国ラリー開幕戦で久しぶりのFG-1優勝を挙げて好発進!

レポート ラリー JAFWIM

2025年5月21日

JAF中四国ラリー選手権は、4月26日に行われた「MACラリーin久万高原」で2025シーズンがスタートした。MACラリーはこれまで秋に開催されるのが通例で、4月下旬といえばこのラリーも主催する愛媛県のJAF加盟クラブ、松山オートクラブ(MAC)が、JAF全日本ラリー選手権の一戦「久万高原ラリー」を共催してきたが、今季は久万高原ラリーが10月3~5日に行われるため、入れ替わるかたちで4月開催に移った。

2025年JAF中四国ラリー選手権 第1戦
2025年JMRC中国・四国ラリーシリーズ第1戦
MACラリーin久万高原

開催日:2025年4月26日
開催地:愛媛県久万高原町周辺
主催:MAC

 ステージはここ数年同様“大谷支線”と“イワタケ”の2本を使用。午前中はまず大谷支線5.9kmを2回走ってサービスイン。午後はイワタケ7.1kmをやはり2回走ってフィニッシュする。イワタケは途中で大谷支線の後半区間に合流するので、その区間は計4回走ることになる。2本とも下り基調のグラベルステージだ。

 約7カ月のインターバルを経ての開催となった今季のMACラリーは、これまでなかった春の開催とあって路面に関しては、2024シーズンまでとはまた印象を持ったクルーも少なくなかったようだ。

ヘッドクォーターとサービスはJAF全日本ジムカーナ選手権の舞台にもなるハイランドパークみかわに設置された。うららかな陽気の下でのラリーに5クラス30クルーが集い、全3戦による短期決戦の幕が開けた。

FG-1クラス

 排気量2500ccを超える車両で競うFG-1クラスは、九州から3クルーが参戦して7台によるバトルとなった。昨季のMACラリー覇者、長江修平/中岡和好組は不参戦となったため、2位でフィニッシュした昨季のチャンピオン、マクリン大地/大橋正典組が優勝候補筆頭と目された。

 しかし、SS1でベストタイムを獲ったのはベテランの堀川竜二/池田茂組。マクリン/大橋組に11.1秒の大差をつける。再走のSS2ではマクリン/大橋組がSS1での堀川/池田組のベストを上回ったが、堀川/池田組もプッシュして4.3秒差で再びマクリン/大橋組を下してリードを広げた。

 昨季のこのラリーは3位だった堀川/池田組だが、後半のイワタケでは2本ともマクリン/大橋組を凌ぐタイムをマークしている。そのイワタケの1本目となるSS3では、堀川/池田組が駆る三菱・ランサーエボリューションIXがSS終盤にエンジンが吹けなくなるトラブルに見舞われる。そんな中でもマクリン/大橋組を2.3秒差で下した堀川/池田組は、最終のSS4でもペースの落ちたマクリン/大橋組を大差で下した。

 全SSベストの走りで快勝した堀川選手は「ここは、一定のリズムで走れるので嫌いな道ではないです。ただそのリズムを一回、崩すと最悪なんだけど(笑)」と、MACラリーの特徴を語った。続けて「路面も去年よりは走りやすかったですね。ただ、抑えたわけではないんだけど、何か今日は“踏み切らんなぁ”という感じでした。浮き砂利のせいですかねぇ」と、路面の印象も語った。

 一週間前に行われた全日本ラリー第2戦「ツール・ド九州 2025 in 唐津」で急遽、シュコダ・ファビアRally2エボをドライブしてJN1クラスに挑んだマクリン選手。「唐津でコースアウトした後遺症のせいなのか、今日はちょっと踏めなかったです。乗り慣れたクルマ(スバル・インプレッサWRX STI)のはずなのに、リズムが掴めなかった。コンディションが同じでなかったことを差し引いても、タイムが去年より悪すぎました」と、苦戦の一戦だったことを明かした。

 3位争いは熾烈なバトルとなったが、西隆司/丸山晃助組がSS4でターボトラブルによりリタイア。SS3とSS4で2番手タイムをマークする猛追を見せて3位を得た、九州勢の阪本寧/吉田賢吾組は終わってみればマクリン/大橋組に1.9秒差で食らいつく好走を見せた。

FG-1クラスで三菱・ランサーエボリューションIXを駆る堀川竜二/池田茂組(BRIGち~むみかん サンライズランサー)はJAF中四国ラリー選手権では2023シーズン第1戦「つるぎ山アルペンラリー2023」以来の優勝を果たした。
FG-1の2位にはスバル・インプレッサWRX STIをドライブするマクリン大地/大橋正典組(大阪冷研TOFインディゴPマクリンGRB)が入った(左)。阪本寧/吉田賢吾組(SRエナペタルBRIGランサーMSW)はランエボIXを操り3位を獲得した(右)。
FG-1の表彰は、左から2位のマクリン/大橋組、優勝した堀川/池田組、3位の阪本/吉田組が受けた。
FG-1は左から、4位の大津康孝/吉村修二組(YH#Drive☆スクーデリアRランサー)、5位の三好正哲/三好祥江組(Rスポーツポテンザインプレッサ@ま)、6位の八尋俊一/伊藤慶組(RESPO☆ACTY☆みかんFTランサー)も表彰された。

FG-2クラス

 1500ccを超え、2500cc以下の車両が対象のFG-2クラスは、昨季のこのラリーを制した高田修/箕作裕子組が、SS1スタート直後に車両トラブルでリタイアと波乱の幕開けとなる。ディフェンディングチャンピオンの山口貴利/山田真記子組には楽な展開になるかと思われたが、FG-4クラスでチャンピオンを獲ったNCP131型トヨタ・ヴィッツからスズキ・スイフトスポーツに乗り換えて転向初戦の松岡竜也/縄田幸裕組が、SS1を山口/山田組と同秒ベストで上がってプレッシャーをかける。

 昨季、ともに地区戦で戴冠を果たした2クルーのバトルはヒートアップ必至と思われたが、SS2ではSS1でのタイムから17秒詰めた山口/山田組に対して、松岡/縄田組は逆に約10秒のタイムダウン。大きく水を開けられてしまう。

 午後に入ると、山口/山田組はSS3で松岡/縄田組を13.3秒差で下すベストをマーク。SS4では松岡/縄田組が約6秒差で食らいつくセカンドベストタイムを残すが、最後までその差を埋めることはできず、山口/山田組が2023シーズン以来となるMACラリー制覇を果たした。

 実は今回のラリー前に左手を負傷して完治しないまま、山口選手はステアリングを握っていた。「今日は正直、怪我のこともあったので優勝は全然狙っていなかった。高田選手にどれくらいでついていけるやろうか、という感じだったので、周りの皆さんのおかげで勝てたと思っています」と、遠慮がちに振り返った。

 スイフトのデビューウィンを逃した松岡選手は、「今日はSSで何度も突っ込みかけて、タイムを出せなかった。スイフトは確かに速いけど、前のオーナーが乗っていた仕様のままなので、今日の道には硬すぎて乗りにくかったですね。一年かけて煮詰めていきたいと思います」と、リベンジを誓っていた。

 3位争いでも波乱が起きた。ともにダートトライアラーであるチャモロ(萩原豪)/石井雅行組が、同じスイフトを操る筒井克彦/猪熊悠平組に対してSS3までは20秒を超えるリードを保っていた。しかし、チャモロ/石井組はSS4でタイヤを側溝に落としてしまって大きくタイムロス。筒井/猪熊組が土壇場で逆転を果たし、4秒差でフィニッシュした。

ダイハツ・ブーンX4を駆る山口貴利/山田真記子組(WinmaXインディゴpNUTECブーン)がFG-2で優勝した。
FG-2の2位は松岡竜也/縄田幸裕組(BarWRC☆よんぽんスイフト、左)、3位は筒井克彦/猪熊悠平組(DL TWR 221 SWIFT、右)とスズキ・スイフトスポーツ勢が占めた。
FG-2は上位4クルーが表彰された。左から2位の松岡/縄田組、優勝した山口/山田組、3位の筒井/猪熊組、4位のチャモロ(萩原豪)/石井雅行組(菓舗ふくおかインディゴDLフジイスイフト)。

FG-3クラス

 1500cc以下の車両が争うFG-3クラスは昨季、最終戦まで王座を争った藤田幸弘/藤田彩子組と松原久/和田善明組による新旧マツダ・デミオ対決の接戦が予想された。SS1は藤田組が松原/和田組を4.5秒差で抑えてベストをマークする上々のスタートを切るが、続くSS2の後半で松原/和田組がまさかのコースアウト。松原選手によると「最初は側溝にちょっと落ちたかな、くらいの感じだったけど、後でインカーを見返したら車速がかなり高かった」とのことで復帰は叶わず、昨季に続いてリタイアとなってしまう。

 藤田組はSS2・SS3と連続ベストをマークして独走態勢に。だが、「松原さんがいなくなって楽になるはずが、かえってペースを維持するのが難しかった」と幸弘選手が語ったとおり、SS4ではリアタイヤを側溝に落としてタイムロス。このSSは白形利文/白石認組に0.3秒差まで迫られたが、どうにかベストで上がって優勝を決め、連覇に向けてスタートを切った。

 幸弘選手は「それなりのペースで走っていたつもりだったけど、SS4はちょっと抑え過ぎたかな、と思ったコーナーで逆に脱輪してしまいました。今年は掃けた砂利にリアタイヤがのると止められない感じがあって、去年より難しい路面でしたね」と、あわやの場面を振り返りながら胸をなでおろしていた。

FG-3はDE型マツダ・デミオが1-2フィニッシュ。優勝は藤田幸弘/藤田彩子組(MスポーツYHデミオ)。
DE-2の2位は白形利文/白石認組(IRW・Rスポーツデミオ)が獲得(左)。片山浩三/阿部孝子組(Rスポーツデミオ)はDJ型デミオを操って3位に入った(右)。
FG-3トップ3の表彰。左から2位の白形/白石組、優勝した藤田組、3位の片山/阿部組。
FG-3の4~6位の表彰。左から4位の日高重貴/藤岡恵子組(ナイトグリーン・アトリエ921・ヴィッツ)、5位の西高志/岡智典組(YHリブートFtシャレード)、6位コ・ドライバーの走出芽美選手(テイクグッドスイフト)。6位ドライバーの関根康生選手は欠席。

FG-4クラス、OP-Aクラス

 1500cc以下のRPN車両及びAE車両が集うFG-4クラスは、昨季の全勝チャンピオンである松岡/縄田組がFG-2に転向したため、混戦が予想された。しかし、小野守/原野雅子組がSS1で2番手を27秒以上も突き離すスーパーベストをマークしてトップに立つ。小野/原野組はその後も大差をつけるベストを連発。最終的に1分40秒近いマージンを築いて快勝した。

 小野選手によると「四国のタフな道でも走れるように、今年からダンパーを強化してきました」とのこと。続けて「去年までは跳ねていたところも、走破性が上がってスルスルと行けるようになったので、今日は気持ちよく走れました。上のクラスにも食い込めるタイムも出せたので、今年はその辺も目標にしながら頑張っていきたいですね」と、確かな手応えを得た様子だった。

 JMRC中国・四国ラリーシリーズで1500cc以下の車両が対象のOP-Aクラスには、武田友己/安藤恭平組がエントリー。ひとり旅のラリーとなったが、4本のSS全てを駆け抜けた。

FG-4クラスはトヨタのコンパクトカー勢による争いとなった。小野守/原野雅子組(チェリッシュAQUAインディゴ@TWIN)がアクアを駆って圧勝した。
FG-4の2位は出納美朝/松浦俊朗組(エムスポーツSHAF金玉鉄砲ヤリス)が操るヤリス(左)、3位は佐藤由香/大西直彦組(DCR♡ヴィッツ)がドライブするNCP131型ヴィッツ(右)が獲得した。
FG-4は左から、2位の出納/松浦組、優勝した小野/原野組、3位の佐藤/大西組、4位の土居嘉嗣/中村育代組(ビーサイドオート&どろやヴィッツ)、完走した4クルーが表彰された。
孤軍奮闘となった2025年JMRC中国・四国ラリーシリーズOP-Aクラスは、NCP13型ヴィッツを駆る武田友己/安藤恭平組(青ヴィッツ)が完走を果たした。

フォト/田代康[Kou TASHIRO] レポート/田代康[Kou TASHIRO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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