四国ダートラ最終戦でSD1クラス萩原豪選手のチャンピオンが確定!
2024年8月29日

今シーズンの最終戦となる、四国ダートトライアル選手権の第5戦が8月11日、広島県安芸高田市のテクニックステージタカタで開催された。
2024年JAF四国ダートトライアル選手権 第5戦
エトワールスーパーダートラ 2024IN タカタ
開催日:2024年8月11日
開催地:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:ETOILE
四国ダートトライアル選手権は毎戦、香川県さぬき市の香川スポーツランドで開催されているが、最終戦は全エントラントがテクニックステージタカタへ遠征というかたちになった。コース幅、路面状況など、香川スポーツランドとは大幅に異なるコースに加えて、今回は四国地区以外や他のカテゴリーの選手もエントリー。さらに九州地区戦との併催という、いつもの四国地区戦とは大きく環境が変わる中での競技となった。
その四国勢が挑むタカタに設定されたコースは、コース図を見る限りはテクニカル要素が多いレイアウトだが、実際のアベレージスピードは高く、特に前半区間でいかに車速をのせることができるかが好タイムを刻むカギとなる。
シリーズは全4クラス中、3クラスでタイトルが確定しているが(今回Nクラスは不成立)、SD1クラスは上位3選手によるタイトル争いが継続中。そして既にタイトルが決まっているクラスも、普段は戦うことのない他地区の選手との勝負も見どころだ。
当日は真夏の太陽が照りつけ、両ヒートともに路面コンディションはドライ。瀬戸内海を渡った地で熱い戦いが繰り広げられた。


SD1クラス
最終戦までタイトル争いがもつれたSD1クラス。前回の第4戦終了時点で、タイハツ・ブーンX4を駆るポイントリーダーの田川知明選手は59ポイント。2番手のスズキ・スイフト萩原豪選手は52ポイント、そして3番手に三菱・ミラージュの谷芳紀選手が50ポイントでタイトルの権利を持っているが、2位以上のポイントを獲らないと加算できない田川選手に対して、萩原選手と谷選手は今回のポイントが全て加算されるため、田川選手にとっては非常に厳しい状況だ。
そのタイトル争いに立ちはだかったのが、往年の名ドライバー夏明成己選手。「今年、何十年振りにポツポツと競技に出てるんですよ(笑)」という夏明選手は、2分03秒台で第1ヒートからトップタイムをマーク。その夏明選手に続く2番手につけたのが萩原選手。谷選手は4番手、田川選手は6番手で第1ヒートを終える。
そして第2ヒート。夏明選手は7秒近いタイムアップを果たして1分56秒台を刻みトップを保持。続く萩原選手は約5秒のタイムアップに留まり、逆転は叶わなかったが2番手をキープ。次ゼッケンの谷選手は萩原選手のタイムを抜けばチャンピオン獲得の権利を残すことができるが、第1ヒートの順位と変わらず4番手でゴール。この時点でタイトル獲得の条件は優勝のみとなってしまったラストゼッケン田川選手も、第1ヒートの順位同様6番手に終ってしまい、優勝は夏明選手となり、シリーズチャンピオンは萩原選手に確定した。
「まだまだ昔の感覚が戻らないので、走りながら少しずつ取り戻している感じです。今回も午前中が終ってからバネのプリロードを変えてみたりと色々と調整しながらですが、2本目はそれなりに走れたと思います」と優勝の夏明選手。
そして萩原選手は「今シーズンは、香川スポーツランドで谷選手に2回勝ったのは自信になりました。ここ(タカタ)は通っていたので、谷選手に対してのアドバンテージが僕にあったと思います。1本目は夏明選手と0.1秒差の勝負ができたのですが、2本目はチャンピオン獲得に向けて「置き」に行ってしまいましたが(笑)、目標を達成できて良かったです」と、昨年度のPN+クラスのチャンピオンに続き、移籍したSD1クラスでもタイトルを確定した。




PN+クラス
7台で争われたPN+クラス。その第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、中四国ラリー選手権FG-3クラスで無敵の強さを誇るラリードライバー松原久選手。2番手につけた大野吉弘選手に2.6秒以上の差を付ける2分07秒台を刻み、ダートトライアルでもその速さを発揮する。
続く第2ヒートでは路面状況が変わり、クラスファーストゼッケンの、同じく四国のラリードライバー池田善久選手が、第1ヒートの自己タイムを8秒以上更新して2分06秒台までタイムを詰め、完全な仕切り直しとなる。そこへ大野選手が2分05秒台を叩き出し、トップタイムが更新される中で松原選手の出走。しかし松原選手はコース途中で車両がストップ。駆動系トラブルによりリタイヤとなってしまう。その後、トップタイムは更新されることはなく、大野選手がタイムを守り切って優勝となった。
「クルマは広島ナンバーですけど、普段は近畿地区戦に参加してます。今回は、松原選手に負ける手応えは十分感じてました(笑)。1本目も2秒以上離されてましたし。だた、2分05秒台は自分でも頑張ったと思います」と優勝の大野選手。
そして大幅なタイムアップを果たした2位の池田選手は「1本目が終ってからセッティングを大きく変えて、慣熟歩行でも松原選手に色々教えてもらったのが効きました」とタイムアップの要因を語った。
惜しくも第2ヒートでタイムを残せなかった松原選手は、それでも第1ヒートのタイムで3位入賞。「もちろんタイムアップの手応えは感じていたけど、しょうがないね。でもラリー北海道に行く前にトラブルが分かって良かったよ(笑)」と前向きなコメント。
前回の第4戦でタイトルを決めた西岡章夫選手は、今回もシーズン途中から投入したATのスイフトで参戦。第2ヒートは松原選手のタイムに0.1秒ほどまで迫るも、表彰台を逃す4位に終った。



SD2クラス
参加10台で争われたSD2クラス。その第1ヒートをトップで折り返したのは、中国地区戦に参戦している清岡毅選手。2番手にはシリーズ2位の豊田薫選手、3番手には休戦していた昨年度のチャンピオン梶田昌弘選手がつける。SD2クラスのシリーズチャンピオンは、今シーズン全勝で谷正史選手に確定しているが、谷選手はまさかのミスコースを喫してしまう。
第2ヒートになると、梶田選手は6秒以上のタイムアップを果たすも、第1ヒートの清岡選手のタイムには届かず、この時点で2番手。その清岡選手はおよそ3.3秒のタイムアップで1分50秒台までタイムを詰めてトップをキープ。続くゼッケン豊田選手は、約4.7秒のタイムアップで清岡選手に迫り、梶田選手は抜くものの1分51秒台で2番手止まり。そして第2ヒート一発勝負となった谷選手の出走。そのタイムに注目されたが、1分52秒台の3番手と逆転ならず。清岡選手が四国地区上位陣を抑えての優勝となった。
「今回は、中国地区戦の後半戦に向けて練習の意味合いも込めて出場しました。第1ヒートの失敗を第2ヒートでも修正できず、タイム的にも今ひとつだったので、もう少し丁寧な走りを心掛けないといけませんね」と優勝の清岡選手。
一方、惜しくも優勝は逃してしまった四国勢だが、2位入賞の豊田選手は、これまでの4戦全て谷選手に勝利を許してしまったが、最終戦の今回、一矢報いる結果でシーズンを終えた。



CLクラス

フォト/友田宏之、西野キヨシ レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部