グループ1はGrid Motorsport AMG GT3が逆転優勝、グループ2はエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSが接戦を制す

レポート レース

2022年7月20日

7月9~10日にスポーツランドSUGOにて開催されたENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第3戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」。グループ1ではGrid Motorsport AMG GT3(マーティン・ベリー/高木真一/黒澤治樹/山脇大輔組)が終盤にトップを奪い逆転優勝。またグループ2ではエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWS(冨林勇佑/伊藤鷹志/石井宏尚組)がレース終盤にテール・トゥ・ノーズの接戦を演じ、逃げ切って優勝を遂げた。

ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第3戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」
開催日:2022年7月9~10日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:株式会社菅生、SSC

 第3戦は2グループに分かれ、グループ1(ST-X、ST-Z、ST-1クラスとST-Qクラス2台の全20台)とグループ2(ST-3~ST-5クラスとST-Qクラス3台の全29台)の3時間レースがそれぞれ行われた。

 9日の公式予選は霧雨~晴れ~降雨と目まぐるしく天気が変わり、セッションごとに路面が変わるコンディション。グループ1ではST-ZクラスがST-Xクラスよりもタイムが速い状態となり、ST-Zクラスの5ZIGEN AMG GT4(大塚隆一郎/太田格之進/金石年弘組)が、またグループ2ではST-3クラスのTeam Fukushima Z34(塩津佑介/松田次生/三浦愛/平峰一貴組)がそれぞれポールポジションを獲得した。

 10日は朝から晴れとなり、コース上にところどころウェットパッチが残るコンディションの8時43分に、グループ2全29台がスタートを切った。まずはポールスタートのST-3クラス(全6台)のTeam Fukushima Z34に、50kgのウェイトを積む埼玉トヨペットGBクラウンRS(服部尚貴/吉田広樹/川合孝汰組)、raffinee 日産メカニックチャレンジ Z(名取鉄平/富田竜一郎/白坂卓也組)、岡部自動車フェアレディZ34(長島正明/小松一臣/富田自然/勝亦勇雅組)、エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSが続き、序盤から混戦模様に。

 しかしスタート2周目にST-5クラスの車両が1コーナー手前で白煙を吐き、3コーナー脇でストップ。このオイル処理のために8周完了までセーフティカー(SC)が導入された。このSC中に、2回義務付けられているドライバー交代を含むピットインの1回目を済ませたのが、エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSだった。リスタート後はTeam Fukushima Z34の平峰選手がリードを築いていった。

 30周で4番手のraffinee 日産メカニックチャレンジ Zが、31周でトップのTeam Fukushima Z34がピットイン。暫定トップに立った埼玉トヨペットGBクラウンRSは51周でピットイン。これでTeam Fukushima Z34の塩津選手、エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSの石井選手、raffinee 日産メカニックチャレンジ Zの名取選手、埼玉トヨペットGBクラウンRSの川合選手の順となったが、55周でエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSがピットインして義務の2回ピットインを済ませた。

 トップのTeam Fukushima Z34が66周目に、代わってトップに立ったraffinee 日産メカニックチャレンジ Zが72周目に2回目のピットインを済ませると、まだ2回目のピットインを残している埼玉トヨペットGBクラウンRSがトップに。エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSが2番手、Team Fukushima Z34が3番手となった。

 81周目にエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSの冨林選手に追いついたTeam Fukushima Z34の松田選手はテール・トゥ・ノーズのバトルを展開。89周目の馬の背で松田選手が冨林選手のインを突いたが、冨林選手が2番手を死守。2台の差は広がったが、93周目には再び松田選手が追いつきバトル再開となった。

 残り15分を切った101周でトップの埼玉トヨペットGBクラウンRSが2回目のピットイン。燃料補給と服部選手へのドライバー交代だけでコースに戻ったが、3番手にポジションダウン。さらに左フロントがスローパンクチャーしており、107周目の最終コーナーでraffinee 日産メカニックチャレンジ Zの富田選手にかわされた。

 3時間を過ぎた11時43分、108周でエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSがトップチェッカー。Team Fukushima Z34は0.709秒差の2位、3位はraffinee 日産メカニックチャレンジ Zだった。

 ST-4クラス(全5台)は序盤からTOM'S SPIRIT GR86(河野駿佑/松井孝允/山下健太組)がリードを築き連勝。2位は今回GR86をデビューさせたシェイドレーシング GR86(石川京侍/国本雄資/山田真之亮組)、3位はWeds Sport GR86(浅野武夫/藤原大暉/石森聖生組)だった。

 最大の激戦区ST-5クラス(全15台)は、序盤にOHLINS Roadster NATS(山野哲也/金井亮忠/野島俊哉組)をかわしたodula TONE HERO'Sロードスター(外園秋一郎/和光博紀/伊藤裕仁/太田達也組)が、最初のピットインでホワイトラインカットのペナルティを受け、再びOHLINS Roadster NATSがトップに立ち、開幕戦以来の2勝目を遂げた。2位はodula TONE MOTULロードスター(武地孝幸/貫戸幸星/猪股京介/上杉祥之組)、3位はDXLアラゴスタNOPROデミオ(吉岡一成/大谷飛雄/手塚祐弥/野上敏彦組)だった。

 ST-QクラスはTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept(井口卓人/山内英輝/廣田光一組)が107周で、ST-4クラスのTOM'S SPIRIT GR86より23秒前でチェッカー。またMAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept(寺川和紘/井尻薫/関豊組)が100周、ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(佐々木雅弘/MORIZO/小倉康宏組)が90周で完走した。

#39 TRACYSPORTS with DELTAのエアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWS(冨林勇佑/伊藤鷹志/石井宏尚組)がST-3クラスで優勝。
ST-3クラスの表彰式。左から2位の#311 FKS team Fukushima、1位の#39 TRACYSPORTS with DELTA、3位の#25 TEAM ZEROONE。
#86 TOM'S SPIRITのTOM'S SPIRIT GR86(河野駿佑/松井孝允/山下健太組)がST-4クラスで優勝。
ST-4クラスの表彰式。左から2位の#884 SHADE RACING、1位の#86 TOM'S SPIRIT、3位の#18 浅野レーシングサービス。
#72 日本自動車大学校のOHLINS Roadster NATS(山野哲也/金井亮忠/野島俊哉組)がST-5クラスで優勝。
ST-5クラスの表彰式。左から2位の#66 OVER DRIVE、1位の#72 日本自動車大学校、3位の#17 TEAM NOPRO。
#61 Team SDA EngineeringのTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept(井口卓人/山内英輝/廣田光一組)がグループ2のST-Qクラス1位。
グループ2のST-Qクラスのセレモニー。左から2位の#55 MAZDA SPIRIT RACING、3位の#32 ORC ROOKIE Racing、1位の#61 Team SDA Engineering。

 ピットビューイングを挟み、気温も30℃近くまで達した13時58分、グループ1全20台による決勝レースがスタート。オープニングラップで3番グリッドからスタートしたST-QクラスのENDLESS AMG GT4(小河諒/川端伸太朗/谷岡力組)の小河選手がトップを奪った。

 しかしスタート直後からグリッド後方のST-Xクラス(全7台)の車両がST-Zクラス車両をかき分けながら順位を上げ、2周目には13番グリッドのTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴組)の元嶋選手がトップに、9番グリッドのポルシェセンター岡崎 911GT3R(永井宏明/上村優太/伊藤大輔組)の永井選手が2番手に浮上。

 その後もMP Racing GT-R(JOE SHINDO/柴田優作/影山正美/篠原拓朗組)の影山選手、Grid Motorsport AMG GT3の黒澤選手、HELM MOTORSPORTS GTR GT3(鳥羽豊/平木湧也/平木玲次組)の平木玲次選手、DENSO LEXUS RC F GT3(永井秀貴/嵯峨宏紀/小高一斗組)の小高選手が順位を上げた。

 レース開始から1時間を経過して43周で2番手まで順位を上げたDENSO LEXUS RC F GT3、45周でトップのTKRI松永建設AMG GT3、53周でトップに浮上していたMP Racing GT-Rがピットインをすると、57周目にはTKRI松永建設AMG GT3、DENSO LEXUS RC F GT3、HELM MOTORSPORTS GTR GT3、MP Racing GT-Rの順となった。

 レースも2時間を迎えようとする74周で4番手のGrid Motorsport AMG GT3のベリー選手、78周で5番手のポルシェセンター岡崎 911GT3Rの伊藤選手、81周で2番手のDENSO LEXUS RC F GT3の嵯峨選手、83周で3番手のMP Racing GT-Rの柴田選手、そして84周でトップTKRI松永建設AMG GT3の中山選手がピットインをし、アンカー勝負となった。

 Grid Motorsport AMG GT3の高木選手は、86周目にMP Racing GT-RのSHINDO選手、97周目にDENSO LEXUS RC F GT3の永井選手、そして107周目の4コーナーからS字にかけてTKRI松永建設AMG GT3のDAISUKE選手とジェントルマンドライバーたちをかわし、ついにトップを奪った。またポルシェセンター岡崎 911GT3Rの上村選手も108周目には2番手へ順位を上げ、トップの高木選手を3.8秒差まで追い上げるが、そこからはペースが落ちて2番手キープとなった。

 16時59分、Grid Motorsport AMG GT3が120周を走りトップチェッカー。6.619秒差でポルシェセンター岡崎 911GT3Rが2位、さらに116周目にTKRI松永建設AMG GT3をかわしたDENSO LEXUS RC F GT3が3位でゴール。開幕から連勝中のGT-R勢はウェイトハンディもあり表彰台には届かなかった。

 ST-Zクラス(全8台)は、シェイドレーシングGR SUPRA GT4(HIRO HAYASHI/平中克幸/清水英志郎組)が序盤にトップに立ったが、2回目のピット作業でGRGarage水戸インター GR SUPRA GT4(山崎学/坪井翔/野中誠太/細川慎弥組)が逆転。2位はPORSCHE 718 Cayman GT4 RS CS(KIZUNA/千代勝正/山野直也/大草りき組)、3位はAccess HIROSHIMA+ GR SUPRA GT4(松田利之/古谷悠河/中村賢明/檜井保孝組)だった。

 ST-1クラス(全3台)はクラスポールのmuta Racing GR SUPRA(堤優威/中山雄一/松井宏太組)が優勝し、2位は開幕戦から連勝中のシンティアム アップル KTM(井田太陽/高橋一穂/加藤寛規/吉本大樹組)、3位はD'station Vantage GT8R(浜健二/織戸学組)。

 ST-Qクラスの2台、Nissan Z Racing Concept(田中哲也/田中徹/三宅淳詞組)が110周で、ENDLESS AMG GT4は102周で完走した。

#888 Grid MotorsportのGrid Motorsport AMG GT3(マーティン・ベリー/高木真一/黒澤治樹/山脇大輔組)がST-Xクラスで優勝。
ST-Xクラスの表彰式。左から2位の#16 ポルシェセンター岡崎、1位の#888 Grid Motorsport、3位の#31 apr。
#310 COROLLA SHIN-IBARAKI CSIRacingのGRGarage水戸インター GR SUPRA GT4(山崎学/坪井翔/野中誠太/細川慎弥組)がST-Zクラスで優勝。
ST-Zクラスの表彰式。左から2位の#22 Porsche Team EBI WAIMARAMA、1位の#310 COROLLA SHIN-IBARAKI CSIRacing、3位の#111 HIROSHIMA TOYOPET RACING。
#38 TRACY SPORTSのmuta Racing GR SUPRA(堤優威/中山雄一/松井宏太組)ST-1クラスで優勝。
ST-1クラスの表彰式。左から2位の#2 Ksフロンティア KTMカーズ、1位の#38 TRACY SPORTS、3位の#47 D'station Racing。
#244 Max RacingのNissan Z Racing Concept(田中哲也/田中徹/三宅淳詞組)がグループ1のST-Qクラス1位。<
グループ1のST-Qクラスのセレモニー。左から2位の#3 ENDLESS SPORTS、1位の#244 Max Racing。

LEGEND CARS RACE シリーズ 2022 第3戦

 スーパー耐久のサポートレースとして行われたレジェンドカーレースには16台が出場。古き良き時代のアメ車を模したコンパクトなレーシングカーは、ヤマハの1,250ccエンジンとシーケンシャルミッションを搭載し、最大出力は130馬力。車重は450kgと超軽量のため、ファニーな外観からは想像できないほど、俊敏な動きを何よりもの特徴とする。

 SUGOでレースが行われるのは昨年に続き2回目で、その時は予選/決勝ともにウェットコンディションだったが、今回の予選は一部に濡れた場所を残しているが、ライン上はドライという状態で走れるようになっていた。その結果、レコードタイムは4秒近く更新され、ポールポジションを獲得したのは、「アタックは2周だけ。ようやくドライで走れて良かったですよ。だいたい狙っていたとおりのタイムが出ました」と語る、ここまで2連勝中のたしろじゅん選手だった。2番手にはS耐とWエントリーの阿野雄紀選手、そして3番手に黒沼聖那選手がつけていた。

 決勝は雨に見舞われてしまい、本来はローリングスタートなのだが、SCスタートに変更。2周の先導の後、グリーンシグナルが灯されると、そこからは完全にたしろ選手のひとり舞台。後続を一歩も寄せつけなかった。そのたしろ選手、「厳しいレースでした。窓が曇っちゃって、何回手で拭いたか分からないほど(笑)」と語った。

 その後方では4周目に黒沼選手が阿野選手を抜いて2番手に上がると、やはり単独走行に。その後、阿野選手と川原悠生選手による3番手争いが繰り広げられるも、終盤になって予選9番手だった甲野将哉選手が急接近。その勢いに押されたのか、阿野選手は9周目の3コーナーで、川原選手も馬の背でコースアウト。甲野選手が3位でゴールした。

 なお、セミプロクラスでは永田郷選手が2勝目を挙げ、ジェントルマンクラスは島澤隆彦選手を僅差で抑えた、小林輝彦選手が3連勝を飾っている。

プロクラス優勝はたしろじゅん選手(AUTOFACTORYFORD)。
プロクラスの表彰式。左から2位の黒沼聖那選手、1位のたしろ選手、3位の甲野将哉選手。
セミプロクラス優勝は永田郷選手(Daytona-Magazine)。
セミプロクラスの表彰式。左から2位の鵜塚直人選手、1位の永田選手。
ジェントルマンクラス優勝は小林輝彦選手(BSKFORD)。
ジェントルマンクラスの表彰式。左から2位の池本繁弘選手、1位の小林選手、3位の小田浩良選手。

フォト/遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/皆越和也、はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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