ラリー・エストニアで5位入賞の勝田貴元選手、開幕から毎戦ポイントを獲得の活躍!

レポート ラリー

2022年7月20日

2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦「ラリー・エストニア」が、7月14~17日にエストニア第2の都市、タルトゥを舞台に開催。この高速グラベルラリーにTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の日本人ドライバー、勝田貴元選手も参戦。GR YARIS Rally1を駆り5位に入賞した。

2022年FIA世界ラリー選手権 第7戦「ラリー・エストニア」
開催日:2022年7月14~17日
開催地:エストニア・タルトゥ周辺

 これまでラリー・エストニアに4回に渡って出場している勝田貴元選手だが、「クラッシュやラジエターの破損、コ・ドライバーの負傷により、一度も完走を果たしたことはありませんでした」と発言するように、相性があまり良くないラリーだ。

 14日に行われたシェイクダウンでも「フィーリングは良かったんですけどね……。4回目の走行の際にクルマがワダチに引っかかってしまってロールしてしまいました」と、コースアウトを喫するなど波乱の幕開けとなった。

「夜にSS1がスタートするのでどうなるか不安だったんですけど、チームが懸命に作業してくれたおかげで出走できましたし、クルマもまったく問題ありませんでした」とのことで、同日の夜、サービスパーク付近に設定されたSS1で勝田貴元選手はトップと0.9秒差の7番手タイムをマーク。

 クラッシュの影響がなかっただけに、レグ2では勝田貴元選手の躍進が期待されていたものの、目まぐるしく変わるコンディションに苦戦を強いられることとなった。その15日のレグ2は計8回のSSが設定されていたのだが、「最もチャレンジングな1日で、他のSSと比べても狭くてツイスティなSSが設定されていました。このSSは2021年に設けられたんですけど、僕はまったく走っていないSSでしたし、前日の雨の影響でウェットになっていたこともあって、自信を持って走れませんでした」と勝田貴元選手。

 さらに「金曜日から日曜日までは局地的な豪雨に見舞われて、スタート順が1分早いか遅いかの違いだけでコンディションが変わっていく状態でした。とくにセカンドループはワダチの中に水が溜まっていてサプライズが多かった。粘土質の路面はグリップを失うので、そこの見極めに時間がかかりました」とのことで、勝田貴元選手は慎重な走りに終始していた。とはいえ、この日の最終ステージとなるSS9では5番手タイムをマークするなど尻上がりにペースを上げた結果、総合7番手でレグ2をフィニッシュした。

 明けた16日のレグ3も計9回のSSが設定される中、勝田貴元選手は安定した走りを披露し、「レグ2はプッシュできるところがつかめなくて、フラストレーションが溜まる1日でしたが、セッティングを変えていく中で、フィーリングの合うようなSSが見えてきました。レグ3でようやく方向性が分かってきました」と語るように、SS12およびSS16で5番手タイムをマークし、総合順位でも5番手までアップしてレグ3を走り終えた。

 そして「日曜日はフィーリングも良くなって、自信を持って走れるようになりました。まだ最後の詰め切れていない部分もありましたが、タイムも上がってきました」と、17日のレグ4で勝田貴元選手は好タイムを連発している。

 ドライのSS20で3番手タイムをマークすると、ウェットと化したリピートステージのSS23でも3番手タイムをマークするなど、路面コンディションの変化に対応。さらに最終のパワーステージでも5番手タイムをマークし、総合5位でフィニッシュ。この結果、勝田貴元選手は10ポイントに1ポイントのボーナスポイントを加えることに成功し、ドライバーズ選手権でも5番手につけた。

 シェイクダウンでクラッシュを演じながらも、ラリー・エストニアで5位入賞を果たした勝田貴元選手だが、「初めてラリー・エストニアを走り切れたし、最終的に5位に入ったので、チームとしてはハッピーな結果ではあるんですけど、自分としてはパフォーマンスに満足していないところがあります」

「5位や6位に入れる状態にはなりましたが、まだ攻め切れていない部分もあります。もう一歩、リスクを負ってスピードを出していかないといけません。とくに次のフィンランドはホームラリーですし、もっともチャレンジングなラリーでもあります。ここで表彰台に乗ることができればドライバーとしての評価が上がるので、自分のスピードを発揮して、もっと高い位置で勝負したいです」とのこと。

ラリー・エストニアで初の完走を遂げ、5位フィニッシュでポイントも獲得した勝田貴元選手(右)。左はコ・ドライバーのアーロン・ジョンストン選手。

 GR YARIS Rally1は今大会よりリアウイングおよびエンジンのアップデートを行っており、「比較していないのでエンジンのアップデートはフィーリングとして感じませんでしたし、リアウイングもダウンフォースが増えたとは感じませんでしたが、データとしては確実に良くなっています。ライバル車両と比較しても明らかにアップデート前より良くなっています」と勝田貴元選手が語るように、マシンも確実に進化しているようだ。8月4~7日に開催される第8戦「ラリー・フィンランド」でも、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationの勝田貴元選手の躍進に期待したい。

 なお、ラリー・エストニアではTOYOTA GAZOO Racing WRTでGR YARIS Rally1を駆るカッレ・ロバンペラ選手が今季5勝目を獲得し、ドライバーズ選手権でリードを拡大。さらにチームメイトのエルフィン・エバンス選手が2位に入賞したことで、TOYOTA GAZOO Racing WRTはマニュファクチャラーズ選手権でもリードを拡大している。

カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組が優勝し、シーズン5勝目を挙げた。またGR YARIS Rally1は、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組が2位入賞で1-2フィニッシュ!

フォト/TOYOTA GAZOO Racing レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ