フォーミュラリージョナルSUGO大会は3戦それぞれでウィナーが入れ替わる拮抗の展開に!
2022年8月2日
宮城県のスポーツランドSUGOにて「SUGOチャンピオンカップレースシリーズ Round.4」が、7月23~24日に開催された。練習走行が行われた金曜日は戻り梅雨の影響で終日雨に見舞われ、土曜日も早朝から徐々に路面が乾いていく中で猛烈な通り雨に襲われるなど、気まぐれな天候に翻弄されたが、日曜日は一転して真夏の晴れ間に恵まれた。そしてどのレースもクリーンなバトルが繰り広げられた。
2022 SUGOチャンピオンカップレースシリーズ Round.4
開催日:2022年7月23~24日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:株式会社菅生、SSC
マスタークラスの4台を含む9台のエントリーを集めたフォーミュラリージョナル地方選手権の第4大会。なお、これまで使用できるタイヤのセット数はレースと同数、すなわち3レース開催の場合は3セットまでとされてきたが、今大会からはレース数に限らず2セットまでと改められた。
2回行われる予選では1回ごとにニュータイヤを投じるため、必然的に決勝はすべてユーズドタイヤで戦うこととなる。そして3レース開催の今回、そのうち1レースは予選/決勝を走行した後のユーズドタイヤを用いらなければならず、新たな悩みとして加えられた。
1回目の予選では、練習で絶好調だった片山義章選手が原因不明のブレーキロックによってクラッシュ。早々に赤旗が出される混乱からスタートした。その1回目でベストタイムを記録したのは「昨日までの雨で路面ができていない状況にセットをうまく合わせられました」と語る小川颯太選手。レース1のポールポジション(PP)を獲得するが、セカンドベストタイムでは伸び悩んだ。
コンスタントにタイムを刻んでいた小山美姫選手がレース3のPPを獲得し、「セクター3までベストタイムでまとめてきたのに、最後の最終コーナーでミスしちゃっているんです。それがなければコンマ2秒ぐらい離してトップっていうぐらい、ポテンシャルはあったんですけど」と悔しがるあたりが、負けず嫌いの小山選手らしい。
そして2回目のトップはスポット参戦の大草りき選手が獲得したはずも、再車検で重量不足が発覚し、すべてのタイムが抹消される。これで繰り上がってPPを奪ったのは、やはりスポット参戦の大木一輝選手で、「思わぬ形でのPPとなり、自分でもびっくりしています。練習初日はタイム差も大きかったんですが、エンジニアさんとコミュニケーションをしっかりとって、セッティングも自分なりにドライビングも変えることができました」と、まさに破顔一笑。
オーバーオールクラスでは3戦ともにPPが入れ替わったが、マスタークラスは3レースとも田中優暉選手がトップを獲得し、「ミスなく走れたので良かったと思います。とりあえず重要なのは完走なので、いい順位でゴールしたいです」と謙虚に語っていた。
決勝レース第10戦ことレース1では小川選手がポール・トゥ・ウィン。自身にとっては昨年の第9戦・鈴鹿以来、そして高木真一監督率いるBionic Jack Racingにとっては初めての勝利となった。
スタートを決めて逃げ続けた小川選手は、一時4秒もの差をつけるも、スタートで小山選手をかわしたはずの大木選手が、違反スタートのペナルティでドライビングスルーペナルティで後退。いっそう楽になったかと思われた小川選手だったが、2番手に返り咲いて視界が開けた小山選手が一気にペースアップ。レース折り返しから徐々に差を詰めていく。
しかし、「後半ちょっとでもタイヤのマージンを持たせようと思って走った結果、最終的には追いつかれてしまいましたが、残り5周は落ち着いて走れました」と小川選手。1秒2の差で小山選手を寄せつけなかった。
マスターズクラスでは田中選手がスタートで出遅れ、2コーナーでHIROBON選手がトップに浮上。総合でも3位に入るが、WエントリーのTCRジャパンシリーズが間近に控えていたためにせっかくの表彰台に上がれず、「それがいちばん残念でした」とHIROBON選手。
明けて日曜日に行われた第11戦、レース2ではポールスタートの大木選手が鋭いダッシュを見せ、1コーナーへのホールショットに成功。1周だけで1秒半ものリードを奪う。その後方では、小山選手と小川選手、そして片山選手が激しく2番手を争い、13周目に小川選手が小山選手をかわす。
勢いに乗る小川選手は、その時点で3秒以上あった差を徐々に詰め、大木選手のミスに乗じて18周目の1コーナーで抜きにかかるも、その直後にガス欠症状の大不運が……。小川選手が止まった後も、小山選手と片山選手に迫られたが、辛くも逃げ切り果たして大木選手が初優勝。
「タイヤと自分のペース配分をコントロールしながら走っていましたが、めちゃくちゃしんどかったです。結果を残せて良かったです!」と、大木選手はとびっきりの笑顔で答えてくれた。
そしてマスターズクラスでは、畑享志選手が1周目のうちに田中選手との間に片山選手を絡めて逆転するという、技ありの展開での勝利に。優勝した畑選手は「内圧低めで行って、後半に合うようにしていたので、早く前に出られて良かったです。前半に抜かれずに済んだのが勝因です」と語った。
第12戦のレース3もまた小山選手のポール・トゥ・ウィン、6勝目をマークした。終盤には小川選手の接近を許すも、序盤に築き上げたマージンで難なく逃げ切り成功。
「この週末は、雨の中での練習は本当に調子良くなかったです。もてぎの時みたいにひとりズバ抜けたポテンシャルがあったわけじゃないけど、最後はギリギリ勝てました。本当にみんなに感謝ですよね」と素直な気持ちを口にした。
一方のマスタークラスは、さながら生き残り合戦。またも田中選手はスタート直後に畑選手にかわされ、さらに4周目の1コーナーのスピンでHIROBON選手の逆転を許す。続いてトップにも迫り、13周目に抜いた直後に畑選手はスピンすると、もはやHIROBON選手を脅かす者はいなくなっていた。
「前半いろいろあって離されちゃったんですけど、タイヤが残っていてくれたおかげです」と語り、レース1に続く2勝目を挙げて、オーバーオールの小山選手ともどもポイントランキングのトップを守り抜いた。
TCRジャパンシリーズ2022第3戦では、サタデー/サンデーシリーズとも加藤正将選手が完璧な展開を見せた。まずはサタデーシリーズ、PPを奪った予選直後は「雨上がりでダスティな感じでしたけど、出したタイムは想定どおり。今回はなんとなくドライバー的にも、車的にもちょっとだけアドバンテージがありそうな気がしています」とコメント。
決勝は予想どおりの展開とした。1周目の馬の背コーナーで接触があり、1台がコース脇にストップ。回収のため、5周12分間にわたってセーフティカーが導入される波乱の幕開けながら、リスタートも完璧に決めて2番手の猪爪杏奈選手を寄せつけず。
「最初のスタートだけじゃなくリスタートも決まって、徐々に引き離していくことができたので、開幕戦で勝った時よりも達成感のある勝利でした」と加藤選手。3位は50kgものサクセスバラストに苦しみながら、HIROBON選手が獲得した。
サタデーシリーズではサクセスバラストを積んでいなかった加藤選手ながら、続くサンデーシリーズでは20kg搭載。それでもまた猪爪選手を従え、僅差ではあるもののPPを獲得する。
「昨日よりも差はつきにくいとは思うんですが、ユーズドタイヤでもコンスタントに周回できて、下がり幅が少ないので、今日もまたポール・トゥ・ウィンを目指します」と加藤選手は語っていたが、まさに有言実行となった。
スタートをまたも決めて、次第に猪爪選手を引き離していったからだ。一時はHIROBON選手が猪爪選手に迫っていたが、「タイヤがいい時はついていけたけど、後半はやっぱりきつかった」と、中盤からはそれぞれ単独走行になっていた。
「やっぱりサクセスバラスト分の重さがあったので、それでもタイヤマネージメントしながらフルプッシュ、まぁ98~99%ぐらいを心掛けて途中からはコントロールしました。次のもてぎは50kgずつになるので……、でも得意な地元サーキットなので、きっとアドバンテージはあると思います」と加藤選手。
FIT 1.5チャレンジカップと、ツーリングカー地方選手権のもてぎ・菅生シリーズ第4戦は、予選で安井亮平選手がトップタイムをマークするも、前回から持ち越されたペナルティによって3グリッド降格に。
PPはコンマ1秒差で続いていた窪田俊浩選手が獲得し、「クルマの仕上がりは悪くないので、決勝もいいと思います」と語っていたのだが……。その決勝では「2速から3速に入れる時に弾かれてしまった」と言い、出遅れる間に3番手に後退してしまう。
そしてトップに立ったのは「今年からFITに乗っています」という尾藤成選手で、続いたのはオオタユウヤ選手。3周目からは安井選手も加え、4台で激しくトップを争い合った。
オオタ選手以下は“仕掛けないと前に出られない、でも仕掛け損なえば前に出られてしまう”状態の中、7周目のヘアピンで果敢に仕掛けたのは窪田選手だったが、オオタ選手を抜けなかったばかりか、安井選手の先行も許してしまう。そして、この仕掛けはまた尾藤選手を逃すことにも。
「初優勝です! ずっとギリギリの状態だったんですが、終盤になって後ろがやり合ってくれて、少し離れてくれたので僕はラッキーでした。これから、もっともっと頑張ります」と尾藤選手。
JMRC東北Moty's杯ロードスターカップ第3戦は、ベテラン川﨑俊英選手がPPを獲得。しかし、「湿気が多くてエンジンが吹けず、目標タイムより1秒以上遅くてショック。自分にショックでした」と正直に語る。その悔しさを決勝では遺憾なくぶつけていた。
通り雨で再び濡れた路面の中、回復に合わせて毎周タイムを上げていく。その結果、10周で17秒差の大勝に。「最後の2周だけタイムが落ちたのは、最終コーナーのラインを変えてみたから。外側行ったり内側行ったり。今さらなんだけどね。結局インベタの方が良かったです、4km/hぐらい速かった」と未だに探究心を欠かさぬあたりは、他のドライバーにも見習ってほしいもの。2位は阿部剛選手が獲得し、1600cc以上の車両を対象とするOvクラスの優勝ともなった。
ロータスカップジャパンは第3戦から若干クラス区分を改め、賞典外参加のドライバーをクラス0に属することに。その対象である実質クラス1の佐藤考洋選手、実質クラス2の橋本洋平選手を従え、PPを獲得したのはクラス1の清水友一選手。
計測1周目からトップタイムを記し、「一発を狙っていました。それ以上やっても出ないと思ったので。前回はミッショントラブルを抱えましたが、直していただいて絶好調なのでリベンジしたいと思っています」と宣言。クラス2では飯田敏雄選手がトップで、総合でも5番手につけた。
決勝でも好スタートを切って佐藤選手を抑えていた清水選手ではあったが、オープニングラップの最終コーナーで姿勢を乱してしまう。佐藤選手は難なくかわすも、後続はブレーキングで回避。これで佐藤選手は早々に独走体制に持ち込むことに。
一方、清水選手は佐野順平選手の先行を許すも、徐々に差を詰めていって4周目のヘアピンでトップに再浮上。そのまま逃げ切ってクラス1の優勝を飾った。「ちょっとクルマの調子が悪くなっちゃってね、でも1位は1位なんで(苦笑)。佐藤選手とはバトルしたかったですね、あのまま抑えていきたかったんですけど」と清水選手。
クラス2でも、飯田選手はスタートに遅れて長澤宏昭選手のリードを許しはしたが、その後続いた激しいバトルの末に逆転に成功。「スタートはミスりましたね、ちょっと。その後もきつかったですけどね、速いところ、遅いところ違うので。抜いてきたのは(6周目の)ヘアピン進入で、ちょっとミスって勢いよく入ったら、抜けちゃったのでラッキーでした。二度と同じことはできないでしょうけど(笑)。トータルで見たら、楽しいレースでした」と飯田選手。
フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部