小田優選手が第5戦優勝で3勝目! 第6戦はルーキー勢が大躍進して表彰台を独占、熊谷憲太選手がOK部門デビューウィン!!

レポート カート

2022年8月5日

全日本カート選手権OK部門の第5戦/第6戦が静岡県小山町のオートパラダイス御殿場で開催。第5戦では小田優選手(Drago CORSE)が3勝目を飾り、第6戦では波乱の展開の末に初参戦の熊谷憲太選手(KP BUZZ with HIROTEX)が勝利を手にした。

2022年JAF全日本カート選手権OK部門 第5戦/第6戦
開催日:2022年7月30~31日
開催地:オートパラダイス御殿場(静岡県小山町)
主催:RTA、APG

 国内カートレースの最高峰、全日本カート選手権OK部門。その2022シリーズは、オートパラダイス御殿場(APG)での第5戦/第6戦で折り返し点を迎えた。APGには2タイプのコースレイアウトがあるのだが、この大会で使用されるのは全長1006mの“ハイスピード”レイアウトだ。

 第4戦で初優勝を飾ったルーキーの堂園鷲選手が負傷のため欠場したが、3名の初参戦があり、エントリーは今季最多の35台に到達。コースの最大出走台数である34台を超え、1名が予選不通過の憂き目にあうこととなった。予選は参加全車をABの2グループに分けて行われ、さらに各グループ15番手以下の選手によるセカンドチャンスヒート(敗者復活戦)も実施される。

オートパラダイス御殿場で開催のOK部門はエントリー35台と盛況。うち1台が予選落ちとなるサバイバルレースの様相となった。

OK部門第5戦

 2デイ制の大会初日は快晴。真夏の厳しい暑さの中、午後にまずタイムトライアル(TT)が行われた。ここでトップタイムをマークしたのは、ルーキーの加藤大翔選手(PONOS HIROTEX RACING)。36秒030のタイムで唯一平均速度を100km/h台に乗せ、少数派のヨコハマタイヤ・ユーザーが輝きを放った。

 加藤選手の後にはブリヂストン・ユーザーが続き、今回がデビュー戦の熊谷選手が堂々の2番手、暫定ランキング首位の小田選手が3番手に。4番手はチーム移籍で心機一転の山田杯利選手(Drago CORSE)、5番手は第3戦のウィナー佐々木大樹選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)。ダンロップ・ユーザーでは12番手の鈴木斗輝哉選手(TGR TEAM TAKAGI PLANNING)が最上位だった。

 この順位によって参加全車をABの2グループに振り分け、予選のグリッドが決まる。つまりAグループでは加藤選手が予選ポール、Bグループでは熊谷選手が予選ポールだ。

 予選Aグループでは大集団による先頭争いの末、5番グリッドから順位を上げた佐野雄城選手(BirelART Access Racing)がトップに。予選Bグループでは鈴木選手が中盤までのレースを引っ張り、終盤にそれをパスした金子修選手(TONYKART RACING TEAM JAPAN)がトップでフィニッシュした。

 両グループの同一順位の選手同士をTT順位の比較で優劣づけした結果、第5戦決勝のグリッドは金子選手が初のポール獲得、佐野選手が2番グリッドに並ぶこととなった。グリッド2列目は佐々木選手とダンロップタイヤで高い戦闘力を披露した鈴木選手。同3列目は小田選手と前大会欠場の山田選手。TTトップの加藤選手はヒート中にポジションを下げ、11番グリッドから決勝に挑むことに。ヨコハマタイヤ勢では、こちらも好調の渡会太一選手(Drago CORSE)が8番グリッドにつけている。

 一夜明けて大会最終日、第5戦の決勝は9時30分に幕を開けた。28周の戦いは、まずポール金子選手のホールショットで始まり、4周目に佐々木選手が先頭の座を引き継いだ。そこにハイペースで迫ってきたのが小田選手だ。

 小田選手は8周目に佐々木選手をパスしてトップに立つと、背後の2番手争いに乗じて一気に1秒弱のアドバンテージを築いた。ここからは小田選手の独壇場。間もなく1秒以上に開いたリードをキープしたまま残りの周回を駆け抜け、勝利のチェッカーをくぐった。17歳のルーキーはこれで5戦3勝だ。

 一方、セカンドグループでは熱い戦いが繰り広げられた。2番手の座は佐野選手から、7番手スタートの熊谷選手へ。緊迫のチェイスを展開するふたりの背後に、ひたひたとポジションを上げてきた加藤選手が迫る。残り10周、スペシャルタイヤ初レースの熊谷選手のペースが落ち、順位を下げていった。

 終盤戦を迎えたコース上で最速だったのは加藤選手だ。残り5周で佐野選手をかわした加藤選手は、トップ小田選手とのギャップを削り取りながら残り周回を走り、2位でフィニッシュした。前日の予選では路面温度の低下にタイヤがフィットせず苦戦したが、決勝ではタイヤの性能を遺憾なく発揮して、14歳のルーキーがついに初表彰台をつかんだ。

 佐野選手は3位でゴールして、今季4度目の表彰台獲得。今季最上位の4位を得た金子選手と0.1秒差の5位でフィニッシュしたのは、予選のアクシデントで30番グリッドに埋もれた清水啓伸選手(Drago CORSE)だった。

今季3勝目を挙げた小田優選手は「昨日の予選に比べて早くタイヤが温まってくれて、前半はペースも早く上げることができました。トップにいた佐々木選手のペースがあまり上がっていなかったので、自分のペースがいいうちに抜こうと思って前に出ました。このコースはタイヤがあまりタレたり減ったりしないので、フルプッシュで走ってそのままゴールしました。セッティングは手探りだったけれど、決勝で決まって良かったです」と語った。
2位は加藤大翔選手、3位は佐野雄城選手。
第5戦表彰の各選手。

OK部門第6戦

 第6戦では1名の欠場があり、参加台数が最大出走台数ちょうどの34台となったため、予選ではグループ分けを行わず、セカンドチャンスヒートも取り止めとなった。その予選では加藤選手が独走、2度目の決勝ポールを獲得する。熊谷選手も2番手のままフィニッシュして、HIROTEXの2台がフロントローを占めることとなった。

 最後の決勝は14時50分の開始だ。空には厚い雲が広がって太陽を覆い隠し、ほんのわずかだが雨粒も落ちてきた。このコンディションの変化に泣いたのが加藤選手。路面温度がタイヤの最適領域を外れ、序盤から順位を下げていった。

 代わって先頭の座を競い合ったのが4番グリッドの佐野選手、6番グリッドの清水選手、そして熊谷選手だ。昨年、初優勝を遂げたコースでの一戦に意欲を燃やす清水選手は、17周目に佐野選手からトップを奪う。対する佐野選手も、悲願の1勝目を目指して清水選手を追う。ふたりの意地のぶつかり合いは、悲劇を生んだ。19周目、4~5コーナーで2台のラインが交錯して、清水選手がリアをヒットされスピン、ここでレースを終えたのだ。

 目の前のアクシデントを利して熊谷選手が先頭に出たが、これを佐野選手がすぐに抜き返し、徐々にリードを広げてゴールへ。待望のファーストチェッカーのはずだったのだが、佐野選手に喜びの表情はなかった。マシンを降りた佐野選手に下されたのは、プッシングで10秒加算の裁定。これで、佐野選手から約2秒後れてフィニッシュした熊谷選手がウィナーとなった。最高峰部門初参戦の大会で、殊勲のデビューウィンだ。

 2位は大集団のセカンドグループを抜け出してきた野澤勇翔選手(bbR.チームエッフェガーラ)。OK初参戦の今季、たびたび見せてきた速さをついに結果につなげ、初の表彰台登壇だ。並み居る実力者を従えてフィニッシュした14歳の梅垣清選手(BirelART Access Racing)が3位を得て、表彰台はルーキーたちが独占した。

 4位には高橋悠之選手(BirelART Access Racing)が続き、好調BirelART勢が2~4位に並ぶ結果に。第5戦優勝の小田選手は予選で0周リタイアを喫したが、決勝では32番グリッドからの急追で5位となった。

 ポイントランキングは、小田選手がライバルたちとの得点差を広げて首位をキープ。佐野選手が2番手、金子選手が3番手に上がった。堂園鷲選手は今大会の欠場で順位を下げたが、それでも6番手につけている。残すは2大会4戦。シリーズは次回の茂原大会で、いよいよクライマックスに突入する。

「ロングランはキツいかなと思っていたので、本当にうれしいです。後半タイヤがタレてくるだろうから、スタートで行かないとダメだと思って、前半に向けたレースをつくりました。清水選手がトップに出た時点でタイヤはキツくなっていたけれど、(佐野選手と)バトルしてくれるだろうと思って、あそこで待ってタイヤを減らさなかったのが良かったのかなと思います」と、スポット参戦ながら第6戦で最高峰部門の優勝をつかんだ熊谷憲太選手。
2位は野澤勇翔選手、3位は梅垣清選手。
第6戦表彰の各選手。

フォト/JAPANKART、長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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