西地域は真夏のAPG決戦! FP-3部門は地元勢を抑えた中村海斗選手が激戦の末に勝利

レポート カート

2022年8月5日

全日本カート選手権のFS-125部門/FP-3部門2022シリーズは、東地域に5週間後れて西地域でも第3戦が開催された。FP-3部門では中村海斗選手(TEAM NAGAO)が熱戦を勝ち抜き2勝目をゲット。FS-125部門では百瀬翔選手(HRS JAPAN)がワンサイドゲームで2連勝を飾った。

2022年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 西地域第3戦
2022年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 西地域第3戦

開催日:2022年7月30~31日
開催地:オートパラダイス御殿場(静岡県小山町)
主催:RTA、APG

 第3戦の舞台は静岡県・オートパラダイス御殿場(APG)。大会は2デイ制で、初日にタイムトライアルが、2日目に予選と決勝が行われるスケジュールだ。西日本と東日本の分岐点辺りに位置するAPGでは今季、この大会に続いて、10月22~23日には東地域の大会(第5戦)も行われる。

FP-3部門西地域第3戦

 FP-3部門にはスポット参戦してきた地元の強豪ドライバーたちを含め、18台が参加。このうち1台がタイムトライアル後にリタイアしたため、出走は17台となった。

 予選をトップでフィニッシュしたのは、13歳の鈴木恵武選手(Formula Blue 増田スピード)。東地域エリアに住みながら西地域への遠征を開始して3戦目で、初の決勝ポールを手にした。セカンドグリッドには前戦2位の内海陽翔選手(シナジーリンクス)、3番グリッドには開幕戦のウィナー中村選手が並ぶ。5番グリッドの久富圭選手(Formula Blue Ash)をはさんで、4、6番グリッドにスポット参戦の地元勢、土志田洸彰選手(GRIZZLY RACING with ARBOL ALDEA)と木村龍二選手(ガレージ茶畑)がつけている。

 24周の決勝は、開始直後から熱い展開となった。先頭は鈴木選手から内海選手、土志田選手、再び内海選手と目まぐるしくチェンジ。レースが中盤戦に差しかかると土志田選手が順位を下げ、代わって中村選手、木村選手、7番グリッドの大井偉史選手(Vifonte with Ash)が先頭集団に加わってきた。そんな中、鈴木選手は常に2番手につけて初優勝への筋書きを綴っていく。

 残り5周、鈴木選手が内海選手をパスしてトップへ。それに続いて中村選手が2番手に上がった。これは鈴木選手の「内海選手の前に出て、後ろで内海選手と中村選手をバトルさせようと思っていた」というプランどおりの展開だった。

 だが、鈴木選手はここからのペースが思いのほか良くない。残り3周、中村選手が、そして内海選手が、鈴木選手をかわしていく。最終ラップ、さらに大井選手が鈴木選手の前へ。先頭集団は土志田選手を含めた5台がひとかたまりのままフィニッシュ。中村選手が激戦を制して今季2勝目をつかみ取った。

 15歳の内海選手は、初優勝も遠くないと思わせるレースで2戦連続の2位。大井選手は4ポジションアップの3位入賞で、昨年第5戦以来の表彰台に立った。鈴木選手は悔しい4位に終わったが、ポイントランキングは西地域の首位をキープしている。

「気づいたらファイナルラップで、まさかこんなに綺麗に勝てるとは思っていなくて、ゴールの瞬間はとてもうれしかったです」と優勝を喜ぶ中村海斗選手。「レースが始まって、タイムは出てるんですけど前に追いつくのがしんどくて、どうやったら追いつけるかと考えていたんですが、前でバトルしてくれたおかげで追いつけて、それが残り3周くらいだったので早めに仕掛けて守り切ってしまおうと思っていきました」と勝因を語った。
2位は内海陽翔選手、3位は大井偉史選手。
FP-3部門表彰の各選手。

FS-125部門西地域第3戦

 FS-125部門は出走5台。そのタイムトライアルでは、百瀬選手が39秒510のトップタイムをマークした。2番手の近江川暖人選手(HRS JAPAN)との差は0.169秒。これはカートレースでは覆しづらい大差だ。

 予選を問題なく走り切ってトップでフィニッシュした百瀬選手は、26周の決勝でもトップの座をキープして発進すると、オープニングラップで後続を着実に引き離していく。百瀬選手のリードは、1周目に約0.5秒、2周目には2番手のポジションチェンジがあって約1.2秒に広がった。これで勝負あり。残る周回を単独走行のまま駆け抜けた百瀬選手は、右拳を握って2戦連続ポール・トゥ・ウィンのチェッカーをくぐった。ただし百瀬選手は、思ったほど2位との差を広げられなかったレースに、いささか渋い表情だ。

 2位は女性ドライバーの白石いつも選手(HRS JAPAN)。2周目にチームメイトの近江川選手をパスして2番手に上がり、昨年のスポット参戦を含め自身5戦目にして初表彰台に立つこととなった。圧勝確実と思われていた百瀬選手を1秒強以内の差に留めたまま26周を走り切ったことも、評価に値すべき点だろう。

 3位の松本拓海選手(Rosa Drago CORSE)は、今回が全日本デビュー戦だ。4番グリッドから序盤にひとつ順位を上げると、そのポジションを守り切ってゴール。今季の地方カート選手権・瑞浪シリーズでランキング首位を行く14歳の新鋭が、全日本でもしっかり結果を残してみせた。

速さを発揮した百瀬翔選手がポール・トゥ・ウィン。「タイムトライアルではけっこうミスしてしまってあまり良くなかったんですけれど、予選ではまあ自分の走りができて後ろを離すことができました。でも決勝では、前回の神戸では5秒くらい引き離したのに、今回は離し切れなかったところがあるので、もっとアドバンテージを築いてゴールしたかったって気持ちがあります」と優勝に甘んじることなく、勝負への貪欲さを見せた。
2位は白石いつも選手、3位は松本拓海選手。
FS-125部門表彰の各選手。

FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門西地域第3戦

 同時開催のジュニアカート選手権・西地域第3戦。8台が出走したFP-Jr部門では、田邊琉揮選手(TAKAGI PLANNING)が2番グリッドから序盤で先頭に立ち、伊藤聖七選手(かあと小僧with Ash)の追走を振り切って初優勝を遂げた。伊藤選手は開幕3連勝ならず2位でフィニッシュ。終盤に大集団となったセカンドグループの戦いを制した可児永久選手(Ash KART RACING)が、3位獲得で開幕戦以来の表彰台に上った。

 11台が出走したFP-Jr Cadets部門は、予選も決勝も澤田龍征選手(LUCE MOTOR SPORTS)と横山輝翔選手(Energy JAPAN)のマッチレースとなった。決勝をポールからスタートした澤田選手は、終盤に横山選手に急接近されたものの、このピンチをしのいでトップのままフィニッシュ、今季2勝目を挙げた。横山選手は逆転ならず0.164秒差の2位となったが、今季は3戦すべてを2位以内でゴールしている。4台一丸で展開されたセカンドグループの戦いは、元田心絆選手(RTSchritt)の3位獲得で決着した。

FP-Jr部門は田邊琉揮選手が制し、「ずっと応援してくれていた人がいるのになかなか勝てなかったけれど、今回やっと勝てたので良かったです。伊藤選手は離れることはないなと思っていたけれど、自分のミスをいつもより少なくできて、それで余裕ができたから勝てたのかなと思います」とコメント。
2位は伊藤聖七選手、3位は可児永久選手。
FP-Jr部門表彰の各選手。
「1位になれてうれしいです」と言う澤田龍征選手。今季は優勝2回と2位1回でランキング暫定トップに立っている。「横山選手は少し離れていたので、ペースは同じだからブロックしなくても勝てそうだと思っていたのに、最後はブロックして防戦となりました。残りのレースは全勝します」と意気込んだ。
2位は横山輝翔選手、3位は元田心絆選手。
FP-Jr Cadets部門表彰の各選手。

フォト/JAPANKART、長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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