GT500はKeePer TOM'S GR Supraの最年少コンビが勝利。GT300はSUBARU BRZ R&D SPORTが今季初優勝!
2022年8月16日
スーパーGT第4戦が8月6~7日に富士スピードウェイで100周(450km)レースとして行われた。GT500クラスはクラス最年少コンビの37号車KeePer TOM'S GR Supra (サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋組)が逆転で勝利、GT300クラスは波乱の展開の中で61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)が激しいバトルを制してそれぞれ今季初優勝を決めた。
2022 SUPER GT Round4 FUJIMAKI GROUP FUJI GT 100Lap RACE
開催日:2022年8月6~7日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:株式会社GTアソシエイション、富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C
第3戦鈴鹿ラウンドから2か月以上のインターバルを挟んで開催された第4戦富士ラウンドは、100周(450km)レース。第2戦富士ラウンドも450kmレースとして開催されたが、中盤に大きなアクシデントがあったことで450kmは走りきれておらず、これがスーパーGT初の450kmレースとなる。
予選日の6日はうっすらとガスの掛かった曇天で、気温21度、路面温度28度という肌寒いコンディション。15時から始まった公式予選でGT500クラスのポールポジションを獲得したのは、3戦連続となる19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)。
2番手は同じヨコハマタイヤを履く24号車リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平組)で、第2戦同様にヨコハマタイヤ勢がフロントローを独占した。3番手は37号車スープラ、4番手は38号車ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)がつけたが、今季3基目のエンジンを使用してシャシー交換をしたことで、レース中に10秒ストップのペナルティが課されることになっていた。
またGT300クラスでは、開幕戦3位以降、調子の上がらない65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗組)が今季初のポールポジションを獲得。僅差で2番手となったのは61号車BRZ、3番手は4号車グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)、4番手は10号車TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき/塩津佑介組)だった。
なお、公式予選前には観客を乗せたバスがプラクティス中にコース上を走るサーキットサファリが3年ぶりに行われ、多くのファンがバスの脇を通過するGT車両の迫力ある走行を楽しんだ。
決勝日はやや天候が回復したが、各車両がグリッドについた頃に大粒の雨が落ちてコースを濡らした。しかしグリッドウォーク中に雨は上がり、一部ウェットパッチの残るコンディションとなった。静岡県警の白バイとパトロールカーによるパレードランも3年ぶりに行われた。
コースコンディションを確認するためにフォーメーションラップは2周となり、決勝レースは99周に短縮。そして約2万9,300人のファンが固唾を飲む中、気温27度、路面31度というコンディションの下、14時11分にバトルがスタートした。
1周目のコカ・コーラコーナーで4台のGT300車両が絡むアクシデントがあり、1台がその場でストップ、リタイアとなった。3周目に入ってすぐのストレートで、24号車Zの平手選手が、ポールからスタートした19号車スープラの国本選手をかわしてトップに立つと、2番手以降を引き離しにかかる。
19号車スープラのタイヤは温まりに時間がかかり、5周目には37号車スープラのフェネストラズ選手、7周目には7番手スタートの12号車カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)のバゲット選手、5番手スタートの8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)の福住選手にかわされ、5番手に順位を下げた。
トップの24号車Zと37号車スープラの差は一時3秒まで広がっていたが、まず36周で37号車スープラがピットインして宮田選手に交代。24号車Zも翌周にピットインして佐々木選手に交代する。代わってトップに立った12号車Zも39周でピットインして平峰選手に交代。42周で各車のピットインが落ち着くと、トップは24号車Zで、2番手が37号車スープラ、3番手が12号車Zで各車のギャップは2~3秒ほどだった。
トップ3のギャップが各1秒ほどに縮まった72周で、トップの24号車Zが最初に動いてピットイン。平手選手に交代したが、タイヤ交換などの細かいミスもあってピットタイムは36.3秒。翌周にピットインした37号車スープラはドライバー交代をせずに28.7秒でピットを後にした。また12号車Zもその翌周にピットインし、こちらも平峰選手からの交代はなく29.2秒でコースへ。しかし直後の1コーナーでブレーキをロックさせてオーバーシュート。
これで難なく暫定トップとなったのが37号車スープラ。5秒後の2番手に12号車Z、その7秒後に24号車Zが続くことになった。80周ですべての車両が2回目のピットインを済ませると、37号車スープラがトップに立つ。12号車Zの平峰選手はトップとのギャップを3.7秒まで縮めるも、その後は37号車スープラの宮田選手がジワジワと差を開き、99周でトップチェッカー。
ともに1999年生まれのフェネストラズ選手(23歳)と宮田選手(22歳)というGT500クラス最年少コンビがうれしい初優勝を飾り、ポイントリーダーとなった。そして2位は12号車Z、3位は24号車Z。ホンダ勢のトップは8号車NSXで5位にとどまった。
GT300クラスはポールスタートの65号車メルセデスが後続を引き離し、9周目には2番手4号車メルセデスとの差を8.3秒まで広げる独走となった。しかし19周目に右フロントタイヤから白煙が出てスローダウン。ピットインしたがハブのトラブルだったようで優勝争いから離脱することに。
代わってトップに立った4号車メルセデスは26周でピットインして片岡選手から谷口選手に交代。これで10号車GT-Rの大草選手、予選9番手の11号車GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍組)の石川選手が1-2態勢となった。11号車GT-Rは37周でピットイン、10号車GT-Rも38周でピットインしたが、こちらは再スタートできずガレージへ入れられることになった。
その後、トップに立った12番手スタート50号車Arnage MC86(加納政樹/阪口良平/末廣武士組)は44周で最初のピットイン。これで4号車メルセデスがトップに立ち、2番手は7番手スタートの60号車Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組)、3番手は61号車BRZに。56周で60号車スープラ、61周で4号車メルセデス、4番手に順位を上げていた11号車GT-R、62周で61号車BRZが2回目のピットインを済ませた。
76周でトップに返り咲いた4号車メルセデスだったが、翌周のTGRコーナーで左フロントタイヤがパンク。ピットインをせざるを得ず、優勝争いから脱落することになった。これでトップに立ったのが11号車GT-Rの安田選手で、その1.3秒後方に61号車BRZの山内選手が続き、追い上げにかかった。
79周目に2台の差は0.6秒となり、最終コーナーで山内選手がかわすも、ストレートスピードに勝る安田選手が簡単に抜き返す。82周目、84周目にも同様のバトルがありトップ争いは白熱した。そして85周目のTGRコーナーで山内選手が前に出ると2コーナーまでに安田選手が逆転し、GRスープラコーナーで山内選手がトップを奪うと、続くストレートでは安田選手がスリップストリームに入れない差となり、91周で山内選手がトップチェッカー。
61号車BRZは今季初優勝を遂げると、グランドスタンドのSTI応援団からは数多くの小旗が盛んに振られた。2位は11号車GT-R、3位は予選5番手から堅実な走りを見せた18号車UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/太田格之進組)だった。ポイントリーダーの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)は、粘りの走りで6位ゴールでランキングトップを守った。
フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部