北海道ダートラ地区戦は若手が躍動。最大の激戦区FF-1は内山壮真スイフトが3連勝!
2022年8月16日
JAF 北海道ダートトライアル選手権は、雌雄を決するシリーズ後半戦に突入。7月31日に第6戦がオートスポーツランドスナガワで開催された。
2022年JAF 北海道ダートトライアル選手権第6戦
2022年JMRC 北海道WinmaXダートトライアルシリーズ第6戦
2022年JMRC オールスター選抜第6戦
2022年ブレインスーパートライアル No.36
開催日:2022年7月31日
開催場所:オートスポーツランドスナガワ・ダートトライアルコース(北海道砂川市)
主催:C.S.C.C.、BRAIN
1月に行われた糠平湖氷上トライアルで開幕した今年のJAF北海道ダートトライアル選手権は、4月からグラベルラウンドに突入。今回がグラベル5戦目となるシリーズ第6戦を迎えた。5月末に全日本選手権が行われたオートスポーツランドスナガワが今年のシリーズの主たる舞台だが、士幌町のイーストジャパンオフロードスタジアムでの一戦も6月に3年ぶりに復活し、コロナ禍前の賑わいを取り戻している。
今回、カースポーツクラブコクピット(C.S.C.C.)とともに主催を担当したのは、C.S.C.C.同様、札幌市に拠点を置くオートスポーツプロジェクトブレイン(BRAIN)。全日本ダートトライアルの“レジェンド”ドライバー、原宴司選手を輩出するなど、老舗の“土系”JAF加盟クラブとして知られるが、実に10数年ぶりに主催を受け持つこととなった。
BRAIN主催のダートトライアルと言えば、かつては個性的な、ひねりの効いたコース設定で知られたが、今回も最近はあまり見られない逆走のレイアウトを採用し、テクニカルなセクションを多く設けた。走行時間も2分近い、たっぷり走らせる設定とあって、特に往時を知るベテランドライバー達は、BRAIN復活の一戦を大いに楽しんだ様子だった。
19台がエントリーと、今回一番の激戦区となったFF-1クラス。第1ヒートは、昨年のチャンピオン、左近弘道選手がただ一人、2分の壁を破る1分59秒936をマークして首位で折り返す。しかし路面が好転した第2ヒートに入ると、各選手が1分50秒台後半のタイムを連発。第3戦のウィナー、土佐岡慎選手が1分54秒697までタイムを詰めて暫定トップに立った。
しかし後続の棚瀬昌樹選手が54秒106までベストタイムを更新。するとラス前ゼッケン、2連勝中の絶好調男、内山壮真選手が一気に52秒台に叩き入れてトップに立った。再逆転を狙ったラストゼッケンの左近選手は、53秒637でゴール。今季3勝目はならなかった。
「今日はストレートがほとんどなくて、常にGがかかっているようなコースだったので、その中で、いかにアクセルを踏む時間を長くするか、を心がけて走りました」と振り返った内山選手は、社会人になってからダートラを始めた函館在住の29歳。5月にスナガワで開催された全日本戦にもスポット参戦したが、12位と惨敗に終わった。
「あまりに走りが不甲斐なかったので、全日本の人達のインカー映像も参考にして、練習する機会を増やしたら、今までよりクルマの限界を引き出す走りができるようになりました。その辺がタイムに繋がっていると思います」。今回の優勝でシリーズポイントもトップを行く左近選手に10点差まで追い付いた。残り2戦、トップ2のバトルの行方が大いに注目される。
FF-2/4WD-1クラスは11台がエントリーした。ZC33Sスイフトを駆る全日本ドライバーの内藤修一選手が2勝をあげてランキングトップに立つが、スナガワではストーリアX4を駆る25歳の若手、竹花豪起選手が2度、内藤選手を抑えて優勝を飾り、ランキング2位につける。このトップ2のバトルにまずは注目が集まった。
第1ヒートは1分55秒200をマークした内藤選手がトップタイム。竹花選手は1コーナーのアプローチで失敗し、2秒以上も離されて4番手。前戦で内藤選手を上回って2位を獲得した張間健太選手が内藤選手から1.1秒差の2位につけた。竹花選手と並んで北海道ダートラ界で期待を集める若手の一人だ。
第2ヒートはこのクラスも当然のように各選手、タイムアップ。内藤選手と同じく全日本を追う山田将崇選手が1分52秒台までタイムを上げて後続の走りを待ったが、張間選手が51秒639をマークして、断トツの首位に躍り出た。
しかし竹花選手は、張間選手をさらに1秒以上も突き離す50秒275という圧巻のタイムでゴール。対して最終ゼッケンの内藤選手は51秒835に終わって首位奪還は果たせず。竹花選手が三たび、内藤選手を下して、シリーズポイントも5点差と内藤選手に急接近することとなった。
「今日は正解のラインをいかに掴めるかの勝負だったと思います」と竹花選手。「1本目を走った後にすぐに自分のインカー映像を見返して、2本目どう走るかを決め込んで迷いなく臨めたのが大きかったですね。ゴールした時は狙い通りの走りができて90点くらいの出来かなと思ったんですが、インカーを見直したら走りがちょっと温(ぬる)い部分があったので70~80点でしたね(笑)」と振り返った。
このクラスは昨年、竹花選手の師匠である原選手がストーリアX4でライバルを抑えてチャンピオンを獲得したが、今年はサポートに徹している。「今年から原さんが使っていたのと同じメーカーの足回りを入れてもらったんですが、正しい操作をしないときちんと動いてくれないので、運転を鍛え直したんですよ」と竹花選手。
「勝ちが続いているのは、その辺がようやく身についてきたのかな、という感じですが、内藤さんのツボにハマった時の速さを知っているので、温い走りをしては勝てないと思っています。ただ、ライバルの方々を意識し過ぎても仕方がないので、残り2戦も自分の走りにしっかり集中したいですね」と、念願のチャンピオン獲得に向け、決意を新たにしていた。
4WD-2クラスは、今季は過去5戦で4人のウィナーが生まれる展開となっているが、唯一2勝を挙げているディフェンディングチャンピオンの島部亨選手が、開幕から4戦連続で表彰台も奪取という抜群の安定感もあって、タイトルレースをリードしている。
第1ヒートは前戦が今季初出場だった萩中庄吉選手が1分49秒155をマークして暫定首位に立つ。島部選手は3番手で折り返したが、第2ヒートでは、2番手を1秒以上も突き離す1分45秒413でゴール。お決まりのオーバーオールウィンもさらう、文句なしのタイムで3勝目を獲得。タイトル防衛に大きく前進した。
今回の地区戦のクラスのトリを務めたのはRWDクラス。通常は一番最初に出走するクラスだが、今回は最後の出走となった。2リッター4WDターボ車が走行し、いつもとは違う砂利や砂が掃けた後の路面での勝負となったが、やはり全日本レギュラードライバーの和泉泰至選手の優位は揺るがず、2本とも大差でベストタイムを奪って快勝した。
「以前は地区戦で逆走の設定になることも珍しくはなかったので、特に戸惑わなかったですが、コースが長くてコーナーも多いので難しかったですね。コーナーとコーナーの間の繋ぎを考えて走らないと、スムーズに走れずにタイムロスしやすい設定だったと思います」と和泉選手。
優勝も期待された5月の地元の全日本戦では表彰台を逸して4位にとどまったこともあって、今回は駆動系のセットを変えて臨んだという。「効果も確認できたので、テストには絶好のコースレイアウトでした(笑)」と、残る全日本2戦に向けて確かな手応えを掴んだ様子だった。
地区戦と併催されるJMRC北海道WinmaXダートトライアルシリーズのジュニアクラスもシリーズ後半戦に突入した。J-2クラスは村上幸丈選手が開幕4連勝を飾って大きくリードするが、今回は不参加。前戦で村上選手を破った伊藤慶選手が優勝候補筆頭だったが、第1ヒートはノータイムに終わってしまう。
第2ヒートに入ると、第1ヒートで暫定トップだった山口達也選手が1分48秒801までタイムを詰めて伊藤選手にプレッシャーをかけたが、最終走者の伊藤選手は0.3秒上回ってゴール。土壇場で逆転を飾って2勝目を獲得。逆転タイトルに望みを繋げた。
フォト/加藤和由 レポート/JAFスポーツ編集部
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