次世代に向けて進化する“第2世代”FIA-F4選手権車両のサプライヤーが決定

ニュース レース

2022年8月17日

スーパーGT第4戦が開催された富士スピードウェイで、8月7日、サポートレースとして開催しているFIA-F4選手権の第2世代車両に関する記者会見が行われ、2024年から使用されるシャシーは東レ・カーボンマジック株式会社から、そしてエンジンは株式会社トムスから供給されることが発表された。

 2015年にスタートしたFIA-F4選手権シリーズは、ステップアップカテゴリーとして健全に機能し、これまで多くの優秀なドライバーを輩出してきた。またインディペンデントカップも設け、ジェントルマンドライバーにも門戸を広げたことで、エントリーは常時30台を超え、これは世界各国で行われるシリーズの中でもトップレベルにあるという。

 そんなFIA-F4が、FIAの定めるレギュレーション等の変更により、2024年から第2世代の車両に移行することとなり、オーガナイザーである株式会社GTアソシエイション(GTA)は、国内で生産されることを前提に、昨年よりサプライヤーの公募を行っていた。GTA坂東正明代表取締役曰く、多数の応募の中から審議されて選定されたのが、シャシーは東レ・カーボンマジック株式会社、エンジンは株式会社トムスだった。

 なお、この他にもタイヤは住友ゴム工業株式会社(ダンロップ)、エンジンオイルは株式会社ペトロプラン(ペトロナス)、ホイールは株式会社TAN-EI-SYA WHEEL SUPPLY(TWS)がサプライヤーとなることも発表されている。ブレーキパッドには関しては引き続き、指定サプライヤー複数社の製品から選択ということになる。

トップカテゴリーへのステップアップを夢見る若手ドライバーの登竜門的存在であるFIA-F4選手権は、2022年で8シーズン目を迎え、その開幕戦では40台のエントリーとなり盛況を博している。
記者発表会資料より、第2世代のFIA-F4車両として使用されるMCS4/24のイメージ画像。
HALOが装着されてFIAの安全要件に準拠したモノコックの強化と、最高出力が180PSに高められた新型開発のエンジンが大きな特徴として挙げられる。

 シャシーに関して最大の特徴は、HALOが追加されたことモノコックの強化だろう。ことモノコックの側壁は、従来比10倍もの強度が要求されているという。6速パドルシフトの採用など、主要なユニットに関して大きな変化はなさそうだ。タイヤサイズも従来同様。車重は575kgとなっており、従来はドライバー体重を含め610kgとされてきたから、実際には若干の増加となっている。

 シャシーの名称は『MCS4/24』。このMCSとは1980年代に隆盛を極めた、富士グランチャンピオンレースで活躍したムーンクラフトスペシャルの略称で、現在は東レ・カーボンマジックの子会社である、ムーンクラフトが空力面を担当する。東レ・カーボンマジック株式会社の奥明栄代表取締役社長によれば「今後、モータースポーツでの展開では、MCSを前面に出していきます」とのこと。

 さらに「長年スーパーGTのモノコックや、その他のパーツの設計/製造をして供給してきて、そのあたりを評価していただいたのだと思います。私どもの事業ルーツには、モータースポーツの世界に何かしらの貢献を続けていきたいという想いが根底にございます。日本のモータースポーツ産業の発展に少しでも寄与できますよう、開発を鋭意進めていきます」と奥社長。

 また、エンジンは2リッターの4気筒エンジンであるのは従来どおりだが、新開発のトムスTMA43が採用され、従来の160PSから180PSに最大出力が高められている。「現行の第1世代に引き続いての、私どものエンジン供給になりますので、第1世代で得たノウハウや知見をフルに活用して、この第2世代エンジンの開発に反映させていきたいと考えております。各サプライヤーさんと協調しながら、しっかりとサービスして提供していきたいと思っています」と株式会社トムスの谷本勲代表取締役社長。

記者発表会に出席したサプライヤーの東レ・カーボンマジック株式会社・代表取締役社長の奥明栄氏(左)と、株式会社トムス・代表取締役社長の谷本勲氏(右)が挨拶。

 マーケティングと販売はGTAが担当し、2023年の1月から受注開始、10月より順次納車されることとなっている。初期ロットとしてシャシーは35台の生産、合わせてエンジンは40機組まれる予定となっている。初お披露目は、今年のスーパーGT最終戦もてぎラウンドになるという。

「日本のモータースポーツの育成プロジェクトとして、我らがまたひとつ道をステップとして築いていきたいと思うので、よろしくお願いします」と坂東代表は、この記者会見を締めた。第2世代FIA-F4の、ますますの発展を願わずにはいられない。

株式会社GTアソシエイション・代表取締役の坂東正明氏を中央に、サプライヤー関係者が会した記者発表会。

フォト/©GTA、石原康、遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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