GT500はカルソニック IMPUL Zが最後尾からの勝利! GT300は5年ぶりにグッドスマイル 初音ミク AMGが優勝!
2022年9月12日
鈴鹿サーキットで450km(77周)レースとして行われたスーパーGT第5戦。GT500クラスは予選15番手の最後尾スタートとなったカルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)が終盤にトップを奪い、チームとしては昨年のSUGO以来、このコンビとしては初優勝を挙げ、ポイントリーダーに立った。GT300クラスは前回の富士でトップ走行中のトラブルで優勝を逃したグッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)が、2017年開幕戦の岡山以来となる5年ぶりの優勝を遂げた。
2022 SUPER GT Round5 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE
開催日:2022年8月27~28日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:KSCC、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社
夏休み最後の週末となった鈴鹿は例年の猛暑とはならず、気温30度前後で収まる陽気となった。しかし予選が行われた27日は、湿度が高く不快指数の高い日となった。例年1000kmレースが開催されてきた真夏の鈴鹿だが、今回は今季最長となる450kmレースとして行われた。
曇り、気温31度、路面温度38度と、この時期としては比較的低めのコンディションとなった鈴鹿。15時20分から公式予選が始まった。ここでGT500クラスのポールポジションを奪ったのは23号車MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)のクインタレッリ選手。これに17号車Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治組)、16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹組)とNSXが続き、4番手は19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)となった。
GT300クラスでは、第3戦鈴鹿でトップタイムをマークしながら、再車検で最低地上高が不足して失格となった10号車TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき/塩津佑介組)の大草選手がポールポジションを獲得。これに244号車HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞組)、88号車Weibo Primez ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組)、ポイントリーダーで100kgのサクセスウェイトを積む56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)、4号車メルセデスが続いた。
1万6,500人のファンを集めた決勝は28日の午後、晴れ、気温28度、路面温度39度というコンディションの14時30分に、三重県警察の白バイ&パトカーの先導によるパレードラップで始まった。フォーメーションラップを経て14時37分に決勝レースがスタート。
ポールからスタートした23号車Zのクインタレッリ選手は、17号車NSXの松下選手を従えて走行していたが、なかなか引き離せない。わずか17周でピットインしてタイヤを交換したが、直後に数台の車両が早めの1回目のピットインを済ませた。今回のレースも2回のピット作業が義務づけられている。
これで17号車NSX、16号車NSX、38号車ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)、19号車スープラ、100号車STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)の順となった。26周で38号車スープラ、27周で16号車NSX、28周で19号車スープラ、そして29周で17号車NSXが1回目のピットイン。
33周で全車が1回目のピット作業を済ませると16号車NSXがトップで、23号車Z、38号車スープラ、17号車NSXの順に。37周目には38号車スープラと17号車NSXが順位を上げると、23号車Zは41周で2回目のピットインを済ませた。
16号車NSX、38号車スープラ、17号車NSXと3台によるトップ争いは、48周で17号車がピットイン。すると50周目にGT300車両が130Rで激しくクラッシュし、セーフティカー(SC)が導入。このタイミングで39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)と12号車Zが2回目のピットインをしていた。
隊列を組み直して54周完了でリスタートすると同時に、38号車スープラが2回目のピットインをしてトップ争いから脱落。さらに16号車NSXはまだ2回目のピットインを済ませておらず、これで17号車NSXが実質的なトップに。それに続いたのがタイミング良く2回目のピット作業を済ませた12号車Zで、まず39号車スープラをかわすが57周目の130Rでコースを外れた隙に23号車Zが前に出た。
59周でトップの16号車NSXが2回目のピットインをすると、17号車NSXの塚越選手、23号車Zの松田選手、12号車Zの平峰選手による優勝争いが始まった。64周目のヘアピン手前でバックマーカーをかわそうと23号車Zが進路を変えたが、直後に12号車Zがおり接触を避けようとグリーンに出た。この23号車Zの行為が危険な幅寄せとされ、松田選手にはドライブスルーのペナルティが命じられた。
終盤70周目の時点で、17号車NSXの塚越選手は12号車Zの平峰選手と6秒差をつけ、残り7周で逃げ切るかに思われたが、2回目のピット作業での給油量が少なく、燃費走行を強いられることに。これで平峰選手がトップとの差を一気に詰め、75周目のヘアピンで逆転トップを奪った。
さらに17号車NSXの塚越選手に39号車スープラの関口選手、3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠組)の高星選手、100号車NSXの山本選手による表彰台争いとなったが、100号車NSXはファイナルラップの130Rでクラッシュ。
12号車Zは昨年SUGO以来の優勝で、新コンビでは初優勝を飾り、ポイントリーダーに立った。2位は17号車NSX、3位は39号車スープラで、3メーカーが表彰台を分け合った。
GT300クラスは序盤の5周目までに6台の車両が早めのピットインを済ませて給油を行い、一部の車両ではタイヤ交換も済ませていた。2番手スタートの244号車スープラの三宅選手は、9周目のダンロップコーナーでポールスタートの10号車GT-Rを抜いてトップに立つ。
上位陣では16周で4号車メルセデスと55号車ARTA NSX GT3(武藤英紀/木村偉織組)、17周で88号車ランボルギーニがピットイン。レースの1/3を過ぎた23周でトップの3台、244号車スープラ、10号車GT-R、56号車GT-Rがピットインすると、50号車Arnage MC86(加納政樹/阪口良平/末廣武士組)が暫定トップに上がった。
32周で50号車MC86が最初のピットインをすると、4号車メルセデスがトップに立ち、41周で2回目のピットイン。43周目には4番手の88号車ランボルギーニと5番手の244号車スープラも最後のピットインを済ませる。しかし244号車スープラはアウトラップの130Rで激しくクラッシュ。これでSCが導入されることになった。
50周完了でリスタートすると2回目のピットインを行う車両があり、既にピット作業を完了して実質的なトップを走行していたのは4号車メルセデス。これに10号車GT-R、55号車NSX、56号車GT-R、88号車ランボルギーニ、52号車埼玉トヨペットGB GR SupraGT(吉田広樹/川合孝汰組)が数珠つなぎのように続き激しいトップ争いを展開する。しかし56号車GT-Rのオリベイラ選手には、危険な走行行為としてドライブスルーペナルティが命じられ、上位争いから脱落することになった。
60周で暫定トップの50号車MC86が2回目のピットインをすると、4号車メルセデスが堂々のトップに立つ。64周目には3番手を走行していた55号車NSXが力なくコース脇に車両を止め、これで2分間ほどフルコースイエローが導入された。
レース終盤は21番手スタートの30号車apr GR86 GT(織戸学/平良響/上村優太組)が順位を大きく上げ、65周目には3番手へ浮上。4号車メルセデスの片岡選手は72周でトップチェッカーを受け、5年ぶりの優勝を飾った。2位は10号車GT-R、3位は30号車GR86で、GR86として初の表彰台を獲得した。
フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部