熱戦を繰り広げたFP-3部門を制したのは高田陽大選手。そして中井陽斗選手がFS-125部門でポール・トゥ・ウィン達成!

レポート カート

2022年9月9日

全日本カート選手権東地域の第4戦が千葉県・茂原ツインサーキット東コースで9月3~4日に開催。FP-3部門では高田陽大選手(SuperRacingJunkie!)が熾烈なトップ争いを制してデビュー2連勝を達成。FS-125部門では中井陽斗選手(TEAM EMATY)がポール・トゥ・ウィンで初優勝を飾った。

2022年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 東地域第4戦
2022年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 東地域第4戦

開催日:2022年9月3~4日
開催地:茂原ツインサーキット東コース(千葉県茂原市)
主催:MTC

 いよいよ終盤戦を迎えた全日本カート選手権の2022シリーズ。東地域では西地域に3週間遅れて第4戦が行われた。8月の酷暑はいくらか収まったものの、まだ日差しはまぶしく暑さは厳しい。今回のレースも体力面でハードな戦いだ。

FP-3部門東地域第4戦

 FP-3部門には多くのスポット参加があり、出走台数は東地域で今季最多の21台に達した。予選ヒートでは目のくらむような激しいトップ争いが繰り広げられ、スポット参加組のひとり、21歳の稲生吉秀選手(FLAX MOTORSPORTS)がここを制して決勝のポールにつくこととなった。2番手は16歳の田上龍輝選手(チームKBF)。3番手は前戦に続いてスポット参加の15歳、高田選手だ。予選を2番手で終えた大越武選手(BEMAX RACING)はペナルティを受けて18番手に沈んだ。

 決勝は22周。ダミーグリッドから各車がローリングに向けコースインしていくと、タイムトライアルのトップでありポイントリーダーでもある春日龍之介選手(SPS川口)が大きく出遅れ、隊列は7番グリッドの有力選手を欠いたままスタートの時を迎えた。

 ここで躍進したのが富下李央菜選手(Formula Blue TKC)。5番グリッドから1周目に2番手へ上がると、2周目には稲生選手をパスして先頭に躍り出た。だが、4周目には稲生選手がトップを奪還。5周目にはそれに代わって高田選手がトップに立つ。

 先頭集団は高田選手、稲生選手、富下選手、田上選手、箭内優樹選手(TeamYuhi. With TECORSA)、寺島知毅選手(松本レーシング)の6台一列。レース中盤にはさらに追い上げ急の大越選手と鈴木太郎選手(ちゃり走RacingSpirits)もここに加わり、1周のうちに二度も三度もポジションが入れ替わるホットなバトルが繰り広げられた。

 そんな中、中盤から先頭の座をキープし続けた高田選手を、残り4周で富下選手がパスしてトップを奪う。最終ラップに真っ先に突入したのは富下選手だ。しかし、2コーナーで高田選手が富下選手のインを刺す。ウィナーとなったのは高田選手。前戦では全日本デビューを独走勝利で飾り、今回は熱闘を制し、高田選手は目下全日本で勝率100%だ。

 富下選手は初勝利にあと一歩届かず2戦連続の2位。とはいえ、この結果で東西総合ランキングの首位に立つこととなった。3位には田上選手が入り、全日本参戦3年目にして初の表彰台に。大越選手が14ポジションアップで4位入賞を果たした。

高田陽大選手は優勝について「素直にうれしいです。決勝は第3戦のSUGOと同じように、抜かれたらすぐに抜き返すことを考えて戦いました。最終ラップはとにかく一番前でゴールしたいって気持ちが強くて、なんとしてでも(富下選手を)抜こうと思いました。自分の思っていたようにレースができたかなと思います」とコメント。残りの2戦については「まだ決まっていないんですが、日程が合えばぜひ出たいと思います」とのことだ。
2位は富下李央菜選手、3位は田上龍輝選手。
FP-3部門表彰の各選手。

FS-125部門東地域第4戦

 14台が参加したFS-125部門では、地方選手権でも躍進を演じて上げ潮に乗る14歳のルーキー中井選手が、初の決勝ポールを獲得した。2番グリッドは喜納颯矢斗選手(Racing teamYRHKS)。タイムトライアルでトップタイムをマークした五十嵐文太郎選手(Formula Blueエッフェガーラ)は3番グリッドだ。

 24周の決勝では、五十嵐選手がスタートでトップ浮上に成功、中井選手が2番手に続く。その後方の攻防がもつれたことで、トップ2はオープニングラップから3番手以下を引き離してマッチレースを繰り広げることとなった。

 2台は数車身のギャップのまま延々とラップを重ねていく。すると残り7周、前との間隔を詰めた中井選手が一気に逆転を成功させた。抜かれた五十嵐選手も中井選手の真後ろに食い下がるが、中井選手は全力疾走で逃げ切り、待望の全日本初優勝を遂げた。

 惜敗の五十嵐選手は、開幕戦に続く2位フィニッシュ。序盤から単独走行を続けた喜納選手が3位に入り、2年目の初表彰台に。4番手でゴールした落合蓮音選手(Formula Blue Ash)はペナルティを受けて9位に降格となり、柳沼光太選手(Formula BlueガレージC)が自己最上位の4位に入賞した。

 ポイントレースでは今回ノーポイントの落合選手が東地域の首位をキープしたが、西地域で3連勝を挙げて首位に立つ百瀬翔選手にポイント差を広げられ、タイトル獲得にはもう一戦も落とせない状況だ。

「決勝は最初から前を抜こうと思っていたんですが、五十嵐選手のペースが思っていたより良くて、なかなか追いつけませんでした。終盤に追いついたところのワンチャンスでしっかり抜くことができました。トップに立ってからはフルプッシュで逃げました。ゴールした時はとてもうれしかったです」と第4戦の表彰式を終えた直後の中井陽斗選手。「残り2戦もシリーズで上位になれるように全力でいきます」と強い意気込みを語った。
2位は五十嵐文太郎選手、3位は喜納颯矢斗選手。
FS-125部門表彰の各選手。

FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門東地域第4戦

 同時開催のジュニア選手権・東地域第4戦。FP-Jr部門では酒井龍太郎選手(ミツサダPWG RACING)がオープニングラップからの独走で3連勝を飾った。2位には岡澤圭吾選手(HRTwithカローラ新茨城CSI RACING)が、3位には松井沙麗選手(BEMAX RACING)が、それぞれ単独走行を続けて入賞した。

 FP-Jr Cadets部門では大集団によるトップ争いが繰り広げられ、最終ラップのアクシデントを経て、関口瞬選手(TECORSA)が先頭でフィニッシュした。しかし、関口選手には10秒加算のペナルティが課され、2番手でゴールした常川将太郎選手(Teamぶるーと)が初優勝を飾る結末となった。2位は前田蒼介選手(Team REGOLITH)、関口選手は3位だった。

FP-Jr部門は酒井龍太郎選手が3勝目を挙げた。「西地域の選手たちもすごく速いので、(シリーズを考えて)ここは絶対に落とせないっていう強い気持ちで挑みました。チームの方々の協力もあって、ブッチ切りという最高の結果を残すことができて、すっごくうれしいです。次の御殿場でも必ず勝って、東西統一戦では西地域の選手たちにも勝って、チャンピオンになりたいです」と、チャンピオン獲得に熱く闘志を燃やしている様子だ。
2位は岡澤圭吾選手、3位は松井沙麗選手。
FP-Jr部門表彰の各選手。
「自力で1位を獲ることはできなかったけれど、最終的に1位になれて、すごくうれしいです。トップ争いの中では、無駄なところでインに入って抜かれたりしないように、落ち着いて様子を見ながら走っていたんですけれど、最終ラップが近づいたあたりからは待つことを止めて、「これは勝てるぞ」と思って、頑張って抜きました。次の御殿場はたくさん走っていて得意なコースなので、今度は自力で勝ちたいです」と優勝の常川将太郎選手。
2位は前田蒼介選手、3位は関口瞬選手。
FP-Jr Cadets部門表彰の各選手。

フォト/JAPANKART、長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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